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部位別がん基礎講座

胃がん

※株式会社法研からの情報提供により掲載しております。
以下の掲載については、本事業において内容を保証しているものではありません。
【ピロリ菌の除菌が予防に有効】日本人に発症するがんのなかでもっとも多いのは胃がんです。しかし、早期であれば完治がのぞめるので、定期的な検診で早期発見に努めましょう。
【指導】
杏林大学医学部
第三内科教授
高橋 信一 先生
胃がんの危険因子は塩分・喫煙・ピロリ菌
胃がんを発症する危険因子はある程度わかっています。その1つは、胃の粘膜を荒らす塩分のとりすぎです(グラフ1)。また、塩分ほど直接の関係が明らかではありませんが、タバコは胃粘膜のがん化を促進するといわれており、リスクの1つに数えられます(グラフ2)。こうした生活習慣の改善は、胃がんの予防につながります。
グラフ1■食塩の摂取量と胃がん
食塩摂取量が非常に少ないグループに比べ、多いグループは約2倍、胃がんになりやすい(男性の場合)。
グラフ2■タバコと胃がん
喫煙本数が多いほど胃がんのリスクは高くなる(分化型の胃がん・男性の場合)。
国立がん研究センター「多目的コホート研究」より改変
そして、最近注目されているのがピロリ菌という細菌です。ピロリ菌に感染するのは、ほとんどが乳幼児期とされ、日本人の中高年は約70%が感染していると考えられています。ピロリ菌の感染者のうち胃がんの人は1%以下ですが、反対に胃がんの人のピロリ菌感染率はほぼ100%といわれ、ピロリ菌の除菌が胃がんの予防に有効であることがわかってきました。生活習慣の改善やピロリ菌の除菌で、胃がんは予防できるがんともいえます。

また、最近は内視鏡検査の普及により、胃がんの約半数は早期で見つかるようになりました。予防と、早期発見・治療で、胃がんから命を守りましょう。

【予防】検討したい ピロリ菌の除菌

ピロリ菌は胃の中にすみついて胃の粘膜を荒らし、慢性胃炎をおこします。これが進行して胃の粘膜が萎縮する萎縮性胃炎になると、胃がんを発症するリスクが高まります。
ピロリ菌を除菌すると胃がんの発症率が低くなることについて、最近、早期胃がんを内視鏡で治療したあと、ピロリ菌の除菌を行うと、行わなかったグループより胃がんの再発が3分の1に抑えられたというデータも発表されました。
これを受けて、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の人にしか健康保険が適用されなかった除菌が、早期胃がんで内視鏡による治療を受けたあとの人にも適用されるようになりました。
除菌の方法は、3種類の薬を1週間服用するだけです。これで約7割の人が除菌に成功しますが、除菌できなかった場合は、薬を替えて行います。
● 胃にすみつくピロリ菌
胃液の酸性度は粘膜を溶かすほど高いため、粘膜を保護する粘液に覆われている。この粘液の中にピロリ菌はすみつき、胃粘膜を荒らす。
電子顕微鏡で見た胃にすみつくピロリ菌(矢印)。
写真提供:杏林大学第三内科
左記の薬を1日2回、7日間服用(1次除菌)。除菌できなかった場合、1つの抗菌薬を別のものに替えて同様に実施(2次除菌)。これで全体の約95%が除菌に成功する。
除菌を希望する場合、胃潰瘍などがなければ自費となる。施設によって異なるが、杏林大学病院では胃内視鏡検査を一緒に受ける場合約4万5000円、除菌治療だけの場合は約3万円。

【検査】早期発見には内視鏡検査。血液検査でリスク判定も可能に

小さながんが発見できる内視鏡検査
胃がん検診では、バリウムをのんでレントゲン写真を撮る「X線造影検査」と「内視鏡検査」があります。X線造影検査は比較的楽な検査ですが、疑わしい病変が見つかった場合、組織をとることができません。
内視鏡検査は、医師が胃の粘膜を直接見ることができるので、色の変化からより早期の小さな胃がんが見つかりやすくなります。しかし、検査が嘔吐反射などでつらい場合があります。内視鏡検査には、口から内視鏡を入れる「経口」と、鼻から入れる「経鼻」があり、胃がんの発見率に差はありません。経鼻では内視鏡の管がのどに当たらないので嘔吐反射がおきず、検査は楽に受けられます。
内視鏡検査では同時に組織を採取できるメリットがあり、ピロリ菌の感染も調べられます。
▲内視鏡で見た胃粘膜(写真提供:杏林大学第三内科)
胃がんのリスクがわかるABC検診
最近では、胃がんのリスクを判定できるABC検診が、X線造影検査に代わってすすめられてきています。
ABC検診とは、ペプシノゲンという消化酵素の量を調べる「ペプシノゲン法」と、ピロリ菌の感染の有無を調べる検査を組み合わせたもので、採血するだけで調べられます。
ペプシノゲンにはⅠとⅡがあり、その値によって胃粘膜の萎縮の程度がわかります。これにピロリ菌の検査を組み合わせることで、胃がんのリスクが予測できるのです(表)。この検査でリスクが高いと判断された場合は、内視鏡検査を受けることがすすめられます。
ABC検診は、すでに一部の自治体の胃がん検診で実施されています。
● ABC検診の分類とリスクに応じてすすめられる対処法
分類群 検診結果 特 徴
A群 ピロリ菌(-)
ペプシノゲン法(-)
発症リスクはきわめて低い
検診は5年に1回でよいとされる
B群 ピロリ菌(+)
ペプシノゲン法(-)
発症リスクは平均的
検診は3年に1回でよいとされる
C群 ピロリ菌(+)
ペプシノゲン法(+)
発症リスクは高い
検診は2年に1回で、必ず内視鏡検査を受ける
D群 ピロリ菌(-)
ペプシノゲン法(+)
発症リスクは高い
該当者が少ないため、C群として扱う
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情報提供元:法研
本ページの掲載内容は、2011年時点の情報です。
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