厚労省が指針で検診を勧める5つのがん

大腸がんイラスト

大腸がん

早期であれば100%近く完治ー検診が重要

大腸は小腸の終わりから肛門の間を指し、小腸寄りの「結腸」と、肛門に近い便をためる「直腸」に分かれます。
大腸がんの7割が、直腸周辺(直腸とS状結腸:図)にできます。2018年には男性では3番目、女性では、2番目に患者が多いがんです。

乳がん、前立腺がんと並ぶ「欧米型のがん」といえ、動物性脂肪の摂取との関連が指摘されています。肥満や肉食、アルコールは大腸がんのリスクを高め、運動はリスクを下げるといわれます。大腸がん全体の治癒率は約7割、早期であれば100%近く完治します。ただ、早期では、一般に自覚症状がほとんどありません。完治のためには、無症状の時期に発見することが重要なため、検診が有効ながんの一つといえます。

図:大腸の構造と名称
図:大腸の構造と名称

直腸付近のがんが進行すると、血便が出る、便が細くなる、おなかが痛む、下痢と便秘を繰り返すなどの症状が表れます。一方、肛門から離れた結腸のがんは、進行しても症状が出にくい傾向があります。大腸がんの診断は、大腸内視鏡で患部の組織を取って調べることにより確定します。

治療は早期の場合は内視鏡で切除します。内視鏡で取り切れない場合は、手術が中心となりますが、結腸がんと直腸がんでは方法が違います。結腸がんは、がんから上下10センチのところで腸を切り離し、つなぎ合わせます。この場合、後遺症はほとんどありません。
しかし、直腸がんは、上側を切り離せても、すぐ下側が肛門ですから、下の「のりしろ」がありません。このため、がんが肛門の近く(3〜4センチ以内)にできている場合、肛門を含めて切り取る必要が出てきます。この際には、人工肛門を付けることになります。また、性機能や排尿に関係する神経が切れてしまうこともあり、後遺症も少なくありません。
欧米では、手術の前に放射線治療をして人工肛門になるのを避けたり、手術の後で、放射線をかけて再発を予防したりします。日本では、こうした放射線治療はあまり一般的ではありませんが、今後増加していくと考えられています。抗がん剤も有効で、がんが再発した場合にも、抗がん剤治療によって延命が期待できるがんの一つです。