中川議長が都内中学生のレポート取材を受けました。〜(その1)
がん対策推進企業アクション事務局に、「がん対策」について学校に提出するレポートの取材依頼があり、アドバイザリーボード議長の中川先生が、2015年11月13日、東京大学医学部附属病院で、東京都内海城中学校(新宿区)2年生・荒井潤喜君のレポート執筆のための取材を受けました。
中川先生 今回、「がん対策推進企業アクション」に問い合わせをいただいたきっかけは?
荒井君 読売新聞の「論点」(2015.09.24)を読んで、今回のレポート提出のテーマとして良いのではないかと思いました。また、がんの中でも「対策」に絞ってWEBで検索していて、HPを見つけ、連絡しました。
荒井君 質問 「がん対策推進企業アクション」という活動を行っていて、強く感じることをお教えください。
中川先生 日本人が「がん」を学んでこなかったことなんですよね。男性の3人に2人、女性の2人が1人が、がんになるんです。その率は世界的に高いんだけど、その理由はなんだと思いますか?
荒井君 やっぱり高齢化とか、検診率の低下とか・・・。
中川先生 いや、低下ではないよ。がんになるか、ならないか、だから。検診はがんを早期に発見するだけのものだからね。それが低いからと言ってそうなるものではない。いちばん大きいのは高齢化ですね。日本は世界一長生きだからね。しかも急激に長生きになったからね。今男性の平均寿命は80歳、女性は87歳、全体で83~84歳、明治元年は35歳でしたから、急激に長生きになりました。がんとは簡単に言うと、細胞の老化。だから高齢者が増えれば、がんが増えるのは当たり前なんです。日本人は長く働く国なんですね。だから定年延長しているでしょ。昔は55歳だったのが、60歳、65歳、もっとかもしれない。だから働く人の数は増えている。それはなぜだと思う?労働人口の数ですね。要するに、20歳になる人が少ないと、働く人が少なくなる。ずっと景気が悪かった側面もあり、60歳でなく、65歳以上の1割が働いている。そんな国は他にないんですよね。要するに若者が減っているから、高齢者が長く働かないと、経済成長も経済も社会も保障制度も成立しない。だから高齢化によって増えているんだけども、その働く高齢者にがんが増えている。つまり、現役の、昔は定年・引退していた人の病気だったがんが、今や現役の人の病気になった。そんな国は日本しかない。実は日本特有の現象なんです。がんは知識がない限り、運命を変えるんですよ。例えば、林家木久扇は喉頭がんを早期に発見しているのでたぶん治っている。放射線治療やここでやっています。つんくは声帯を取っている。あれは長く放置していたんだね。やはりすぐに病院に行くか行かないかによる。私の弟もこの病院の婦人科に勤めていますが、奥さんは大腸がんで48歳で亡くなった。検診とかやっていなかった。本当に似たような状況でも知識と行動で変わる。だから知らないと損だ。学校の保健体育の事業、でがんのこと習ったことある?
荒井君 いえ、ほとんどないですね。
中川先生 それは、僕らの時もそうだった。だから結局日本人は、がんのことを知らない。そうすると、すごく損をする。そうしてさっき言ったような理由で、日本人は長く働かなければいけない。がんは老化だから、長く働くということは現役の会社員ががんになるわけですね。その不幸をなるべく減らしたいということなんです。実は平成29年から、全国の小中高校でがんの授業が始まります。
荒井君 あ、そうなんですか?
中川先生 ちゃんと習うんです。だから大人と子供の格差が広がるんです。それを埋めていくにはどうすれば良いかと言うと、やはり企業の中で基本的な知識を持ってもらう、職場でのがん教育が一番重要となります。
荒井君 質問 そのがん教育の話で、先生の著書で、中学校でもがん教育をしなくてはならない、と書かれていたんですけど、平成29年に始まるその授業は具体的にどういうことを教えるんですか?
中川先生 文部科学省の検討会が開かれていて、私もそのメンバーで今年の3月31日に報告書が出ていて、そこに書かれているので、それをレポートに掲載しても良いかと思いますよ。