20歳以上の女性は乳がん検診自己負担ゼロ
AIOは主に社外での企業検診に利用していただいていますが、当社の定期検診にも使用しています。「待ち時間が少なくていい」「病院に行く機会がないので助かる」と好評です。「検診を受けて」と言ってもなかなか行動にはつながらないものです。それよりも、気軽に検診できる場を提供することや、費用負担をなくすなどして受診負荷を軽減することが大切であると考えています。
ワコールでは毎年20歳以上の女性社員を対象に乳がん検診と子宮がん検診を実施しています。
乳がん検診については、2009年よりワコールの乳がん検診車AIOを使って、各事業所に横付けで実施しています。子宮がん検診については、2010年度までは各自が医療機関へ行く任意検診だったため、受診率が極端に低い状況でした。そこでアンケートを実施し、女性社員からの声をもとに、乳がん・子宮がん検診を一緒に受診できる環境を整えることで、受診率を上げました。2012年度の乳がん検診受診率は80%以上、子宮がん検診は60%となっています。
また2010年からは子宮頸(けい)がんについても、12歳から45歳までの全女性社員と扶養家族を対象に、ワクチン接種の費用補助が受けられるようになりました。
AIOによるバス検診後のフォローについては、基本的に全員に結果を手渡しして面談を実施しています。がん所見、要精密検査の判定がある社員には受診を勧告しています。また、受診時期に合わせて、受診の確認と推奨を行っています。
受診率の向上と今後の方向性
今後の受診率向上に向けては、まだまだ課題があります。
(1)お財布いらず(一時的な個人払いなし)(2)お手間いらず(会社で受診できる。定期健診のついでに受診)(3)お休みいらず(就業時間中の受診、上司や男性社員の理解)と、受診環境を整えることです。今後も啓発を繰り返していくことが重要であると考えています。
受診率を向上させるには、AIOによる「バス検診」の効果は抜群ですが、それゆえの限界もあります。会社の検診では、子宮体がんやエコーの検査ができない、個別的な相談に十分な時間を取ってもらえない、設備・対応などについてのプライバシーへの不安、女性医師による診察とは限らないなど、女性社員からは不満や不安の声もあります。これらについては、できることから、ひとつずつ改善しています。


また、ワコールでは「がん」については、5大がんすべての検診を実施しています。
がんの早期発見のための検診制度を中心とした保健事業のより一層の充実を図るため、2013年度より新しい保健事業をスタートしました。
(1)節目年齢ドック補助制度の新設
(2)個人別検診補助制度の充実(郵送検診の導入)
(3)子宮頸がんワクチン費用補助の増額
節目年齢ドックは、40歳以上で5歳ごとの節目年齢を迎える社員を対象に、徹底的な検診とオーバーホールの機会として新設しています。補助金額の上限額に達するまで何度でも受診できます。
個人別検診補助は、40歳以上の被保険者に対して行っています。また、郵送検診は医療機関では単独で受診できない検診項目や、病院へ行く時間のない社員も、自宅で簡単に検査を受けることができるものです。
子宮頸がんワクチンについては、有効性が臨床試験で確認されている45歳までの女性に対して費用補助額を増額しました。
今後も、総合的な検診を継続して受診できるような社内風土の実現を目指して、啓発を進めていきたいと考えています。
株式会社ワコールホールディングス 会社概要 | ||||||||||
子会社59社および関連会社9社で構成され、インナーウェア(主に婦人のファンデーション、ランジェリー、ナイトウェアおよびリトルインナー)、アウターウェア、スポーツウェア、そのほかの繊維製品および関連製品の製造、卸売販売および一部製品の消費者への直接販売を主な事業としており、さらにそのほかの事業として、飲食・文化・サービスおよび店舗内装工事の事業を展開している。本業と並行し、乳がんの早期発見・診断・治療支援を行う「ピンクリボン活動」、乳がんの早期発見支援を行う「乳がん検診サポート事業」、乳がん手術後の美しいボディラインの再生支援を行う「リマンマ事業」にも注力。 |