2018/2/28
平成29年度がん対策推進企業アクション統括セミナーを開催しました
▲受付の様子 |
▲会場全景 |
開会挨拶① -がん対策推進企業アクション事務局-
最初に、がん対策推進企業アクション 飯塚威文事務局長が登壇しました。開会の挨拶に続いて、本取り組みは、2009年にスタートし、9年間の活動でパートナー企業は、2533社、従業員約674万人に増え、今年度は新たに265社が推進パートナーに参画されたことを紹介しました。また全国7か所で行ったセミナーには約1200人の方に参加いただきました。本日の表彰や講演のプログラムについて紹介した後、是非、皆様の会社における検診、就労といったがん対策にお役立ていただければと願い、挨拶を終えました。
開会挨拶② -公益社団法人 日本医師会-
日本医師会 横倉義武会長のご挨拶を、今村聡副会長にご代読いただきました。がんの診断治療は進歩し、早期発見、早期治療により、その多くが治る時代となったこと、その為にはがん検診受診率向上が不可欠で、従業員の禁煙推進と併せて、企業の取り組みを期待すると話されました。がんと診断されても働きながら治療をしていく両立支援には、正しい知識理解を普及するための職場健康教育が必要であり、その意味でがん対策推進企業アクションが取り組んできた活動は大変重要であり、できるだけ多くの企業、団体に参加していただき職場におけるがん対策のさらなる推進に期待しますと挨拶がありました。
平成29年度『がん対策推進企業表彰式』
続いては、がん対策推進企業表彰式です。まず、がん対策推進パートナー賞の発表があり、検診部門を受賞したヤスマ株式会社、がん治療と仕事の両立部門を受賞したテルモ株式会社、がんの情報提供部門は朝日航洋株式会社 にご登壇いただきました。アドバイザリーボード議長の中川恵一先生より、記念の楯が贈られました。
続いて厚生労働大臣賞の発表がありました。総合的に見てがん対策の取り組みが顕著な伊藤忠商事株式会社が受賞され、厚生労働省健康局がん・疾病対策課長 佐々木昌弘氏より表彰状と楯が贈られました。
▲検診部門 ヤスマ株式会社 (総務部長 角地 博氏) |
▲がん治療と治療の両立部門 テルモ株式会社 (人事部長 竹田 敬治氏) |
▲がんの情報提供部門 朝日航洋株式会社 (取締役人事部長 牧平 俊明氏) |
(写真左より | 人事・総務部長 垣見 俊之氏、CAO 小林 文彦氏、 代表取締役 専務執行役員 厚生労働省 佐々木昌弘課長) |
国のがん対策のこれから
厚生労働省健康局 がん・疾病対策課長 佐々木昌弘氏が登壇し、2017年10月に策定した「第3期がん対策推進基本計6か年計画について、エッセンスを皆と共有したいと述べました。
「第3期がん対策推進基本計画」最大のポイントは、「がんとの共生」にあります。「がんとの共生」には、(1)がんと診断された時からの緩和ケア(2)相談支援、情報提供(3)社会連携に基づくがん対策・がん患者支援(4)がん患者等の就労を含めた社会的な問題(5)ライフステージに応じたがん対策、という5つのテーマがあります。これらのテーマに対し「相談支援」「情報提供」「社会連携」の面から「ライフステージごとにどういった対策が必要か」ということに取り組んでいくことを具体的に説明しました。最後に、今後も厚生労働省と政府はこの取り組みを先頭に立って進めて行くと話しました。
職域におけるがんリテラシーの重要性について~がん社会への処方箋~
東京大学医学部附属病院放射線科 准教授、がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長 中川恵一先生が登壇し、講演を行いました。
先生はまず、がんに負けない、がんに克つ4つのコツは、「がんを知る」(0次予防)+「がんを防ぐ生活習慣」(1次予防)+早期発見(2次予防)+働きながら治す(3次予防)であると述べました。
まず、企業におけるがん対策が重要になってきており、経営者および社員が「がんを知る」ことが、最大のがん対策であり、日本は働く人ががんになり、がん患者が働かなければいけない国であることから、働く世代ががんのことを知ることが重要であると説明しました。「がんを防ぐ生活習慣」としては、受動喫煙対策の重要性について強調し、受動喫煙で肺がんが3割増えるというデータを示しました。「早期発見」については、国際的に見た場合、がん検診受診率はまだ低いことに触れ、早期がんといわれるⅠ期の5年生存率は95%であり、職域における定期的な検診による早期発見が重要と述べました。そして「働きながら治す」については、今やがんの5年生存率は6割を超えており、3人に2人は治ることを説明し、治療においても入院の必要がない放射線治療も進んでおり、仕事と治療の両立が可能になってきていることを話しました。しかし、がんと診断されたサラリーマンの3人に1人が離職しているのも事実であり、「がんでも辞めない、辞めさせない」をキャッチコピーに職場でも取り組んでいただきたいと述べました。
次に「健康保険組合加入者を対象とした、がん検診・がん対策に関する実態調査」について、説明されました。
この調査は健康保険組合の方々を対象としたインターネット調査で、2017年12月25日~27日に実施し、対象者は①健康保険組合加入の企業で、従業員向けの検診の内容を把握している人(559人)、②健康保険組合加入の企業の被保険者(662人)、③健康保険組合加入の企業の被扶養者(275人)でした。対象者に対してリテラシー・がんに関する知識についてポイントを付け、ポイントが高い群、中間、低い群、の3つに分けました。
①の担当者のリテラシーが高い会社・健保では、がん検診を実施している割合が高く、担当者のリテラシーが下がると低くなります。
②の社員一人ひとりのリテラシーが高ければ高いほど、社員のがん検診の受診率も高くなります。
同様の傾向は被扶養者の方(③)でも同じことが言えます。社員、被扶養者ともがんについて知識のある方の方が、がん検診を受けています。
昨年度、同様の調査を中小企業が多く参加している協会けんぽでも実施しました。協会けんぽにおいても、担当者の方・経営層の方の知識があればある程、がん検診が行われていました。協会けんぽの加入者・社員もがんのリテラシーが高ければ高いほど、がん検診受診率が高まります。
そして、がん検診受診率は大企業中心の健保組合の方が協会けんぽより高いという結果になりました。しかし中小企業の方でもがんリテラシーがある方は大企業並みの受診率を保っているということを解説しました。
一方、就労支援対策については、中小企業においても、担当者のリテラシーが高ければ高いほど、就労支援が行われていますが、実施率については大企業の方が圧倒的に高いという結果でした。就労支援という観点からは、まだまだ中小企業に対して強化していく必要があるということがわかりました。来年度の企業アクションの活動の中でも、いかに中小企業に対して支援していくのか、ということは大きな課題であると中川先生は語りました。
最後に、職域におけるがんのリテラシーを高めることは社員と被扶養者の健康を守る鍵となることを理解していただき、そのためには職場の経営者、社員のリテラシーを高めていただきたい。また企業アクションに参画されていない企業はぜひこの機会に参加を検討してもらいたいと訴えました。
がん対策推進企業表彰での表彰企業の事例発表
次にがん対策推進企業表彰での表彰企業の事例発表を行いました。詳細は以下をご覧ください。
厚生労働大臣賞 がん対策推進パートナー賞 検診部門 ヤスマ株式会社
がん治療と仕事の両立部門 テルモ株式会社
がんの情報提供部門 朝日航洋株式会社
パネルディスカッション
「企業は変われる!企業を変える!~がん対策は企業に利益をもたらすのか~」というタイトルでパネルディスカッションを行い、貴重な話を伺うことができました。詳細は以下をご覧ください。
パネルディスカッションの詳細はこちら