


広島県がん対策推進計画をベースに、がん対策日本一を目指す
広島県民の死因割合の約3割ががん。昭和54年以降、死因の第一位です。平成23年に県内でがんと診断された人は20,670人(県の総人口は約280万人)、毎年約8,000人ががんで亡くなっており、県にとっての大きな課題になっています。
このため、平成20年に「第1次広島県がん対策推進計画」を、平成25年には、「第2次広島県がん対策推進計画」を策定しました。基本理念は二つ。
Ⅰ「県内のどこに住んでいても、どんながんであっても、必要な手立てや情報を受けることができ、安心して暮らせる広島県」を目指し、総合対策を強化する。
Ⅱ 県民みんなが、がんを自分にも起こり得ることとして関心をもち、それぞれの立場で予防や検診も含めた「がん対策」に取り組む社会をつくる。
この理念に基づき、がん対策日本一の実現を目指しています。
昨年(平成27年)3月には、広島県がん対策推進条例を公布・施行しました。この条例で、「広島県がん対策推進委員会」を知事の附属機関として位置づけ、がん対策計画の策定や変更、がん対策の推進に関する基本的かつ総合的な施策や重要事項について調査審議を行うこととしています。またこの条例には、がん検診、がん医療、緩和ケア、がん教育、がん患者・経験者の就労支援など基本的施策について定められています。議論もありましたが、受動喫煙防止対策も条例に盛り込みました。受動喫煙防止に関して、屋内の対策として施設の管理者に施設の区分に応じた防止対策をとることを義務付け、また屋外においても公園などにおいて、たばこを吸わないことを努力義務化しています。
がん検診受診率向上のために、複層的に施策を展開
●デーモン閣下を起用し、がん検診への関心は9割近くまで向上
平成22年から始めた「がん検診に行こうよキャンペーン」ですが、平成24年からは、デーモン閣下を起用したキャンペーンを展開しています。平成24年当初は46.9%だったキャンペーン認知度も、現在は8割を超えています。また、このキャンペーンで検診に関心を持った人は53.7%、以前から強く関心を持っている人を合わせると9割近い人たちが検診に関心を持っているという、とてもうれしい結果となっています。
国民生活基礎調査による検診受診率では、平成25年には胃がん40.5%肺がん41.3%大腸がん37.2%子宮頸がん43.9%乳がん43.0%と、前回調査の平成22年に比べて大幅にアップしています。デーモン閣下効果が出てきたものと考えています。今年度(平成27年度)は、定期的に閣下から、がん検診に関する情報メールが届く「閣下Eメール」の取組を行っています。閣下や広島3大プロ(広島東洋カープ、サンフレッチェ広島、広島交響楽団)の協力により、毎月抽選でプレゼントが当たるなどの登録特典も用意しました。


●「広島県がん検診推進員」は現在約5,000人。
市町や企業と連携して、「広島県がん検診推進員」を養成しています。がん検診の必要性、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つのがん検診についてわかりやすく書かれたテキストを使った約1時間の研修を受けた人を、「広島県がん検診推進員」として認定し、身近な場面からがん検診の受診を呼びかけていただく取り組みです。約5,000人(平成27年11月末時点)が認定されています。市町では町内会の役員などされている方も多く推進員になってくださっています。


●『がん検診に行こうよ』推進会議には現在149団体が参加。(平成27年11月末時点)
平成22年に、がん検診の普及啓発や受診率の向上に向けた活動を積極的に推進することを目的に、『がん検診に行こうよ』推進会議を設立しました。現在、民間企業73、NPO・患者団体等29、国保連・医師会などの各種団体22、県と全市町等25の、合わせて149団体が会員になっています。メディア発信やポスター掲示などのほか、マツダスタジアムでの啓発など、官民一体の啓発活動を推進しています。
●その他の取り組み
身近なかかりつけ医を「広島県がんよろず相談医」として養成・認定しています。平成28年2月末時点で701人の医師ががん検診の受診勧奨やがん予防、がん医療に関する情報提供や相談支援を行っています。また、地域の薬剤師を「広島県がん検診サポート薬剤師」として養成・認定。平成28年2月末時点で403人の薬剤師が、薬局の窓口などでがん検診の受診勧奨や情報提供などを行っています。