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イベントレポート

2020/8/5
2020年8月5日 令和2年度メディアセミナーを開催

令和2年度メディアセミナー (主催:がん対策推進企業アクション)が、8月5日(水)に東京・赤坂の赤坂サンスカイルームにおいて、新型コロナウイルス感染拡大予防対策をとり開催されました。

セミナーでは、がん対策推進企業アクション事務局長の大石健司より本セミナーの趣旨説明のあと、東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長の中川恵一氏から「コロナ禍におけるがん対策、がん治療」をテーマにした講演が行われました。

講演の様子

【メディアセミナー主旨説明】
大石健司
(がん対策推進企業アクション事務局長)

がん対策推進企業アクション事業は、企業・団体等におけるがん健診の受診率向上とがんになった患者さんへの就労支援等を目的として立ち上がり、本年度で12年目に入りました。

年間100万人を超える新規がん患者のうち、3分の1が働く世代です。64歳までに何らかのがんに罹患する確率は、男女とも約15%で、会社員の死亡原因の約半数ががんとなっています。

今後は女性のさらなる社会進出、定年の延長などで従業員のがん罹患率は高まると予想されます。がん対策推進企業アクションは、従業員・国民をがんから守ることを命題とし、様々な対策を企業とともに考え、実践していきます。

事務局長 大石健司

▲事務局長 大石健司

【講演】
「コロナ禍におけるがん対策、がん治療」
中川恵一氏
(東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長/がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長)

がん対策推進企業アクションは、企業の中でのがん対策を行う事業です。しかし “コロナ禍”におけるがん対策においては、企業だけに止まらず個人でも同じことがいえます。

コロナについてはもちろん注意しなければいけないのですが、コロナだけに気を取られて、がんの対策を疎かにしてしまうと、より多くの不幸が生まれてしまうということです。

私は東日本大震災による福島の復興支援を続けてきた経験から、放射能の被害よりも長引く避難生活によって健康を害する事例をたくさん見てきました。コロナについても同様、コロナウイルスによる被害だけではなく、コロナによる環境の変化によって目に見えない健康リスクが発生してしまうことを恐れています。

コロナ対策だけではなく、がん対策も

現在新型コロナにおいては、日本で約4万人の感染患者が発生し、約1000人の方が亡くなられています(2020年8月3日時点のNHK調べ)。しかし、がんは2019年の予測値では約102万人の方が罹患し、亡くなる方は38万人と、コロナと比べはるかに大きなボリュームがあります。

コロナ対策において適切な予防や対策は必要ですが、あまりコロナ対策ばかりに気を取られるとがん対策が疎かになり、結果的に全体としての健康が損なわれてしまいます。慎重に見極める必要があります。

現在の新規がん患者は年間約102万人ですが、2035〜39年には男性64万人、女性53万人と予測され、男性で1割、女性で2割近く増加すると見込まれています。

また、過去にがんと診断されて現在も生存している「有病者」についても、現在の男性173万人、女性140万人から男性184万人(6%増)、女性167万人(19%増)になる見込みで、今後は女性のがん患者が増えていくことが予想されます。

人が一生のうちどの程度の確率でがんになるのかという「生涯累積がん罹患リスク」の最新の数字(2017年データ推計)では、男性が65.5%、女性が50.2%で、女性もついに5割を超えました。

また、働く人のがんを見てみると、大企業の働く人の死因の半分ががんであり、在職中に社員が病気で亡くなるケースの9割ががんです。また、65歳でのがん罹患リスクは15%と、働いている人の7人に1人ががんになるリスクがあります。さらに、今後がん患者は増えていきます。

新型コロナの対策も重要ですが、がん対策も非常に重要なのです。

中川恵一先生

▲中川恵一先生

コロナ禍の中でのがん対策の3つの問題

現在のコロナ禍において、危惧される課題が3つあります。

●在宅勤務による生活習慣の変化

●がんの早期発見の遅れ

●がん治療への影響

これらについては、がん対策推進企業アクションのホームページでも紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

在宅勤務の問題で、本日もっとも皆さんに伝えたいのは「座りすぎ」です。

最近のアメリカの研究チームによると、最も長く座っているグループの人たちは、最も座らないグループの人たちに比べ、がんで死亡するリスクが約2倍であると発表されました。WHOでは、タバコ、飲酒に次いで座りすぎは健康リスクの3番目に指定しています。

座りすぎによる健康リスクを運動で解消しようとすると、1日60分以上の運動が必要で、週末だけの運動ではリスク解消できません。これは、運動不足とは違い「足を動かす」ということが重要で、一番のおすすめは30分に1回は立ち上がるということ。それができない人は、「貧乏ゆすり」が効果的です。

そもそも、日本は世界でも座る時間の長い国で、オーストラリアの研究機関の調査では調査対象20か国中最長の1日7時間であるとされました。さらに今は在宅勤務で座る時間が増えているようです。

この座りすぎの問題は欧米では広く認識されていて、座りすぎ防止のためスタンディングディスクで立ちながら会議や仕事をする文化が広がっています。

また、「コロナ太り」という言葉があるように、通勤や運動不足からの肥満問題もあります。肥満し糖尿病を発症すると、がんリスクが1.2倍、肝臓がんと膵臓がんは2倍になります。

一説にはがん細胞は毎日5000個程度身体の中にできているといわれており、そのがん細胞は免疫がやっつけてくれています(免疫監視機構)。しかし、この免疫力も年齢とともに衰えますし、遺伝子の経年劣化であるがんは年齢を重ねるほどがんになるリスクは高まります。免疫細胞が見逃した、たった1個のがん細胞が1センチ程度の大きさになるまでには10〜20年の歳月がかかりますが、その1センチのがんが2センチのがんになるには約1〜2年です。この1〜2センチのがんが早期がんといわれ、発見できる最初の大きさです。これ以上小さいがんは、最新機器や最新技術をもっても発見することは難しいのです。

がんは早期といわれるステージ1と、進行がんのステージ4では5年生存率が大きく異なります。例えば胃がんではステージ1では5年生存率は約98%、ステージ4では8%と12.2倍の開きがあり、他の種類のがんを平均してもステージ1と4では8.5倍の開きがあります。早期がんであれば約90%を治すことが可能です。

がんは早期がんのうちに発見することが重要で、健康で症状がまったくなくてもがん検診を受けなければならないのです。1年で大きくなる肺がんや大腸がんなどは1年ごとに、比較的ゆっくり進行する乳がんは2年ごとに定期検診が必要です。

現在コロナ禍によって健康診断などが中止される例も多発しており、対がん協会の予測では今年度のがん検診の受診者は3割以上減るとされ、がんの早期発見が約4千人減る恐れがあります。

がん治療への影響については、日本で最も多くがんの手術をしているがん研究有明病院において、看護師のコロナウイルスの院内感染により手術の8割を休止した事例がありました。

また、米国臨床腫瘍学会の新型コロナに感染した肺がん患者400人のデータでは、死亡した約140人のうち8割が新型コロナが原因でした。亡くなった方の47%が抗がん剤などの化学療法を受けており、放射線治療を受けていたのは9%でした。つまり、肺がん患者が新型コロナに感染すると、がんよりも新型コロナで亡くなるケースが多く、新型コロナに感染する3か月前までに化学療法を受けていた場合は新型コロナによる死亡リスクが64%に高まることがわかりました。

新型コロナの影響により、手術が減り、化学療法もリスクがあるとなると、治療への影響が全くないとは言い切れません。

がん治療は、就労と両立のためにも放射線治療が有効

放射線治療は、手術と違いほとんどが通院で治療が行えます(統計では7割)。1回の照射時間も短く痛みもありません。手術のように手術室で密になることもありません。

そして多くのがんは、放射線治療で治すことができます。胃がん、大腸がん、膀胱がんなどは内視鏡手術が向いていますが、それ以外のがんでは、放射線治療も手術も基本的にはほぼ同じような有効性があります。

日本ではがん治療は“切る”ことと思われています。多くの人は放射線治療は、がんを抑え込むもの、進行を遅らせるものと思っていますが、実際は手術と同じようにがんを消すことができます。10年後の生存率は手術と同じです。実際に肺がん、前立腺がん、乳がん、頭頸部がん、食道がん、子宮頸がんなど、さまざまながんや転移性脳腫瘍などで放射線治療が行われています。また、進行したがんの場合でも、痛みや出血などがんに伴う症状の緩和にも大きな役割を果たし、患者さんの生活レベルを維持する上で非常に効果的です。しかし、日本でのがん治療における放射線治療(併用を含む)の割合は3割程度で、欧米諸国と比べると約半分しかありません。

放射線治療は、切らないので体にやさしい治療といえます。また、放射線治療の99%は保険がきくので治療費が安く、通院で行えるので体への負担が少ない治療でもあります。副作用を心配される方もいますが、照射技術は近年急速に進歩しており、照射回数が減り、病巣をピンポイントで狙い撃ちできるようになり、正常な組織を守りながら治療を行え、副作用も昔よりかなり少なくなっています。

体に負担の少ない放射線治療は、通院で行えることも含めて仕事や生活に及ぶ影響が少なく、治療と仕事の両立にはうってつけの治療方法といえます。

このようなことが世間にはあまり知られていませんので、がん治療には手術だけではなく放射線治療の選択肢もあるということを、知っていただきたいと思います。

講演の様子

講演の様子はこちらから視聴いただけます。

https://youtu.be/90MCkR_Xlzs

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