がんの就労支援"は、切り離して行うのではなく、全体の取組みの一部に組み込んで
就労支援は、検診への取組みから始まっています。胃がん・肺がん・大腸がんは会社指定項目として検診を促進し、未受診の場合は理由を聞いてフォローします。かかりつけ医で胃カメラを受けた場合などは、検診結果として代用する仕組みも作りました。乳がん・子宮頸がんや前立腺がん検診に関しては、対象年齢の方がオプションで受診された場合は会社が費用を負担しています。そうすることで受診率が向上し早期発見が可能となり、それが結果として、がんと診断された場合でも、就労継続や早期の職場復帰につながっているのではないかと思います。
精密検査が必要な社員に対しては、①個別に勧奨⇒②その際、精密検査の結果を報告してほしい旨の書類を同封し、社員の状況を把握⇒③がんの診断を受けた場合、本人を通じて主治医から情報収集(同社オリジナルの「医療情報提供書」を活用し、場合によっては本人と主治医との面談に同席)⇒④本人と1対1で面談し方向性を決定、というステップを踏んでいきます。
一般的に、がんと診断されたことを会社に伝えるのをためらう場合が多いと聞きますが、アシックスでは、私たち保健師が年に1回、全社員と面談し日頃から関係性を築いているためか、その辺りの情報共有はスムーズに行われていると思っています。その意味では、就労支援は、社員への健康教育や社員との関係づくりから始まっていると言ってもいいかもしれません。
また、“がん”だけを特別に支援しているわけではありません。アシックスでは、個々人の状況に応じて「勤務時間の変更、勤務日・勤務日数の変更」「業務内容や職種、勤務地の変更」「仮出勤・仮出社」などが適用されます。これらの制度や体制は私たち2人が配属されたときには既に整っていましたが、当初から、がんを含む全ての病気を想定してスタートしています。