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2021/2/26
2021年2月26日 全国3ブロックセミナーを福岡で開催しました

令和2年度のがん対策推進企業アクション「職域におけるがん対策の最新情報」の福岡セミナーを福岡県福岡市のアクロス福岡にて、会場とオンラインによる同時配信にて開催しました。

当日は、がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長の中川恵一先生、産業医の吉積宏治先生、がんサバイバーの認定講師和田智子さんの講演、そして登壇者と地元企業代表によるパネルディスカッションを行いました。

■プログラム

がん対策推進企業アクション事業説明

がん対策推進企業アクション事務局

講演① 「コロナ禍におけるがん対策のあり方」

中川恵一先生(がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長/東京大学医学部附属病院 放射線科准教授)

講演② 「職場におけるがん対策の取り組み」

吉積宏治先生(産業医/株式会社吉積労働衛生コンサルタント事務所)

講演③ 「3つのがん体験とコロナ禍の私のがん検診」

和田智子さん(がんサバイバー/がん対策推進企業アクション認定講師)

パネルディスカッション(意見交換)

中川恵一先生、吉積宏治先生、和田智子さん、伊藤一哉氏(一般社団法人ルートプラス 代表理事)

質疑応答

がん対策推進企業アクション事業説明
がん対策推進企業アクション事務局 事務局長 大石健司

講演の様子

がん対策推進企業アクションの推進パートナー数は、2月10日現在で3516社・団体、従業員総数は約790万人と日本の総就業人口の10%を超え、さらなる事業発展を目指し、企業のがん対策を支援するとともに未来のそして日本のがん対策の重要な一翼を担っていきたいと思います。

2020年度は新たに4つの取り組みをスタート

・YouTubeの動画配信

・優良企業表彰制度の新設

・女性会議「Working RIBBON」の発足

・e-learning「がん予防と両立支援」のリリース

日本では現在年間約100万人ががんに罹患し、その3分の1が働く世代で、会社員の死因の約半数ががんです。企業のがん対策は待ったなしの状況といえます。

企業ができるがん対策は、主に3つ

①がん検診受診率のアップ

②がんについて会社全体で学び、正しく知る

③がんになっても働き続けられる環境を作る

今後、女性のさらなる社会進出、定年の延長による就労者の高齢化などから従業員のがん罹患問題はより深刻になっていきます。

がん対策推進企業アクションは、このような問題から従業員を守ることを念頭に活動を強化しています。

企業・団体におかれては、小冊子、セミナー、専門医やがんサバイバーによる出張講座、コンソーシアム活動など、さまざまなコンテンツを有効活用していただき、対策を進めていただければと思います。

講演① 「コロナ禍におけるがん対策のあり方」
中川恵一先生(がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長/東京大学医学部附属病院放射線科准教授)

講演の様子

日本人は「がん」のことをあまり知りません。

働く人の病死の原因の9割ががんというデータがあります。がんは高齢者の病気だと思われている方も多いですが、20〜30代の若い世代では女性の方が、がん罹患者は多くなっています。一生のうちで男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになるデータからも、働く女性が増え、定年の延長などで長く働くようになると必然的に社員のがんは増えていきます。

がんの特徴は、症状を出しにくい病気だということです。痛みなどの症状が現れるのは末期になってからで、その時点で発見しても手遅れということになってしまいます。症状の出ない早期にいかに発見するかが大切で、そのために最も有効なのががん検診です。どんなに体調がよくてもがん検診は必ず受診しなければなりません。また、乳がんなどは自分で乳房を触ってチェックすることができますので、セルフチェックも重要です。

最近のコロナ禍において問題となっているのが、がん検診受診率の低下です。

新型コロナで亡くなった方は2021年2月13日時点(NHK調べ)で累計約7000名。一方、がんで亡くなる方は1年間で約38万人と新型コロナの55倍以上となっています。新型コロナは大変怖い病気ですが、がんも大変怖い病気なのです。そして、新型コロナはワクチンなどの普及により徐々に鎮静化していくでしょうが、がんは人口の高年齢化が進む日本では今後も増え続けていくことが予想されます。

コロナ禍のがん対策には3つの問題点があります。

①在宅勤務による生活習慣の悪化

②がんの早期発見の遅れ

③がん治療への影響

①の中でも「座りすぎ」は大きな問題で、アメリカの研究(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)によると座りすぎは、がんのリスクを1.8倍に高めることがわかりました。糖尿病は1.2倍、喫煙は1.6倍のリスク、座りすぎの影響は非常に大きいのです。また巣ごもりによる飲酒も増えています。1日3合以上の飲酒は、がんになるリスクを1.6倍に増やします。

日本人は平均7時間座るといわれており、世界で最も長く座る国です。座りすぎによる健康リスクを軽減するためには1日60分以上の運動が必要ですが、そうもいきません。座っている時間の中でできることは「30分ごとに立つ」あるいは「貧乏ゆすり」です。特に貧乏ゆすりは、在宅であれば他の人に迷惑をかけることもないので簡単にできて健康リスクを減らせる有効な手段だと思います。

②では、コロナ禍でがん検診が止まったり、受診することを躊躇したりして受診率が減っており、通年では3割ほど減少するのではないかと言われています。早期がんは1年で進行がんになってしまいますので、がん検診は毎年受診しなければなりません。がん検診は決して不要不急ではありません。

医療機関はきちんと感染症対策が取られていますので、必ずがん検診を受診して欲しいと思います。

③も同様に、新型コロナを恐れてがん治療を自粛してしまい、がんが進行して治療が難しくなったり、治療できたとしても再発リスクが高まってしまう例が見られます。

例えば放射線治療などは、手術と比べて感染リスクは低いので、治療の選択肢に入れることも必要です。

新型コロナを軽視してはいけませんが、がんは新型コロナと同等以上に大事な問題ですので、きちんとがん対策をとっていただきたいと思います。 

講演② 「職場におけるがん対策の取り組み」
吉積宏治先生(産業医/株式会社吉積労働衛生コンサルタント事務所)

講演の様子

産業医の立場からがんになった方を支援する上で、考えて欲しいことをお話しします。

日本人の平均寿命は男性で79歳、女性で86歳(2011年 厚生労働省調べ)。現在65歳の女性は2人に1人は90歳まで生きると言われており、100歳以上の人口は30年前と比べて約50倍。強烈な高齢者社会になっています。

2040年には職場の35.5%は65歳以上にとなるとも言われています。現在でもすでに高齢者がメインとなって働かれている職場もあるでしょう。

がんの側面から見ると、65歳までにがんに罹患する確率は15%、生涯では2人に1人はがんになります。

高齢化、少子化、人口減少による労働力不足。人口の約4割が65歳以上になるとなれば、働く高齢者は増えていき、がんになった人がいる職場は“あたりまえ”になります。

「がん=死」というイメージは昔のもので、今はがんになっても治療しながら働く時代です。

そのために企業がやっておかなければならないことは

・「がんになっても働き続けることができる」という明確なメッセージを企業トップが発すること

・がんになった時に安心して相談できる「相談窓口」の設置

・時間単位で使える有給休暇や、傷病休暇・病気休暇などの休暇制度の導入

・短時間勤務や試し出勤などが使える復職制度の導入

・時差出勤やテレワークなどの柔軟な勤務体制の整備

・産業医や産業保健スタッフによる定期的なフォローアップ体制の整備

です。

がんは個別性の高い病気ですので、個人にあった働き方の設計が必要で、要望を聞き、受け入れ、提案から改善につなげていき、治療と仕事の両立があたりまえとなる環境や雰囲気づくりを行いましょう。

また、女性のがんは若年層が多く罹患しますから、働く女性のがんが増えています。女性のがん検診を健康診断に取り入れるなど、しっかりとした対策が必要です。

これからは、がんになってからのフォローだけでなく、がんにならないための支援も必要です。禁煙や節度ある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動の推奨など、従業員のがん罹患リスクを減らすために企業として取り組むことが大切です。

がんに関する正しい知識の共有、予防のための生活習慣の確立支援、がん検診の推奨、安心して治療に専念できる体制、通院しやすい制度、産業医・保健師などのスタッフとの連携と相談しやすい職場環境・雰囲気の醸成を目指していただきたいと思います。

講演③ 「3つのがん体験とコロナ禍の私のがん検診」
和田智子さん(がんサバイバー/がん対策推進企業アクション認定講師)

講演の様子

私は毎年会社の健康診断を受けていますが、2008年に子宮頸がん検診で中等度異形成が認められ、2010年に高度異形成、2011年に要精密検査から円錐切除術(検査切除)で上皮内がんが判明。ステージ0でしたので、検査切除だけで治療は終了、抗がん剤治療も放射線治療も行わないですみました。

この時に早期発見の重要性を感じました。しかし、検査切除の2泊3日の入院と出血が止まるまでの1か月間は有給休暇を使用して仕事を休みましたので、いかに早期発見といえどもまったく仕事に影響がなかったわけではありません。

また、2006年には長女が小児がんになり、当時は専業主婦だったため入院治療を行った1年半の間、小児病棟に泊まって看病を行いました。

さらに、2011年には夫の肝臓がんが判明し、1年ほどの闘病生活の後、亡くなりました。

夫の場合は、会社の健康診断で二次検査が必要とされていたのに、精密検査を受診しなかったため早期発見できなかったのです。

がん検診受診はもちろんですが、二次検診がいかに大切かということを思い知りました。

幸いにも夫の会社は治療に関して理解があり、休職という形で治療に専念することができ、私の会社も介護休暇を使用した看病を認めていただきました。

この時に感じたのは、このような治療に使える制度のありがたさとともに、夫と私の会社の上司や同僚の理解と暖かい支援があってこそ、制度が活かされ治療に専念できたということです。

このような経験から私が感じたことは、がんの正しい知識の重要性、がん体験者の体験談が役立つこと、インフォームドコンセントやセカンドオピニオンの重要性と自らの治療の選択が納得した治療につながるということです。

がん検診は、自分のためだけではなく、家族や社会のためにも必ず受診することが大切です。

平均寿命は伸びており、医療費は年々増加しています。今健康であってもがん検診を受診することで、早期にがんを発見し、早期治療することが自分のためにも社会のためにもなるのです。

長女のがん治療の時には、輸血のお世話になりました。がん治療においても献血という制度のありがたさを非常に感じました。

現在はコロナ禍で大変ですが、がん検診はしっかり受診していただきたいです。

私は会社のがん検診に肝臓がん検診や卵巣がん検診など、オプションで選べるものはすべて付けて受診し、乳がん検診はマンモグラフィーと超音波検査を1年交代で受けています。

痛みのある検診もありますが、将来には身体と心に負担のない検診ができることを期待しています。

ぜひ、みなさんもがん検診を受診してください。

パネルディスカッション(意見交換)

講演の様子

中川恵一先生、吉積宏治先生、和田智子さん、伊藤一哉氏(一般社団法人ルートプラス 代表理事)

パネルディスカッションに先立ち、地元で子供たちの運動教室などの総合地域型スポーツクラブを営むルートプラスの伊藤一哉氏より、健康経営のあり方、喫煙率0%の実績、運動機会の提供、全額会社負担でのがん検診受診、正しい食生活の推奨などのがん対策を発表されました。

講演の様子

パネルディスカッションは、中川先生を進行役に進められ、がん検診は、きちんとしたエビデンスのある住民検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)を基本として受診するべきであること。

企業で行うがん検診は、限られた原資の中でコストベネフィットのある検診を選ぶべきで、個人でオプションをつける時、例えば喫煙者の場合は喀痰細胞診をチョイスするなど自分に合った検診を選ぶと良く、メリハリをつけることが有効であること。

企業としてがん検診を受けやすい環境づくり、検診受診しただけで満足せず、検診後の二次検診(精密検査)のフォローアップが必要なことなど、登壇者による熱心な意見が交わされました。

質疑応答では、会場やオンラインで寄せられた質問に中川先生や吉積先生、伊藤氏が答えました。

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