2020/07/15
2020年7月15日 中川先生がラジオで在宅勤務の危険性を提唱
7月15日、がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長で東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏が、Nらじ「ニュースアップ」のコーナーに出演されました。
【在宅勤務 座りすぎに注意】
「日本人の座っている時間の長さはトップクラス」
コロナ禍で導入された在宅勤務には、時間の有効活用や通勤の満員電車によるストレス軽減など良い面がある一方、がんを含めた病気のリスクが上がる可能性があります。
アメリカの調査では、1日6時間座って過ごす女性は、座る時間が3時間未満の女性に比べてがんの発症が多いことがわかりました。死亡リスクについては、肥満や喫煙など他の要因を考慮しても、1日6時間座って過ごす人は3時間未満の人に比べ、女性で34%、男性で17%高いことがわかっています。
なぜ座りすぎると死亡リスクが高まるのか、詳しいメカニズムはまだわかっていませんが、長時間座り続けることで血流が悪化、筋肉の代謝の低下、その他ホルモンバランスの変化など、複数の要因が関係しているといわれています。
このことは日本ではあまり知られていませんが、欧米ではかなり前から問題視されており、アメリカではスタンディングデスク、立ったまま仕事することは一般的になっています。WHOによると、喫煙が原因で年間500万人以上、飲酒は300万人以上の死因とされていますが、座りすぎによる死亡は200万人と、それらに次ぐ大きな健康リスクといえます。
ただでさえ日本人は座っている時間が長く、2012年のオーストラリアの調査では、平日に座っている時間は調査対象20か国の中で最長の1日7時間でした。さらに、コロナ後のアンケートでは在宅勤務をしている人の8割近くが座っている時間が増えたと答えています。
「おすすめは貧乏ゆすり」
座りすぎで病気のリスクが高まることは間違いありません。仕事の合間に立つ、動くことを意識することが大事です。30分に1回は立ち上がり、トイレに行く、飲み物を取りに行く。こまめに席を立つことが難しい場合は、軽いストレッチやふくらはぎを軽くもんだり、足の指でグーパーを作るような動き。おすすめは「貧乏ゆすり」です。テレワーク中であれば人の目も気にせず遠慮なくできます。「健康ゆすり」と名前を変えて欲しいぐらいです。
また、座りすぎと運動不足は別問題のようで、週末にジムに行けばいいというわけではなさそうです。運動不足とは独立して、座りすぎと健康リスクには相関関係があるようです。
在宅勤務が新しい日常として定着しつつありますが、長時間座り続けて仕事をしない工夫をして、意識して立ち上がり、動くということを新しい習慣にしていただきたいです。
▲中川恵一先生