2020/02/07
2020年2月7日 日本商工会議所で中川恵一氏が、がんになる前にがんのことを知っておくことが大切だと「がん対策推進企業アクション」を紹介
日本商工会議所で2月7日に開催された「健康経営担当者情報交換会」において、がん対策推進企業アクションの議長を務める中川恵一氏が、「大人のがん教育」には、会社の協力が必要、そのために役立つのが「がん対策推進企業アクション」だと紹介。がんのことを学ぶとともに、がんによる不幸を減らしていただきたいと講演しました。
【講演内容】
がんはちょっとした知識の有無で、運命がかわってしまう病気です。本来はきちんと知っておくべきなのに、日本人はがんのことを今まで習って来ませんでした。
今、学校ではがん教育が始まっています。学習指導要領の中にも、中学・高校では必ずがんの教育をすることが定められています。これから大人になる子供たちは、がんについて学んで成長します。
すでに大人になっている私たちは、学校で学ぶことはもうできません。がんに直面する大人ががんを知る機会は、おそらく職場しかないと思います。
ぜひ、がん対策推進企業アクションのパートナーに加入していただき、会社のがん対策に役立てていただければと思います。加入は無料で、デメリットはありません。
例えば、がんについて最低限知っておきたいことが、わかりやすく紹介されている「がん検診のススメ」の小冊子は、従業員全員に無料で配られます(従業員数に応じて上限あり)。これを読んでおくだけで、がんで死亡するリスクはとても減ります。
働く者にとってがんはとても大きな存在です。
現在の日本では毎年約101万人が新たにがんになり、約38万人ががんで亡くなっています。がんの死亡者数は年々増え、その3分の1は15〜64歳の働く世代です。つまり、働くがん患者が毎年33万人くらい増えているということです。
先進国の中で、がんによる死亡が増え続けているのは日本しかありません。10万人あたりのがんの死亡数は、2014年でアメリカと比較して1.6倍、最近では約2倍になっていると思われます。大腸がんの死亡者数では、アメリカ全体より日本の方が多くなっています。人口比を考えるとこれは大変なことです。
これらの原因は、日本人ががんや健康に対する意識・知識が低いことにあります。がんになる前にがんのことを知っておくことが大切です。
住民検診の子宮頸がん検診は、20歳から受診できますが、実際に受けている人は少ないのも問題です。がん検診は、大企業であれば検診バスなどが来て検診ができますが、中小企業ではそうもいかない。
ぜひ、住民検診を従業員に受けてもらい、できればその検診は就業時間に認めてあげる、かかった費用は会社が負担するなどの施策をとっていただきたいと思います。そうすれば大企業がやっている制度と同等以上の効果が期待できます。
がん対策推進企業アクションは、厚生労働省の事業で今年11年目を迎えます。
現在約3300社のパートナー企業・団体が加入しており、日本の働く人全体の11%の約780万人の従業員が参加しています。
がん検診受診率のアップやがんの最新情報、がん治療と仕事の両立、職域のがんの相談、講師を招いての講座開催、ポスターやチラシの配布など、さまざまな情報やメリットが得られます。
この機会にぜひ、がん対策推進企業アクションにご参加いただき、がんのことを学ぶとともに、がんによる不幸を減らしていただければと思います。