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イベントレポート

2020/02/05
2020年2月5日 経団連で中川恵一氏が「企業におけるがん対策の重要性」を講演

2月5日に開催された、日本経済団体連合会の常任理事会にて、がん対策推進企業アクションの議長でもある中川恵一氏が、「企業におけるがん対策の重要性」をテーマにした講演を行いました。

講演の様子

【講演内容】

日本あるいは日本の職場で、がんは大変大きな問題になっています。そして、これからさらに大きくなっていくでしょう。

実は、このような話をしている私自身もがんになりました。膀胱がんです。

本当にびっくりしました。ショックでした。男性の3人に2人ががんになると講演しながら、自分ががんになるとは露ほども思っていませんでした。

12月28日に入院、経尿道的内視鏡での検査切除、その検査により悪性ではなかったため12月31日に退院しました。私の場合は3泊4日の入院で済み、1月4日からは通常勤務に戻りました。

私の例を見てもらえればわかるように、“治療と仕事の両立”で最も大切なことは「早期発見」です。例えがんになってしまったとしても、早期に見つけることができれば、治療期間が短い、治療費が安い、体への負担が少ない、入院しなくて済むこともある(外来治療)などのメリットが多く、仕事への復帰や両立がとてもしやすくなります。

講演の様子

働く人にとってがんは大きな問題です。

がんは全世代では男性の方が多いですが、働く世代に限ると女性の方が多くなります。なぜなら、乳がんのピークは40代後半、そして少子化の影響もあり乳がんは増え続けています。乳がんの大きな原因要素は女性ホルモンであり、妊娠・出産・授乳期には生理が止まって女性ホルモンが減りますが、少子化になると女性ホルモンに晒される期間が長くなるからです。また、子宮頸がんは30代前半が最も多くなっています。

多くの女性が社会進出するということは、会社で若いがん患者が増えるということです。

日本の就労人口に占める65歳以上の割合は13%です。

高齢者が働く率が高い理由は、日本は欧米諸国に比べて移民の数が少なく、若い働き手がいないからです。定年が延長されて高齢になってからも働くことで、さらに会社でのがん患者は増えていきます。

がん患者も働きたいと思っています。

現代は晩婚化、晩産化により子供を持つ年齢が上がり、親ががんになった時の子供の年齢は昔よりも若く、教育費などのために働かざるを得ない事情もあります。アンケートでは92.5%のがん患者が働きたいと答えています。一方、がん患者が就労を続けている率は48%で、30%もの方が退職されています。

このような問題に対し、国でも働き方改革実現会議などで病気の治療と仕事の両立について話し合われてきました。がん対策基本法も整備され、2016年には「企業でがん対策を行うことは、事業主の責務」として定められました。

企業側でも積極的にがん対策に取り組まなければなりません。

日本は世界一のがん大国です。なぜなら、世界一の高齢化社会だからです。しかし、がんの対策については非常に遅れています。

現在の日本では毎年約101万人ががんになり、約38万人ががんで亡くなっています。がんの死亡者数は年々増えており、その3分の1は15〜64歳の働く世代のがん患者です。

欧米ではがんの死亡者数は減っています。先進国の中で、がんによる死亡が増え続けているのは日本しかありません。大腸がんの死亡者数では、アメリカ全体より日本の方が多くなっています。人口比を考えるとこれは大変なことです。

これらの原因は、日本人ががんや健康に対する意識・知識が低いことにあります。

日本人はがんのことを知りません。

がんに関する世論調査でも、がんにならないように気をつけていることの1位が「コゲた部分を食べない」というものでした。コゲを食べるとがんになるなどと誰に習ったのでしょうか。全く根拠がありません。

これは日本人のヘルスリテラシー(健康に対する意識)が低いことが要因の1つとなっています。国別のヘルスリテラシーの平均点調査では、調査対象国15国の中で、インドネシアやベトナムよりも低く、ダントツの最下位です。

ヘルスリテラシーの低さの原因は、学校で習ってこなかったことが大きいと思われます。今では中学校・高校の学習指導要領に、がん教育が明記されました。教科書にも次の改定でがんの項目が入ります。今の子供たちはがんのことを習って大人になります。問題なのは、がんについて習ってこなかった私たち大人です。大人のがん教育が大切になります。

がんについて最低限知っておくべきことは、それほど難しいことではありません。がんを経験した私が、がんから身を守るために知ってほしいことをまとめました。

講演の様子

生活習慣に気をつけながらも、定期的にがん検診を受けて早期発見に努めること。そして、治療法は手術以外にもあるということを知っておくことです。

がんの治療については、手術と放射線治療と抗がん剤治療の3種類があり、その中で日本では手術が最も多く選ばれています。しかし、欧米では放射線治療が多く選ばれています。放射線治療には、切らないので体にやさしい、治療費が安い、通院で治療ができるなどのメリットがあります。入院せずに会社に通いながらの治療もできますから、治療と仕事との両立もしやすくなります。

がんには手術と決め付けず、がんになる前に正しい知識を得て、最も納得できる治療法を選ぶことが大切です。

「大人のがん教育」は、子供に対する学校のように、ある程度従業員に強制力を持つ会社が積極的に関わることが一番です。がん対策推進企業アクションでは様々な支援や情報を得ることができ、すでに推進パートナーは3200社を超え、参加従業員は約780万人、全国の働く人の約11%が参加している中で、経団連の企業さまの参加率は、現在22%で321社です。

この機会にぜひ、がん対策推進企業アクションにご参加いただければと思います。

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