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イベントレポート

2019/11/11
各地のセミナーにおけるアンケートでの質問に対する回答

過去に開催致しました「がん対策推進企業アクション」の各セミナーにおけるアンケートにてみなさまから頂戴致しましたご質問(がん検診・就労に関することなど)に回答をさせていただいております。

回答一覧

個別編【検診について】
個別編【就労について】
個別編【その他】
総括編【予防・検診について】
総括編【治療内容について】
総括編【その他】

個別編【検診について】

Qがんの集団検診の有効性について教えて下さい。
例えば、がん患者の内、集団検診から見つかった率等があれば教えて下さい。
がん対策の目指すところは、がんの罹(り)患率・死亡率を減少させ、国民の疾病負担を軽減することです。このために、予防・診断・治療などの対策がとられ、その中でも、がん検診は確実な効果が得られています。がん検診では「がん検診アセスメント」「がん検診マネジメント」「受診率対策」が重要で、このうち1つでも欠けると、目標到達が難しくなります。
がんが発見される率ですが、平成27年度のがん検診の実績として、がん発見率は胃がん0.12%、大腸がん0.22%、肺がん0.05%、乳がん0.33%、子宮頸がん0.04%となっています。
がん患者のうち集団検診から見つかった割合に関しては、2007年地域がん登録のデータから、検診等由来(がん検診・健診・人間ドック)で見つかったのは、胃がん24.2%、大腸癌20.7%、肺がん21.5%、乳がん23.4%、子宮頸がん35.3%との報告があります。
Q女性社員(や被扶養者)のがん検診受診率向上策で良い事例を他団体の方の例でお聞きしたいです。現状は健診のネットワークの枠組の中で受けてもらっています。特に健保組合から受診勧奨は積極的にいってきませんでした(ホームページのお知らせに掲載する程度。受診率は不明)。
女性社員への受診勧奨では、2015年がん対策企業アクション厚労大臣賞を受賞した株式会社ワコールの取り組みが参考になります。事業所に検診車を呼び、就業時間中に受診できることにして、乳がん検診は81%、子宮頸がん検診も65%の受診率を達成しました。被扶養者のがん検診受診率向上については、同表彰企業の株式会社古川は、検診費用を会社負担にすることで受診勧奨をすすめ、被扶養者の検診受診率も66%以上にしました。
Q胃・大腸・肺・乳房・膣(女性)以外の胆のう、肝臓、がん等の発生件数が半数を占めだしました。すべてに「早期発見」対応がコスト面で困難なので、「親」「親族」等にがん患者がいないかアンケートし、体質改善の予防施策(禁煙、食事等)にも推進を検討していますがこの様な体質調査を健保組合として可能な方法はあるでしょうか。
個々人のリスクを考慮して(例えば喫煙歴、体格など)、体質改善の予防政策を推進することはメリットがあるかと思います。しかし家族歴に応じて体質改善をはかるというのは難しいかもしれません。リスクに応じて、特定のがん検診を追加することはメリットがあるかもしれませんが、その判断にはかなり専門的な知識が必要になります。また家族歴は大切な個人情報ですので、プライバシーにはくれぐれもご配慮をお願いいたします。
Q事業所で行うがん検診は現状どうなっているのでしょうか。たとえば具体的な対象年齢と検査項目、腫瘍マーカー検査は有効か否か教えてください。
事業所で行うがん検診も、内容、対象に関して、対策型検診に合わせていただくことが大切です。
Q個々人、毎々について必要と思われる健診項目を選択し、画一的な健診からの脱却を図ることは医療機関側から見て可能なものでしょうか。
将来は、遺伝子検査なども広く実施され、オーダーメイドの検診を行う可能性がありますが、現在はまだ医療機関の対応も困難であると思われます。今はまず、対策型検診で行われている肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診と、要精密検査の場合の検診受診率を上げていくことが大切です。
個々人のリスクを考慮して(例えば家族歴や輸血歴など)、リスクの高いがんの検診を追加して行うことはメリットがあるかもしれませんが、その判断も容易ではありません。
Qがん検診は人間ドックの中で希望者が行っているかんじですが、法定項目ではないので結果の把握ができておらず罹患して診断書が出てきて初めて把握しているのが現状です。会社としては人間ドック受診勧奨、がん予防のための生活習慣の啓蒙、この2点に重点をおけばよいでしょうか。
人間ドック受診勧奨、生活習慣の啓発のためにも、がんに関する社員勉強会をお勧めします。また、推奨されているがん検診の重要性を伝え、健診のオプションではなく基本項目として受診するようにしてください。さらに、精密検査の受診勧奨を積極的に行う、がんになっても働ける職場とするよう就業規則などを作りかえていくなど、全社で包括的ながん対策を行ってはどうでしょうか。
Q仕事を優先し、健康管理を後回しにしそうな社員へのアプローチについて、効果的な方法がございましたらお教えください。
男性にがんの罹患が増えるのは50代以降ですので、なかなか自分事にはなりません。ただ、がんに罹患すると、①高額療養費制度を利用しても多額の自己負担金がかかることがあること②十分に働けないことにより収入が減ること③死亡した場合に家族に支払われる遺族年金額は多くはないこと、などを伝えると、自分事に近づきます。社内で「お金」をテーマとした社員向けの勉強会を開催する、検診受診を査定評価に入れるなどの方法も有効です。
Q医師から大腸がんの早期発見には、採血の腫瘍マーカーを実施することが望ましいとお話を伺いました。便検査の潜血反応のほとんどが痔であること、潜血反応しない場合でも大腸がんの場合もあるとのことでした。今後健診項目として検討したいと考えています。ご意見いただけたら幸いです。
腫瘍マーカーは薦めません。大腸がんの腫瘍マーカーとして代表的はCEAの検診での利用は、世界的なガイドラインでも推奨されていません。
偽陽性(例:便検査の潜血反応の原因が痔であること)や、偽陰性(例:潜血反応しない大腸がん)は、腫瘍マーカー含めいずれの検査にも付き物です。それを含め現在までの臨床試験で有効性が証明されているものが便潜血検査になります。
Qがん検診受診率の把握について。特定健診は健診機関よりXMLデータでほぼ入手できていますが、がん検診項目をXMLデータでもらうことが少ないです。健診結果に基づき、入力管理しているが受診者以外は健診結果を渡さない健診機関もあり苦慮しています。
がん検診の結果については、健保組合の事業として実施する生活習慣病健診等の一部として行っている場合、受診者から事前に同意を得ることで健診機関から取得することも可能かと思います。オプショナル検診として本人負担で実施している場合と事業主独自で実施している場合には、健診機関から直接結果を受領することは難しいと思われます。がん検診受診者に事前に結果の受領について周知し、理解を得たうえで、本人から結果を提出してもらうようにするなどの工夫が必要になります。
Qがん検診結果に基づく受診勧奨について教えてください。具体的にはピロリ菌保有検査の陽性者に医療従事者でない健保職員が除菌指導等を行うことができるのでしょうか。
除菌は医療機関で行うため、医療機関を被保険者にご紹介ください。
Qがんの予防の為のcheckは年に1度のcheckだけで充分でしょうか。
死亡率減少を目的とするがんの早期発見のための検診は、肺がん・胃がん・大腸がんは1年に一回、乳がん・子宮頸がんは2年に一回でよいとのエビデンスがあります。
Q社会保険の人も住民検診を受けられますか。
原則として、全ての人が住民検診を受診する事が出来ます。但し、自治体によって異なる場合もありますので詳しくはお住いの自治体へお問合せ下さい。

個別編【就労について】

Qがんと仕事の両立はできるのでしょうか。
もちろんです。治療と仕事への配慮を行うことで、がんと仕事の両立は可能です。
Qがん再発や転移の場合の傷病手当金の問題。同一傷病の判定と社会的治癒の考え方について教えてください。
傷病手当金の支給期間は1年6ケ月で、それ以降は同一の傷病やそれが原因で発症した傷病については支給されないことになっています。ただし前の傷病が完治してその後に再発した場合は、改めて傷病手当金が支給されます。厚生労働省の通達では、社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなり、社会的に復帰している状態を言います。薬治下又は療養所内にいるときは、一般社会における労働に従事している場合でも社会的治癒とは認められないとされています。よって再発や転移による傷病手当金の再受給は、再発や転移までの期間やその間の医療状況、就労状態等を総合的に考慮して判断されることになります。
Q抗がん剤や放射線の治療を受けながら勤務している方は多くいらっしゃいます。副作用や副反応等で体調が悪く、遅刻したり、早退したり、突然休んだりすることが多くみられます。辛そうですし、とても仕事をできる状態ではなく、周囲の負担も増えています。ある程度状態が安定するまで休むように勧めますが、主治医は休まず出社することを強く勧めてきて、休職せず、辛いまま出社したりしなかったりです。この場合どうすればよいのでしょう。休職中も賃金は保障されています。
主治医は毎日の出社を勧めておられるとのことですが、同僚の方々から見て就労がつらい状況で、本人も突然休むことが多いようなら、フルタイムでの継続は避けたほうがよいと考えます。本人、上司、産業医、人事担当者が集まって、休職中の賃金保障、治療の副作用が落ち着いてからの復職条件などの説明をし、無理をしないで就労を継続する方法を話し合うことをおすすめいたします。産業医が、主治医と連携し就労継続方法について話し合う機会を作ることも、本人が安心して治療に取り組むためにも必要かもしれません。
Q病気の状況や治療について上司がどこまで知っておくべきでしょうか。また社内の配慮をどのくらいすべきでしょうか。また社内共有の内容や範囲は?治療中、治療後の時短などの措置の目安は?
2019年4月に事業者に義務付けられた健康情報取扱規程では、産業医や労働者本人の所属長などが健康情報を取扱い、それ以外に本人の同意を得ずに健康情報を提供することはできないとしています。健康情報には様々な内容が含まれますが、勤務の内容や勤務時間を決める上で必要な情報は知っておくべきでしょう。それ以上のことに関しては、本人と相談して決めていくと良いかと思います。
一般に時短の目安は3ヶ月以内ですが、社員の体調や職場の環境によっても決められますので、主治医や産業医、産業保健スタッフなどと相談してください。
Qがんの家族をもつ者への休暇制度や時短措置などを会社の規則に盛り込むには?(介護休暇や介護休業は該当しないので)両立できない、しにくい仕事の業態や種類は?
従業員へのがん就労支援策を実施するには、就業規則に規定を追加する必要があります。就業規則は会社に作成義務がありますので、まずは会社ががん就労支援の重要性、必要性等を十分理解し、その上で従業員とよく話し合い、会社に導入できる支援規定の追加を行ってください。
両立が難しい仕事の業態や種類については、一概に言えませんが、建設業や運送業等は、両立が難しい職種ではないでしょうか。
Qがんの社員が働き続けられるような支援や体制を整えたいと思っていますが、がんの社員ばかりを対象にすると、他の病気の社員や、その他で何か困ったことのある社員が不公平感を持つこともあります。がんの社員が治療しながら、他の職場の人達とうまくやっていくコツや、制度面でどの様な点に注意すればいいかお聞かせ下さい。
がんの治療と仕事の両立を考えた制度や体制は、他の病気の場合にも役立つと考えます。がんを含む全ての疾患の労働者を対象とした制度や体制づくりの際には、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」等をご参照ください。
Q女性社員の婦人科がん検診率を上げるには、会社敷地内でのバス健診が有効であると考えますが事業者の理解と協力が必須です。事業者への働きかけを考える中で、効果的な文言、ツール、エビデンスなど教えていただけるとありがたいです。
女性社員への受診勧奨では、2015年がん対策企業アクション厚労大臣賞を受賞した株式会社ワコールの取り組みが参考になります。事業所に検診車を呼び、就業時間中に受診できることにして、乳がん検診は81%、子宮頸がん検診は65%に、受診率を上げられました。また、ポーラ・オルビスグループ健康保険組合では、ネットワーク健診という仕組みを利用し、全国1,000か所を越える医療機関と提携をして、自分の都合に合わせて健診を受けられるシステムに変更しました。また定期健診の中に乳がん・子宮頸がん検診を組み込んだことで、受診率が向上しています。
Q女性本人の受診勧奨として「婦人科がん検診、すべて女性スタッフ、医師が担当します」と言えたらとても強力なインセンティブになると考えるが、以前健診機関に聞いたところ「女性医師はほぼ不可能」との回答。婦人科検診を担当できる女性医師は本当にそれほど少ないのでしょうか。実情を教えていただきたいです。
現在、産婦人科に進む女性医師は、非常に多くなっております。ただ、検診を専門にする女性医師の実態は解りません。おそらく実数の把握は困難だと思います。可能であるならば、検診センターを選択する場合に、事前調査をして依頼することが望ましいと思います。
Q病気の症状による可能業務の判定について教えてください。
就労可能な業務の判定は、産業医が主治医から症状や治療計画などの情報を十分に得たうえで、本人と職場の上司とともに話し合って決定されます。体調も仕事も百人百様であり、個人に寄り添った対応が必要です。
Qプライバシーの問題もあり、周囲の社員にどの様な形で協力態勢を作ったら良いのか教えてください。
患者である社員本人の意向を優先し、本人が周囲に病名を伝えたくない場合には、周囲の社員には病名は告げず、体調と働き方についてのみ情報を共有し、その範囲で協力を得られるようにするのがよいと考えます。
Q治療を終えて復帰してきた方について、遠方の方は電話やメールでの面談となりますので実際の顔色や体調がつかみにくくどこまで配慮してよいのかが難しいです。時間外の制限をしても営業などの関係上守られていないことが多いですし上司も忙しく行き届かないのが現状です。他企業ではどの様にフォローされているか参考にさせていただければと思っております。
基本的には、できうる配慮をすることでよいと思われます。特にがんだからといった観点での配慮は継続できなくなります。従って電話やメール等で本人の体調を確認し、もし問題があれば対応することでよいと思います。
Q頑張った社員に対する上司として(職場の仲間)の接し方、配慮すべきポイント(言ってはいけない事)などについて・・。
がん患者さんはつい無理をしがちです。「無理をしすぎては長く働けない」「治療計画に合わせた働き方を、医師や看護師、産業医と十分相談してほしい」ことをしっかり伝え、無理をしないですむように、率直に話ができる関係を作ることが大切です。
Q仕事と治療をうまく両立している事例や働き方について教えてください。
広島県の銀行では、多忙な支店の支店長だった患者さんの復帰に際して、負担の少ない仕事から始め、現在はまた支店長職に就いている、という事例があります。時間をかけて様子をみながら仕事をしていくスタンスが必要です。
Q顧問先の経営者(54歳)が肺がんにかかり、やむを得ず会社をたたむことになりました。現在多少回復してきたので生活費の為に就職先を探しています。就職しても月に1回の通院検査がありかつ体力もおちているため通常勤務は難しいのではないかと思っています。傷病手当金が受領できる間は治療に専念したらどうかと話しているのですが聞き入れてもらえません。病気の重さ(レベル4、リンパに転移)にもよると思いますがこのような場合医学的見地から何かいいアドバイスはないでしょうか。
がんの患者さんにとって働くことは、生活費のためでもありますが、生きがいとしても大切なことと言われています。主治医の見解と本人の意向をよく聞き、フルタイムにこだわらず、治療と両立できる就職先を探してはいかがでしょうか。平成28年度からは、全国のがん診療連携拠点病院にハローワーク職員が出張し、就労支援を行っています。
Qがんの社員にどう接すればよいのか、を個々の事例に合わせて詳しく聞きたいです。ここ数年従業員のがん告知、入院、手術等報告が入り、個々により病状が違う為接し方に悩んでおります。
病状や進行、患者さんの考え方、職場の状況もそれぞれに違い、現場では悩まれることも多いと思います。ただ、すべてのがん患者さんに共通して伝えていただきたいことは「できるだけこの会社で働いてほしい。やめる決定は最後の最後にしてほしい。」「会社は今できるだけのサポートをする」「だから正直に気持ちを伝えてほしい」の三つです。その上で、ひとりひとりを支えて行っていただきたいと考えます。
Qがん治療に会社はどのように応援するのが良いのでしょうか。
健康保険からの傷病手当金給付に加え、会社独自の傷病休暇制度や時短勤務制度、業務内容や職種変更、専門スタッフによる相談支援などを盛り込んだ支援規定の策定がよいと思います。また従業員に対しがんに対する正しい知識をつたえる「オトナのがん教育」を行うのもよいでしょう。
Q今まで病気の社員がいても会社と対象社員との話し合いでどこまで病気を把握しているのか不明&明確な規定や基準がありません。どんな基準を設けどんな規定をつくるか?
 →病状把握はどのように?(誰が、何をいつ?)
 →プライバシーの問題は?
健康情報取扱規程では、産業医や労働者本人の所属長などが健康情報を管理することが義務付けられています。その内容に関しては「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」をご確認ください。とはいえ、がんの種類も病態も個人で大きく異なります。主治医からの情報提供と、産業医や産業保健スタッフの判断も大切になります。プライバシーの問題に関しては、個人情報の使用や保管に関して、取扱規程に明記する必要があります。

個別編【その他】

Qがんの社員に定期健康診断を実施しようとするのですが、本人は病院で診てもらっているので定期健康診断を受診したくないといってくるケースがあります。その場合、治療先で行っている検査結果を提出してもらって定期健康診断に代用しようとしますが項目が不足しているケースがあり困っています。
受診医療機関で受けた検査が定期健康診断の項目と重複していた場合、検査結果を会社に提出してもらえれば、その項目は省略することが出来ます。ただし、ご指摘のとおり、重複していない検査結果は省略できませんので、その際は部分的に定期健診を受診していただくことになります。
あるいは自己負担になりますが、あらかじめ定期健診の項目を周知し、医療機関で定期健康診断の項目を全て検査するよう依頼してください。しかし健康診断は、脳、心血管疾患のリスク評価が主体ですので、がんの経過観察とは基本的に検査項目が異なり、定期健診を受診して頂く必要が出る可能性もあります。
重複検査は、本人の身体的負担となる可能性についてもお伝えください。
Q高年齢化にあたり医療費は高くなる一方ですが、もう少しがん検診の費用・治療費の軽減の実現は不可能でしょうか。
対策型検診に合わせた年齢と検診間隔でがん検診を受診し、精密検査を確実に受診させることで、がん死亡を減らすことが証明されています。広島県や富士通健保のデータでは、早期発見によって医療費の軽減につながることが証明されています。
Qがんになったら、どんな治療法が良いのか教えてください。
がんの種類、ステージ、患者さんの状態、希望などによって適した治療法が違います。主治医と患者本人、ご家族などで話し合って決定していくことが大切です。
Q日本国民の2人に1人ががんにかかるといわれています。その要因がたばこ、食事、ストレス、その他色々のようですが、普通に生活をしている人ががんになったと耳にします。どんなに気を付けてもがんは防ぎようがないのでしょうか。
日本人のがんの半分以上は原因不明です。普通の人(生活習慣に気を付けてる人など)がんになるのも全く不思議なことではありません。しかし、がんの発生には老化が関わっていることは間違いありませんし、生活習慣もがんのリスクを高めているのも事実です。ですから、健康的な生活習慣と定期的な検診受診、C型肝炎治療薬による肝臓がん予防、ピロリ菌除去による胃がん予防、HPV予防ワクチンによる子宮頸がん予防などを行うことで、大きくリスクを減らすことはできます。
Qがん保険がいろいろ宣伝され、セールスが多発しています。私は加入していませんが、入らない人が少数なのでしょうか。私は独身ですのでもしがんになったら生活がどうなるか心配です。
日本は健康保険制度により医療費の自己負担が少なく、また高額医療費助成制度もあります。ただ、再発や転移、長期に治療が及ぶ場合や、健康保険の適用の無い高度医療などは1回で数百万円かかる場合もあります。がん保険や、がんを含む医療保険に入っていたので安心して治療に臨めた、という患者さんの声はよく聞かれるものです。
Q医療機関の治療と併用して、がんに効くと言われるサプリメントなどをこっそり飲んでよいのか教えてください。
サプリメントなどにも薬理作用がある場合があり、治療の効果に影響する場合があります。こっそり飲むことはせず、主治医に相談してください。
Q入院治療時など、どのタイミングでセカンドオピニオンに踏みきるのがよいか教えてください。
セカンドオピニオンは、1つめの医療機関での診断後、入院や治療に入る前にとることが望ましいと考えます。がん診療連携拠点病院の相談支援センターでは、セカンドオピニオンに関する相談にも対応しています。国立がん研究センターのがん情報サービスのサイトセカンドオピニオンの項目を参考にしてください。
Qがんに対する予防としてデータヘルス計画の一環として実施したいと思っていますが、具体的に何をどのようにしたらいいのかわかりません。PDCAサイクルを具体的に教えてほしいです。
事業を展開するにあたり、まずは健保組合の現状等を把握していただき(医療費やリスク者の把握、受診率等)、そのうえで自組合の課題を抽出し、どのがんを対象とするのか検討し、組合の実情にあった事業を行っていくことになります。例えば、対象とするがん検診の導入期であれば受診率向上のためのポピュレーションアプローチとしての啓発事業や受診環境を整えていくことも一方法です。さらに事業を展開するのであれば、要精密検査の方への勧奨などの事業も考えられます。
また、PDCAサイクルを回していくにあたっては、目的に応じた実施目標を明確にして、評価を行うための具体的な目標値(アウトプット・アウトカム)を設定して事業を展開し、事業実施後に目標の達成度合いの評価を行い、目標達成に向け施策を修正しながら事業を展開していくことが重要です。
Q当方は海外進出企業からの海外勤務者に対する予防接種等を専門に実施するトラベルクリニックです。がんの場合の海外渡航をどのような基準で可とするのかをお教えいただければ幸甚です。
がん患者さんの体調や病状は千差万別です。本人が主治医と産業医と十分話した上で、治療医も産業医も海外渡航でも問題ないと判断すれば、海外渡航を可としてもよいと考えます。
Q弊社にもがんの治療と仕事の両立をしている社員がおります。若くして(20代)の発症であり、がん保険未加入だったため、高額治療費制度等があったけれども一時的な自己負担が必要で経済的なダメージが大きかったと聞いております。積立失効有給制度を使って給与の減額はなかったにも関わらず、がんの治療費を払うのは大変だったようです。
たとえば精神疾患の場合には「自立支援医療制度」があり申請によって自己負担は1割になります。治療が長期に及ぶという点においては精神疾患もがんも同様だと思われますが、がんの治療についてこのような制度の新設は検討されているのでしょうか。がんの場合は部位にもよりますが、障害者手帳取得に結びつかない場合も多く、経済的支援が得にくいように感じます。
がんの治療に関する医療費助成制度の創設予定はありません。
Qがん検査の精密検査を受ける際の病院の探し方についてです。提携先をもっていない健診機関で要二次検査を判定されたとき「どこの病院に行けばいいですか?」と尋ねられます。最寄駅等から保健同人社の電話健康相談で医療機関検索を委託していますが、急いで病院を探すのはかかりつけ医をもっていない人はとても戸惑うことが多い現状です。
個別に検診機関にお問い合わせまたはご相談頂くか、健康保険組合などにお問い合わせご相談ください。
Q女性特有の場合どんなことが考えられ、何をしなければならないのか?
本来男女で変わりありませんが、子宮や乳房を切除したりする場合には、妊娠・出産・育児とのかかわりもあり、女性自身の精神的ダメージが大きいこともあるようです。心ない言葉が社内で話されることがないように、全社に対してがん教育をされることが望ましいと考えます。
Q腫瘍マーカーを検診で使うことができますか。
アメリカ国立がん研究所(National Cancer Institute)のHPでは以下のように記載されています。
“腫瘍マーカーは治療に対するがんの反応や患者さんの予後(その後の経過)を予測するために用いることができます。そのためがんが症状を出す前、早期発見の検診に使えないかと考えられてきました。
しかし、腫瘍マーカーは治療の反応性や再発チェックには非常に有用ですが、がん検診を行う上で、感度や特異度(※)が十分な腫瘍マーカーは現在まで特定されていません。(※感度:病気の人を、病気と診断する割合。特異度:病気ではない人を病気でないと診断する割合。がん検診で言えば、感度:がんである人を検診で異常とする割合。特異度:がんでない人を異常なしとする割合。)
例えば、最近まで前立腺がんの検診のためにPSAが使用されてきました。しかし、PSA高値は前立腺がんだけでなく、前立腺に問題ない状態でも起こります。そしてPSAが高い人の大半は前立腺がんではありません。臨床試験の結果では、PSA検診はせいぜい、極々わずかな数の前立腺がんによる死亡を減少させるだけで、過剰診断/過剰治療を生み出すため、PSA検査はもはや日常的な検診として、勧められません。前立腺がんの再発のモニターに使われるにとどまります。”

前立腺がん検診におけるPSAの利用に関して、アメリカ予防医学専門委員会 (The U.S. Preventive Services Task Force)では55-69歳の男性に対して推奨度C(個人の状況に合わせて行ってもよい)としています。
その内容は、“55-69歳の男性に、前立腺がん検診としてPSA検査を行うことは個人の選択に任される。検診受けるか決める前に、検診による利益と不利益を医師と相談し、個人の考えに基づいて決める機会を持つべきである。利益は、前立腺がんによる死亡をわずかではあるが減少させることである。不利益は、前立腺癌でないのにPSAが高値となり、追加検査や前立腺の針生検が必要になりことや、過剰診断/過剰治療となること、治療による副作用で尿失禁や勃起不全になることである。家族歴や人種、既往歴や患者の好みを考慮した上で、医師/患者間で相談の上、検診を受けるか決定するべきである。”としています。

また腫瘍マーカーの限界としては、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)が出しているキャンサーネットのHPにわかりやすく記載されているので、一部を紹介いたします。
“腫瘍マーカーは「絶対確実」のようなものではありません。がんの存在や再発を調べるためには他の検査も必要とします。腫瘍マーカーの限界には以下のような点があります。
・がん以外でも腫瘍マーカーを高める病気や、体の状態がある。
・がんでない人でも、腫瘍マーカーの数値はあがってしまう場合がある。
・腫瘍マーカーは時間とともに変化するため、一貫した結果を得ることが難しい。
・がんが進行するまで腫瘍マーカーの値が上昇せず、早期発見や健診、再発のチェックにも役立たないことがある。”

また、例えば、世界的に広く利用されているNCCN(全米を代表とするがんセンターで結成されたガイドライン作成組織)のがん診療ガイドラインや、アメリカ臨床腫瘍学会のガイドラインでも、CEAという腫瘍マーカーの大腸がん検診としての利用は推奨されていません。

PSAによる前立腺がん検診のように意見が分かれるところもありますが、基本的には腫瘍マーカーによる検診は世界的には薦められていません。
勘違いしてはいけないことは、腫瘍マーカー自体はがん治療において、非常に有用なものです。前立腺がんの監視療法のようにPSAだけを見ながら、上昇しない限り治療をしないといった使い方もあります。今後、がん検診として利用できる腫瘍マーカーが発見される可能性もあります。これを機会に腫瘍マーカーに関しても理解を深めていただけると幸いです。
Q加熱式タバコ/電子タバコの現状について教えてほしいです。
最近、日本でも加熱式タバコ/電子タバコが普及しつつありますが、加熱式タバコは、アイコスやグロー、プルーム・テックなどが日本で発売されています。厚生労働省のHPでは、“たばこ葉やその加工品を電気的に加熱し、発生させたニコチンを吸入するたばこ製品。”と説明されています。
対して電子タバコは、国内ではベイプなどで知られていますが、同HPでは“香料などを含む溶液を電気的に加熱し、発生させたエアロゾル(蒸気)を吸入する製品。日本ではニコチンを含むものは現在販売されていない。”と記載があります。

2017年10月には日本呼吸器学会がこれらに対する見解を発表しています。
“日本呼吸器学会は、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコについて以下のように考えます。1.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。2.非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。”

WHO(世界保健機関)からは、加熱式タバコは、紙巻きタバコ(いわゆる一般的なたばこ)と比べ、より安全であると示す証拠はなく、それは受動喫煙に関しても同様。一般的なタバコ同様、有害であり、他のたばこ製品と同様に規制するべきとしています。電子タバコに関して、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)からは、アメリカ国内ですでに電子タバコによると思われる健康被害が800人以上、死者が10人以上発生しています。研究も行われておりますが、電子タバコをやめることが推奨されています。

日本はWHO評価で、受動禁煙対策を含めた3項目で最低レベルと評価されています。電子タバコ含め、今後のさらなる取り組みが必要とされます。

*「Q(質問)」と「A(答え)」は、「総括編」とダブっているものもありますので、ご了承ください。

総括編【予防・検診について】

Q各がん検診の詳しい内容と精度、検診サイクルについて教えてください。
国では、5つのがん検診を推奨しています。推奨されている検診はいずれも検診を受けることで死亡率を減少させる効果が証明されているものになります。
・胃がん検診では、胃のX線検査(バリウム検査)か内視鏡検査(胃カメラ)を50歳以上の方が2年に1回受診することが推奨されています。当分の間は、X線検査は「40歳以上や年1回の実施も良い」とされています。最近では、内視鏡検査も多くなりつつありますが、X線検査と内視鏡検査の直接の比較はされていませんので、それぞれの利益と不利益を確認した上で、選択することが必要です。
・肺がん検診では、胸のX線検査を40歳以上の方が1年に1回受診することが推奨されています。50歳以上でヘビースモーカーの(だった)方では痰の検査も併用しましょう。CTによる検診は、ヘビースモーカーではよいという結果も言われ始めておりますが、まだ結論は出ていません。(ちなみに胸のX線検査と言っても、定期健康診断とがん検診は、似ていますが本質的には異なるものです。)
・大腸がん検診では、血便の検査(便潜血法)を40歳以上の方が1年に1回受診することが推奨されています。2回便を採取するだけの簡単なもので、安価で、精度も高いです。大腸カメラによる検診も効果的ですが、重大な副作用のおそれもあるので、全員に行う検診としては推奨されていません。(個人で副作用などの説明を受けた上で行うことは否定されていません。)
・乳がん検診では、乳房X線検査(マンモグラフィ)を40歳以上の女性が2年に1回受診することが推奨されています。超音波(エコー)との併用が有効かはまだ結論が出ておらず、大規模な試験が日本で行われ結果の発表が待たれています。また、乳がんが見つかったきっかけの6割近くが、自己触診(セルフチェック)で異常を感じて受診したことによるものですので、月1度の自己触診も効果的です。日本では若い女性での高濃度乳腺(デンスブレスト)の割合が多く、見つけにくくなるとも言われています。いずれにしても、若いうちからの自己触診の習慣をつけ、40歳になってからは忘れず検診を受けましょう。
・子宮頸がん検診では、子宮頸部の細胞診(子宮頸部をブラシや綿棒で擦る検査)を20歳以上の女性が2年に1回受診することが推奨されています。子宮頸がんはウイルスが原因のがんですが、性体験がある女性の8割近くが感染経験を持ち、その1部の女性にがんが発症します。ワクチンにより6~7割(最近は9割前後)の確率で感染を防ぐことができますが、中高生への集団接種で、ごくごく1部に副反応(原因不明)が報告されたため、現在は積極的なワクチン接種の呼びかけは差し控えられています。ワクチン問題がどうあれ、がん検診は不可欠です。
Q各がんの初期症状・自覚症状について教えてください。
がんは少々進行しても症状を出しません。女優の故樹木希林さんが、乳がんが全身に転移しながら、5年も映画などで活躍できたことからも分かると思います。ましてや早期がんでは、まず症状は出ないと言えます。痛みなど何らかの症状がでるのは、原則として進行がんです。ですから症状が出る前にがんを見つける「検診」が大事なのです。がん特有の症状ではありませんが、血便、血尿、血痰といった異常が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
がん検診の対象ではない子宮体がんでは、病状が進行していない早期の段階で出血することが多く、不正性器出血での発見が90%といわれています。少量でも出血があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
Qがん検診以外の早期発見の方法はあるのでしょうか。
国の推奨しているがん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがん検診です。検診の主たる目的は「死亡率を低下させる」ということであり、その他の検診では科学的根拠(エビデンス)がないとして、国は勧めていません。がんの早期発見は、検診以外にはありません。ただし、乳がんの場合は、セルフチェックといって、自分で定期的に触ることが、発見につながる可能性があります。とはいえ、定期的にがん検診を受診することが前提のセルフチェックです。
任意の人間ドックなどを希望する場合は、がんの家族歴(じぶんの親や兄弟にがん患者がいるか)や、肝炎の既往歴など、自分が抱えているリスクと人間ドックによるデメリットを天秤にかけた上で考える必要があります。
Q国の推奨する「5大がん」以外の発見方法について教えてください。
がん検診の目的である「死亡率を低下させる」ことが証明されているのが、国の推奨する「5がん」(胃、肺、大腸、乳、子宮頚がん)の検診です。それ以外については、検査に伴う副作用や過剰診断の問題などがあるため、推奨できるとはいえません。
Q電子タバコは、普通のタバコにくらべリスクが下がりますか。(受動喫煙も含め)
電子タバコも紙巻きタバコ(普通のタバコ)と同様に、依存性のあるニコチンが含まれています。紙巻きタバコより害は少ないとも言われていますが、まだ明らかなデータはありません。
受動喫煙に関しては、電子タバコは蒸気しか出さないため周囲には無害であると考えている方がいますが、電子タバコを吸った人が吐く息にはニコチンを含む様々な化学物質が含まれています。紙巻きタバコと比べて匂いがありませんので、周りの方は受動喫煙にも気づかないという特徴もあります。特に子供たちへの受動喫煙には細心の注意を払わなくてはいけません。
Q子宮頸がんワクチンの集団接種について教えてください。
子宮頸がんの原因の多くを占める2種類のHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するワクチンが、平成25年4月から定期接種化されました。しかし、ワクチン接種後に多様な症状が見られたという報告があり、その後、国は接種希望者の接種機会は確保しつつ、適切な情報提供ができるまでの間は、積極的な接種勧奨を一時的に差し控えています。
積極的な接種勧奨を取り止めるといっても、子宮頸がん予防ワクチンが定期接種の対象であることは変わりません。接種を希望する方は定期接種として接種を受けることが可能ですし、女子中学生を対象とした公費助成もあります。
平成30年度には、国民への種々の情報提供に関して、自治体の取り組みや国民の認知度・理解度に係わる調査等が実施されています。今後、厚労省の審議会において、これらの調査結果が報告され、定期接種を再開するかなどが検討されます。
ワクチンに関して注意すべきは、子宮頸がんの原因となる全てのHPV感染を予防するものではないということです。つまり、子宮頸がん予防ワクチンは子宮頸がんの治療薬でもなければ、定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものでもありません。ワクチンを接種した方も、早期発見のために子宮頸がん検診を定期的に受診することが重要です。
Qピロリ菌の影響について教えてください。
胃がんは、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染が主な要因です。近年は冷蔵庫が普及し、新鮮で清潔な食物を食べるようになったため、ピロリ菌の感染率は減少しつつあります。ただし、衛生環境が悪い時代に乳幼児期を過ごした、現在70歳以上の方々の7-8割が感染していますので、慢性胃炎のある方は早めにピロリ菌の検査を受けてみるといいでしょう。
検査は、胃カメラを使うものや血液、尿、便検査など複数あります。ピロリ菌の除菌後も、胃がんのリスクがなくなるわけではありませんので、忘れずにがん検診を受けましょう。
Qがん遺伝子判定と血液検査について教えてください。
これまでのがん医療では、がんの種類や進行度に合わせて治療法が選ばれてきました。しかし近年では、種類や進行度に加え、それぞれのがんの遺伝子変異など、個々の特徴に合わせて、1人1人に適した治療を行うことができるようになってきました。このような医療を「個別化治療」と呼びます。
がん遺伝子検査は、すでに一部のがんでは標準治療になっています。大腸がん、乳がんなどでは、医師が必要と判断した場合限り、1つまたは複数の遺伝子を調べ、その結果をもとに診断や治療が行われています。
もし市販の遺伝子検査を希望する場合には、専門的な判断が必要とされることもありますので、遺伝医学専門家等に相談することが望ましいです。

血液検査は、前立腺がんのPSA検査などが知られていますが、過剰診断の恐れもあり、推奨されていません。とはいえ、血液検査によるがんの発見には、大きな期待がかかっており、本格的に研究が進みつつあります。まさに積極的ながん発見への挑戦と言えます。
Q食事や運動で見込めるがんの予防効果について教えてください。
日本人のがんの半分以上は原因不明ですが、男性の53.3%、女性の27.8%は、生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。
国立がん研究センターでは、日本人のがん予防のために、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」「感染」を、重要な6つの要素として挙げています。「日本人のためのがん予防法」と言われるものですが、「感染」以外は日頃の生活習慣に関わるものです。
この5つの生活習慣に気を付けて生活している人とそうでない人では、将来、がんになる確率はどれくらい違うのでしょうか。同センター等の調査では、5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されています。ちなみに男性では、喫煙ががんになる要因の3割近くを占めています。
Q特定の食品とがんの発症リスクについて教えてください。
食物や栄養について、確実にがんのリスクになると考えられている食品は限られています。確実なものとして、牛・豚・羊などの赤肉や加工肉が大腸がんのリスクを上げるとされています。対して、食物繊維を含む食品が大腸がんのリスクを下げ、中~高強度の身体活動が結腸がんのリスクを下げるとわかっています。

国際がん研究機関のワーキンググループでは、「野菜・果物によるがん予防効果は、必ずしも確立した関連ではない。しかし、がんを含むあらゆる病気の予防の観点から、野菜・果物を多くと摂ることは推奨される。」と報告しています。
また、塩蔵食品は胃がんのリスクを上げる「可能性が大きい」と報告されています。
Q先進医療と今後の展望についてお聞かせください。
先進医療が何かを知るには、標準治療が何かを理解する必要があります。
標準治療とは、研究・開発の積み重ねでつくり上げられてきた、科学的根拠に基づいた現時点での最良の医療であり、保険診療で受けることができるものです。
対して先進医療は、より良い標準治療の確立を目指して、基礎研究の後に臨床試験や治験など、研究段階で行われている医療のことです。ただ、必ずしも先進医療が標準医療に勝るものではありません。
医学の進歩は日進月歩であり、世界各国で様々な研究が行われています。多くの患者さんがより良い治療を受けるためには、先進医療などによる試験が不可欠ですが、それのみを求めるということであってはなりません。
Q病院の選び方はどうすればいいでしょうか。(がんの種類別もあれば)
がんと診断された場合、その病院での治療でいいのか、と迷う方があると思います。他の病院・医師の話を聞いてみることをセカンドオピニオンといいます。その場合、これまでの検査情報などが必要になりますので、まずは最初の医師にセカンドオピニオンを希望することをお伝えください。
自身で病院を探したい場合は、全国に約400ある国が指定した「がん診療連携拠点病院」などに設置されている「がん相談支援センター」で相談するのがいいでしょう。
がん相談支援センターは、「がんの相談窓口」であり、患者さんや家族、あるいは地域の方々に、がんに関する情報を提供したり、相談にお応えしたりしています。がん専門相談員としての研修を受けたスタッフが、信頼できる情報に基づいて、がんの治療や療養生活全般の質問や相談をお受けしています。病院によっては、相談の内容に応じて、専門医やがんに詳しい看護師(認定看護師、専門看護師)、薬剤師、栄養士などの専門家が対応できる連携体制を整えているところもあります。全国のがん相談支援センターの情報は、インターネットで「がん相談支援センターを探す」で検索してください。
「がん登録」によって、「●●がんは、●●病院で一番たくさん治療されている」などの情報はわかりますが、「●●がんは、●●病院がいい」などの評価をすることは困難であり、ここでお答えはできません。

総括編【治療内容について】

Q詳しい治療内容と治療費について
がんの種類とがんの進行度によって治療法は違いますので、担当の医師にご確認ください。がんよっては手術が適している場合、放射線治療が適している場合(体の負担、機能維持など)などがありますので、気になることがあれば是非セカンドオピニオンもご活用ください。主治医との関係性を気にしてセカンドオピニオンをためらう方もいらっしゃいますが、自分の命に関わることですので、思いきって主治医に相談してみてください。
治療費ですが、がんの種類、進行度、治療法によってこちらも全く異なります。ただし、実際に支払う医療費自体は「高額療養費制度」があるため、それほど高額にはなりません。一般的な収入の人なら、治療開始から3か月間は月およそ9万円、それ以降は4万5千円ほどの支払いですみます。それ以上かかる医療費は、加入している健康保険制度が負担することになります。
2点ほどを補足します。1点目は、がんの治療費そのものは高額療養費制度の対象ですが、入院の場合は食事代、ベッド代(差額ベッドの場合)などが自己負担になります。また、通院の場合の交通費等も自己負担です。もう1点は、高額療養費制度は、基本的に治療終了後に計算されますので、一時的に治療費全額を支払い、その約3カ月後に差額分が戻ることになります。ですが、治療前に「高額療養費制度の適用を受ける」という書類(限度額適用認定証)を病院側に提出しておくことで、全額支払うという事態にならずに済みます。事前に病院に、その手順を確認しておくのがよいでしょう。
Qセカンドオピニオンのメリット・デメリットは
診断や治療などに関して、現在診療を受けている担当医とは別の医師に(基本的には別の病院の医師に)意見を求めることをセカンドオピニオンといいます。セカンドオピニオンは、今後も現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に、現在の担当医から資料を提供された上で、利用するものであり、「セカンドオピニオンを聞くこと=転院すること」ではありません。基本的には、セカンドオピニオン外来のある病院を探します。がん診療連携拠点病院では、セカンドオピニオンに対する体制が整えられており、必要に応じて地域で連携している医療機関についても紹介しています。
どこで受けるか迷う場合には、がん診療連携拠点病院などに設置されている「がん相談支援センター」で相談することができます。がん相談支援センターでは、お住まいの地域でセカンドオピニオンを受けることのできる病院や、各病院の専門領域などに関する情報が得られます。
メリットは、自分の納得できる治療法の選択ができることです。デメリットという表現はなじみませんが、セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)となります。費用は病院によって異なりますので、病院を探す際には、費用についても併せて確認しましょう。また、患者が入院中の場合などでは、本人の同意があれば家族のみで代理受診ができることもあります。対応については病院によって異なりますので問い合わせてください。
セカンドオピニオンで医師の意見を聞くためには、現在の担当医に以下の情報を準備してもらう必要があります。
・紹介状(診療情報提供書)
・これまでの検査結果のデータ(血液検査、病理検査・病理診断などの記録、CT・MRIなどの画像データ[通常はCD-ROMなどにコピーしたもの])

これらは、セカンドオピニオンを担当する医師に患者の客観的な状況を伝える非常に重要な情報です。必ず現在の担当医に相談し、紹介状と検査結果データを用意してもらいましょう。紹介状の作成には保険が適用されます。
セカンドオピニオンを受けた場合、医師から聞いた、内容について最初の担当医に報告をしましょう。そして、それを踏まえて、これからの治療方針について再度話し合いましょう。

セカンドオピニオンを聞いた結果、セカンドオピニオン先の病院で治療することを選択することがあります(受け入れてくれることが前提です)。その際には、これまでの治療内容や経過などを、現在の担当医からあらためて紹介状などで引き継ぐのが一般的です。
Q抗がん剤や放射線治療の副作用について
治療法のそれぞれに副作用が生じます。
▼放射線治療⇒放射線治療によるからだの正常な部分への悪影響は、治療中から終了後数か月までの影響と、数か月以降に起こる影響に分けられます。いずれも照射した部分が原因で起こる変化です。症状や程度は照射部位とその範囲、放射線の量や種類によって異なり、抗がん剤の併用や年齢、全身状態も影響します。治療内容によって副作用も違いますので、医師等にご相談ください。
▼化学療法⇒抗がん剤は、分裂して増殖しているがん細胞に作用する薬です。正常な細胞でも、分裂速度の速い血液細胞や口腔(こうくう)粘膜、胃腸粘膜、毛根の細胞などは、抗がん剤の作用の影響を受けやすい組織です。そのため、抗がん剤の種類により、白血球減少による細菌などへの抵抗力減少や、貧血、出血、吐き気や口内炎、下痢、味覚の変化、脱毛、皮膚の障害、爪の変化などの多様な症状が副作用としてあらわれます。また、心臓、腎臓、膀胱(ぼうこう)、肺や神経組織の細胞が影響を受けることや、生殖機能に影響が及ぶこともあります。
副作用には自覚症状のないものもあります。抗がん剤治療を行っている間は、尿や血液などの定期検査を実施して、目に見えない副作用の早期発見に努めます。
あらかじめ予想される副作用を知り、対策をたてておきましょう。心の準備ができれば、不安も軽くすることができます。また、事前の対策によって副作用が予防できることもあり、さらに実際に副作用が起こったときにも、早く適切に対処できるため、症状が重くなるのを防ぐこともできます。それぞれの抗がん剤の特徴にあわせ、副作用を少なくするための薬が研究・開発され、実際の診療で用いられています。

総括編【その他】

Q緩和ケアについて。何か事例があれば・・
緩和ケアとは「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」です。「緩和ケア」はがん対策基本法に明記されており、「がんと診断されたとき」から緩和ケアは提供されます。
以前は、がんで亡くなる直前(いわゆる終末期)の痛みを取り除くために行われるのが緩和ケアであるというイメージを持たれてきました。しかし、がんに伴う痛み等は時期に関わらず様々であり、例えばがんと診断されるとすぐにそのショックから、精神的に思い悩み、悲劇になってしますケースもあります。がんの病状に従って、その病態に応じた緩和ケアが提供されていくことが必要なのです。
痛み以外の面では、吐き気や食欲不振、だるさなどの症状や、気分の落ち込み、孤独感などがあり、心のつらさを軽くすることが大事です。また、自分らしい生活を送ることができるよう配慮されるべきです。緩和ケアでは医学的な側面に限らず、こうした、いろいろな場面で幅広い対応をしていきます。
「緩和ケアの事例」ですが、千差万別で人それぞれで異なります。特定の方のことを紹介することは誤解を与えかねず、適切ではありませんので、ここでの事例紹介はご容赦ください。
Qがんの遺伝について
日本人の2人に1人は、一生のうちに何らかのがんにかかるといわれています。がんは、すべての人にとって身近な病気で、いつ、誰ががんになってもおかしくありません。とはいえ、がんの遺伝を心配する人は多いようです。実態はどうでしょうか。
海外の一卵性双生児を対象とした研究から、遺伝性は、がんの原因の5%程度であるということが明らかになっています。「うちは、がん家系だから」などという人がいますが、2人に1人ががんになる時代ですので、まずは、遺伝を心配せず、検診をしっかりうけることが重要です。
Q若年層のがんについて
最近になって若年層のがんが課題として取り上げられるようになりました。2017年の予測では、1年間に新たにがんと診断される人数は日本全体で100万人を超えており、男性は胃がん、女性は乳がんがトップとなっています。
若年層に関しては、小児とAYA世代で事情は全く異なります。1年間にがんと診断される患者数は0~14歳の小児で約2100人、15~19歳で約900人、20歳代で約4200人、30歳代で約1万6300人と推計されています。
年代別では、15歳~19歳では、白血病、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、20代では、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、甲状腺がんの患者が多くみられます。30代では、乳がん、子宮頸がんが増えるため、女性のがん患者が多くなります。
「小児がん拠点病院」の整備などが進み、小児の白血病は7割以上が治る時代です。AYA世代では女性患者が多く、結婚や出産というライフイベントも視野に入れた治療を行う必要があります。治療の質が問われる時代、AYA世代の患者にもっと目が向けられるべきです。
Qがんとストレスの関係について
私達の体のなかでは毎日多数のがん細胞が発生していますが、免疫細胞が水際で増殖阻止をしてくれています。ストレスはこの免疫力を抑えてしまい、高いストレスを抱える人では、がんのリスクが高まると考えられています。しかし、これまでの疫学研究ではストレスとがんとの関連性を強く示すデータはほとんどありませんでした。
そうした中、2018年1月に、自覚的なストレスが長くなると発がんリスクが高まり、特にがんとストレスの関連は男性に強くみられるとする研究結果を、国立がん研究センターが発表しました。全国の約10万人を20年近く追跡した結果です。

調査開始時に自覚していたストレスの程度と、その後のがん罹患(1年間に新たにがんと診断される)率とは有意な関連はみられませんでした。しかし、調査開始時と5年後のアンケートの両方に回答した約8万人について分析したところ、ともにストレスが低いグループと比べて、ともに高いグループでは、がんになるリスクが11%も上昇していました。ストレスと発がんの関連は男性でより顕著にみられ、臓器別では、肝がん・前立腺がんで、強い関連が認められました。長期的なストレスは、特に男性でがんのリスクを高めることが示唆されたわけです。男性のがん発症数は女性より3割も多くなっていますが、ストレスも一因かもしれません。
Qがんの後遺症について
がんの種類や進行度、治療方法によって、大きく異なります。例えば胃がんの手術でも一部を残す場合と、全てを切り取る場合で違ってきます。乳がんも、乳房の全部を切り取る全摘術と、がんの部分のみを切り取り、放射線をかける乳房温存療法とでは見た目も異なります。同じ全摘術でも、リンパ節まで切り取った場合と、そうでない場合でその後の後遺症のリスクが大きく違ってきます。治療の前に、将来の後遺症に関しても主治医によく確認しておきましょう。

*「A(答え)」は、国立がん研究センターの「がん情報サービス」、がん対策推進企業アクション発行の「がん検診のススメ」、日本経済新聞連載「がん社会を診る」などを参考にしています。

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