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イベントレポート

2019/11/05
中小企業コンソーシアムを初開催しました

がん対策推進企業アクションの推進パートナー企業の中から自発的に立ち上がり、企業の担当者や産業保健スタッフががんについての対策、事例や情報の交換などを行う「企業コンソーシアム」。本年度第2回目となる「企業コンソーシアム」は、初めての中小企業向けとして、11月5日に東京・新宿のビジョンセンター新宿で「がん対策は働き方改革~持続可能な企業経営~」をテーマに開催されました。

第一部では主幹事である株式会社古川の山田智明総務部課長の挨拶、株式会社松下産業 代表取締役社長の松下和正氏とがん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長の中川恵一先生の講演が行われました。

第二部では中川恵一先生をモデレーターに、株式会社櫻井謙二商店 代表取締役社長 櫻井公恵氏、株式会社朝日エル 代表取締役社長 中村和代氏、藤沢タクシー株式会社 代表取締役社長 根岸茂登美氏、株式会社古川 代表取締役社長 古川剛士氏、株式会社松下産業 代表取締役社長 松下和正氏による「中小企業におけるがん対策推進にむけての風土づくり」をテーマにした パネルディスカションが行われました。

第三部では、株式会社朝日エル代表取締役社長の中村和代氏の司会のもと、参加企業によるグループワークが行われ、活発な意見が交わされました。

講演の様子

第一部

「がん対策推進企業コンソーシアムと本日のゴール」

山田智明氏(株式会社古川 総務部課長)

この中小企業コンソーシアムは、9社のコアメンバー(株式会社朝日エル、株式会社キャンサースキャン、さがらウィメンズヘルスケアグループ、株式会社櫻井譲二商店、一般社団法人シンクパール、株式会社バリアンメディカルシステムズ、藤沢タクシー株式会社、株式会社古川、株式会社松下産業)からなっています。がん対策について議論を交わし、いろいろな情報を得る場として、このコンソーシアムが実現しました。

がん対策推進企業アクションは、がん検診受診率50%を目標として活動しています。住民検診に加え、私たちの職域で行う職域検診は、社員のがんの対策になるだけでなく、中小企業が病気で人材を失う人材難リスクにも対応できます。

企業コンソーシアムは昨年立ち上がり、100社以上の企業が参加していますが、大企業メインでの活動でした。そんな中で中小企業の実態にあった対策を論じるのは、難しい一面もありました。今回は中小企業のがん対策に焦点を当てて議論を交わしていきたいと思います。

中小企業ならではの事例の共有、就労対策、好事例の発信をはじめ、参加企業による業種や企業規模を超えたネットワークを作り、がん検診率受診率のアップはもちろん就労環境の充実、ビジネスにも生かしていただければと考えています。何よりも、中小企業の財産である人材をがんで失わないことが大切だと感じています。

また、中小企業のがん対策の費用、検診項目、社内の環境づくりなどの問題。働く世代の女性のがん対策など、有意義な議論をしていただければと思います。

株式会社古川 山田智明氏

▲株式会社古川 山田智明氏

【講演1】

「松下産業のがん対策の取り組み」

松下和正氏(株式会社松下産業 代表取締役社長)

私どもは東京の建設会社で、いわゆるゼネコンでビルやマンションを作っています。多様な価値観との共存を平成の初めから企業理念にし、がんに限らず病気の社員や障害を持つ社員と共に働いています。

平成26年度には「東京都がん患者の治療と仕事の両立への優良な取組を行う企業表彰」の優良賞をいただいております。平成30年度の厚生労働白書にも、私どもの会社の取り組みが両立支援のコーナーに掲載されております。

当社の従業員234人中、過去10年で健康診断でがんが見つかり、就労を継続したのは13人、現在もがんと診断されても就業を継続している者は8人います。

がん検診を毎年やるようになってから、がんとまではいかなくても小さなポリープが見つかる人などが3〜5人はいますので、検診の重要性をすごく感じています。

当社の取り組みは主に6つです。

① まず本人と話す(病院・自宅に駆けつけ本人・家族の要望・希望をヒアリング)

② 主治医・産業医・専門家との連携

③ 治療を支える家族もサポート

④ 社内制度、公的支援の周知、病気の理解促進

⑤ 日ごろの情報収集とニーズの把握

⑥ 会社とのつながり、やりがいを感じてもらう

両立支援というと、大変そうに見えるかもしれませんが、これならできると感じていただけると思います。

① まず本人と話す

病気、入院などの連絡があった時には、まずは患者と話しやすい人間が病院や自宅に伺い、今後の見込みや業務の引き継ぎを行います。本人のみならず、ご家族の要望や希望も聞き取ります。これは、時間をおかずに早めにすることを心がけています。

② 主治医・産業医・専門家との連携

産業医さんがとても頑張ってくれています。現場の巡視など、ほとんどの社員と面談を持ってくれています。産業医だけでは手の回らない健康指導や禁煙指導、検診勧奨などに産業保健師を活用しています。また、けがや病気になった時には、主治医の面談に産業医がアドバイスや時には同席するなどし、不安のない治療が受けられるようにしています。がん相談支援センター、ハローワーク、地域産業保健センター、社労士、ファイナンシャルプランナーなどの外部専門家も活用しています。

③ 治療を支える家族もサポート

家族のケアもそうですが、従業員だけでなく家族ががんをはじめとする病気になった場合にも寄り添うようにしています。ファミリーデーを開催し、家族との交流も深めています。

④ 社内制度、公的支援の周知、病気の理解促進

いろんな制度があっても実際に知らない人も多いものです。病気になった時には患者と家族宛に療養時相談窓口など、わかりやすい案内文書を配布しています。またGLTD(団体長期障害所得補償保険)は民間の保険ですが、これは従業員が病気になった時に長期間にわたり所得を補償するプランで弊社はこれに加入しました。がん検診は35歳以上は人間ドックを行なっています。費用負担は年間1人3万円ほどかかりますが、自治体が行う住民検診などと組み合わせることで、費用はもっと抑えられると思います。がんになると色々な本を読み漁ることも多いと思いますが、レビューを付けた関連書籍のライブラリーを設置したり、社内のイントラネットで闘病記などを掲載したり、具体的な治療や就労に関して生の情報を共有できるようにしています。禁煙外来費用の助成もしています。

⑤ 日ごろの情報収集とニーズの把握

「人」に関することをワンストップで行う部署、ヒューマンリソースセンター(HRC)を設置しました。これは何かあった時に、人事、総務、ラインなど、各部署にまたがる案件を、1つの部署でワンストップで行えるようにしたもので、採用、健康管理、子育て・介護支援、ライフデザイン、教育・研修・自己啓発など、入社してから退職するまでのさまざまな悩みを解決します。これで担当部署のたらい回しがなくなりました。社員が相談してくるということは緊急を要する案件ですので、その時に素早く中立の立場で応えることを目的としています。

そして、年に2回、賞与支給時に全社員を対象に、自分のラインと違う管理職と個人面談を行い、病気や仕事、プライベートなことなど共有するようにしています。

⑥ 会社とのつながり、やりがいを感じてもらう

社内での交流を深めることで、病気になっても治療をしながら働けることなどの情報を得られやすくしています。

中小企業には、中小企業だからこそできることがあります。家族ぐるみの付き合いから生まれる連帯感や支援策などは、その代表例です。社内のリソースが足りないなら、外部に頼ることも必要だと思います。

そして、患者のいろいろな不安や悩みを聞き、正しい情報の提供や主治医との関係の構築、経済支援策、社労士やファイナンシャルプランナーなどとの相談などは、両立支援コーディネーターとHRCを活用しワンストップソリューションで行なっていければと考えています。

我が社ががん治療と就労の両立支援を続けるのは、会社経営は社員の満足と安心なしには成り立たないからです。そして、その最たるものが健康であり、がんへの不安です。これを解決することが、顧客、社員、地域・環境、協力会社が満足する「四方よし」に結びつくのです。

そして、がん対策においては、患者、事業所、国・自治体、医療・看護職、医師の5つがコミュニケーションをとり、すべてが問題意識を共有し、がんの不幸を減らしていく「五方よし」が必要だと思います。

株式会社松下産業 松下和正氏

▲株式会社松下産業 松下和正氏

【講演2】

「中小企業に求められるがん対策」

中川恵一先生(がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長/東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長)

私の実家は中小企業で、会社の2階に住んでいました。中小企業の中で働かれている方の考えが実感できる部分があります。日本の中小企業で働かれている方の中には、体を大切にすることや家族を大切にすることがカッコ悪いようなムードが少なからずあるのではないでしょうか。健康に留意してみんなでがん検診を受けることは、風土的に難しいものがあるのかもしれません。

日本の就労者における65歳以上の割合は、世界で最も高い13%、ドイツは2%、フランスは1%もありません。なぜ日本ばかりが高齢者が働かなければならないのか。社会が成熟すると個人主義になり、少子化に向かいます。EUなどは、これを移民という形で補っていますが、日本はそういうシステムにはまだ至っていません。

中小企業においては、特に経営層などは元気なうちはいくつになっても働きます。70歳以上の従業員のいる企業は、大企業より多いのはないでしょうか。がんは、遺伝子の経年劣化といえる病気ですから、中小企業こそ従業員ががんになりやすいということです。

55歳までにがんになる確率は5%、65歳では男女共15%、75歳になると男性は3人に1人、女性は4人に1人にまで上がります。したがって永く働く、事実上定年のない中小企業には、最もがん対策が必要とされています。また、1人ががんで働けなくなるとその損失は大きく、大企業と違って人の代わりが効かない場合も出てくると思います。

がん対策として、一番いいのはがんにならないことです。そして、がんになったとしても早期に発見して、早期に治療をすることです。がんは、早期か進行がんかで、状況は全く異なります。

私もがんになりましたが、早期発見できたことにより、内視鏡での切除だけで治療が完了しました。治療にかかった日数は3泊で有給は1日しか取っていません。これが進行がんになると長期の治療が必要になります。

中小企業は、大企業と違い治療での長期欠勤はしづらいと思います。だからこそ、がんを早期に見つけることが重要です。

がん対策推進企業アクションの推進パートナーの約半数は中小企業です。経営者のヘルスリテラシーに関するアンケートを取ったところ、経営者や担当者のヘルスリテラシーが低い企業ほど、がん検診の受診率も低く、就労支援なども手付かずであることが多いことがわかりました。これは、大企業よりも中小企業の方が顕著に差が現れました。ヘルスリテラシーの高い中小企業は、大企業と同等のがん対策が行われています。経営者のがん知識は、社員の健康を大企業並みに守ります。

中小企業は、経営者の意識が変わればスピーディにがん対策ができます。がん検診によって早期に発見できれば、仕事への復帰も早く、両立支援にもつながります。

ぜひ、がんに対する知識の輪を、自身の会社だけでなく周りの会社に広め、がんによる人材の流出、不幸を減らしていただきたいと思います。

中川恵一先生

▲中川恵一先生

質疑応答

A:がん検診はどのような項目がよいのでしょうか?

中川氏:協会けんぽにはお入りでしょうか。基本的にはそこの生活習慣病の検診でOKです。例えば大腸がん検診であれば、検便がもっともよい検診です。いろいろ高額な検診もありますが、必要ありません。ご家族の方であれば、住民検診を受診すればよいです。住民検診はしっかりとしたエビデンスがあるからこそ、税金を投入されています。そして安く検診が受けられます。

B:がん検診で5つのがんは見つかると思うのですが、その他のがんはどのようにすればいいのでしょうか?

中川氏:難しい質問です。これは、絶対に交通事故で死なないためにはどうしたらいいか?という質問に似ています。がん検診は合理的な範囲で、がんによる不幸を減らすということです。

例えば、すい臓がんは5年生存率9%、早期発見も難しいがんです。では毎月超音波検査をやるのかというと、そんなことは費用的にも時間的にも難しいでしょう。基本は対策型検診である住民検診を行い、それに個人の事情と負担において任意に他のがん検診を追加することが一番ではないでしょうか。

第二部 パネルディスカッション

「中小企業におけるがん対策推進にむけての風土づくり」

モデレーター
中川恵一氏
パネラー
櫻井公恵氏(株式会社櫻井謙二商店 代表取締役社長)
中村和代氏(株式会社朝日エル 代表取締役社長)
根岸茂登美氏(藤沢タクシー株式会社 代表取締役社長)
古川剛士氏(株式会社古川 代表取締役社長)
松下和正氏(株式会社松下産業 代表取締役社長)

講演の様子

櫻井氏
私どもは創業87年になる食品の卸会社で、私で四代目となります。従業員はパート・アルバイトを含め47名。産業医のいない、中小企業の中でも小さい規模の企業となります。
がんに限らず病気療養中の従業員もいますので、どうやって一緒に働いていくかということを考えています。優れた制度もお金もありませんが、従業員全員を巻き込んで幸せに働き続けられる会社を目指しています。

中川氏
産業医がいないということですが、そのあたりはどのように対処されていますか?

櫻井氏
まずは、病気になった従業員が会社に報告をしてくれないと、何もわかりませんから、報告しやすい環境づくり雰囲気づくりを心がけています。

中川氏
がんになった従業員を支援したい場合、まずは患者側から会社に言ってくれないと何も始まりません。個人の同意なく勝手に何かをすることは個人情報保護法違反にもなるわけです。患者が会社に伝えられるかどうか、つまり会社に言える風土があるかどうかが第一の試金石でしょう。

株式会社櫻井謙二商店 櫻井公恵氏

▲株式会社櫻井謙二商店 櫻井公恵氏

中村氏
私どもは33年前に女性だけで立ち上げた会社で、現在も従業員は女性のみです。創業メンバーの1人が35歳で乳がんで亡くなったことが、がん対策への大きなモチベーションになっています。
私どもは30年前に始まった「看護の日」をきっかけに、医療の世界に入り始め、仕事としても医療に携わってきた中でがんに関しても20年以上前からやってきています。産業医はいませんが、がんについてはかなりの知識を従業員が持つようになってきており、がんサバイバーは社員に1人、アルバイトに2人います。
この6月には、私が子宮体がんのステージ1と診断され開腹手術を受けましたが、役員・従業員の理解や応援もあり、1カ月間休暇をとり治療に専念し、その間の治療体験などを全員にメールで送るなどしましたので、さらにがんのことを理解できたのではないかと思います。
女性ばかりの会社ですので、妊娠・出産・育児・介護などのライフイベントの際に、様々な働き方をしなければならないことも多く、「自立と思いやり」で働き方を応援しています。

中川氏
子宮体がんの発見契機はなんだったんでしょうか? がん検診の項目にはないのですが。

中村氏
3月の終わりに人間ドックを受け、子宮頸部のポリープが大きくなっているのでそろそろ切除してはどうですか、と言われたのをきっかけに、かかりつけの内科医から、子宮体がんの検診を受けてはどうかと勧められたのが発見契機です。治療の終わった今では、まったく体調に問題はありません。

株式会社朝日エル 中村和代氏

▲株式会社朝日エル 中村和代氏

根岸氏
私自身が乳がんのサバイバーです。今では元気に仕事をしています。
私どもの会社は、祖父が立ち上げたタクシー会社で80周年を迎えます。社員は80名おり、大半が男性で平均年齢が62歳と高く、がんの就労者が7名います。
両立支援を意識してやってきたわけではないのですが、自分ががんの治療をしながら働いていた時に周囲の人たちに非常に暖かく応援してもらえたことが、原動力になっているのだと思います。
中小企業では、経営者がしっかりと従業員に対して、がん対策をするという意思を表明することが大切だと思います。社員に対してはリテラシーを向上させるがん教育を、がんに対する知識が向上すれば自然と風通しのよい風土も作られると感じています。
実際にがんになった従業員が、病気になる以前よりも業績が上がった事例もあります。両立支援は大変で、中小企業は手も足も出ないということではなく、やってみたらこんなによい結果が出たということを伝えていければと考えています。

中川氏
素晴らしいですね。私自身もがんになりましたが、がんになるとより一層物事を深く考えるようになります。人間として成長する一面があります。ですから、きちんと治しさえすれば、一段人間としてのランクが上がる場合もあるのです。欧米ではキャンサーギフトという言葉があるように、がんはマイナスだけではなくプラスの面をも持っています。

藤沢タクシー株式会社 根岸茂登美氏

▲藤沢タクシー株式会社 根岸茂登美氏

古川氏
私は神奈川県の小田原市でLPガス販売や太陽光発電事業などのエネルギー関連事業の仕事をしており、社員は約80名います。
私どものがん対策は、正社員において年齢に関係なく年に1回の健康診断でがん検診を義務付けています。さらに社員の配偶者に関しても会社負担でがん検診受診を推奨しています。
私は湘南ベルマーレのフットサルチームの代表も務めていますが、がん検診に取り組んだのは、そのチームの31歳の若い選手ががんになったのがきっかけです。
当時私は不勉強で、がんは年寄りのなるもので、がんになったら死ぬものだと思っていました。しかし彼の治療とフットサルを両立している姿を見るにつけ、がんについて正しく学びはじめ、早期発見の重要性を知りました。
特に女性においては、20代から子宮頸がんや乳がんなどのリスクが高いことを知り、我が社の女性社員には子宮頸がん検診、乳がん検診を全員に受けてもらっています。
女性のがん検診は羞恥心などの点から、なかなか受けたがらない人もいます。社長である私が命令すれば、それでいいかもしれませんが、やはり社員ががん検診が必要であることを理解してもらうことが重要です。子宮頸がんや乳がんをはじめとするサバイバーの方に来社していただき、講演などを各年行ない、がんに対する正しい知識を吸収してもらっています。
中小企業の人材採用は毎年毎年厳しくなっています。今いる社員が1日でも長く健康で働ける環境をつくることが、私のできる経営課題だと思っています。

中川氏
社長ががん検診を受けろと命令することは私は、いいことだと思います。
過剰診断はいけませんが、住民検診に行くことを強制することは素晴らしいことだと思います。

株式会社古川 古川剛士氏

▲株式会社古川 古川剛士氏

中川氏
実は、ここに登壇している6人中4人ががんの経験者です。若い時にがんになられている方もいらっしゃいます。
特に女性の場合は、乳がんは40代後半がピーク、子宮頸がんは20代30代でなるのは当たり前です。そして子宮頸がんは死亡率が、日本の中で唯一増えているがんです。これは大きな問題です。社会としてがんにきちんと取り組む必要性があります。現在は小・中・高校ではがん教育が始まりましたので、今の子供たちが育っていけばがんに対する意識は変わっていくでしょう。しかし、今がんに直面している年齢、つまり働く世代に対してがん教育をするのは、ある種強制力を持つ企業しかありません。ぜひ、企業には努力していただきたいと思います。

櫻井氏
中川先生は、社長が率先して命令してでもがん検診を受けさせるべきだとおっしゃいます。松下社長は、年間3万円程度で済むとおっしゃいます。しかし、中小企業にとっては、がん検診の会社負担、さらに3万円は大きな金額だと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私どもの会社では、そこまでの費用負担をすることなく、自治体の住民検診を受けてください、そのレシートを持ってきてください、金額をお支払いしますということにしています。また、検診の日は休んでいいよではなく、就業時間として扱うなどの地味な努力も必要だと思います。

松下氏
うちの場合は、人事考課の中に健康管理を入れています。自分の体のマネジメントもするべきですから。
特に喫煙者は、悪いと思いつつも吸っている確信犯です。ですから、喫煙者には喫煙室スペースの家賃、そこで使う空気清浄機のリース代などを等分して負担してもらっています。

中村氏
私たちの会社は女性ばかりなので、検診に行きましょうよ、というような世間話をすること、費用を会社負担にすること、就業時間に検診を認めることで、自然と100%の受診率になっています。
検診は住民検診で受けたい人もいれば、かかりつけ医や人間ドック、大きな病院でやりたい人もいますから、それは各人に任せています。自分で検診の場を選ぶことで、がんと診断されたときにも納得がいくのではないでしょうか。
女性の検診受診率を上げて行くことは可能だと思います。

中川氏
住民検診を就業時間に認めて、費用も負担するということが、中小企業にとってのスタンダードになればいいのではないかと思います。

第三部 グループワーク

参加企業が6つのグループに分かれ、それぞれの企業のがん対策について話し合い、問題意識を共有するとともに、成功事例の共有や今後の課題についてディスカッションを行いました。

グループワークでは、がん検診受診率向上の方法、社長のリテラシーを高めるにはどうすればいいか、禁煙させるにはどうすればいいか、がんになったときに会社に伝えやすい環境をどうすれば作れるか、両立支援の方法など、さまざまな問題について意見が交わされ、中小企業ならではの悩みや情報の交換、好事例などの共有が行われました。

グループ発表 一例

▲グループ発表 一例

【挨拶】

猪股研次氏(厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐)

がん対策推進企業アクションは今年で11年目を迎えましたが、がんに対する一般的な知識やがん検診などの情報の普及啓発は、まだまだ不足していると感じております。

こうした中、今回初めて中小企業向けの企業コンソーシアムが開催され、経営者の皆様からの講演では、非常に前向きながん対策への取り組みが発表され、感銘を受けました。

また、グループワークでは熱心な議論が交わされ、がん対策への関心の高さがうかがい知れ、勉強になるとともに、ご参加いただいたことを大変ありがたく思っております。

今後も本コンソーシアムに積極的にご参加いただくとともに、情報発信にもご協力いただければ幸いです。

講演の様子

■ダイジェスト

■「松下産業のがん対策の取り組み」

株式会社松下産業代表取締役社長松下和正

■「中小企業に求められるがん対策」

がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長/東京大学医学部附属病院放射線治療部門長中川恵一先生

■「パネルディスカッション」

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