2018/9/8
2018年9月8日(土) 心と体の健康づくりトップセミナー開催 富山県
「心と体の健康づくりトップセミナー」(主催:富山県)が9月8日(土)、富山市のタワー111スカイホールにて開催されました。
このセミナーは、従業員の心や体の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の普及のため、富山県が企業の経営者や人事労務・健康管理推進担当者をおもな対象者として開催したものです。
当日は上記対象者のほか、医療関係者や企業の従業員、さらには学生などの姿も見られ、富山県民の健康に対する関心の高さが伺われました。
セミナーは2部構成となっており、第1部ではメンタルヘルス対策の講演、第2部で東京大学医学部附属病院放射線科 准教授である中川恵一先生の講演「職場におけるがん対策~がんから社員を守る~」が行われました。
第2部の講演では、中川先生のこれまでの研究や実体験、活動をもとにした具体例などをもとに、がんに対する正しい知識を得ることの大切さ、職場におけるがん対策の重要性が伝えられました。
講義の中で印象的だったのは、富山県における胃がんの羅患率が高いという話。がん全体の75歳未満年齢調整死亡率(H28年)は全国3位と優秀であるにも関わらず、胃がんは21位であり、その背景には過去20~30年における高濃度の塩分摂取があるのではないかということ。とくに女性の死亡率が高いこともあり、会場ではメモを取る女性の姿が多く見られました。
【講演の内容】
現在の日本では、国民の2人に1人が生涯でがんにかかるといわれています。しかし、このようにがんは身近な病気であるにもかかわらず、ほとんどの皆さんはがんの正しい知識を持っていません。
まず、がんは絶対に治らない病気ではなく、早期発見であれば95%が、全体で見ても65%が治ります。つまり、がんは発見が早ければ早いほど完治する病気なのです。
そこで重要なのは、がんに対する正しい知識を身につけることです。がんを知っているかどうかで運命が変わります。そして、がん検診を積極的かつ定期的に受けることが大切です。
すでに小中学校や高校などではがんの教育が始まっていますが、大人はそのような教育を受けていません。その大人たちに正しい知識を得てもらうために必要なのが、会社で行うがん教育です。
また、がんになっても働き続ける社会を実現にするために、厚生労働省は2016年2月、「治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しています。
▼治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113365.html
講演終わりの質疑応答では、参加者から「がんになった社員にどう接すればいいのか?」という質問が出ました。
これに対し中川氏は「自分ががんと知ると、人は2週間ほど精神的に不安定になります。この時期に会社を辞めたり、ひどい時には自殺したりする場合もあります。まずは、最低でも2週間は自宅で休んでもらうなどして、重要な意思決定をさせないことが重要です。」とアドバイスしました。