2018/3/
2017年11月9日、東京女子医科大がんセンター センター長の林和彦先生によるがん教育出張講座が行われました。(於 跡見学園女子大学)
初めに林先生は、細胞分裂の際にミスコピーができ、それが増殖することでがんになるという仕組みを説明しました。生活習慣の悪化や高齢化などによってがん患者は増えていることについても説明があり、中でもたばこによる影響の大きさを強調しました。特に、女性は将来妊娠をする可能性があり、胎内の赤ちゃんに生まれながらのハンデを持たせてしまう危険があるので、妊娠中はもちろん、普段からも受動喫煙を含め絶対に喫煙しないように、と念を押しました。また、がんは生活習慣などによって予防はできるが、完全に防ぐことは不可能なため、定期的に検診を受け、早期発見を心がけてほしいと訴えました。
授業を行った場所が女子大であるということもあり、婦人科系のがん――中でも若い女性に増えている子宮頸がんについては詳しくお話がありました。子宮頸がんは、性交渉を通じたウィルス感染によって発症する性病の一つであり、ワクチンで防げる。というお話もありました。しかし、数年前に子宮頸がんワクチンによる副反応が大きく報道されたこともあり、現在日本ではほとんど接種が行われていない、という実状を述べ、ワクチンを打たなくても、対象年齢になったら是非とも検診に行ってほしいと訴えました。ワクチン接種に絡めて、がんの治療法には手術以外にも様々なものがあるという紹介もあり、放射線や化学療法をはじめ、多くの選択肢があるからこそ、正しい情報を選ぶことが大切、というお話もありました。
最後に、学生たちに「将来社会に出ていくときには、がんを身近な病気ととらえてほしい。正しい検診知識を持って、がんにならないように、また、周りのがん患者への理解も持っていてほしい」と、企業で、社会でがん患者を支えていく態勢への望みを学生たちに託しました。