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イベントレポート

2018/1/18
がん対策推進企業アクション「仙台セミナー」を開催しました

平成29年11月7日(火)14:00~17:00、仙台市 Rensaライブホールにおいて、「がん対策推進企業アクション仙台セミナー」を開催致しました。全国7ブロックで開催されるセミナーの3回目の開催となり、仙台市内の企業の総務・人事担当者を中心に約120名が参加しました。
当日の会場風景
▲当日の会場風景

「我が国におけるがん対策について」
厚生労働省健康局 がん・疾病対策課 河田純 課長補佐

現在3人に1人ががんで死亡しており、がんが身近な病気であるという現状と、年々増加しているがんの死亡者数・死亡率の推移を説明。国の取り組みとしてのがん対策の歩みに関しては、平成18年6月に「がん対策基本法」が制定され、対策も加速し、取り組みが強化されてきたことについて言及しました。また、法律の改訂により、研究の推進(罹患者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進等)や、がん患者の就労等の推進(がん患者の雇用の継続等、学習と治療との両立、民間団体の活動に対する支援)、がんに関する学校教育の推進が新たに策定されたことを説明。現在進めている第3期がん対策推進基本計画の概要に関しては、がん医療の充実(がんゲノム医療、小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがん)、がんとの共生(がんと診断されてからの緩和ケア、がん患者等の就労を含めた社会的な問題)等の分野別の施策について説明しました。がん検診受診率の推移については、年々上昇傾向にあるものの、50%の目標にはまだ達していない状況や、OECD諸国と比較しても日本の受診率が低いことについても解説しました。

大谷課長補佐の会場風景
▲厚生労働省

健康局 がん・疾病対策課 河田純 課長補佐

「がん対策推進企業アクション事業説明」
がん対策推進企業アクション事務局 事務局長 飯塚威文

がん対策推進企業アクションは、職域におけるがん検診受診率の向上、がん患者・経験者の就労、がんへの理解促進を、企業と連携して推進することを目標としており、パートナーとなった際のメリットや、講師を派遣しての企業への出張講座についての説明を行い、セミナー参加者(企業)に対し、パートナー登録を促しました。

飯塚事務局長の写真
▲がん対策推進企業アクション事務局
飯塚威文 事務局長

講演【1】 「職域におけるがん教育の重要性」
東京大学医学部附属病院放射線科准教授 放射線治療部門長 中川恵一氏

日本では、男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになり、がん患者が増えているのは先進国では日本だけであることについて言及し、日本人ががんのことをよく知らない現状は、知る機会がなかったためであることや、がんの5年生存率は65%(早期から末期まで)で、早期であれば95%になること、がんは罹患しても2/3が治る病気であるにもかかわらず、「がん=死の病」ととらえ、がんと診断されると死を大きく意識してしまうと話しました。リスクの知識がないことにより平常心でいられず、がんが分かってから治療を開始するまでの間に4割以上の方が仕事を辞めてしまい、がんと診断されるとがんに罹患していない人に比べ自殺率が20倍になることを説明しました。年間101万人ががんと診断され37万人以上ががんで亡くなっていることや、がん患者の1/3以上が働く世代であり、働く世代のがん罹患者が増えている現状にも触れ、今後も定年延長等により、働くがん患者がさらに増えていくと予想され、治療と仕事の両立支援は大きな課題となること、従業員ががんになっても、辞めないこと・辞めさせないことがとても重要であること強調しました。

がんの治療は外来でも行っているので、仕事を続けながらでも治療はできます。放射線治療の95%以上が通院での治療が可能で、夜10時まで対応する病院もあると説明しました。またがんは手術だけではなく放射線治療もあることを知ってほしいと説明。働く世代のがん患者の支援については、企業として伊藤忠商事の取り組みも紹介し、伊藤忠商事では、経営トップの社長が治療と仕事の両立支援の活動を積極的に行っており、会社全体でがん対策の意識がとても高いことを紹介しました。

また、がんについて正しく知ることの重要性から、全国の小・中・高等学校で今年4月から始まったがん教育の授業についても紹介。そして大人ががんのことを学べるのは職域でしかないことについて言及し、学校教育と同じく、職場でがんを知る機会を強制的に作らないと、がんと向き合うことはできないと述べました。

中川先生の写真
▲東京大学医学部付属病院放射線科准教授
中川恵一氏

講演【2】「がんになっても働き続けるために~ステージ4のがん患者の経験から

西口洋平氏(一般社団法人キャンサーペアレンツ 代表理事、
      
エン・ジャパン株式会社 人財戦略室所属、 胆管がん経験者)

現在、西口氏は新卒で入社したエン・ジャパン株式会社で働きながら、キャンサーペアレンツを立ち上げ、自身のがんと向き合いながら取り組んでいることについて説明しました。西口氏が胆管がんだと分かったのは2015年2月、35歳のときで、当時はがんに対しての知識もなく、自分ががんにかかるとは思っていなかったことを話されました。胆管がんは5大がんと違って珍しいがんであることや、5年生存率が他のがんと比べて低いこと、しかし自身はステージ4と告知を受けてから約2年半経った今もとても元気に過ごせていることについて言及。告知を受けたらかならず倒れてしまうということにはならないことを伝えました。

胆管がんの告知を受けた頃、職場、近所、友人でがんになった人がいなかったこともあり、会社や、子どもにどう伝えればいいのか、地域でどう付き合っていけばいいのか考えるようになり、2015年秋、国立がん研究センターのあるデータで子供がいる人でがんになる人が年間で56,000人増えていると知り、自分の周りでもがんだと本人が言わないだけで本当はたくさんいるのではないかと思った事、また、がんのことを話せる環境や、がんについて話したいと思っている人達がいるのではないかと思い、キャンサーペアレンツを立ち上げたと説明しました。キャンサーペアレンツは現在約1300人のこどものいるがん患者の登録があり、平均年齢43歳と比較的若い世代が多いことについて触れ、がんになっても生きていくという情報発信をしたいと述べました。

西口氏は胆管がん発覚後、転移があることが分かり、手術が出来ず抗がん剤治療しか選択肢がなかったこと、現在は働きながら週1回の通院を継続していること、免疫が下がるので肺炎になったり、入院したりすることが多いこと、抗がん剤のアレルギーも出て苦しんだこと、抗がん剤治療後に3か月会社を休んだが、休むことで戦力外となり、仕事がクビになるのではないかと悩んだことを話しました。

昨年5月、キャンサーペアレンツに注力するために正社員からパートへ切り替え、体力の関係で営業から人事部に配置転換をしてもらったことに触れ、がんになったことを周りの人に伝えることが最初はとてもつらかったこと、有給休暇がなくなると無給扱いになることや、週4日勤務、残業無しなどを加えると大幅に年収が下がってしまうが、毎日行くところがあることが日々の励みになると述べました。 もしもがんになったら、今の自分に出来ることと出来ないこと正確に伝え、企業は公平に、適正に配置してもらうことが大切であることなどを強調しました。

写真
▲登壇の様子 西口洋平氏

「地元企業様によるがん対策の取り組み紹介」

みやぎ生活協同組合 江刺恭子氏

みやぎ生協協同組合(以下みやぎ生協)では、がんを中心に病気をした従業員が休職しやすい環境作りをしていることを過去のデータを用いて解説し、事例をいくつか取り上げ紹介をしました。子宮がん、乳がんの一人当たりの休業数平均は約1か月、その他(食道がん、舌癌、精巣がん、卵巣がん、胆のうがん)は約3か月となっていること、休職期間1年4か月で満了になるが、その前に利用できる積み立て休暇や年休を使うことができること(約半年分相当)、また嘱託パートナーの休職期間は3か月満了であったが、労使交渉により4か月に延長されたことなどを説明しました。

休職事例として、大腸がんになった50代男性は4か月休職を経て、1日6時間の短時間勤務で復職。営業職の男性が膀胱がんになった際は、年休を使用して復職、その後抗がん剤治療のために約2か月休職を経て以前と同じ働き方で復職をしたこと。40代女性、乳がんの例は、1か月半通院で放射線治療を受け、有給休暇を消化したタイミングで復職したことを紹介。しかし、がんになった方が退職してしまうことや、亡くなってしまうこともあることや、舌がんになった方が6か月の休職、配置転換などを行い復職したものの、最終的には身体が非常に弱り、退職をしてしまった事例、精巣がんで亡くなられた方がいることなどを説明しました。

積み立て休暇や配置転換、短時間勤務など企業側で柔軟に対応していることや、本人が無理をしないように働きかける必要性、病気だからという理由で甘えすぎないために適切な対応を心掛けていること、その一環として一年前から復職時の診断書提出を導入したことを解説しました。また従業員が健康であるために、正規・非正規問わず健康診断を受けられる仲介バス健診の導入をしたことを説明。それでも非正規の大部分でがん検診がない対象者が多い現状が残っていることについても言及し、その対策として正規・非正規問わず子宮がん乳がん検診補助をしていることを紹介しました。市町村でやっているものを受けても生協側が補助していること、その件数は年間160件ほどになったこと、まだまだ告知が足りないと感じる部分もあるため案内を強化する予定であることも話されました。4月からは健康管理室を設け、喫煙率が高い現状を改善するために屋内禁煙と就業内禁煙を実施していることや、健康診断のオプションの充実(便潜血や前立腺がんなど)に力を入れていること、1次検査後の2次検査の漏れを防ぐために、こまめに案内することに注力し、検査を受けっぱなしになっている従業員に2次検査を進めたところ、効果が出てきたことなどを説明しました。

江刺さんの写真
▲登壇の様子 みやぎ生活協同組合 江刺恭子氏

質疑応答

【質問】糖尿病や歯周病とがんは関係があるのか?
【回答】 歯周病、虫歯の人、歯がない人はがんにかかりやすくなる可能性がある。 一日1回歯磨きをする人と、一日2回歯磨きをする人を比べると、後者の方が食道がんなどになる確率が3割減るというデータがある。糖尿病はインシュリンに発がん性があるので関係があると言える。
【質問】がん治療均てん化ではどのように取り組まれているのか?がん治療を重点的に行っている病院にインセンティブはないのか?
【回答】

第3期基本計画では質の均てん化は重大課題となっている。何を対象にして実地調査を行うかなどを検討している。小児がんや少ないがんに対しては集約化が必要だと考えており、すべてを均てん化をするべきではないと考えている。診療報酬は拠点病院では加算ポイントはあるので、その方向で進むはずである。

中川先生の写真
▲質疑応答 中川恵一氏
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