2017/09/13
がん対策推進企業アクション「東京セミナー」開催しました
挨拶(一般社団法人 全国健康増進協議会 田中勝代表理事)
全健協では、全国におけるレディース検診の基準統一をはじめとし、総合的な健康増進を推進していると説明があり、健康は社会の財産なので、今後もあらゆる健康需要に対応した取り組みを行っていきたいと強調されました。
がん対策推進企業アクション事業説明(がん対策推進事業アクション事務局)
働く人の7人に1人ががんに罹患するため、企業でのがんアクションが必要であり、がん対策推進企業アクションはこれをサポートするための事業であることを説明しました。
続いて、日本では2人に1人ががんになる社会であるにも関わらず、検診受診率が低いこと、先進国で唯一がん患者が増えていること、早期で発見されれば治る病気であること等を説明しました。そして、経営者ががんをよく理解している会社ほど、従業員の検診受診率が高い、というデータや、がんと診断を受けた人の離職・解雇の問題を示しました。
我が国におけるがん対策について(厚生労働省健康局 がん・疾病対策課)
続いて、厚生労働省健康局の大谷剛志課長補佐より、日本のがん対策について説明がありました。
がんは日本において死因の第1位であるという現状を踏まえて、対策の歩みが説明され、現在第3期のがん対策基本計画が実行されていることが解説されました。
検診についても説明があり、対策型検診と任意型検診の違いをはじめ国際的に見て検診受診率が低い現状を解説しました。
就労支援の問題としては、現在は罹患しても働きながら通院治療が可能であること、また、企業でも治療しながら働ける環境作りが求められることを訴えました。 特に、治療と仕事の両立には医療機関、企業、患者の三者によるトライアングル型の支援と、軸として三者を上手くつなぐ両立支援コーディネーターの存在が大切だと説明しました。
最後に企業アクションについての簡単な説明と、パートナー登録数が年々増えてきていることを示し、説明を終えました。
がんを知る〜検診から治療まで〜(東京大学医学部附属病院 放射線科准教授 中川恵一)
セミナーの最後には、中川先生の講演がありました。
はじめに、日本は一生のうち、2人に1人ががんにかかる「がん大国」であるにもかかわらず、日本でがんと診断された全ての人のデータを管理する全国がん登録が始まったのは昨年からである、と対策の遅さを提示しました。この対策の遅さは、日本ががん罹患の実態を把握する努力をしてこなかったことによるもの、つまり「がんで死ぬ」ということが身近でなかった現状によるものであると理由を説明がありました。日本では、焦げを食べないことでがんを予防できるという都市伝説や、放射線被ばくをするとがんになる、といった誤った情報が広く知れ渡っていることを挙げ、一般人はがんについての正しい知識が乏しいことを強調しました。
続けて、がんと就労の問題においても正しい知識が浸透していないことを説明しました。早期がんならば治る、という知識がないためにがんの診断を受けて自殺・離職してしまう人が多い、というデータを示し、周囲の力で仕事を辞めさせないようにしてほしい、と強く訴えました。「がんに関する知識不足」という話を踏まえ、今年度から学校でのがん教育が始まったことに触れ、がんの知識を得る機会がある子どもに対して、大人にはその機会がない問題を示しました。そこで、職場でがんの講座を開く等の対策が急務であると訴えました。
最後に、がんにかかるリスクを減らす方法をいくつか紹介しましたが、がんは運の要素もあるため、完全に予防することは不可能であることを説明しました。そして、もし周りにがんと診断された人がいても、自殺や離職を防ぎ、守ってあげてほしいと訴え講演を終えました。