2015/11/25 開催
がん対策推進企業アクション「福岡セミナー」を開催しました
2015年11月25日(水) 14:00~17:00、福岡市のJR博多シティにおいて〈がん対策推進企業アクション「福岡セミナー」〉を開催しました。全国7ブロックで開催されるセミナーの第5弾。地元福岡県だけでなく近隣の県からも応募をいただき、約100名の方が参加しました。
▲会場(受付)の様子
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「がん対策の更なる充実に向けて」
厚生労働省健康局がん・疾病対策課藤下真奈美課長補佐より、がん対策加速化プランの説明から国内のがん検診の現状について解説し、がん検診の現状と最近の動向として、がん検診の種類やがん検診の基本条件などを説明。検診受診率の低さについて、がん検診未受診の理由なども紹介し、「検診を受けやすい環境を整えていくことが重要」と話しました。
更に「新たなステージに入ったがん検診の総合支援事業」を説明し、職域におけるがん対策の重要性を語り、国策として「がん対策推進企業アクション」プロジェクトがスタートし、ここまで歩んできたことを振り返りました。
がんと就労に関しては、がん患者の就労に関する総合支援事業の中で、仕事と治療に対する取り組みとして、ハローワークなどで行っている就職支援制度や各種啓発活動を紹介しました。がん患者の就労支援についての連携及び拠点が拡大していることを説明しました。
▲厚生労働省 健康局
がん・疾病対策課 藤下真奈美課長補佐 |
「がん対策推進企業アクション事業説明」
がん対策推進企業アクション事務局の飯塚事務局長から、がん対策推進企業アクションの事業内容を説明しました。がん対策推進企業アクションは、職域におけるがん検診受診率の向上、がん患者・経験者の就労、がんへの理解促進を企業連携で推進していくことを目標としており、がん対策推進パートナーとなった際のメリット等を紹介しました。
▲がん対策推進企業アクション
飯塚威文事務局長 |
基調講演「企業におけるがん対策の重要性」
東京大学医学部附属病院放射線科准教授・「がん対策推進企業アクション」アドバイザリーボード議長の中川恵一先生による基調講演が行われました。
冒頭、2015年の推計値では、男性の67%、女性の50%が生涯のうちにがんに罹患するとしたデータを示し、がんはとても身近な病気であることを説明。何より大切なのは、正しい情報を知っていることと力説しました。
TV番組などを紹介しながら、「がんを防ぐ12か条※」を解説し、すべて実践すれば、がんを1/10に減らせるかもしれないと、がんを防ぐ生活は長寿につながるとして、特に喫煙について警鐘を鳴らしました。
職場でのがん検診はとても重要と語り、加えてがんを知るためのセミナーに従業員を参加させるなど、大人のがん教育の重要性と、企業が積極的に従業員にがん検診の受診を促進し、現役世代のがんを防ぐ意識が大切であることを強調しました。
がん対策推進企業アクションは、企業にとってマイナスの点は何もないこと、まだ参加していない企業があれば是非参加してほしいと要望しました。参考例として9月の全国大会で検診部門賞を受賞した株式会社古川を取材したNHK番組を紹介しました。
また、がん患者の就労に関しての問題点を指摘し、治療にあたる医師は就労について無関心なこともあり、それを補う意味でも社会保険労務士や、産業医が関わることが必要としました。
他の先進国では、がんの死亡率が減少していることを例にあげ、他国では起こっていないことが日本のがん社会で起こっている、がん検診受診率を上げていくことが急務だと語りました。
マスコミで報道されている北斗晶さんが乳がんに罹患したニュースを取り上げ、「一般的に誤解されているが、早期がんには症状がない、1㎝にならないとがんは見つけられない、1~2㎝のうちに見つけないと早期発見ではない、そもそも、がん検診の目的は、がん死亡を減らすことであり、早期発見が、がん検診の目的ではない」と語りました。
▲がん対策の重要性を説明する中川恵一先生
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▲会場の様子
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パネルディスカッション「大切な社員ががんになったら」
「大切な社員ががんになったら」をテーマとしたパネルディスカッションでは、中川恵一先生、社会保険労務士の吉原邦明氏、阿南里恵委員(アドバイザリーボードメンバー・特定非営利活動法人がん・生殖医療学会患者ネットワーク担当)の3名で、「がんと就労」をテーマにディスカッションを行いました。
最初に吉原氏より、社会保険労務士の仕事内容と、企業のがん対策に社労士はどのように関わっているのか、社会制度としてどのようなものがあるか、傷病手当金、高額療養費、失業給付、障害年金などについて説明がありました。当事者はもちろんのこと企業も悩んでいること、社内のコミュニケーションを円滑にしてトラブルを未然に防ぐことが必要であることが話されました。
▲社会保険労務士 吉原邦明氏
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続いて、阿南委員よりご自身ががんを罹患したことにより就労に苦労した実例を紹介後、「がんと向き合った4,054人の声」(静岡がんセンター「がんの社会学」に関する研究グループ)を紹介し、がんと就労に関してがん体験者の悩みや解決法などの実例を紹介しました。後遺症も人それぞれであり、周囲の理解が必要で、がんは生きるか死ぬかだけではないことを強調されました。
▲阿南里恵 委員
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3名が揃ってのディスカッションでは、冒頭社労士の吉原氏よりがん罹患と障害年金の話がありました。吉原氏によると7年間の社労士経験の中、がん罹患者で4名の方の障害年金受給へのお手伝いをさせていただいたことがあると説明がありました。1名の具体的な例を挙げて、日常生活を反映させた診断書を書いていただいて障害年金の給付が決まり、残念ながら亡くなってしまったが障害年金を受けたことにより旦那様には遺族年金が支払われることになった。吉原氏からは「障害年金は人生最期のあり様まで変えることができる」と改めて思ったと感想がありました。
中川先生からは、このような制度があっても申請がないと受給が出来ない、社会的認知がないから知られていないと指摘されていました。吉原先生が書かれた本「障害年金というヒント」を紹介して、もっと広くがんを罹患した方が障害年金を受けた方が良いのでは、と感想を述べられました。
阿南さんからは、早期に見つけるためにはがん検診がとても大切であることが強調されました。中川先生からが、社会の中でがん検診があたりまえの社会になることが必要である。特に中小企業で費用負担が厳しい場合には住民検診を社員に受けさせるなどの工夫が必要と述べました。
最後に検診や罹患した際の社会制度を有効に使うことが、より大切な社会になると締めくくられました。
▲パネルディスカッションの様子
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