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イベントレポート

2015/11/24 開催
がん対策推進企業アクション「岡山セミナー」を開催しました

2015年11月24日(火) 14:00〜17:00、岡山市の岡山国際交流センターにおいて〈がん対策推進企業アクション「岡山セミナー」〉を開催しました。全国7ブロックで開催されるセミナーの第4弾。地元岡山県だけでなく近隣の県からも応募をいただき、約120名の方が参加しました。
会場(受付)の様子
▲会場(受付)の様子
「がん対策の更なる充実に向けて」
厚生労働省健康局がん・疾病対策課 鈴木達也課長補佐より、増加傾向にある日本のがんの現状やがん検診について説明。がん検診受診の重要性を訴えました。またがん対策基本法に基づき、国をあげてがん対策に取り組んでいると話し、国策として「がん対策推進企業アクション」プロジェクトがスタートし、ここまで歩んできたことを振り返りました。更に現在取り組んでいる「がん対策加速化プラン」について解説し、今まで以上に職域におけるがん対策の重要となってくると語りました。
がんと就労に関しては、がん患者の就労に関する総合支援事業の中で、仕事と治療に対する取り組みとして、ハローワークなどで行っている就職支援制度や各種啓発活動を紹介しました。がん患者の就労支援についての連携及び拠点が拡大していることを説明しました。
鈴木課長補佐
▲厚生労働省 健康局
がん・疾病対策課 鈴木達也課長補佐
「がん対策推進企業アクション事業説明」
がん対策推進企業アクション事務局の飯塚事務局長から、がん対策推進企業アクションの事業内容を説明しました。がん対策推進企業アクションは、職域におけるがん検診受診率の向上、がん患者・経験者の就労、がんへの理解促進を企業連携で推進していくことを目標としており、がん対策推進パートナーとなった際のメリット等を紹介しました。
飯塚事務局長
▲がん対策推進企業アクション
飯塚威文事務局長
基調講演「企業におけるがん対策の重要性」
東京大学医学部附属病院放射線科准教授・「がん対策推進企業アクション」アドバイザリーボード議長の中川恵一先生による基調講演が行われました。 冒頭、2015年の推計値では、男性の67%、女性の50%が生涯のうちにがんに罹患するとしたデータを示し、がんはとても身近な病気であることを説明。何より大切なのは、正しい情報を知っていることと力説しました。また韓国で甲状腺がんの過剰診断の例をあげ、エビデンスが認められているがん検診、つまりは厚生労働省が定める対策型検診にのっとった内容の検診を受けることが重要であると説明しました。
TV番組などを紹介しながら、「がんを防ぐ12か条」を解説し、すべて実践すれば、がんを1/10に減らせるかもしれない。またがんを防ぐ生活は長寿につながるとして、特に喫煙について警鐘を鳴らしました。 職場でのがん検診はとても重要と語り、加えてがんを知るためのセミナーに従業員を参加させるなど、大人のがん教育の重要性と、企業が積極的に従業員にがん検診の受診を促進し、現役世代のがんを防ぐ意識が大切であることを強調しました。
さらにがん対策推進企業アクションは、企業にとってマイナスの点は何もないこと、まだ参加していない企業があれば是非参加してほしいと要望しました。 他の先進国では、がんの死亡率が減少していることを例にあげ、他国では起こっていないことが日本のがん社会で起こっている、がん検診受診率を上げていくことが急務だと語りました。
マスコミで報道されている北斗晶さんが乳がんに罹患したニュースを取り上げ、「一般的に誤解されているが、早期がんには症状がない、1㎝にならないとがんは見つけられない、1~2㎝のうちに見つけないと早期発見ではない、そもそも、がん検診の目的は、がん死亡を減らすことであり、早期発見が、がん検診の目的ではない」と語りました。
中川先生
▲がん対策の重要性を説明する中川恵一先生
会場の様子
▲会場の様子
パネルディスカッション「大切な社員ががんになったら」
「大切な社員ががんになったら」をテーマとしたパネルディスカッションでは、中川恵一先生、社会保険労務士の日笠みどり氏、阿南里恵委員(アドバイザリーボードメンバー・特定非営利活動法人がん・生殖医療学会患者ネットワーク担当)の3名で、「がんと就労」をテーマにディスカッションを行いました。
最初に日笠先生より、従業員ががんと診断されたときに社会保険労務士がどのようにかかわれるかについて説明しました。従業員ががんと診断されたら、まず今後どのようにしたいのか、仕事の分担などをどうするかなどを本人の希望をアセスメントシートに書き出すとよいとアドバイス。またどのような制度があり、利用できるかを確認することも大事だと語りました。
誰に、いつ、どのように自分ががんに罹患したことを伝えるかが難しいという声も多く、いわない人もいる。しかし企業には安全配慮義務があるため、ぜひ伝えてほしいと語りました。また復職に備えて、従業員からもコミュニケーションをとり自分の気持ちや状態を伝えること、徐々に生活習慣を整えたり、模擬出勤を行うなどの工夫も重要と伝えました。
日笠みどり氏
▲社会保険労務士 日笠みどり氏
続いて、阿南委員よりご自身ががんを罹患したことにより就労に苦労した実例を紹介後、「がんと向き合った4,054人の声」(静岡がんセンター「がんの社会学」に関する研究グループ)を紹介。自身が担当していたラジオ番組を通して知った、がんと就労に関してがん体験者の悩みや解決法などの実例を紹介しました。後遺症も人それぞれであり、周囲の理解が必要で、がんは生きるか死ぬかだけではなく、生活に大きく影響すると説明しました。
阿南里恵 委員
▲阿南里恵 委員
3名が揃ってのディスカッションでは、ケースを上げながら、それについて日笠氏が答えていきました。がんが再発した場合、一度受給した傷病手当金を再度受給できるのか。再就職をする際に履歴書の「健康状態」の欄にがんについて記入しなければならないのか。がんを理由に会社から不当な扱いを受けた場合について解説。健康保険法での治癒と医学的な治癒の概念は異なるため、社会復帰をした場合は再発しても再度「傷病手当金」を受給できるということ。履歴書の「健康状態」は既往症や病名各必要はないため、がんという病名を必ずしも伝える必要はなく、日々の仕事をする上で支障になることや、会社に配慮してほしいことがあれば書いてもよいこと。会社が病気の従業員をやめさせるために不当な言及やパ和原などの嫌がらせをしてきた場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談したり、ADRセンターや労働局の総合労働相談へ相談することが重要と伝えました。
パネルディスカッションの様子
▲パネルディスカッションの様子
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