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イベントレポート

2014/03/31
「平成25年度がん対策推進企業アクション シンポジウム」を開催致しました。

厚生労働省 椎葉課長からの挨拶

はじめに椎葉茂樹健康局がん対策・健康増進課長によりご挨拶を頂きました。
椎葉課長は、現在国家プロジェクトとして推進している「がん対策推進企業アクション」は、職域におけるがん検診受診率向上を企業連携で推進していくことで、がんと前向きに取り組む社会気運を高めることを目標としていること、従業員と家族の安心安全、ひいては企業の経営基盤をより確かなものにするためにも、本事業に「推進パートナー」として参加、協力していただきたいと説明しました。

続いて、がん対策推進企業アクション事務局より、平成25年度の「がん対策推進企業アクション」の活動について報告を行いました。

がん対策推進企業アクション運営事務局 平成25年度の活動報告

平成25年度の活動として、職域におけるがん検診受診率の向上を目標に、大きく分けて4つの活動を行ってきました。1つ目は活動状況等の情報発信、2つ目は推進パートナーの獲得推進、3つ目はがんに対する基本的な理解の促進、4つ目は職域におけるがん対策の企画・提案になります。
情報提供として小冊子『がん検診のススメ』の配布など、イベントとしては全国7ヶ所での事業説明会や全国大会などを実施しました。また、新たに265社、36万人に推進パートナーとして参加していただきました。

今年度の事業活動の報告後、シンポジウムに先立って実施されたがん検診受診や患者の就労支援に関するアンケート調査結果を題材として、株式会社キャンサースキャン 代表取締役の福吉潤氏からご講演頂きました。

株式会社キャンサースキャン 代表取締役 福吉潤氏から調査結果についての講演

平成25年度推進パートナー向けのアンケート調査は、がん検診率の受診状況を把握し、受診率を向上させるために必要な要素を明らかにするなどの目的から実施しました。この調査では同事業の趣旨に賛同する推進パートナー1,206社を対象に実施しており、411の企業・団体(回答率34%)から回答を得ました(ウェブ調査)。推進パートナーの平均受診率は76.6%と、全国民対象の目標50%超を大きく超える結果となりました。
また、集計した結果を基に、受診しやすい状況づくりのために企業が行っている取り組みを調べました。その結果、取り組んでいる施策の多寡と受診率の高低には明確な相関がないことがわかりました。
胃がん・大腸がんなど男女共通のがん検診受診率を企業として向上させるには、社員に受診をするように強制力を持たせることが有効であるとの結果が出ました。
一方、単体の検診として実施されることが比較的多い乳がん・子宮頸がんといった婦人科系のがん検診は異なる特徴が見られ、本人の自発性を高める取り組みがポイントになっていると報告されました。
就労についても企業の取り組みを調べました。がん患者の就労支援についての取組みを実施しているのは全体の10%であり、がんと診断された方の人数を把握している企業・団体は44%でした。就労支援における課題は「個人情報のうち、センシティブな情報にあたるため積極的に支援しにくい」が最多であると報告されました。
がんは重要な経営課題にであり、がん検診やがん患者の就労支援について対策を立てることは重要であると結ばれました。(当日の説明資料はこちら

▲講演する福吉氏
東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一氏によるご講演「企業におけるがん対策の必要性」

これまで長きにわたり幅広くがん対策に関する活動に取組んでこられ、現在、厚生労働省 がん対策推進協議会委員、そしてがん対策推進企業アクションアドバイザリーボード会議議長である東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏(以下 中川氏)より、「企業におけるがん対策の必要性」というテーマでご講演をいただきました。

中川氏は2008年のがんの罹患データを用いて「日本人が生涯でがんに発症する確率は男性が58%、女性が41%。年間75万人が新たに患者となり、毎年上昇傾向にある」、「年齢から見ると、がんに発症する方の30%強が20歳から64歳までの生産年齢であり、職場でのがん患者が今後増加するだろう」と予測されました。
次に中川氏は、がんの現状把握の一環としてがん患者の動向を日米比較し、「米国や欧州ではがん死亡者数が減ってきており、日本ではがん死亡者数は増えている」と解説され、その要因について以下のように語られました。「がんは老化の一種である。がんは設計図であるDNAが複製を失敗することで発生し、年齢を重ねるごとにその数は増加していく。」。また、「がんは成長するために相当の時間を要する」ことから、2重の意味で「がんは老化の一種である」と述べられ、日本は戦後高齢化が急速に進んだため、さらにがん患者は増えていくだろうと予測されました。

「現在の日本は少子高齢化により生産年齢層が減ることが予測されるため、労働力確保のために、老後も働いてもらわないとならない。実際に65歳以上の方でも就業している方が増加している」と中川氏は説明されました。しかしながら、「高齢者が増加するにしたがって、老化の一種であるがんに発症する方が職場で増加する。今後さらにがんの対策が必要である」と強調されました。
中川氏はがん対策として、がんにならないことが重要であると強調されました。「がんは生活習慣による影響が大きいが、生活習慣に十分に気をつけていても発症する可能性がある疾病である。ただし早期発見することでがんで死ぬリスクは大きく下げること可能である」と付け加えられました。そして、早期発見をする方法としてがん検診が有用であると説明されました。
中川氏は、1.8兆円あるいは1.3兆円とも試算される職域でのがんについての損失を説明され、早期発見であればその負担も少なくなると強調されました。
最後に、中川氏は「検査による費用はかかるものの、重篤化による診療報酬が減少することが予想されるため、費用対効果はプラスなると予想される。今後データヘルス計画によって、職域での費用対効果を検証しなければならない。」と述べられ、ご講演を結ばれました。

▲講演する中川氏
パネルディスカッション
(パネリスト)
東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一氏
株式会社キャンサースキャン 代表取締役 福吉潤氏
三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 トラストファイナンシャルプランナー 灰谷健司氏

三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 トラストファイナンシャルプランナー 灰谷健司氏(以下灰谷氏)から、がんが発覚した理由やがんになってからの仕事の取り組み方そして執行社員に昇進したことについて語られ、パネルディスカッションは始まりました。
灰谷氏は「日本人は自分はがんで死なないと思っている」と指摘され、日本のがん検診受診が低迷している理由についてご自身の意見を述べられました。また、自身が会社の人間ドック等の定期健診でがんが判明したことを踏まえ健診の重要性について述べられました。中川氏は「生活習慣を見直すことでがんの発症リスクをさげることは可能であるが、それでも不幸にもがんになってしまうケースがある」と説明され、がんの早期発見の重要性についても同意されました。
中川氏は、就業と治療の両立が可能であるにもかかわらず、がんになった方の3割の方が離職される状況を説明した上で、他社と三菱UFJ信託銀行株式会社様の取り組みの違いについて質問をされました。灰谷氏は三菱UFJ信託銀行株式会社の取り組みとして、「当社ではがんに限らず病気になったからといって離職する社員は少なく、会社から離職を勧められることもない。また、症状が重い場合については会社と相談の上、自身の状態にあった仕事の取り組み方が可能である」と説明されました。
次にディスカッションの内容が医療費に移ると、中川氏は「日本はがんに係る治療費が、健康保険や国の負担により、抑えることが出来る一方で、医療費の増加につながっている」と説明され、早期発見の方法としてがん検診に重要性について語られました。そして福吉氏は早期発見のメリットとして、「検診を提供することにより短期的には金額の負担はありますが、早期発見によって重篤化を防ぎ、医療費が削減出来るなど、長期的な観点から見た金額的なメリットのほうが大きい」とがん検診の費用対効果の観点から説明をされました。
灰谷様は「がん検診の受診率向上促進を進めてほしい」と述べられましたが、一方で「がん検診を受けることで、本来がんと判断されないものでもがんと判断されると可能性が有るので十分に注意する必要がある」と語られました。
最後に中川氏は「がん検診受診の費用対効果をエビデンスとして明示し、今後のがん検診受診率向上を勧めていきたい」と語られ、灰谷氏も「企業だけではなく、受診者にも受けたいと思わせることが大切である」と述べられ、パネルディスカッションを結ばれました。

▲パネルディスカッションの様子
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