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自社健康保険組合の設立で戦略的な健康経営に転換!がん検診受診率90%超を維持し、社員とその家族の健康を守る秘訣とは?

株式会社サンゲツ

株式会社サンゲツ

memo 「健康に働き、人生を送る、従業員が生き生きと働くために」——株式会社サンゲツは、各支社に健康管理推進担当を配置し、本社と連携してがん検診を含む健診受診の促進とフォロー、がん対策の周知徹底に注力しています。被扶養配偶者の人間ドック受診費用を補助するパートナードッグ費用補助制度など、社員の家族の健康づくりにも力を入れ、従業員が自発的に健康改善を意識する風土づくりのために、様々な取り組みを実施しています。

--ほとんどのがん検診受診率が高水準ですが、どのような対策をしていますか。

2017年から2019年の中期経営計画で「健康経営の推進」を定めて以来、戦略的に健康経営に取り組むようになりました。以前は協会けんぽに加入していましたが、自社の注力したい事項に財政を投じたいと考え、2019年に自社の健康保険組合を設立しました。大きく変わったのは人間ドックです。以前は部署責任者の他、35歳以上の5歳刻みの社員のみに付加健診を行っておりましたが、自社健保にしてからは35歳以上の社員は年齢・役職などに関係なく、全員が個人の費用負担なしで付加健診や5大がん検診の内容を盛り込んだ人間ドックを毎年受けられるように充実させました。人間ドックの受診イコールがん検診の受診となることが、高い受診率を維持できている要因だと考えています。
2024年からは20歳以上の女性社員および被扶養者を対象とした子宮頸がん検診の費用補助、40歳以上の被保険者への脳ドックと胸部CTの費用補助も開始しました。
がんに限らず様々な病気を早期発見するための取り組みを行っています。

--健康経営に取り組もうと考えられたきっかけや背景などはありますか。

社員の平均年齢や定年後の再雇用率が上昇している中で、健康に生き生きと長く働くことの重要性がより高まっています。社員の心身の健康づくりに向けて取り組みを進めることが、社員やその家族、地域社会全体の幸せづくりへの貢献のみならず、企業のパフォーマンス向上にも繋がると考え、健康保険組合や健康経営推進室を設立しました。
社員の病気の予防や早期発見に注力することが、生産性の向上に繋がると考えており、設立から現在まで、健診項目の充実、二次検診の受診勧奨、健診結果に基づく保健師面談等に特に力を入れています。

--がん検診の重要性をどのように社内に周知していますか。

新しく人間ドックの対象となる社員には、がん対策推進企業アクションの小冊子『働く人ががんを知る本』を配布し、がん検診の受診や、予防の徹底、そして早期発見の大切さを伝えています。原則として必ず受診してもらうため、予約が完了しているか、予約した人が予定通り受診完了しているかは把握するようにしています。面倒に感じる人もいるかもしれませんが、会社および健康保険組合の方針として、明確に予防と早期発見に財政を投じていますので、協力してもらえるように努力しています。社員の同意を得たうえで、健診結果には保健師と産業医が目を通し、二次検診の受診勧奨に繋げ、社員は二次検診の受診を完了次第報告するというフローにしています。

--健康経営やがん検診に関心を持ってもらうための対策はしていますか。

新しく管理職となる社員に対しては、毎年新任管理職研修を実施し、ラインケアの重要性などを保健師から説明するようにしています。不定期ではありますが、外部講師をお招きしてがん検診の大切さを教えていただく機会も設け、その都度、検診受診を促すようにしています。
健康経営全般の促進が目的ですので、がんだけに限らず情報提供を行っています。メンタルヘルスの研修をはじめ、2023年は女性の健康、2024年は認知行動療法やセルフケアに関する研修を実施しました。同じテーマばかりだとなかなか人が集まらないこともあり、その時ごとにテーマを変えて実施するようにしています。

--被扶養配偶者のパートナードッグの費用補助を導入されたきっかけを教えてください。

社員本人の健康がもちろん大事なのですが、より仕事のパフォーマンスや生産性の向上へ繋げていくために、ご家族の健康も重要だと考えたからです。パートナーにもしっかりと健診を受けていただけるよう健康保険組合から積極的に案内しています。パートナーが勤務先等で受診している場合は結果表を提出していただければクオカードを贈呈するという取り組みも行っています。パートナードッグ導入時は5割程度の受診率でしたが、2023年度は7割近くまで上昇しています。

--全支社に健康管理担当の社員を配置されているそうですが、どのような役割ですか。

健康診断の結果の管理や、不調者発生時の窓口対応、産業医面談時の立会いなどの役割を担っています。保健師が常駐している本社や東京では社員から直接相談を受ける機会もありますが、本社以外に勤務している社員はなかなか相談しにくいということもあり、不調のある社員を保健師や産業医へ繋いでいただいています。
また、健康経営は本社だけが取り組むのではなく、各地で健康管理推進担当が中心となり、各事業所発信で取り組んでいただきたいと考えています。自発的に「こういうことをやってもいいですか」と言ってくれる事業所もありますので、今後はこういう動きがどんどん広がるといいなと思っています。各事業所で予算を組んで、それぞれアイデアを出して健康施策に取り組んでいくことが理想です。

--健康経営推進室の活動やイベントの広報はどのようにされていますか

まずは業務連絡で発信して参加者を募っています。あとはアナログですがポスターを作成して掲示するほか、各拠点の健康管理推進担当に発信をお願いしたり、支社ごとのメーリングリストで共有してもらうなどの方法をとっています。発信するたび参加者が増えることもあるので、やはり発信の頻度は大事だと思います。

がん対策の受診率向上への取り組みの様子

--健康経営を進める中で、社内でなにか変化が見られたことはありますか。

2024年度に費用補助を開始した脳ドック、肺CTの受診状況を見ても、社員の健康意識の高まりを実感しています。また、キャリア採用の方には、こうした健康経営の説明をするといつも驚いていただいており、他社と比較して手厚いサポートがある良い会社に入ったと感じてもらえているという手応えがあります。
社長が率先して全社の禁煙や胃カメラの費用補助を推奨するなど、健康経営に本気で取り組んでくれたことも、健康経営への取り組みをスピーディーに展開できている要因と考えています。やはり経営者が、健康経営に本当に関心があること、理解してくれていることは重要だと思います。

--今後の目標、展望はありますか。

がん検診受診率に関しては今の高い水準を維持していきたいと考えています。2024年度から、20歳以上35歳未満向けの子宮頸がん検診補助も始めており、各種がんの早期発見に繋げていきます。健康に関心がない層や、自分の状態を知るのが怖いと考える層へどうアプローチするかが課題と思っています。生活習慣病に関連する数値の改善など、がん対策を含めた健康増進策を今後も強化し、社員が自発的に健康改善に取り組める風土づくりをしていきたいです。

--ありがとうございました。

株式会社サンゲツ
■ 設立
1953年
■ 従業員数
1,611名
■ 本社所在地
〒451-8575 愛知県名古屋市西区幅下1-4-1
■ 事業所数
33拠点
■URL
オフィシャルホームページ
https://www.sangetsu.co.jp/
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