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「がんの予防教育」
「早期発見につなげる健診・検診」
「治療と就労の両立支援」の
三本柱による「がん対策」への取り組み

三菱重工業株式会社 神戸造船所

三菱重工業株式会社 神戸造船所
三菱重工業株式会社 神戸造船所 産業医 田代 充生 先生

memo 1884年(明治17年)創立という長い歴史を誇る三菱重工業株式会社は全国に事業所があります。
今回、神戸造船所(所在地:神戸市)の産業医 田代充生先生より「がん対策」の3つの取り組みについて、がん対策推進企業アクション神戸セミナーの中で講演いただきました。

がん対策、まずはがんの予防を知ることと禁煙の徹底から。

神戸造船所は2016年現在、約4000人の社員が勤務しており、男性約3400人、女性が約600人で、30~40代が世代のピークになっています。また、がん対策としては「がんを知る、がんの予防を知る」「がんの早期発見につなげる健診・検診」「がん治療と就労の両立支援」に力をいれて実施しているとのことです。

まずがん予防の取り組みは、1994年から始まった生活習慣病についての40~50代向けの健康教育(Let’s go教育)からスタートしました。そして50才以上のがん増加に伴って2001年より45才以上の社員に対して産業医と保健師による禁煙教育を含むがん予防教育を開始しました。2008年以降はがんに造詣の深い講師や企業立病院の医師から講演をいただいているとのことです。2017年も10月31日に45才到達者とその他の希望者計172名を対象に「がんの予防について~がん検診のすすめ~」というテーマで予防教育を行いました。
また禁煙教育には産業医・保健師を中心に特に力を入れて取り組んできました。事業所全体として2005年から禁煙率低減の活動、2006年には事務所エリアの完全分煙化、そして2015年には屋内禁煙化を実施。2003年に44.4%だった喫煙率を2016年には22.3%にまで下げることができました。今年も10月13日に「みんなのためになる肺の健康とたばこのお話」というテーマで51名の希望者に禁煙教育を行いました。

人間ドック健診の対象を全年齢に拡大

こちらでは定期の健康診断に人間ドックをつけた人間ドック健診を三菱神戸病院検診センターで実施しています。健保による人間ドックの補助対象が35才以上から、2012年4月より全年齢に拡大しました。
がん検診項目としては、胃がん検診は上部消化管内視鏡検査とピロリ菌除菌、大腸がん検診は便潜血検査(2日法)、肺がん検診は胸部単純Ⅹ線、胸部CT(オプション)、乳がん検診はマンモグラフィーと乳腺エコー、その他に子宮がん検診、腹部エコー、血液検査などを実施しているそうです。
人間ドックの受検率は、がん世代の50代が70%程度と高いものの、30才代は20%に届いておらず、平均すると30%台程度です。受検率向上のため、併せて人間ドック健診を受検できない方には郵送検診(大腸がん、前立腺がん、子宮頸がん)も並行して行っているということでした。

▲郵送検診のお知らせ
▲郵送検診のお知らせ
▲郵送検診のお知らせ

また健診の成果としては、傷病件数・日数の要因が悪性新生物がこれまで継続して第2位だったものが、平成28年度は件数5位、日数4位と減少したことがあげられるのではないかと語りました。

復職は明文化されたルールに従ってスムーズに進める

最後にがん治療と就労の両立支援については、主治医と会社と産業医が連携して行っているそうです。復職手続も明文化されたものがあるため、もしそのような決まりがない企業があれば、なんらかの決まりを作っておくべきと話しました。
神戸造船所の復職手続は下記のような流れに従って進めます。
(1)主治医の意見(所定意見書に記入)
(2)産業医の意見(意見書作成)
(3)(職制・事業所と復職環境の調整)
(4)職制・事業所の許可(必要に応じて審査会)
(5)産業医・保健師による復職後フォロー
これらを通じて、円滑な職場復帰を目指していると述べました。
また、平成20年より始まった、短時間勤務から開始しながら本出勤までの慣らし出勤期間を設けるリハビリ出勤制度についても紹介しました。

講演の最後には神戸造船所の今後のがん対策の課題として、
【1】禁煙率(者)のさらなる低下(減少)
【2】人間ドック受検率(者)のさらなる上昇(増加)(特に女性・高齢者)
【3】がん治療と就労の両立支援(特に高齢者/企業立病院以外との連携)
【4】経営環境の変化への対応
と述べました。産業保健の立場として、法令を遵守しながら、企業ニーズ・実態に応じて、各事業所で考えていくべきと話し、話を締めくくりました。

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