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「イクメン企業アワード2015」グランプリに輝いた大同生命
「ココ・カラ宣言」のもと積極的な健康施策を推進

大同生命健康保険組合

大同生命健康保険組合
大同生命健康保険組合 常務理事 竹村 透さん
大同生命保険株式会社 人事総務部 課長 中山 鉄平さん

memo 太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の3生保を中核とするT&D保険グループ。その中にあって中小企業向け保険商品に強み持つのが大同生命です。創業家一族がモデルになったテレビドラマを見た方も多いと思います。同社はいち早くワーク・ライフ・バランス推進に取り組んだことでも知られていて、その取り組みにより生命保険会社では初となる厚生労働省の「イクメン企業アワード2015」グランプリを受賞しています。そして今年度からはココ・カラ宣言(※)のもと、さらに健康施策を強化し、中小企業のお客さまへの健康経営普及に向けた取組み「DAIDO KENCO アクション」をスタートしました。「健康経営優良法人~ホワイト500~」認定企業でもある大同生命に、お話をお伺いしました。(取材日:2017年2月8日)
※従業員一人ひとりが心身(ココロ・カラダ)ともに健康であることが、企業の成長と社会貢献へつながるという考えに基づく同社の健康経営宣言。

定期健康診断の受診率は100%。次なる目標は女性がん検診の受診率向上

大同生命には内務職員が約3000名、営業職員はおよそ4000名います。全国に128支社200以上の拠点があるため定期健康診断の実施もなかなか大変で、200以上の医療機関と提携して行っています。その受診状況は2014年から3年連続の100%を達成しました。また35歳以上の定期健診に人間ドックと同様のがん検診を組み込んでいるので、肺・胃・大腸のがん検診受診率もほぼ100%です。一方で乳がん・子宮頸がんはぐんと下がり、国の受診率と同程度にとどまっています。女性がん検診の受診率をあげることが今後の課題です。

女性がん検診も35歳以上の定期健診に組み込んでいるのですが、予約が取りにくい地域もあって、今ひとつ数字が上がっていないのだと捉えています。また乳がん検診は2年に一度になっていて、今年は個人負担なし、来年は個人負担でお願いします、というシステムでした。データを分析してみたところ、やはり有償の年は受診率が下がっています。そこで2017年度より毎回、個人負担なしの制度へ変更します。また、肺がん検診には喀痰細胞診を導入します。以前も採用していて一度止めたという経緯があるのですが、がん対策推進企業アクションのセミナーで中川先生の講演をお聞きし、再度採り入れる意思を固め、健保組合会で承認いただきました。

▲取り組みを説明してくれた大同生命健康保険組合の竹村常務理事
▲取り組みを説明してくれた大同生命健康保険組合の竹村常務理事

要精検者への受診勧奨を強化。最後は保健師からアプローチ

定期健康診断での要精検者には事業所と健保組合から受診勧奨をしています。がんはもちろん、血圧・血糖値・脂質異常などの対象者全員に書面で勧奨し、一定期間経過しても未受診の場合は、所属長や産業医を経由して勧奨したり等、近年特に受診勧奨を強化してきた結果、10年前まで約50%程度だった受診率は75%以上の高水準になりました。また、健保組合のデータヘルス計画の一環として「リスクが高いが医師の管理下にない未受診者」には、保健師からダイレクトに電話で呼びかけをしています。

なお、健保組合「健康管理事業推進委員会」と大同生命「本社衛生委員会」を毎月、協働開催し、健康管理・健康増進などについて審議しており、健康に関する情報を全社員に発信しています。2016年度は、頭痛や肩こりなど身近な体調不良を採りあげ生活習慣改善のポイントを毎月提供しましたが、2017年度は、がんなど重症化予防のための病気の早期発見・早期治療をテーマとする予定です。例えば世界禁煙デーのある5月は肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を、がん征圧月間の9月には大腸がんを、乳がん月間の10月には乳がんをというようにがんの予防対策に関する情報などを継続的に提供していく予定です。

健康リテラシーを向上させ、社員自らが健康管理に取り組む環境へ

ココ・カラ宣言では、「健康リスクの把握・管理」「健康増進に向けた支援」「労働時間の削減」という3カテゴリーで施策が実践されます。まず「健康リスクの把握・管理」では、前記した健康診断への取り組み強化やストレスチェックのほか、大阪商工会議所が主催しているメンタルヘルスマネジメント検定の受検を管理職に推進する予定です。「健康増進に向けた支援」では、株式会社バリューHRと共同開発した「健康経営」の実践ツールである「KENKO SUPPORT PROGRAM」を活用します。具体的には、過去5年分の定期健診結果の推移を一覧やグラフで個人ページに表示し、健康リスクを「見える化」するほか、心拍数・歩数・消費カロリー等、普段の活動状況を測定できるウェアラブル端末(活動量計)を従業員に提供し、測定されたデータを個人ページ上で常に確認できるようにします。また、食事改善アドバイスや各種健康情報の提供を通じて従業員の日々の健康管理を支援していきます。

▲社員に支給されたウェアラブル携帯のワンタイプ
▲社員に支給されたウェアラブル携帯のワンタイプ

また、健康をテーマとした講演会を実施します。その記念すべき第一弾が2月8日に実施した中川先生の講演会です。全社員に「がん検診のススメ」を事前に配布のうえ、東京本社でのライブ映像を大阪本社や全国128支社など約200拠点へ同時配信し、7000名以上の全社員が受講しました。他にも、禁煙推進学術ネットワークが定める「禁煙の日(毎月22日)」に倣い、2月から毎月2日と22日を当社の禁煙デーとしています。

これら施策の狙いは健康リテラシーを向上させること。社員本人の健康意識向上はもちろん、中小企業の健康経営推進を応援する当社は、お客さまへ向けても健康情報を発信しなければいけません。そのフロントに立ってほしいという意図を併せ持っています。お客さまへの発信というところでは、大同生命のお客さま向けホームページ「頑張る経営者の応援サイト」で中川先生のがん講座を2月から掲載しています。

▲中川先生の講演会
▲中川先生の講演会

15年以上前から取り組んでいる、ワーク・ライフ・バランスの良い職場づくり

労働時間の削減については、15年以上前から取り組んでいます。2001年に「リミット22」として22時のオフィス消灯を開始。すぐに21時に前倒しした後も、一定の効果は出ていたのですが、それでも暗いなか仕事を続ける社員がいたため、2006年にはパソコンの強制シャットダウンを開始しました。2013年には、それまでより1時間前倒しして「リミット20」としましたが、これをさらに推し進め、この4月からは「チャレンジ19」をスタートさせます。原則19時までに帰ろうという施策です。また月2日の「早帰り日」は遅くとも18:30までの退社を推奨しています。そのほかではITインフラを活用した在宅勤務制度も導入しています。当制度は2014年にはじまり、既に200名以上が活用しています。育児・介護中の利用が多く、まだ病気治療での活用は少ないですが、今後、該当の従業員がいれば周知していきたいと考えています。

▲健康増進施策の推進役となっている人事総務部の中山課長
▲健康増進施策の推進役となっている人事総務部の中山課長

病気治療に触れたので、就労支援についても説明します。当社では有給休暇や積立休暇、休職制度などにより、最長5年間、会社に籍を置きながら治療が続けられる環境です。職場に復帰した後のニーズが高いと思われる、病気治療を理由とする短時間勤務制度についても4月より導入します。フレックスタイム制度や在宅勤務を併用いただくことにより、病気治療しながらの就労をサポートします。
これらを通じ、当社で働く全ての従業員が働きがいを感じながら能力を発揮できる企業風土づくりを進めるとともに、社会的にも信認される企業を目指していきたいと思います。

▲ココ・カラ宣言に基づき様々な施策を展開
▲ココ・カラ宣言に基づき様々な施策を展開
大同生命健康保険組合 概要
■ 設立
1947年7月(相互会社としての法人設立日)
※創業は明治35年(1902年)
■ 代表者
代表取締役社長 工藤 稔
■ 資本金
1100億円
■ 従業員数
内務職員3147名 営業職員3881名(2016年9月末現在)
■ 本社所在地
大阪本社/大阪府大阪市西区江戸堀1-2-1
東京本社/東京都中央区日本橋2-7-1
■ 事業概要
生命保険業など
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