コンソノート 企業のがん対策事例集 コンソノート 企業のがん対策事例集

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社員の平均年齢35.5歳
創立20周年を迎えたYahoo! JAPANの健康施策が今まさに本格化

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社
写真左から、
ヤフー株式会社 コーポレート統括本部 健康推進センター室長 西 知之さん
保健師 安武 麻美さん
産業医 下方 征さん
看護師/リーダー 竹内 幸子さん

memo サービスを1996年より開始したYahoo! JAPAN。インターネット検索といえば真っ先に名前のあがる会社であり、インターネットの世帯普及率が80%を超えた現在は、「Yahoo!ショッピング」や「ヤフオク!」も身近なものとなっています。今回はヤフー株式会社を訪問し、健康施策とがん対策について取材しました。平均年齢35.5歳と社員の年齢が若く、施策が本格化したのは近年という同社ですが、業界をけん引するIT企業ならではの取り組みが多々ありました。その一端をここに紹介します。

2016年9月、社長が「健康経営宣言」。健康施策がさらに本格化

ヤフー株式会社は設立20周年を迎えました。業界の中では離職率がきわめて低く、社員の平均年齢は35.5歳になっています。それでも他業界に比べれば「若い」のですが、近年は社員の健康管理が重要な課題になっていました。そんな中2015年にがん対策推進企業アクションへ参画。社員の健康推進に問題意識を持ちながら、これまで少しずつ施策を強化してきました。

そして2016年9月、社長が健康経営宣言。自らCCO(チーフ・コンディショニング・オフィサー)に就任し、旗振り役になると宣言したので、当社の健康施策は一気に加速し、また強化されています。一般的にはCHO(チーフ・ヘルス・オフィサー)の名称を使うことが多いと思いますが、そこは代表取締役社長・宮坂学のこだわりで、朝から社員にベストコンディションで働いてほしいという想いが込められています。施策を担うセクションの名前も「健康推進センター」。いわゆる健康を“管理”するのでなく、もっと積極的に推進しなさいと指示されています。

▲取り組みを説明してくれた健康推進センターの西室長
▲取り組みを説明してくれた健康推進センターの西室長

がん検診は本人負担なし。高い受診率を達成

そんなヤフーの定期健康診断とがん検診について説明します。現在、ヤフーでは約6000名が働いています。本社に約5000名。八戸・名古屋・大阪・高知・大分に約1000名という分布です。健保はITソフトウェア健康保険組合に加入しており、東京は健保直営並びに契約の3検診機関で、地方はそれぞれ会社が契約した医療機関で定期健康診断を受診します。

がん検診は対象年齢に達すると、自動的に定期健康診断に組み込まれます。胃がん・大腸がんは30歳以上、肺がん・乳がん・子宮頸(けい)がんは20歳以上が対象です。乳がんについては、20歳以上はエコー・40歳以上はマンモを基本としていますが、希望者は併用も可能です。前記の検査は全て自己負担ゼロ。当然ながら検診は勤務時間内に受診できます。受診率は胃がん93%、肺がん99%、大腸がん91%、乳がん83%、子宮頸がん77%と高い数字を達成しています。

定期健康診断については、約6000名の受診予約をチェックし、受診まで導くのは正直なところ大変です。センターのメンバーだけではそろそろ限界かなということで、来期から予約部分だけはアウトソーシングしようかと考えています。

▲Yahoo! JAPANの健康施策を担う保健師の安武さん ▲Yahoo! JAPANの健康施策を担う保健師の安武さん
▲Yahoo! JAPANの健康施策を担う看護師の竹内さん
▲Yahoo! JAPANの健康施策を担う看護師の竹内さん

各種セミナーを頻繁に実施。参加しやすいように様々な工夫を

次に健康推進センターの活動について説明します。センターには産業医7名、保健師4名、看護師2名、企画職3名が所属し、このメンバーがYahoo! JAPANの健康施策を担っています。たとえば定期健康診断・がん検診の予約状況を把握。リスケジュールの調整や予約が無い人への注意喚起も産業医・保健師・看護師が中心となって行っています。それでも予約を入れない社員には、上司を巻き込んで受診勧奨します。

また各種啓発活動も積極的に行っています。セミナーの受講率を上げるため、タイトルを工夫したりもしています。2016年2月には乳腺外科医を招き、婦人科がん検診セミナーを開きました。女性対象でしたが、男性にも「家族のサポートが大切ですよ」と呼びかけたところ、出席者の3分の1は男性という結果。予想以上の反響がありました。

また産業医の下方先生は、今日まさに「ヤフーで働く人のがん予防」という講演を終えてきたばかりです。要精密検査といわれたら必ず受診しなさい、がんと診断されたら一人で悩まずセンターに相談しなさいと、150名の参加者に話してきました。こういうセミナーの参加申し込みもイントラ上で簡単にできます。今後はセミナー動画をイントラにアップしたり、また遠隔事業所へオンライン配信することも考えています。

▲「ヤフーで働く人のがん予防」の講演会の様子 ▲「ヤフーで働く人のがん予防」の講演会の様子
▲講演会終わりで取材に参加してくれた産業医の下方先生
▲講演会終わりで取材に参加してくれた産業医の下方先生

Yahoo! JAPANならではといえる社会へ向けた取り組みも実施

社内の制度だけではなく、Yahoo! JAPANならではといえる社会へ向けた取り組みも行っています。これまでインターネットで「がん」とキーワード検索すると、ページのファーストビューには広告が並んでいました。がん患者さんや家族の方は必要な情報をいち早く見つけたいはず。そこで検索サービスを提供する会社として、エビデンスのある治療法などが見つけやすいシステムを開発しています。その第一歩が「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」への遷移です。いまYahoo! JAPANで「乳がん シコリ」「乳がん 治療」などの検索をすると、このガイドラインが真っ先に表示されます。日本乳癌学会の協力を得て2016年10月からこの表示に変わりました。今後は他の疾病や治療にも拡大していきたいと考えています。

▲プロジェクトマネージャーのメディアカンパニー検索事業本部の清水裕子さん ▲プロジェクトマネージャーのメディアカンパニー検索事業本部の清水裕子さん
▲検索サービスを提供する会社だからできる社会への取り組み
▲検索サービスを提供する会社だからできる社会への取り組み

就業と治療の両立支援をさらに強化。今後は目標の数値化も行う

会社として次に取り組みたいこと。その一つが就業と治療の両立支援です。がんをはじめとした体の病に対する取り組みも強化したいと考えています。たとえば当社には「どこでもOFFICE」という勤務場所がオフィス外でもOKというユニークな制度があります。これらも活用して“働き方”を新しい視点から検討することを始めています。

また各種施策を推進するにあたって目標の数値化が必要だと捉えています。明確な目標を立てて、効果検証を行う。そしてきめ細かな改善を図っていく。これを来期の指針にします。定期健康診断の受診率100%と健康経営銘柄への登録を目指します。

▲11月にオフィスに誕生したコワーキングスペース「LODGE」。
▲11月にオフィスに誕生したコワーキングスペース「LODGE」。
ヤフー株式会社(Yahoo Japan Corporation) 概要
■ 設立
1996年1月
■ 代表者
代表取締役社長 宮坂 学
■ 資本金
83億9500万円(2016年12月31日現在)
■ 売上高(連結)
6523億2700万円(2016年3月期)
■ 従業員数
5794人(2016年12月31日現在)
■ 本社所在地
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー
■ 事業概要
主な事業
◇インターネット上の広告事業
◇イーコマース事業
◇会員サービス事業 など
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