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要精密検査と診断された人を決して見逃さない
事業所と健保組合が一体となって進める、秋田銀行の「がん対策」

秋田銀行健康保険組合

秋田銀行健康保険組合
秋田銀行執行役員経営管理部長 秋田銀行健康保険組合理事長 播磨屋 寿敏さん
秋田銀行健康保険組合 常務理事 喜藤 茂さん
保健センター 主任(保健師) 菊池かおりさん
保健センター 主任(保健師) 平塚 久美子さん
保健センター(保健師) 高橋 佳子さん

memo 明治12年(1879年)創業と長い歴史を誇る秋田銀行は、現在、県内外に97の店舗網を展開している秋田県を代表する金融機関です。健保組合も1951年という早い時期から設立し、職員の健康施策に注力してきました。また地域の経済や産業に深く関わる銀行として、対外活動も積極的に推進しています。秋田県が主導する「がん検診受診促進企業連携事業」の幹事も務める秋田銀行を訪問し、事業所と一体で進めている健康保険組合からがん検診をはじめとした健康への取り組みを取材しました。

胃がん96%、肺がん99%、大腸がん98%。きわめて高い受診率を達成

秋田銀行は定期健康診断と人間ドックをベースとして、職員と配偶者に手厚い検査を提供しています。定期健康診断には胸部X線検査(肺がん)があり、20歳以上の希望者は年齢に関係なく子宮頸がん検査を受けられます。30歳・35歳・37歳の節目と39歳以上を対象とした人間ドックには、胃がん・大腸がん・乳がん検査のメニューが加わります。胃がん検診はX線または内視鏡検査を自身で選択でき、乳がん検診もマンモグラフィとエコーから選ぶことができます。そして50歳以上の職員は毎年、前立腺がん検診を受けられます。大腸がん検査は便潜血2日法です。人間ドックのメニューは基本的に40歳以上の被扶養者も同様としており、健診費用はほぼ全額を事業所または健保組合が負担しています。

県内外に多数の事業所がある秋田銀行では、あらかじめ契約を締結した医療機関で人間ドックを受けています。また、人間ドック受診日も就業扱い(特別休暇)ということなどから、職員のがん検診受診率はきわめて高く、2015年度は胃がん96%、肺がん99%、大腸がん98%、乳がん75%、子宮頸がん71%を達成しています。

▲定期健康診断の受診会場の一つ あきぎん体育館
▲定期健康診断の受診会場の一つ あきぎん体育館

啓発活動にも注力。受診率向上に向けた様々な施策を展開

当行職員は検診に対する意識も高いと思っていますが、若年層にも検診の重要性を啓発するため20歳から子宮頸がん検診が受けられるなどの、人間ドックの対象年齢に達していない若手職員にも案内通知を送っています。そして案内通知には前年度の有所見率も掲載します。身近なデータを知ることで、若い人もがん検診の重要性を一層理解すると考えています。2015年度の子宮頸がん検診の有所見率は8.2%でした。このように有所見率が高いのは、卵巣腫瘍検診として経腟超音波検査も行っていること、リスクを感じている人が多数受診するためだと思われます。そのほか「健診・人間ドックガイド」を配布するなど健診に対する啓発活動も積極的に行っています。

秋田県は胃がん・大腸がん・肺がんの死亡率が全国上位で推移しています。そこで秋田県では早期発見・治療をするため、秋田県知事自らが旗振り役となってがん対策を進めています。このプロジェクト「がん検診受診促進企業連携事業」の幹事を秋田銀行が務めています。

▲健康診断・人間ドックガイドなどの啓発ツール
▲健康診断・人間ドックガイドなどの啓発ツール

精密検査の受診勧奨に注力。毎年ここで「がん」を発見

定期健診の準備は年明け早々にスタートします。まず医療機関のスケジュールを押さえ、職員個々に割振りしていきます。人事異動もありますので、なかなか調整は大変ですが、およそ4月から8月の間に全員の受診を完了させます。そして医療機関から結果が上がってくる10月にデータを取りまとめ、要2次検査と診断された人をリストアップ。文書・電話などで2次検査の受診勧奨を行っています。2次検査を受けたら該当者から受診結果報告書が届きますが、それが確認できるまで該当者を追いかけます。また症状が重いと判断した場合は3名の保健師や産業医が直接、面談することもあります。

未受診者がいる場合は、事業所の人事部門を通じて各所属長へ報告します。ここまでくると各部としての取り組みが問われるため、上司に促されて殆どの人が腰を上げます。多いときは1人に5・6回の受診勧奨を行ったこともありますが、2次検査で2014年7名、2015年3名、2016年4名のがんが早期に発見されました。しつこいくらいの受診勧奨はまだ必要だと捉えています。

▲秋田銀行健康保険組合 常務理事の喜藤さん
▲秋田銀行健康保険組合 常務理事の喜藤さん

休職期間延長など就労支援の制度も充実

がんに特化した制度ではありませんが、長期療養を必要とする職員へのサポートも充実しています。年間の有給休暇のうち残余休暇日数の一部を翌年度に繰越しすることができ、当年度の有給休暇を加えて病気治療に使えます。その後も引き続き治療が必要な人には有給休職が適用され、さらにその期間を過ぎて無給休職になってからは健康保険組合から傷病手当金や付加給付金が支給されるので、療養者が生活に窮したという話はほとんど聞きません。

▲秋田銀行健康保険組合 保健師主任の菊地さん
▲秋田銀行健康保険組合 保健師主任の菊地さん
▲秋田銀行健康保険組合 保健師主任の平塚さん
▲秋田銀行健康保険組合 保健師主任の平塚さん
▲秋田銀行健康保険組合 保健師高橋さん
▲秋田銀行健康保険組合 保健師の高橋さん

発見・発症前の予防も強力に推進

私たちが健保事業に関わったとき、今まで紹介してきた制度や施策の大半は既に導入されていました。そのため私たち自身はきわめて当たり前に思っているのですが、銀行を退職したOBや他の企業へ移った人は、秋田銀行と健保組合のサポートは手厚いと話すそうです。そういう話を伝え聞くと実に嬉しく、そして誇らしく思います。

さらに当行では、特定健康診査、特定保健指導が始まった2008年度から重症化予防の一環として生活習慣病対策に積極的に取り組みしています。

具体的には、特定健康診査で動機づけ支援・積極的支援の対象となった職員・配偶者に特定保健指導を実施しており、2015年度は特定健康診査受診率92.1%、特定保健指導率54.1%となっています。

高齢者社会が進む中では健康寿命の延伸が大きな課題であり、若い世代のうちから食生活、運動および休養・飲酒・喫煙等の生活習慣を適切な指導によって改善を促し、各種疾病の発見・発症前の予防を推進しています。

▲定期健康診断時のX線検診車
▲定期健康診断時のX線検診車
株式会社秋田銀行 概要
■ 創業
1879年1月
■ 代表者
取締役頭取(代表取締役) 湊屋 隆夫
■ 資本金
141億円(2016年3月末現在)
■ 総預金
2兆5707億円(譲渡性預金含む)
■ 本社所在地
秋田県秋田市山王3-2-1
■ 事業概要
普通銀行業務。 本支店・出張所合わせて96拠点(秋田県内80、県外16)とインターネットバンキングを展開する地方銀行。県を代表する金融機関である。
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