コンソノート 企業のがん対策事例集 コンソノート 企業のがん対策事例集

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会社・健保組合・産業保健スタッフの三位一体で施策を推進
就業支援にも積極的に取り組む

株式会社大和証券グループ本社

株式会社大和証券グループ本社
大和証券グループ本社人事部 健康推進課長 担当部長 安藤 宜弘さん
大和証券グループ総合健康開発センター 保健師 安田 美紀さん
大和証券グループ健康保険組合 事務長 安海 俊幸さん

memo 業界有数の規模を誇り、国内外の幅広いビジネスフィールドで、多様な金融事業を展開している大和証券グループ。その持株会社『株式会社大和証券グループ本社』を訪問し、健康への取り組みについて取材しました。がん対策企業アクションが始まった2010年時からプロジェクトへ参画している同社。2010年にも取り組みを取材しましたが、今回改めて2016年から始まった施策などを伺ってきました。

人間ドックを受けていない20%に対しての施策。過去最高の受診率を達成

6年前の取材でも説明したように、大和証券グループはかなり以前から社員の健康管理に注力しています。

その結果として定期健康診断はもちろんのこと、人間ドック(がん検診)を必ず受ける風土が根付いています。そのため、人間ドックの受診率は80%台でずっと推移してきました。しかし残り20%の未受診者については固定化が見られ、同じ人が複数年受けてないという状況であったため、この20%を強く意識した施策を講じました。具体的には2~3年人間ドックへ行っていない人にメールで受診を勧奨。さらにグループ全社の部長、支店長等の上司に対し、配下の社員に人間ドック受診を指導するよう要請しました。そのうえでまだ予約の無い場合は、グループ全社の人事部門から毎週メールで受診勧奨を実施しました。この上司を巻き込んだ受診勧奨が実を結び、2016年は過去最高の受診率を達成しました。

▲人事部 健康経営推進課長の安藤宣弘さん
▲人事部 健康経営推進課長の安藤宣弘さん

会社+健保組合+産業保健スタッフが三位一体で健康施策を展開

人間ドックは35歳以上の社員・被扶養者が対象で、国のガイドラインにある検査全てをメニューに組み込み、秋から冬にかけて実施しています。胃がん検査はやや予約が取りにくいという課題はあるものの、バリウム検査から内視鏡検査への移行を推進しています。婦人科検診については年齢制限なく全女性社員が対象で、その受診率は乳がん62.0%、子宮頸(けい)がん57.0%となっています。しかしながら、34歳以下の受診率で見ると35%と、若年層の受診率アップが課題です。昨年は受診者へカフェの無料券を配布して一定の成果を見ましたが、今後も継続的な取り組みが必要だと思っています。人間ドック以外に、全社員が定期健康診断を受診しますが、今年はさらにがん対策を充実させるため定期健康診断においてABC検診(ピロリ菌検査)と肝炎ウイルス検査を全員を対象に実施しました。

これらの健康施策を会社+健保組合+産業保健スタッフの三位一体で行っています。なかでも特徴的といえるのが産業保健スタッフのいる総合健康開発センターだと思います。グループ本社にある総合健康開発センターにはX線検査機はじめとした医療機器があり、定期健康診断をここで実施します。同センターには専任・嘱託含め20名以上の医師・2名の看護師・保健師7名が在籍。医療行為だけでなくグループ全社員に向けた啓発活動のベースにもなっています。

▲大和証券グループ健康保険組合 事務長の安海俊幸さん
▲大和証券グループ健康保険組合 事務長の安海俊幸さん

働き続けながら「がんを治療しよう」と思ってほしい

定期健康診断で要精密検査と診断された人には、社内でイエローペーパーと呼んでいる受診確認用の黄色い紙を配布し医療機関受診を義務付けています。それでも検査だけで、がんを防ぐことは不可能。がんと診断されても、治療を続けながらいきいきと働いている社員が少なからずいます。

がんだけに向けた施策ということではありませんが、当グループは病気を抱える社員の事情に添ったサポートがしたいと考え、多様な制度を設けています。その一つにたとえば「ライフサポート有給休暇制度」があります。これは未消化で本来なら失効となる有給休暇を復活させて、50日を上限として病気治療や入院、介護準備などに使えるという制度です。

また、通院治療にも活用できるよう、1時間単位で有休がとれる「時間年休制度」も導入しています。そのほか社員は有給のほか一定期間の傷病による休職が認められていますが、勤続15年以上で休職期間を過ぎて退職した人には次の就業先が見つかるか、または60歳になるまで支援金を支給しています。依願退職者には当制度は適用されませんので、よく制度を知って、そしてなるべく会社に残って治療を続けてほしいと思っています。

▲総合健康開発センターの皆さん
▲総合健康開発センターの皆さん

e-ラーニングや健康増進イベントで啓発活動

がんの予防には正しい知識が必要です。そこで啓発と情報提供にも注力しています。総合健康開発センターが生活習慣病やがんに関する情報をイントラネット上で配信。そしてe-ラーニングを行っています。e-ラーニングは受講に対してポイントが付与されます。ウォーキングや腹八分目といった健康増進イベントに参加してもポイントが付きます。ユニークなのはこのポイントが後々、給与に反映されるという点です。もちろんe-ラーニングにはビジネススキルの講座もありますが、45歳以上の社員が受講で貯めたポイント数に応じて10年後の55歳から、何と給与がプラスオンされるのです。

さらに、若年層を含む健康無関心層の取り込みを目的に、ポイントを景品や社会貢献活動への寄付に交換できる「KA・RA・DAいきいきプロジェクト」を開始しました。食事、運動等の様々なイベントを実施しています。

▲クリニック同様の機能を有する総合健康開発センター
▲クリニック同様の機能を有する総合健康開発センター

健康経営推進会議を年4回開催。グループ全体で取り組みを再強化

定期健康診断+人間ドック(がん検診)で社員の健康をサポートしている当グループ。人間ドックの受診料はオプションメニューを除いて、基本的に個人負担ゼロです。様々な健康施策への注力が評価されて、2015・16・17年と3年連続で健康経営銘柄(※)に選定されました。また今年から始まった健康経営優良法人(ホワイト500 ※※)にも選定されました。これからも賞に恥じない取組みをしてきたいと思います。そして会社として、今後はがん検診受診率100%達成も目指します。

昨年度、人事部内に健康経営推進課を発足しました。ミッションが明示された新しい課で一層、健康施策を強化していきたいと思っています。グループ企業の人事担当役員が集まる健康経営推進会議を年4回開催し、グループをあげて、よりパワフルな活動ができるようになったと感じています。

※経済産業省が行っている日本再興戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に対する取り組みの一つ。平成 26 年度から、経済産業省が東京証券取引所と共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表を行っている。2017年は24業種から24社が選定されている。

※※経済産業省と日本健康会議が共同で保険者と連携して、優良な健康経営を実践している法人を2020年までに500社認定するもの。

▲健康経営推進会議の様子
▲健康経営推進会議の様子
株式会社大和証券グループ本社 概要
■ 創立
1943年12月
■ 執行役社長
日比野 隆司
■ 資本金
2473億円(2016年9月30日現在)
■ 営業収益(連結)
2969億7700万円(2017年3月上期)
■ 従業員数(連結)
1万5559名(2016年9月30日現在)
■ 本社所在地
東京都千代田区丸の内1-9-1 グラントウキョウ ノースタワー
■ 事業概要
リテール、グローバル・マーケッツ、グローバル・インベストメント・バンキング、アセット・マネジメント、投資の事業をコアにビジネス展開。日本全国の店舗網による強固な国内基盤と、世界20カ国に張り巡らしたグローバルネットワークで、多様な金融サービスを提供しています。
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