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2026/09/28

令和8年度 第1回 企業コンソーシアムコンソ40運営会議開催報告

開催概要

  • 日時:2026/08/25(火)16:00-17:30
  • 形式:ハイブリッド(日本生命浜松町クレアタワー16F / オンライン)
  • 参加者:企業コンソーシアム、コンソ40参画の36社・団体/60名
    会場30名、オンライン30名
令和8年度 第1回 企業コンソーシアムコンソ40運営会議開催報告 参加者

ご挨拶・司会・進行

■企業コンソーシアム 座長 増岡博史氏(大同生命健康保険組合常務理事)

会場・オンライン合わせて36社・約60名の参加への謝辞が述べられ、先の熊本地震および千葉の豪雨で被災された方へのお見舞いが表明された。会場は日本生命様のご厚意により提供いただいた旨、また中川先生にご出席いただき最後に総評をいただく旨が紹介された。ディスカッションは事前ヒアリングシートを参考に進め、初参加の方も日頃の悩みを遠慮なく共有いただきたいこと、各グループ1分半程度で発表いただくこと、オンライン参加者はブレイクアウトルームに自動で振り分けられることが案内された。

ディスカッション

以下3テーマで4〜7名程度のグループに分けて60分間のディスカッションを実施。
会場5グループ、オンライン5グループの計10グループ

<ディスカッションテーマ>
テーマ① がん検診/精密検査(二次検診)の受診率向上
テーマ② 治療と仕事の両立支援
テーマ③ がんに関するリテラシー向上
事前アンケートで取得した回答に沿って、自社の課題や工夫している点などを共有し意見交換を行った。また、グループごとに議論の内容を発表した。

<ディスカッションの様子(会場)>

ディスカッションの様子(会場)
ディスカッションの様子(会場)

<ディスカッションの様子(オンライン)>

ディスカッションの様子(オンライン)
ディスカッションの様子(オンライン)

発表パート
テーマ① がん検診/精密検査(二次検診)の受診率向上

■会場G1グループ
資生堂健康保険組合 湯河様(ファシリテーター)、オリンパス株式会社 吉村様、富士通株式会社 加藤様(サブファシリテーター)・平賀様、東京ドーム健康保険組合 中野様、日本生命保険相互会社 伊藤様

健保からの参加は資生堂健保と東京ドーム健保の2組合、会社側からは富士通、日本生命、オリンパスの3社の構成だった。会社側のスタンスとして産業医や保健師を有していても「がん検診の結果を見ない」「がん検診の精密検査受診勧奨には関わらない」とし、がん検診は健保組合のマターとして切り分けている企業がまだまだ多い中で、この3社では程度の差こそあれ、会社としてがん検診の結果データ管理や受診勧奨等運営に積極的に関与し、検診および精検の受診率向上に真摯に取り組んでいる姿勢に強い感銘を受けた、との感想が共有された。
とりわけオリンパスは自社で内視鏡カメラを製造していることから、まず社員が身をもって内視鏡検査を体感することの重要性から、胃カメラ検査だけでなく大腸カメラ検査までもを福利厚生として受診でき、便潜血検査陽性時の精密検査に相当するものが、最初から受診できるという点には、感嘆の声が上がった。

■オンラインO1グループ
P&G健保組合 日野様(ファシリテーター)、ブラザー健康保険組合 森様、矢崎健康保険組合 芹澤様、日本電気健康保険組合 小室様、矢崎総業株式会社 榎本様

二次検診(精密検査)をどう運用していくかを中心に、健保組合と事業主の双方の立場から意見交換を行った。受診率には各社差があるものの、事業主と保険者が協力して取り組むことの重要性が共通認識として確認された。P&Gでも従来は事業主が法定部分のみ、それ以外は健保という分担だったが、今年から協働する体制に切り替えている。
個人情報の同意取得の方法は各社で異なり、検診予約のプロセスの中で取得する例、個別に取得する例、文書掲載にとどまる例などが共有された。派生して、人間ドックや二次検診を受ける際の勤務の扱い・費用負担、受診勧奨に応じない従業員について上司へ通知してよいかといったマネジメント面の論点にも議論が及び、決めるべきことを決めて精度を高めていく必要があるとの認識が示された。

■オンラインO2グループ
大同生命保険株式会社 廣幡様(ファシリテーター)、LINEヤフー株式会社 詫摩様、第一生命保険株式会社 馬場様、城北ヤクルト販売株式会社 岡田様、富士通株式会社 鈴木様

二次検診の受診率向上について意見交換を行った。乳がん・子宮頸がん検診は別途実施されていたり自治体からの受診勧奨があったりするため、会社として受診結果を把握すること自体が難しいという課題が挙がった。また、会社としてどこまで受診勧奨してよいのか、個人情報の取り扱いをどうするのかという点から、強く勧奨する仕組みづくりに課題を持つ企業が複数あった。
前提となる定期健康診断の受診率や働きかけの状況についても情報交換を行ったほか、保健師を正社員として採用している企業が多かったことから、受診勧奨や従業員の健康課題における保健師の役割についても幅広く意見が交わされた。

■オンラインO3グループ
ライオン株式会社 多谷本様(ファシリテーター)、SMBC日興証券株式会社 和田様、株式会社ファンケル 田中様、日本ナレッジスペース株式会社 桒原様

保健師3名とバックオフィス担当1名の4名で議論した。会社側が入手できている健診データの範囲が各社でばらついている点が共通課題として挙がった。二次検診費用の全額補助、就業時間内での受診、交通費補助、特別休暇といった受けやすい環境を整えている企業でも、費用や時間以外の要因で受診率が伸び悩んでおり、強制ではないため介入が難しいという共通認識が示された。
工夫例として、二次検診を受けないとどうなるかをAIで漫画化して配信している例、乳がんのイベントを毎年開催している例、イントラネットで毎月情報を発信している例が共有された。また、年によってターゲットや重点を置くがん種を変え、変化をつけて働きかけを行っているという工夫も紹介された

テーマ② 治療と仕事の両立支援

■会場G2グループ
中外製薬株式会社 小林様(ファシリテーター)、旭化成株式会社 下妻様・山科様、大東建託パートナーズ株式会社 飯塚様、日本生命保険相互会社 前島様、SOMPOひまわり生命保険株式会社 箕輪様

「両立支援制度を、社員にとって利用しやすい状態としていかに実現するか」を軸として議論を行い、主に3つの示唆が得られた。
第一に、相談窓口への導線を明確にすることの重要性である。社員が必要な支援へ迷わずたどり着けるよう、特に職場の管理者が相談をどのように受け止め、産業保健スタッフへつなぐかという動線を整備することが重要との意見が共有された。具体的には、産業保健スタッフが健康問題に限らず多様な困りごとに対応する「コンシェルジュ」のような役割を担うことや、日頃の面談・教育・対話を通じて「困ったときにはまず相談できる相手」として認知される環境づくりが有効であるとの意見が挙がった。
第二に、本人・上司・人事・産業保健の役割を有機的につなぐことである。両立支援は特定部門のみで完結するものではなく、それぞれが適切な役割を果たしながら連携することが不可欠である。特に、健康経営の制度設計を担う担当者と、実際の運用を担う担当者が日常的に情報共有し、連携を図ることが円滑な支援につながるとの認識で一致した。
第三に、制度を整備するだけでなく、社員視点で統合的に情報発信することである。制度は組織や機能ごとに整備されることが多い一方で、利用する社員にとっては、健保への費用請求、人事制度の利用、産業保健への相談など、窓口や手続きが分散しているのが実態である。そのため、制度や情報を整理して一元的に管理するとともに、社員を中心に据えた分かりやすい情報発信を行うことが重要であるとの意見が共有された。制度を整えるだけでなく、社員が必要なときに必要な支援へアクセスできる状態を実現することで、実効性のある「血の通った制度」として機能していくことが期待される。

■会場G3グループ
医療法人社団 同友会 福様(ファシリテーター)・東様、サッポロビール株式会社 村本様、大東建託株式会社 吉崎様、エアロトヨタ株式会社 渡部様、医療法人社団俊秀会 エヌ・ケイ・クリニック 梁川様・山﨑様

様々な企業規模の参加者から、4点の課題と意見が出された。
1点目は中小企業ならではの悩みで、有給休暇の積立制度などを導入したくても企業体力的に難しいという声に対し、体力のある企業は実行することが望ましい一方、難しい場合はまず傷病手当金や高額療養費といった公的支援を入社時や罹患時の早い段階で理解してもらい、不安を和らげることが大事ではないかという意見が出た。国の制度として取得できる仕組みにならないかという声もあった。
2点目は復職にあたり産業医・人事・上司の意見が分かれる場合の対応で、会社として復職基準を定めて担当間に浸透させておくこと、産業医の意見をそのまま実行するのではなく最終的にどこで判断するかという基準を明確にしておくことが挙げられた。
3点目は、がんになったことを隠したい社員がいる中で公平な制度をどう設計するか。誰でもかかりうるものだと周知して声を上げやすくすること、テレワークやフレックスなど公表しなくても働き続けられる制度を整え「公表する自由と隠す自由」の双方を選択できるようにすること、サバイバーからオープンにするメリットを発信してもらうことが意見として出された。
4点目は、制度が確立している2社から挙がった、サバイバーである先駆者の後継者をどう育て、同じ熱量で継続していくかという課題で、この点についてはすぐに解決策を見出すには至らなかった。

■オンラインO4グループ
LINEヤフー株式会社 黒川様(ファシリテーター)、日本電気株式会社 山本様、株式会社サンゲツ 村木様、鶴山運送株式会社 田村様、長野朝日放送株式会社 鈴木様

会社として配慮できること・できないことの線引きをした上で社内に共有していくことの大切さが共有された。がんになってすぐに退職してしまうことがないよう、安心感を与えることが重要だという方向で議論が進んだ。
メンタル不調を併発するケースでは主治医が異なることもあり対応が難しいという共有があり、メンタルも含めた対応フローがあるとよいのではないかという意見が出た。働き方の配慮についても、在宅勤務で両立しやすかったという声がある一方、出社が必要な業務もあるため、現場作業が難しい場合は一時的な配置転換などケースバイケースで確認していくという実例が挙げられた。
参考情報として、企業アクションの両立支援ロードマップ、および長野朝日放送が制作するYouTubeのがん啓発プロジェクトや過去の放送が視聴できることが共有された。

テーマ③ がんに関するリテラシー向上

■会場G4グループ
日本生命保険相互会社 河野様(ファシリテーター)・五十嵐様、サントリーホールディングス 飯村様、大東建託リーシング株式会社 澁谷様

日本生命、サントリーホールディングス、大東建託リーシングの3社で議論した。サントリーはがん検診受診率100%・二次検診90%、大東建託リーシングは両方とも100%という高水準であったことから、リテラシーの議論というよりも、なぜそれが実現できているのかを掘り下げる形となった。
両社に共通していたのは、「がんで亡くなる人をなくしたい」ことを最大の目標に掲げている点、健康経営として人事面を含めた制度がベースにしっかり整っている点、そして担当されている保健師お二人の責任感の強さがすべてを支えている点であった。二次検診の未受診者に対しては、いずれもワン・オン・ワンで一人ひとりに向き合う対応を徹底している。
特に印象的だったのは、病気のことだけを話すのではなく、休んだ場合に有給をどう使えるか、どういう制度で守られるかといった本来のミッションを超えた幅広い知識を持ち、その人に合った話をしている点であった。後半は喫煙・飲酒が話題となり、酒類を扱うサントリーが「ノンアルデーチャレンジ」に取り組んでいることが紹介された。

■会場G5グループ
大東建託パートナーズ株式会社 東海林様(ファシリテーター)、株式会社アートネイチャー 吉原様、伊藤忠エネクス株式会社 日野間様、伊藤忠商事株式会社 吉田様

4社が参加し、飲酒が課題という企業(商社は飲み会や接待が多い)と喫煙が課題という企業が2社ずつという構成だった。各社ともセミナーや教育を実施しているものの、なかなか行動変容には至らないという共通の悩みが共有された。
その工夫として、いつもと違うやり方で攻めてみてはどうかという意見が出た。「健康に良くない」という切り口だけでなく、たばこであれば思い切って「臭くて迷惑」と伝えてみること、結婚・出産といったライフイベントのタイミングで訴えかけること、身近な人の成功談を活用することが効果的ではないかと挙げられた。
がん検診・二次検査の受診率についても、リテラシー向上だけで受診率を上げるには限界があるという認識で一致し、リテラシーで上がらないのであれば仕組みでカバーしてはどうか、自分で申し込ませる方式から半ば強制的に受けられる仕組みへ変えるという案が出された。

■オンラインO5グループ
研冷工業株式会社 渡辺様(ファシリテーター)、株式会社松下産業 齋藤様、株式会社堀場製作所 人見様・西園様、葵機工株式会社 佐々木様・小禄様

喫煙、二次検診、eラーニングなど各社の取り組みを共有した。うまくいかないことや、会社側と従業員側で気持ちが合わない部分もあるが、セミナーなどのイベントとして対象者に個別に声をかけて実施し、とにかく根気よく続けていくことが大事ではないかという方向でまとまった。それによって社員のがんや二次検診に対する意識も少しずつ高まっていくのではないかと共有された。
後半は両立支援に話題が移り、各社がマニュアルを作成して取り組んでいる例、復職時に積立有給を活用している例、健康経営優良法人の申請にあたっての工夫などが紹介された。

総括

■がん対策推進企業アクション(議長) 企業コンソーシアム 顧問 東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 元特任教授 中川 恵一 先生

全グループの議論を通して聞いたのは今回が初めてであり、いずれも熱心かつ楽しげに進められていたとの講評があった。企業アクションは18年目を迎え、有志の企業が他の企業を引っ張るというコンソーシアムの構想は当初からのものだが、それが相当に現実化してきたことを喜ばしく思うと述べられた。
続いて、こうした活動が継続するには参加者のボランティア活動が正当に評価される必要があるとして、昨年末に参加企業の社長宛に送付した感謝の手紙について、会場に挙手を求めて効果を確認した。「意味がなかった」という回答はなく、一定の意味はあったこと、また実務担当を経由する形で社長にも届いているらしいことが確認された。今後どのような内容を伝えればより効果的かを検討したいとの意向が示された。
がんが経営課題として評価され始めている背景として、70歳まで働いた場合の累積がん罹患リスクは男性22%・女性21%に達し、社員の5人に1人以上ががんを経験することになる点を、経営者に伝えてほしいと述べられた。
政策動向としては、「攻めの予防医療」を具体化した厚生労働省の施策(U.E.N.O. Plan、2026年7月策定)に職場におけるがん検診の受診勧奨等の強化が掲げられていることが紹介された。ここで問題となるのは一次検診ではなく二次検診の勧奨であり、要精密検査は必ずしもがんの疑いを意味せず、むしろ早期発見の機会であるにもかかわらず、誤解から機微情報として扱われている。仮に機微情報だとしても、適切なプロセスを経て同意を得れば受診勧奨は可能であり、法律の裏付けがないことに端を発して精密検査の受診勧奨ができていないことが職域がん検診の最大の問題であると指摘された。
これが今年度の企業アクションのメインテーマでもあることから、毎年実施しているパートナーアンケートに精密検査受診に関する質問項目を設け、職域における精密検査の受診状況とその背景にある問題を浮かび上がらせたいとの提案があり、アンケートの設計をコンソ40で担ってほしいとの依頼がなされた。
また、昨年度の厚生労働大臣賞を受賞した大東建託の精密検査受診率100%について、健保主導ではなく会社主導であるからこそ実現できているのではないかとの見方が示された。がんになったことを言いたくないという気持ちは理解できるものの、がん経験者の立場からは公表した方が得であり、それが金銭面だけでなく休暇制度なども含めて伝わるようにしていく必要があるとまとめられた。

事務局からの報告事項

■中外製薬株式会社より情報提供

毎年2月のワールドキャンサーデーに合わせ、中外製薬版ワールドキャンサーデーを社内で8年間継続している。今年は社内イベントを社外にも発信していく方針で、がん対策推進企業アクションの参加企業へ案内できる形で開催したいと考えている。他社事例の共有、認定講師による講演、ディスカッションなどの場を設け、企業アクションの中で展開できればと考えており、実現の際は協力を仰ぎたいとの案内があった。

■サッポロビール株式会社 村本様よりご挨拶

企業コンソーシアムに約5年間参加し、研修会での発表や毎月のコア会議への参加の機会を得た。サッポロビールではがん経験者・当事者の声を前面に出して活動を推進しており、本コンソーシアムでも当事者の視点を前面に出して参画してきた。11月20日をもってサッポロビールを退職するため、同社の立場で参加するのは今回が最後となる。その後は個人としての活動を予定しており、役に立てることがあれば声をかけてほしいとの挨拶があった。