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2026/01/30

令和7年度
青森ブロックセミナー「職域におけるがん対策の最新情報」を開催しました

(ページの最終更新日:2026年01月30日)

2025年10月3日(金)に、青森ブロックセミナーを開催しました。

主催者挨拶
厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課長補佐 栢沼 優二 氏

厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課長補佐 栢沼 優二 氏
▲厚生労働省 健康・生活衛生局 がん・疾病対策課長補佐 栢沼 優二 氏

我が国において、がんは昭和56年から死因第1位でありまして、国民の2人に1人ががんに罹患し、4人に1人ががんで亡くなっているという国民にとって脅威の疾患であることは変わっていません。令和5年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画に基づき、「誰ひとり取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ということを全体目標とし、「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」を3本の柱として、総合的ながん対策を推進しているところです。本日はがん対策に関する様々な講演がありますので、それぞれの職場でのがん対策に、活かしていただければ幸いです。

ご挨拶
青森県知事 宮下宗一郎 氏

青森県知事 宮下宗一郎 氏
▲青森県知事 宮下宗一郎 氏

がん対策は本県の最大の課題のひとつだと私は思っております。青森は短命県とも呼ばれており、この言葉を使わなくていい状況にするため、市町村や企業の皆さんと連携して現状を打開していきたいと常日頃から感じています。青森県の平均寿命は、男女とも全国最下位になっています。40代以降の死亡率が高いということが原因のひとつです。主な死因では、生活習慣に起因するがんや、脳卒中、心筋梗塞が多く、県では1次予防として健康づくり、2次予防としてがん検診を推進しているほか、医療提供体制の充実など講じており、今年からは高血圧の対策もしています。働く人をがんから守ることは極めて重要で、働き盛りの方々が亡くなることは、企業にとっての損失だけではなく社会全体の損失になります。がんによる死亡リスクを下げるためには、生活習慣を見直し、検診を定期的に受診して、早期治療につなげることが大切ですので、今日のセミナーが皆さんご自身の健康について考え直すきっかけになれば幸いです。

がん対策推進企業アクション事業説明
がん対策推進企業アクション事務局長 山田 浩章 氏

がん対策推進企業アクション事務局長 山田 浩章 氏
▲がん対策推進企業アクション事務局長 山田 浩章 氏

がん対策推進企業アクションは、がんで亡くなる日本人を減らすため、職域がん対策の普及啓発を行っています。女性の社会進出に伴い、以前にも増して働きながらがんに罹患する人、治療をしながら働く人が増えていることなどから、職域でのがん対策を推進しています。本事業は、がん検診受診率の向上、科学的根拠に基づく正しい情報の提供、治療と仕事の両立支援の3つを掲げています。本日のようなセミナー開催、がん対策に関する資料、eラーニングなどを無料でご利用いただくことが可能であるほか、年度末には表彰制度も設けています。令和7年度当初の段階で登録企業・団体は6,900社、直近においては年間1,000を超える新規登録があります。本日のセミナーに関心を持っていただき、パートナー登録をご検討いただければと思います。

がん対策の現状と今後の方針について
青森県健康医療福祉部 がん・生活習慣病対策課長 山田淑子 氏

青森県健康医療福祉部 がん・生活習慣病対策課長 山田淑子 氏
▲青森県健康医療福祉部 がん・生活習慣病対策課長 山田淑子 氏

青森県の平均寿命は全国と比較してかなり外れたところにあります。平均寿命1位の滋賀県と青森県を比較した生存数曲線は40代後半から差が出てきます。令和6年の人口動態統計を見ますと、青森県の主な死因の第1位は悪性新生物、2位が心疾患、3位が脳血管疾患となっており、この3死因で全体の50%近くを占めている状況です。75歳未満の年齢調整死亡率では、青森県のがん死亡率は人口10万あたり86.1です。全国が65.7であるのに対し非常に高く、全国ワーストという現状であり、県内では毎年約1万人ががんと診断されています。青森県のがん検診受診率は全国とほぼ同じか高い状況になっていますが、年齢階級別の受診率を見ると、40代から50代の受診率が低くなっています。精密検査受診率も、全国とほぼ同等か高い状況にはありますが、目標の90%には至っていません。
青森県は第4期青森県がん対策推進計画を策定し、誰ひとり取り残さないがん対策を推進し、全ての県民ががんを乗り越えることのできる社会を目指す取組をしています。科学的根拠に基づくがん検診の推進として、がん検診について、メリット・デメリットを始めとする正しい知識を、県民の皆さんに広く周知しています。また、働く世代のがん検診の受診率向上に向けた取組として、大腸がん検診の職域・市町村連携モデル構築事業を今年度から実施しています。その他初回の精密検査費用の助成や、アピアランスケア用品購入の費用助成も行っています。また、高血圧に着目した事業を今年度から実施しており、自分の血圧値を理解していただき、治療につなげるために、「血圧未測定ゼロチャレンジ」「高血圧症未治療ゼロチャレンジ」のキャンペーンを実施していますので、ぜひご自身の健康、そして従業員の方の健康について考える機会となっていただければと思います。

職域がん対策の進化
東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座特任教授 中川恵一 氏

東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座特任教授 中川恵一 氏
▲東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座特任教授 中川恵一 氏

日本は世界一がんが多い国です。生涯に何らかのがんになる確率は、男性3分の2、女性は2分の1、これは世界で最も高い数字です。知事のお話にありましたが、青森県のがん死亡率が都道府県ワーストだそうですが、これを変えていくのは非常に重要なテーマです。がんは突然降って湧いた災いではなく、制御可能な病気と言えます。私も膀胱がんの患者で、まさか自分ががんになるとは思っていませんでした。がんの最大の特徴は、症状を出さないということなんです。普段から自分の体に気を配る、気をつけることはできます。また、がんの治療は手術と思われることも多いですが、欧米では放射線治療が多いです。日本の男性で最も多い前立腺がんは5回の通院と放射線で手術と同等以上の治療になります。服も着替えず6分ほどで治療が終わりますので、時間も手間も少なく済みます。現在は中学校と高校の学習指導要領にがん教育も明記されており、教科書の中でも放射線治療について言及されています。しかし現在の大人はこのことを学んでいませんので、がん対策推進企業アクションのミッションのひとつ、職場でがんを知るということは非常に大切です。遺伝はがんの原因の5%程度です。しかし遺伝が重要ながんの中に、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、そしてすい臓がんがあります。すい臓がんはやむを得ませんが対策型検診を全くやれていません。しかし少なくとも遺伝的な要因が多いということは広く知られるべきです。
がんは細胞の老化、遺伝子に傷がつくことで発生します。この要因として、飲酒や喫煙、ウイルス感染などが挙げられます。しかしこうした要因がない人にがんができないかというと、そんなことはありません。たまたま細胞の増殖に関連する遺伝子に、偶発的な損傷が起こるとがんができます。だからこそ、不運に備えておく必要があります。免疫の攻撃をかいくぐったがん細胞が20年かけて1cmに成長します。がんは1cmから2cmの間で発見すれば95%は完治します。がんに備える基本というのは、がんを防ぐ生活習慣と、がん検診による早期発見です。煙草は控えること、お酒も百薬の長というのは否定されていて、1滴も飲まないのが一番健康的です。糖尿病はがんのリスクを2割増やしますので要注意です。長く座る人は、座らない人より82%がんで死にやすいと言われています。青森県の方にがんが多い理由として、冬は動かないことも関係していると思います。家の中で筋トレなどもできますので、冬でも体を動かしてほしいと思います。がん細胞が育つのに長い年月がかかるので、やはり40代、50代の方々がきちんと市町村のがん検診をやるのが大事です。
かつて55歳定年でしたが、現在は65歳、さらに延長する可能性もあります。そうなると働くがん患者も急増します。55歳までは女性のがん患者が多いです。がんは知ることでコントロールできる病気です。治療と仕事の両立支援で最も重要なのは早期発見です。青森県は中小企業が多いと思います。経営者ががんに関心を持つと、会社でのがん対策が進みます。ぜひ、多くの会社で企業アクションに参画していただきたいと思います。

私と家族のがん体験
がん対策推進企業アクション 認定講師 和田智子 氏

がん対策推進企業アクション 認定講師 和田智子 氏
▲がん対策推進企業アクション 認定講師 和田智子 氏

私が罹患した子宮頸がん、夫が罹患した肝臓がんは、それぞれヒトパピローマウイルス、肝炎ウイルスの感染が主な原因と言われています。
私は毎年会社の健康診断のときに必ずがん検診を受けています。2007年37歳まで子宮頸がんは異常なしでした。ところが38歳のときに中等度異形成という結果で、調べたところ、子宮頸がんは中等度異形成、高度異形成を経て子宮頸がんになるとわかりました。私は将来子宮頸がんになるリスクがあると知り、それから毎年子宮頸がん検診を受けようと決めました。41歳のとき要精密検査となり、細胞を調べるため、円錐切除術で2泊3日の入院をした結果、上皮内がんだとわかりました。しかしこの検査手術で悪いところ全て取り切れていたので、追加の抗がん剤や放射線治療をしなくて済みました。
一方で早期発見の私も、退院をするときに主治医の先生から「出血が止まるまでの1ヶ月間、自宅療養をしてください」と言われました。仕事のことで様々な不安がありましたが、上司や同僚にも励まされ、会社の制度を有効活用し乗り切ることができました。こうした職場のサポート、安心して気兼ねなく休める企業風土や文化が大事だと感じました。
私の頃はヒトパピローマウイルスを予防するHPVワクチンというのはありませんでした。このワクチンで子宮頸がんが予防できますので、やはり接種を検討していただきたいです。最近では男性のHPVワクチン接種の動きや、自治体による男性のHPVワクチン接種の助成も広がってきています。
次に肝臓がんについてです。私の夫は高校生のときの献血がきっかけで、肝炎ウイルスの感染を知りました。結婚するときに私の感染を懸念し、私も結婚前に肝炎のワクチンを接種しました。そして夫も毎年会社の健康診断を受けていました。しかし私は夫の健康診断の結果を全く見ていなかったということが、非常に悔やまれます。勝手な自己判断で病院に行かず、背中が痛いと病院に行ったときには末期の肝臓がんだと診断され、その後治療はしましたが、残念ながら亡くなりました。
この肝がんの死亡率は、男性では5位、女性では7位で、肝がんの70%はウイルス性肝炎が要因です。肝臓がんのリスクを知る上で、肝炎ウイルス検査をぜひ受けていただきたいです。そして今、赤ちゃんを対象に2016年からはB型肝炎ワクチンが定期接種となっています。ワクチン接種が進むことで、ウイルス感染によるがんが減ることを望みます。ご自身や大切な家族の健康診断の結果、がん検診の結果について、ぜひ家庭の中で会話をすることをお願いしたいです。医療費が年々増加していますが、私のように早期発見であれば、医療費も少なくすみます。また家族のがん治療で、がん治療を支える献血の制度のありがたさも非常に感じました。献血の制度への理解も進むことを願います。
私たち夫婦は、知識と行動の差で大きく運命が変わりました。ぜひこの国が定める5つのがん検診を、みなさんには必ず毎年受けていただきたいと思います。

トークセッション
中川恵一氏、山田淑子氏、和田智子氏

中川恵一氏、山田淑子氏、和田智子氏

ご講演いただいた中川恵一先生、山田淑子さん、和田智子さんでトークセッションを行いました。乳がんのセルフチェックの重要性、感染によるがんのワクチン接種や早期発見が大切であることについて、お話しされました。

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