2024/03/15
令和5年度
宮崎県ブロックセミナー「職域におけるがん対策の最新情報」を開催しました
令和6年1月30日に宮崎KITTENビルにて、WEB配信を併用したハイブリッド形式にて宮崎県ブロックセミナーを開催しました。
主催者挨拶
厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課 がん指導係長 髙橋和那氏
ただいまご紹介にあずかりました厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の髙橋と申します。僭越ではございますが、私から一言ご挨拶させていただきたいと思います。本日はみなさまお忙しい中、がん対策推進企業アクション宮崎セミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。また、本日のセミナー開催にご尽力いただきましたみなさまには厚く御礼申し上げます。
我が国のがん対策は、平成18年にがん対策基本法が制定されたことで一気に加速し、平成28年の改正では、がん患者の雇用の継続やがんに関する教育の推進など、新たな施策が盛り込まれることとなりました。
そして、今年度からスタートしました第4期がん対策推進基本計画では「誰ひとり取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」ということを全体目標として、引き続きがんの予防、がん医療の充実、がんとの共生を分野別目標の3本の柱としまして、これらを支える基盤の整備として、がん研究、人材育成、がん教育普及啓発などを進めることとしています。
このようにがん対策を着実に進めているところではありますが、依然として我が国では、昭和56年からがんが死因の第1位であり続け、毎年約100万人ががんにかかり約38万人を超える方々が亡くなられております。また医療の進歩などにより、がんは多くの場合、早期発見・早期治療により治る病気となっておりますが、依然として基本計画で、今年度より目標としております「がん検診の受診率60%」の目標には届いておらず、国際的な比較データを見ましても、日本のがん検診受診率は低いのが現状でございます。がんを予防するためには、たばこなどのリスク要因を避け、適度に運動するといった生活習慣の改善も効果的ではありますが、がんを完全に予防することはできません。
このため、1人でも多くのか、皆様ががん検診を受診し、早期発見早期治療に繋げることが非常に有効です。がん検診の受診機会は、受診者の約3割から6割が職域での受診と言われております。受診率向上のためには、職域での啓発が非常に重要であることから、厚生労働省では、職域において、科学的根拠に基づくがん検診ができますように、平成30年に職域におけるがん検診に関するマニュアルというものを示しています。厚生労働省やこの企業アクションのホームページに掲載していますので、ぜひともみなさまの職場でもご活用いただければ幸いです。
また、企業アクションは職域におけるがん検診受診率の向上、がんになっても働き続けられる社会の構築を主な目的として、平成21年から約15年間活動してまいりました。現在では約5,000社もの企業団体様がパートナーとして登録されております。企業アクションでは、がん対策に関する様々な情報をわかりやすくご提供いたしますので、こちらも積極的にご活用いただき職場でのがん対策に役立てていただきたいというふうに思っています。
最後になりましたが、本日のセミナーが、みなさんのがん対策に関する知識を深め、それぞれの職場でがん対策を充実させる契機となることを期待いたしますとともに、みなさまの益々のご発展とご健勝をお祈りいたしまして、私のご挨拶に代えさせていただきます。ご清聴いただきありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(司会)髙橋係長のご挨拶でした。続きまして宮崎県知事、河野俊嗣様よりご挨拶を頂戴いたします。それでは河野様、どうぞよろしくお願いいたします。
県知事挨拶
宮崎県知事 河野俊嗣氏
みなさん、こんにちは。今日のセミナーにこのように多くのみなさまにご出席をいただいて、大変嬉しいなと思って今拝見したところです。みなさまにはそれぞれの立場で企業における健康づくりに、取り組んでいただいていますことに心から感謝を申し上げます。
ひとりひとりが暮らす上でも、また社会全体を考えた上でも、やっぱり健康というのは本当に最上位に位置すべき重要な課題だということを改めて感じます。この1日に発生した能登半島地震、これも当初の救命救助もありますが、その後の避難所での生活も含め、健康管理も大変重要だなということを思うわけです。生活習慣病、生活不活発病になってはいけないということもありますし、今我々が課題としている「必要な健診をちゃんと受けることができるか」という体制づくりも、非常に重要なことであろうと考えています。
がん検診の受診率については今もお話があったかと思いますが、残念ながら本県が全国と比べても低い状況にある。私は本当にこの宮崎は、食べものも美味しいし温暖ですし、暮らしやすい、県民性も本当に穏やかで素晴らしいと思うのですが「やるべきことをやろうよ、ちゃんとやろうよ」ということを思わせるのが、この健康関係のデータです。
学校ではしっかりこの教育を行う、そして企業においては、やはりこういう企業の力をいただきながら、企業が働くみなさんの、まさに現役世代の健康管理を行う。そして、引退された高齢者の方は高齢者でまたしっかりと対策を行うということで、ライフステージに応じた対策は非常に重要であって、今企業のみなさまとも連携をしながら、健康経営にも取り組んでいこうというところです。その企業における健康管理の中でも最上位、また重要ながん対策ということで、この後、東大の中川先生にお話をいただくということで、大変ありがたく思います。
私は先ほど初めてお会いして、本当に短い間お話を伺うことができたんですが、やっぱり頭脳明晰な方のお話は素晴らしいなと。本当にスーッと入ってくるものがあります。中川先生にこうやって指導いただけるのは、本当に国におけるがん対策が大変ありがたいことだなと思います。しっかり我々は受け止め、必要な取り組みをして、ひとりひとりの健康、人生を大切にする。そして企業としても、従業員が健康でしっかり経営にも貢献をしていただくような、この宮崎県を作っていく、そのことが必要であろうかと考えています。
中川先生のお話に加えて、企業アクションの認定講師である久我様にご自身の体験も踏まえてお話をいただく、それから旭化成の武田郁美様に企業における取り組みもお話をいただくということで、限られた時間ではありますが、ぜひとも充実した取り組みにして、本県のがん対策がさらに推進するよう、そのような時間になることを祈っています。
今、県の当初予算の発表前ですが、本県としてもがん対策の更なる充実ということで、県立病院にもそのような手当をするところです。病院における更なる充実、そしてやはりひとりひとりの心がけが大事です。私も妹が乳がんにかかった、がんサバイバーだということをいつも帰省しているときに話を聞いています。本当にそれぞれが様々な形で身近な課題であろうかと考えています。
重ねて皆様のご出席に感謝を申し上げ、そして今日のセミナーが宮崎における健康作りがさらに進むきっかけになることを祈念しながら、冒頭に当たっての御礼も込めたご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(司会)河野様どうもありがとうございました。続きまして、がん対策推進企業アクション事務局、藤田武事務局長より、本事業についての説明を申し上げます。それでは藤田事務局長よろしくお願いいたします。
挨拶・がん対策推進企業アクション事務局
がん対策推進企業アクション事務局事務局長 藤田武氏
本日は本イベント皆様お集まりいただき、またご視聴いただき誠にありがとうございます。がん対策推進企業アクション事務局長の藤田と申します。本日はよろしくお願いいたします。私からは、本事業の事業説明をさせていただきます。
日本では男性の3人に2人、女性の2人に1人ががんに罹患する時代です。企業では人材を守るために、がん検診受診率の向上、治療と仕事の両立支援などのがん対策が必要です。私達は企業でのがんアクションをサポートする活動を行っております。
企業が取り組めるがんアクションを3つ挙げます。一つは、がん検診の受診を啓発すること。二つ目、がんについて、会社全体で正しく知ること。三つ目、がんになっても、働き続けられる環境を作ることです。人材を守るためにがんの早期発見・早期治療、そして従業員が、がんになっても働き続けられる環境が必要になってきます。
このようながんアクションをされる企業様をサポートするために、我々がん対策推進企業アクションは、次の三つを実施します。一つ目、推進パートナー企業・団体数の拡大。二つ目、がん対策を啓発するコンテンツ制作と情報発信の推進。三つ目、がん検診受診率の現状把握と課題の整理になります。
ここからは令和5年度の活動を具体的にご紹介させていただければと思います。発信と広報、イベント、企業連携、主にこの三つをご説明させていただきます。
最初に発信広報に関するものをいくつかご紹介させていただきます。まずは小冊子、ポスター、ニュースレターです。小冊子は、本日ご来場のみなさまにお配りさせていただいていますが、パートナー企業にご登録ご申請をいただければ、無料で配布しております。がんについて非常にわかりやすく記載しておりますので、またご自身が読み終わった後に、ぜひご家族、同僚の方にもおすすめください。ニュースレターでは、がんについての最新情報をわかりやすく発信し、メールマガジンもがんに関する様々な情報を毎月2回お届けしています。続きまして、パンフレットも作成しております。中川先生からのメッセージをはじめ、アドバイザリーボードのメンバーの紹介や、各施策の代表者の挨拶も掲載しています。続いてYouTubeとeラーニングです。YouTubeは、中川先生が、がんについてわかりやすく教えてくれます。eラーニングにおいては今年度新たに修了書を作成いたしました。従業員のみなさまだけではなく、家族の方を受講でき、がんのことを知ってもらうきっかけになります。
続いてはイベントについてです。今年度は本日の宮崎県の他に秋田県、香川県でセミナーを実施致しました。県と共催することで、開催地域でのがん対策が根付くことを目標にしております。先ほど河野知事にもご登壇いただきましたが、今年度は3県とも県知事にご登壇いただき、企業アクションとしても、飛躍の年になりました。
続いて、企業連携についてです。ここでは企業コンソーシアムとワーキングリボン、中小企業の今その三つの柱がございます。企業コンソーシアムでは、約40社の企業を中心に、企業のためにがん対策を推進する活動を実施しています。ワーキングリボンでは、女性特有の乳がん、子宮頸がんについての対策に関する取材などを実施しています。今年度は、特に子宮頸がんについての話題が多く、子宮頸がんにフォーカスしたチラシも作成しました。中小企業コンソでは、中小企業のがん対策について考えています。経営者の関心やリテラシー高いほど、従業員の検診受診率は向上します。本日ご来場いただいた方はお手元にあるかと思いますが、経営者が働く従業員の方に向けたチラシも作成しました。
その他にもセミナーのご紹介、企業様への出張講座、パートナー企業様の取り組みのご紹介、調査の結果などを公開しています。出張講座のチラシも本日ご来場いただいた方はお手元にございますので、ご確認いただければと思います。
最後になりますが、今後もがんに関する様々なことを発信し、企業のがん対策を全力で応援できればと思っております。ぜひ一度ホームページをご覧いただければと思います。最後までご清聴、ご視聴ありがとうございました。
(司会)藤田事務局長より、事業概要の説明をさせていただきました。まだパートナーに参加されていらっしゃらない企業様、団体様はぜひこの機会にご参加いただきまして、一緒にがん対策を推進していただければと思います。
続きまして、宮崎県福祉保健部健康増進課課長の児玉珠美様より宮崎県のがん対策の現状と今後の方針についてご説明いただきます。それでは児玉様、どうぞよろしくお願いいたします。
がん対策の現状と今後の方針について
宮崎県福祉保健部健康増進課 課長 児玉珠美氏
みなさま、こんにちは。宮崎県健康増進課長の児玉と申します。では説明をさせていただきます。
では早速でございますが、宮崎県の主要死因別の死亡数割合をご覧ください。令和4年度になりますが、宮崎県で1万6,111人の方がお亡くなりになりました。悪性新生物、いわゆるがんで亡くなられた方は3,666人。約4分の1の方ががんで亡くなっているということになります。
次にこちらががんの部位別の死亡割合になります。男女計では肺がんが17.6%、大腸がんが12.8%、膵臓がんが10.2%になっております。男性が肺がん、大腸がん、胃がんの順になっており、女性は大腸がん、膵臓がん、肺がんの順になっていまして、乳がんの方が9.6%ということで約10%程度の方が亡くなっているということになります。
次にこちらは国が公表されてます75歳未満の年齢調整死亡率の推移になります。本県の令和4年の人口10万人当たりの死亡数は74.6となっておりまして、全国の67.4よりも高くなっております。これは全国に比べて本県においては、がんで亡くなる方が多いということを示しており、全国順位も44位となっています。
がんの部位別の罹患数割合をご覧ください。こちらで見ますと下の左側が男性、右側が女性になっています。こちらは令和元年の条件状況になりますが、本県でがんに罹患された方は8,471名になります。大腸が最も多く、約15%にあたる1,276人。次いで肺が1,102人、胃がん、乳がんと続いております。男女別に見ますと、男性の方が全体で4,715人、前立腺、大腸、肺、胃の順となっております。女性は全体で3,756人、乳房、大腸、肺、子宮の順に多くなっています。
こちらが部位別に人口10万人当たりの年齢調整死亡率を全国と比較したものになります。左側が男性、女性は右側です。男性は白血病は全国よりも高くなっていますが、女性も、おおむね低い状況にはございますが男性と同じく白血病が全国よりも高くなっているほか、子宮頸部のがんの罹患率は大変悪く、こちらは全国ワースト1位となっています。
本県のがん対策につきましては、宮崎県がん対策推進計画に基づいて推進しています。現在第4期を策定中でありまして、こちらは改訂中の計画の概要を載せています。計画案の作成に当たっては、県内の専門の医師のみなさま、医師会、医療関係者のみなさまから成る審議会での協議を踏まえて素案を作成しています。先日まで県民のみなさまにパブリックコメントをお願いしていましたので、ご覧になっていただいた方もいらっしゃるのではないかと思います。また市町村等への意見照会なども行いまして現在策定中ですが、誰ひとり取り残さないがん対策を推進し、全ての県民とがんの克服を目指すということを目標に推進してまいりたいと考えています。
この計画の中では「①科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」「②患者本位で持続可能ながん医療の提供」「③がんとともに尊厳をもって安心して暮される社会の構築」この三つを柱として各種施策を実施していきたいと考えているところです。本日はこのうち①についてを中心に説明いたします。
高齢化の進展等によりがんで亡くなる方は増加傾向にあり、それは全国と同じく本県でも同じです。そのためがん対策というのはとても重要な課題となってきています。がんの罹患率を減らすためには、まず第一に、科学的根拠に基づいて避けられるがんを防ぐ、つまり一次予防が重要となります。長年日本人のがんについて研究してこられた国立がん研究センターが作成されました、がん予防ガイドラインというものがございます。ぜひみなさまも後ほど検索をしていただいてご覧なっていただきたいと思います。
時間の関係もございますので一次予防の中から代表的なものだけを説明させていただきます。まずはたばこ対策、平成30年に健康増進法の一部改正する法律が公布されて、受動喫煙を防止するための措置をとることが定められています。これを受けて県では県内の事業所様に対する指導相談対応等を行っています。
そのほか、宮崎県独自の禁煙施設認定制度を実施しており、昨年11月末で458施設が認定されています。望まない受動喫煙が生じないよう、啓発パンフレット等を作成し、マナーの向上に繋がるよう啓発に努めているところです。
続きまして、健康的な生活習慣の定着に向けた啓発です。この点につきましてはお目に留まったこともあるのではないかと思いますが、野菜を1日100g多くとる「ベジ活」、塩分の摂取量は、本県は高めでございます。なので1日2g減らしましょうということで「へらしお」。それから歩数の方も全国平均を下回っていますので、1日プラス1,000歩、10分運動をしましょうということで県として取り組みを進めていまして、パンフレット等も作っておりますので目に留まったこともあるのではないかと思います。「ベジ活」や「へらしお」につきましては、県の方で例えば大学と一緒になって作ったメニューなど、いろんなものもお出ししていますので、よろしければまたご覧になっていただきたいと思います。
ここまで一次予防のお話をしてまいりましたが、がんの二次予防としては、予防ができない、症状がないがんについて、がん検診の受診でより早期に発見し、早期治療に繋げることがとても重要となります。
こちらが宮崎県のがん検診の受診率になります。胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんを載せていますが、令和4年のがん検診の受診率を男女別に、本県と全国を比較しています。本県の受診率は、男性では概ね全国と同じかそれよりも若干高くなっており、女性では、肺がん以外は全国よりも低くなっております。子宮頸がんは特に全国37位の低さです。またどのがんにおいても、おおよそ40から50%台となっており、先ほどご説明しました第4期宮崎県がん対策推進計画では、目標値を全国と同じく60%として取り組みを進めていきたいと考えています。
県では、がん検診の重要性を県民の皆様にぜひ知っていただきたいということで、動画やポスターの作成やホームページなどでの情報発信を行っております。真ん中の啓発動画ですが、これも一連にはなりますが、女性特有のがんについては若い方を中心に、検査方法や内容について不安があるとも言われておりますので、検査方法などをわかりやすく説明して、不安の解消に繋げ、できるだけ受診率が上がるような取り組みも進め、努めているところでございます。
啓発につきましては、宮崎県の対がん協会と連動しましたがん征圧月間での新聞の掲載、あと10月の乳がん月間ではピンクリボン活動宮崎実行委員会と連携しまして、県庁をピンク色にライトアップもしております。ご覧になっていただいたこともおありかなと思います。このような様々な啓発を行っているところでございます。
そして今日、後で旭化成株式会社延岡支社様のご講演もありますが、こちらにもご参画いただいておりまして宮崎県がん検診受診率向上プロジェクトということで、企業様にもご参画いただきまして、取組事例等の横展開も図っているところでございます。
また宮崎県と包括連携協定を結んでいただいている企業様に、健康に関する情報、がん検診のおすすめ、がんは日本人の2人に1人はかかる時代ですという点がわかりやすいパンフレットを作っていただき、周知広報にご協力をいただいているところでございます。
またこちらは当課が運営しております健康Lifeインスタグラムですが、できるだけ若い方にもご覧になっていただけるようにと周知広報もこのように工夫もしているところでございます。
こちらはがん検診だけということではないのですが、宮崎県健康長寿推進企業等知事表彰というのもおこなっており、検診受診率の向上など、健康経営の観点からの従業員のみなさまへの健康に関する取り組みを積極的に進めていらっしゃる企業等に応募をいただき、毎年知事表彰も実施しています。今年度は先日終了しましたので、来年度またぜひご応募いただければと思います。
少々駆け足になりましたけれども、ご清聴ありがとうございました。今後とも本県のがん対策へのご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(司会)児玉様、ありがとうございました。続きまして講演に移らせていただきます。講演タイトルは「職域がん対策の進化」と題しまして、がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長、東京大学特任教授でいらっしゃいます、中川恵一先生にお願いしたいと思います。
ここで簡単ではございますが、中川先生のご紹介をさせていただきます。中川先生は東京大学医学部をご卒業後、東京大学医学部放射線医学教室専任講師などを経て、現職の東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授としてご活躍のほか、がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長、厚生労働省がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会委員、文部科学省が教育のあり方に関する検討会委員など、がん検診率の向上、がん教育の推進、治療と就労の両立の普及にご尽力されていらっしゃいます。それでは中川先生よろしくお願いいたします。
職域がん対策の進化
東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川恵一先生
みなさん、こんにちは。中川でございます。がん対策、特に職場でのがん対策が必要であることを、みなさんにわかっていただきたいと思います。日本人は世界で最もがんが多い国です。累積がん罹患リスクとありますが、要は生涯にどれぐらいの確率でがんになるか。男性65.5%、女性51.2%、これは世界最高です。日本の男性の3人に2人、女性の2人に1人ががんになるということです。なぜこうなったかというと、急激な高齢化が原因です。
例えば、終戦直後の日本人の平均寿命ってたかだか50歳です。50歳までに男性ががんになる確率ってのはおそらく2~3%です。ですから昔はがんの患者さんはいなかったんですよ。ところがそれが急激に長生きになって、男性で82歳、女性でも88歳くらいになればこれだけの確率になります。日本の場合、その高齢化の速度が世界で類を見ないほど速かったということは、大変な勢いでがんが増えたということです。それに備えることができていない。しかし、それは社会として備えることができていない。だけど個人としては、簡単に言うと、避けられる死が避けられないという大きな不幸に繋がるわけです。
がんは一種の老化です。特に男性の場合は。よくがんは老化っていうんですけど、これは男性の話でして、女性は老化以外のファクターが結構多いです。従って女性の方は若い頃からがんになりやすい、老化以外の要素があるということです。これもやはり知る必要があります。
日本人の年代と患者数ですが、この青のライン、男性の増え方っていうのは老化です。指数関数的に増えるっていう感じです。急激に増えていく。一方で女性の方はですね、若い頃から増えてくので、老化以外のファクターがあるということ。これはかなり古いデータですが、働く人、つまりサラリーマン、特にこれは専属産業医がいるというわけですから、大企業と考えればいいですが、そこのサラリーマンの死因の半分はがんであるということ。
今、定年がこの頃より延長していますよね。定年がつい最近まで55歳、それが60歳、65歳になったわけです。ということは高齢者が、高齢の会社員ががんになるということ。この間OECDから「日本は定年制を見直せ、廃止せよ」という指令が出ていました。日本は単一民族です。私はスイスに1年間留学していたことがあるんですけど、いろんな人がいます。やはりみんな日本人じゃないですか。これ、かなり珍しいことです。海外で話したりするときに、みんな同じ日本人。単一民族で、社会を成熟させようとしたらどうなるのか。簡単に言うと1億総活躍、つまり死ぬまで働け、1億総活躍というのは申し訳ないけど、ハッピーリタイアメントは存在しませんということです。
例えば、総就労人口に占める65歳以上の割合、日本は世界一の13%、もうそろそろ15%になります。これ世界一高いです。働く人の15%が高齢者だということです。ちなみに日本老年学会で、老年医学の主な学会では、高齢者の定義は75歳からです。なかなか社会にはそれは通用していません。65歳ってことになっていますが、その高齢者、働く人の65歳以上の割合が日本は15%ぐらい。ドイツはどうかというと、2%です。フランスは0.9%ですよ。日本でだけ働く。なぜ、かの国々の高齢者が働かないで済むかと言ったら、ポーランドのような東欧の国々から若い労働力が入るからなんです。
例えばEUの中で人の行き来は自由ですから、結果的には相対的に所得の低い東欧の国々の若者が、貧乏人の何とかっていう言葉もありますけど、やっぱり所得レベルが低い国の方が、若者は多いんです。日本もかつてそうでした。ですからドイツ、フランスでは、自国民ではありませんが、移民という形で若い労働力が入ってくるということ。日本はそれをしてこなかったわけです。単一民族でやってくるっていうことはです。
他の国々の若者が働くことは前提にしていないということは、日本の高齢者が死ぬまで働くということになります。そうなれば、がんは特に男性がそうなんですが、年齢とともに急激に増えるわけだから、働くがん患者さんが増えるということになります。
私はそれをがん社会――働くがん患者が増えるという意味ですが、これを「がん社会」と呼んで、日本経済新聞の連載の中でもう11年間この話をしてきています。
厚労省のこの事業、がん対策推進企業アクションですが、今15年目の事業ですね。これ別に高級予算ではありません。1年1年必要だという判断をしていただいて15年間、来年度も続きます。非常に例外的だと思います。それは働く人にとってのがん対策が非常に重要だからということです。
実は私もがん患者であり、私も両立支援を経験したのでその話もさせていただきます。男性3人に2人ががんになるって偉そうに言ってきた私ですが、自分ががんになるとは全く想定しない。愚かなものです。でも我々はそうプログラムされていると思います。生き物は自分がいつ死ぬかは考えない。本来毎日毎日死ぬ日に近づいているのですが、そういうことは一つと考えず、毎日お酒を飲んでいるところがあります。それでも、自分で毎月検査していました。
先ほど東大の後輩に会いました。宮崎市長なかなかの若者でしたね。東大の先輩がやっているこの病院が東京にありますが、あまり経営がお上手じゃない。ありがちな想像しやすい話ですが、それでも病院は病院なので当直の医者が必要で、私がそれを志願して月1回土日やらせていただいていました。救急車は絶対きません。とてもいい環境で、論文や本などをここで書かせていただいてきました。この日2018年の12月9日、いつもは肝臓とか膵臓とかの検査を主にやるんです。膵臓がんなんか5年生存率7%ぐらいですから、ともかく早期に見つけたい。ただしこの日たまたま尿が溜まっていたんです。尿が溜まってないと膀胱の検査ってできにくいんです。
全てのがんは上皮っていうところから発生します。上皮というのは臓器の一番表面、膀胱だったらこの表面のところです。ここが尿です。膀胱の上皮っていうのは、尿道を通して外界と繋がってます。例えば胃の粘膜っていうのは、胃の上皮ですね。これは、食道、口を通して外界に繋がる。大腸もそうです。
ということは上皮というのは、臓器と、我々の体と外界との接点なんです。なので、どうしてもいろんな刺激によって異常な細胞が発生することがある。防波堤の役です。膀胱もそうで、一番表面から出て奥に進んでいく。これが排尿後だとぺちゃんこになり、よく検査できないので、たまたま尿が溜まってたので検査をやってみたらがんが見つかりました。
重要なことはですね、血尿とか何か違和感があるとか、そういうことは一切なかったんです。たまたま尿が溜まっているから検査してみようと。そうしたらがんがあった。がんって症状を出しにくい病気なんです。これ非常に重要なことで、多くの日本人が、がんて痛い病気、苦しい病気って思っているわけですけど、それは亡くなる3ヶ月前の話です。少々転移があって症状を出しにくい、ましてこれ14ミリでしたけれど、全く症状はなかったです。
私の場合はこの後、翌日にこの画像を東大の泌尿器科の後輩に送りました。日曜でしたけど、ちょうどさっきの宮崎市長さんと同じぐらいの年代の若者です。そしたらメールが返ってきて「おっしゃるように、がんですよね」と。全く思いやりがないですね。もうちょっとオブラートに包むような文案だったらいいのですが、一言「がんです」っと言う。翌日内視鏡をやってがん患者になり、年末に手術をして、こいつが思いやりのない泌尿器科の医者で、これが私です。
ちなみに日本て緩和ケアが遅れていまして、腰椎麻酔って言ってへそから下は全く感覚がないんですが、麻酔が切れると激痛じゃないですか。ところがこの後輩は、先輩である私に対して痛み止めも処方しませんでした。こういうことをやったんです。こういう熱したですね鉄の輪っかで剥ぎ取っていくんですよ。これ、思いやりのない後輩が今やっているんですけど、この後に痛み止めを出さない。私は当然処方されると思ってました。本当に思いやりがないのか馬鹿なのかどちらですよね。開成、東大医学部ですけど。
私は38年間がんの臨床医をやってきましたが、そのうち12年間は、東大病院の初代緩和ケア診療部長を兼務してきました。よく考えてみるとこのふたつの領域、放射線治療と緩和ケア、これをひとりでやれって言うわけです。非常に軽視されてきた分野なんだろうとは思います。私は自分で薬を出させていただき、そうすると元気になって、31日に退院で1月4日から通常勤務。12月28日はさすがに休みましたが、病欠は1日だけです。これは自慢話みたいに見えるかもしれませんが、これ別に早期の胃がんにしても早期の大腸がんにしても、内視鏡切除と同じようにできます。
両立支援の最も有効なことは早期発見なんです。もちろんがんとは運の要素もあります。例えば私が膀胱がんになった理由は何かって、運が悪かったんですよ。あの膀胱がんの発生要因としてわかっているのは喫煙だけです。しかし私は煙草は吸いません。でも、たまたま、細胞の増殖に関係する遺伝子がいたんで、細胞が不死化した、それを免疫の細胞がたまたま取り逃したということ、それは必ず起こるわけですよね。運の要素があるからこそ早期発見が重要だということです。
がんとは台風とは違う。これ非常に重要なことで、多くの日本人ががんと自然災害と同じような感覚で捉えてるような気がするんです。もちろん全てのがんをコントロールできるわけではないが、しかし自然災害と比べればよほど制御可能、あるいは備えることができます。台風はどうしようもないじゃないですか。これだけ科学技術が進んでも、地震の予知すらできない。本当に大変な痛ましい話で、しかもこれは避けることができないですし予知することもできない。
それと比べれば、がんってよほど制御可能な病気です。そのためにはがんを知るっていうことです。例えばみなさんのお手元に「働く人ががんを知る本」というのがあります。今日の私の話は基本的にそれに全部書いてありますが、こんな薄っぺらい本に書ける内容なんです。これを知るか知らないかというのは大きな問題で、このことを私はずいぶん前から申し上げてきました。
そして今、学校ではがんの授業が始まっています。学習指導要領も変わっています。知っていますか。中学校と高校の学習指導要領の中にがん教育が明記されていて、教科書も変わっているという話を知っている方、挙手をお願いします。遠慮なく手を挙げてください。かなり少数派ですよね。なぜかマスコミもあまりこういうことを報道しません。
さて、がんとは何か。遺伝が原因のがんは5%しかないんです。遺伝によるがんとはほとんど例外的で、がんとは細胞の老化です。ただしさっき少し触れたようにこれは男性の話で、多くの女性のがんも老化なんですけど、乳がんと子宮頸がんは例外的です。
がん細胞は毎日数千個できているんです。その背景には煙草、ウイルス、放射線。例えば子宮頸がんの原因のほとんど、99%程度が性交渉に伴うウイルス感染で、あるいは福島で問題になった放射線でも100ミリシーベルトを超えると、確かにがんが増えます。ただ、こういう要素がなくても自然に発生します。私なんかはまさにそうですね。ですので、がんの患者さんの生活習慣が全て悪いというわけではない。確かに煙草が男性のがんの4分の1ぐらい原因を占めますけどね。しかしそういうことが一切なくてもがんができるから、だからこそ早期発見が必要ということです。
今、中学校でがんの授業が始まってると言いましたが、これ中学生の教科書です。たったひとつのがん細胞が20年かけて1センチになる。1センチにならないと私のようながんの専門医でも、がんを診断することはできません。5ミリの肺がんなどを見つけたことはありません。
早期がんとは、厳密にはいろいろ面倒くさい話はあるんですけど、2センチまでと思ってください。つまり、発見可能な早期がんって1センチから2センチなんです。がんて10ミクロン、1ミリの100分の1なんですね。そうすると1センチには1,000個細胞が並びます。ということは、1CCのがん、一辺1センチの角砂糖だと、これ1000の3乗つまり、10億個細胞が入っている。10億って2の30乗なんです。つまりここからここまでは30回の分裂です。1CCのがん、8CCのがんですよね。ということは、体積で8倍、細胞の数でも8倍。8って2の3乗なので、実はここからここはたった3回なんですね。30回で1センチ、この間は3回、つまりこの時間の10分の1、1~2年っていうことなんです。割と単純な話なんですよね。早いものは10年だから肺がん検診は毎年やりましょう、乳がん、子宮頸がん、胃がん検診は2年に一度やりましょう。
宮崎に多い成人T細胞白血病という病気があるんですが、広島の北別府投手はこれで亡くなりました。宮崎にも多いんです。宮崎、鹿児島、沖縄もっと多いんです。沖縄は日本で白血病が一番多い。これは母乳でうつるウイルス、HTLV1っていうウイルスが原因なんですけど、成人というのはどういうことかというと、子どものときにはなりません。大体50年間かかるんです。50歳以上の方が発症する。だから成人なんですが、ということはこの病気だと図のここが50年になるんです。がんは大体20年が多いんですけど、10年のものもあれば、50年のものもある。結局長生きしないとかかりませんよということです。
50歳にならないと発症しない白血病なんていうのは、昔、江戸時代の頃は1人もいなかったということ。ウイルスだけは受け継がれたかもしれない。とにかく1センチから2センチの間ってのは、1~2年なので定期的な検査が要る。がんに備える基本というのはこれで1次予防と2次予防と言いますが、生活習慣を整えて、でも運悪く罹患した場合には、早期に見つけましょうということです。
若い頃は女性に多いですね。55歳までは女性が多くて、55歳からいっきに男性が増えてくるから、生涯を通して見ると男3分の2、女性を2分の1ということです。
ということは女性が働き、かつ男女とも長く働くと、会社でがんの患者さんが増えます。かつて女性の方々は専業主婦でしたが今は会社員です。つい最近まで55歳が定年だったんです。それが60歳、さらに65歳、OECDはもっと働けと言っています。でももっと働かない限り、日本の経済成長も社会保障制度の維持ができないんです。
単一民族で国を成熟させるということは、一生働くということもほぼ自明でわかりきっていますよね。でも、そういうことがまともに議論された形跡はありません。
女性は老化以外のファクターでがんが増える。子宮頸がんは30代、乳がんは40代にピークがひとつあります。これは女性のがんだけ見ているグラフで、女性の肺がん、女性の胃がん、女性の大腸がんなど。ほとんどの女性のがんも老化なんです。この青いラインと一緒。ところが乳がんだけは40代後半にピークがあって、それから減少するというのは、乳がんを増やす最大の要因というのは、老化以上に女性ホルモンによる刺激です。男性ホルモンで増えるのが前立腺がんです。
女性ホルモンというのは男性ホルモンと違って、50歳を過ぎると分泌が止まります。生理が止まる、閉経ですよね。そうなってくると、乳がんを増やす要因がなくなるので減ってきますという、割と単純な話ですね。子宮頸がんの方は30代後半にピークというのは、先ほどのこのヒトパピローマウイルス、HPVの性交渉に伴う感染がほぼ100%原因です。だから性経験のない女性には基本的に子宮頚がんができないということです。
なので、性経験を始める前の小6から高1女子に対して、このウイルスに対するワクチンを無料で打てるように法律改正が行われました。2013年に一時8割近く接種されていたこのワクチンですが、副反応を巡る報道などによってほぼゼロになりました。この辺もちょっと自分で考える人が少ないという危険です。戦争反対から戦争推進となってしまいますよ、日本人は。結果的には日本、先進国の中で日本でだけ打つ人がほぼいない。その結果、先進国の中で日本だけ子宮頸がんの罹患率が増えています。年齢調整罹患率ですね。
先ほど県知事からお話があったように、子宮頸がんの罹患率は宮崎が全国ワーストという問題もありますが、日本では全体的にこういうことが起こっているわけです。子宮頸がんはHPVワクチンの他に、子宮頸がん検診が非常に有効で、仮にワクチンの接種率が85%になり、そして検診受診率が85%になると、子宮頸がんになる方は5%になります。ウイルスが原因ですから、天然痘のように撲滅になるんです。オーストラリアなどはそのようになっています。今後、日本の若い女性はオーストラリアに入ってくれるなというようなことになるかもしれません。
実際に日本はワクチンの接種が非常に遅れています。アメリカで、はしかの患者が出たら「日本に行ったことがあるか聞け」とガイドラインにそう書いてあります。大変恥ずかしい話だと思います。
HPVワクチン接種が9年間、積極的な勧奨が止まりました。積極的な勧奨の差し控えというのは、小6から高1の女子生徒がいるご家庭に、HPVワクチン接種の葉書を出さなくなったんです。だからゼロになるわけですが9年間、実は私は厚労省の前で言うのも恐縮ですが、これ大きな失政だと思っています。
このHPVのワクチンの9年間を差し控え、その証拠にこの9年間にこの小6から高1を迎えていた年代、具体的に97年の4月から2007年の4月までに生まれた女性、上は26~27歳ですね。この方々に関しては、体接種対象年齢ではないですが、無料で打つということをやっています。このキャッチアップ接種、職域でも多くの方が対象者なんですが、なかなかこの辺も勧奨がしにくいデリケートな問題なのはわかります。
いろいろ申し上げましたが、乳がんのピークは40代後半、子宮頸がんのピークは30代なので、この若い時期というのは女性に罹患者が増えるということです。ですから会社にいる、働くがん患者さんは女性の方が遥かに多いってのはそういうことです。 55歳までは圧倒的に女性が多いので、会社の中ではとりわけ女性のがん対策が重要になります。企業アクションのパートナー企業が5000社ありますが、そのパートナー企業に対して、受診率のアンケートをしています。胃がん、肺がんはこれだけ受けており、大腸がんも7割近いですが、乳がんと子宮頸がんがややり受診率が低いです。これはかつて、会社は男社会だったこともあるのではという気がします。しかし、むしろここが非常に重要いうことになります。
どういった検診をやればいいかには答えがありまして、厚労省が推奨している指針に従った検診です。例えば胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がん。乳がんに関しては40歳から2年に一度マンモグラフィー、子宮頸がんは20歳から2年に一度細胞診。これは指針の中で、健康増進法という法律が定めています。これ住民検診です。市区町村が行う、自治体が行う住民検診ですが、この自己負担が非常に安い。私は東京の千代田区というところに住んでいますが、千代田区だけじゃなくて新宿区、港区、文京区あたりも自己負担はこの5つ全部ゼロです。要するにそれは財政がいいからです。
でも夕張市だって、せいぜい500円とかなんですよ。それは税金を投入しているからです。これらの検査というのは最も科学的に有効性が示されているので、法律で定めて、公金を投入しているから安いんです。ですから、これをまず行うべきですが、なかなか理解が進んでおりません。
企業アクションに関しては、今、既に藤田事務局長からいろいろお話ししていただきましたので、細かいことは省いて参ります。推進パートナー企業、15年目の事業で着実に増えていますが、都道府県別に見てこの東京にパートナー企業が集中しています。これはしょうがないことだと思います。ここ宮崎については23社ということで、ぜひ頑張っていただきたいです。
私も40年前の話ですが、初恋の女性が宮崎県の方でして、都城市の方でした。よく思い出します。まだ医学部の学生の頃でしたけどね、何回も宮崎空港に来た思いをします。ぜひ頑張っていただきたいです。
先ほど今日ご参集のみなさんの企業リストをいただいたのですが、大企業もたくさんある一方で中小企業もたくさんあり、私は両方ともに問題があると思っています。実際5,000社の中で、約6割が従業員数100人未満の会社さんで、検診の受診率などは当然かもしれませんが大企業の方が高いです。しかし大企業にも問題はあります。
がんは知ることによって本当に克服できる病気なんです。ですから学校で、がんのことを教えるということ、私もかなり一生懸命やってまいりました。
香川県に宇多津町というところは非常に小さな町で、中学校が1校しかありません。もうかれこれ12年ぐらい前から毎年、この宇多津町の中学2年生に授業をしてきました。そうすると、このグラフの青は香川県のアベレージで、赤は宇多津町のがん検診受診率ですが、急に上がっています。
どういうことかというと、子どもたちががんを習うと、お父さんお母さんに話をするんです。「お父さん煙草やめて、受動喫煙で私ががんになる」と。旦那さんが煙草を吸うと奥さんの肺がんリスクは2倍になりますから。それから「お父さん、お母さん、がん検診行ってくれ」と言う。大人の世代はがんを習ってないわけですから。
申し上げたように学習指導要領にもがん教育は明記されています。保健の先生が一番煙草を吸うという深遠な課題はありますが、それでも一応教科書が変わりましたし、先ほどの受けるべきがん検診、これは企業の中でも同じようにやるのが望ましいです。
高校では高精度放射線治療とか、こんなことも習います。したがって大人のがん教育を会社の中でやっていただくのがとても重要で、企業アクションの大きな課題も企業のみなさまに対して情報提供していくことです。
これは藤田事務局長に少し触れていただきましたので、繰り返しお話することはありませんが、某生命保険会社と共同し、この企業アクション経営者の方、特に従業員数20名以下の中小企業の経営者の方にアンケートをいたしました。
企業経営者の関心について。大いに関心がある、関心がある、あまり関心がない。実はこの中小企業の場合には経営者の関心が非常に重要で、がん検診を実施しているか、中小企業の場合には、協会けんぽさんの生活習慣病予防検診、これが最もおすすめです。ただし、協会けんぽさんの生活習慣病予防検診は、乳がんと子宮頚がんがオプションなんです。このオプションという概念を外して欲しいなと思っています。
いずれにしてもその経営者の関心によって、このがん検診の実施率はもう完璧にコントロールされ、相関するんです。当たり前かもしれません。しかしこれははっきりしていますから、やはり中小企業の経営者の方に、がんのことを知ってもらいたいと思います。治療と仕事の両立支援も同じです。
一方、大企業においては精密検査の受診率が低いです。こちらは住民検診です。一般の自治体から、例えば宮崎市から葉書が行くようながん検診です。確かに大腸がん検診が7割、本当は残りの3割の方もやってもらわなければいけないのですが、他は75%以上。それに対して大企業の健保組合での精密検査受診率です。社員さんと被扶養者ですが、被扶養者が高いんです。社員さんは軒並み5割以下です。これはひどいデータと言うと申し訳ないですが、なんでこうなるかというと、効率な裏付けがないからです。
職域でのがん検診というのは、健康増進法による裏付けはありません。かんたんに言うと、福利厚生事業ですね。正直言って、やらなくてもいいような検診もたくさんあります。今でも腫瘍マーカーを使った検診なんてやめた方がいいんですけど、行われています。そして精密検査受診率がなぜこうなるかというと、法律の裏付けがないから、個人情報保護法に配慮するあまり、受診勧奨ができないのです。
精密検査を受けてくださいというのは、実は機微情報ではありますが、多くの方が誤解してるのは「精密検査が必要」「要精密検査」はがんの疑いか。そんなことはないですよ。例えば大腸がん検診。大腸がん検診の一次検査1,000名が受けると、66名が要精密検査になる。その66名のうち最終的に大腸がんは2人です。ですから、がんの疑いというのはあまりにも66分の2ですよ。非常に少ないです。むしろ早期発見のチャンスと言えると思います。しかしがんの疑いという理解は決して正しくないと思います。この辺も知っていただきたいと思います。
それから私の弟も東大のがんの専門医ですが、私の義理の妹が48歳で直腸がんで死にました。大腸がん検診をしていませんでした。もう既に発見時に転移があるステージ4でした。ステージ1とステージ4の大腸がん、これほど生存率に違いがあるんです。98%と16%で、この運命を分けるのは何かというと、検便をしたかしないかです。検便をせず、ステージ4と診断された4年半で命を落としました。48歳です。
お金もかかります。大腸がんのステージ4、全身転移があるわけですから抗がん剤になります。弟も言っていましたが、医療費は大体月々60万ぐらい。これ全国平均でも年間750万です。もちろんここから3割負担、高額療養費制度がありますが、年間750万日本国として払っているってことは間違いないです。それだけ進行がんの方というのは、世の中に対して負担を与えることになっています。がんは運の要素があります。そこを大きく言うつもりはないですが、結果的にはこういうことになっているということです。
もし検便によって早期に見つけていれば、私の膀胱がんと同じようにこういう治療ができます。上皮から発生するわけですから、早期がんの場合にはその下にスペースがあるのです。そしてそこに塩水を入れて浮き上がらせて、一気に取ってしまいます。この費用が40万です。これだけ費用も違います。もちろん4年半抗がん剤をやればどうなるかわかりますよね。肉体的な負担ものすごく大きいです。しかし経済的な負担もあります。
富士通健保と大腸がん検診による経済効果を見ました。時間がないので省きますが、受診群と未受診群で、この受信群の方が経済負担は少ないです。健保ですよ。それはもちろん便潜血検査の部分、そして先ほど申し上げたように、便潜血検査で陽性になったとしても結果的には治療に至るものが少ない。だから内視鏡線検査はほとんどが無駄になるわけです。このコストは便潜血検査を受けてない人には発生しませんが、受けていないと治療費がかかるんです。だから便潜血検査を受けコストがかかっても、結果的には健保の負担が少ない。こういうデータも出ています。
これで終わりにしますが、女性が働きかつ定年が延長する中で、職場でのがん対策が非常に重要であるということです。ぜひこれをご理解いただき、そして宮崎県、企業アクションのパートナー企業数23社と非常に少ないです。これ国の事業ですから、経済的な負担ゼロですね。例えばお手元の小冊子、社員数分全部無料で差し上げています。ぜひ社長を説得して、特に中小企業の場合には参画していただきたいと思います。長時間ご清聴ありがとうございました。
(司会)中川先生どうもありがとうございました。企業におけるがん対策は今後ますます必要になってまいります。みなさま今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは再開させていただきます。まずは企業事例の発表ということで、旭化成株式会社のご紹介です。1922年に総合化学メーカーとして創業され、現在は繊維、ケミカル、エレクトロニクス事業から成るマテリアル、住宅建材事業からなる住宅、医薬医療、クリティカルケア事業から成るヘルスケア、この三つの領域で事業展開されていらっしゃいます。
ご案内にございました清水様ですが、御所用のため本日は旭化成株式会社健康経営推進室延岡健康経営支援センターの保健師でいらっしゃいます竹田郁美様にお越しいただいております。では竹田様どうぞよろしくお願いいたします。
企業事例発表
旭化成株式会社健康経営推進室 延岡健康経営支援センター保健師 竹田郁美氏
はじめに会社紹介です。旭化成グループは、事業持ち株会社である旭化成と七つの事業会社を中核に、マテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域で事業を展開する総合化学メーカーです。従業員数は約4万9,000人です。
旭化成グループの技術・製品には、暮らしに身近な消費財や生活を快適にする素材や製品があります。さらに命を支えるヘルスケア製品まで、幅広いシーンで使用されています。グループミッションは、「私たち旭化成グループは、世界の人びとの“いのち”
と
“くらし”に貢献します。」グループビジョンは、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供していきます。」であり、創業より、いのちとくらしに貢献にすることをモットーとして、事業を展開しています。
グループでは、健康経営にも力を入れています。従業員一人ひとりの活躍と成長、働きがい・生きがいの向上、活気あふれる強い組織風土づくりに取り組むことで、グループの生産性向上や発展に繋げることを目指しています。これらの目的達成のためには、成長、活躍の機会をつくることが大事です。例えば、病気を理由に仕事を休むと、成長・活躍の機会が奪われるため、がん対策では、早期発見と治療を続けながら働ける環境づくりを目指し休業日数削減の目標を掲げて健康経営活動を進めています。これらの健康経営に関する取り組みが評価され、2023年にはホワイト500の認定を受けました。
続いて、旭化成延岡支社の概要です。延岡支社は、宮崎県北部に位置する延岡市にあります。延岡市と日向市に6つの工場群があり、約6,000人の従業員が日々汗を流しながら生産に取り組んでいます。掲載している写真は主な製品です。約6,000人の従業員の内、約1,500名が交代勤務者、約1,000人が女性従業員です。
延岡・日向地区における健康管理・健康経営を延岡健康経営支援センターが担っており、専属産業医4名、保健師6名、事務スタッフ12名で活動しています。
ここからは旭化成延岡支社におけるがん対策をご紹介します。旭化成グループには、がん対策として3つの取り組みがあります。1つめは、がんリテラシーの向上で、がんに対する正しい知識や情報を取り入れ、それを活用できる力を養うことを目指しています。2つめは、がんの早期発見と治療に繋げることです。3つめは、治療と仕事の両立支援です。
これらの取り組みは、東京本社にある健康経営推進室と連携し、全社の取り組みと各地区の取り組みの2階建てで対策を進めており、延岡・日向地区では、地区の特性に応じた対策を進めています。
こちらの表はグループ全体で実施しているがん検診の対象者や実施方法を示しています。大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんの5つのがん検診を実施しています。
旭化成グループにおけるがん検診の実施方法は、各地区事情に応じた方法で実施しています。また、がん検診は任意検診であるため、希望する従業員を対象に実施しています。受診費用は、会社と健保で負担し、従業員の自己負担はありません。
次に子宮頸がん検診の受診率向上に向けた取り組みをご紹介します。延岡・日向地区では、子宮頸がん検診の受診率が低い点が課題です。実は、子宮頸がん検診は、過去10年間、30%弱という低い受診率で推移しており、この状況を何とかしたいという思いで検討を重ねてきました。しかし、何から取り組むべきか、具体的な対策をなかなか見いだせない状況でした。そこで、2017年から検診実施年度に、対象者にアンケートを実施し、課題やニーズの把握に努めています。
資料にあるグラフは、2021年に実施したアンケート結果の一部です。
「2年以上、子宮頸がんを受診していない」と回答した方に、「子宮頸がん検診を受診しない理由」を尋ねたところ、「検査への抵抗感がある」、「受診がしにくい」、「必要性を感じない」が、回答の上位を占めました。「抵抗感」の内訳は、には、恥ずかしい、検査が痛い、不快感がある、という意見がありました。「受診がしにくい」の内訳には、仕事も家事も育児も忙しいという意見がありました。また、これまで実施してきた子宮頸がん検診は、プライベートな時間に医療機関を受診するという方法であったため、「有給休暇取得」が受診しにくさの原因という意見もありました。「必要性を感じていない」の内訳は、検診自体を忘れていた、重要性が高くなかったことと、症状がないから必要性がないと感じているという意見が多くありました。
アンケート結果を受け、子宮頸がん検診の受診率向上に向けて2つの対策に取り組みました。1つめは、がんに関するヘルスリテラシーの向上です。リテラシーの向上を図ることで、検診の重要性の認識が高まり、受診への抵抗感が軽減されることを目指しました。具体的には、がんに関する情報発信や、がんに関するeラーニングを実施しました。詳しい内容は後述します。
2つめは、受診しやすい環境の整備です。これまで子宮頸がん検診が、プライベートな時間を使って医療機関を受診するという方法だったため、勤務中に検診を受診する方法を検討しました。2021年に2つの工場でバス検診を導入し、前回と比べA工場では10.6%、B工場では8.6%受診率が上昇しました。また、バス検診と医療機関を合わせた全体の受診率は41.1%であり、前回と比べ5.1%上昇しました。バス健検診を受診した方の満足度は、93%と高い結果が得られました。
この結果を受け、2023年もバス検診を継続し、バスを配置する工場と実施日数を増やしたところ、全体の受診率が46%と前回から4.9%上昇し、この時点で何とか国の平均43.7%を超えました。受診しやすい環境の整備のため子宮頸がん検診の受診スタイルをバスと医療機関、2通りから選べるという選択肢を用意したことが、受診率の向上に繋がったと考えております。
次は精密検査受診率向上への取り組みについてです。要精密検査となった方には、病院を必ず受診して、ご自分の健康状態を確認してほしいと思いますが、なかなか受診に至らない状況があります。しかし、精密検査受診が遅れたことで、発見できたがんが進行してしまったということにならないように、精密検査の受診率向上の取り組みも非常に大事だと考えております。
精密検査受診率向上に向けた対策としては、検診結果に紹介状を同封し、紹介状の発行後、一定期間経過後に受診が確認できない方には、毎月継続して受診勧奨メールを送り続けました。「受診先がわからない」、「どんな検査を受けるか不安」などの心配事には、面談や電話で個別対応を実施しました。
この表は、2022年と23年の精密検査受診率の結果です。大腸がんと前立腺がんで精密検査の受診率は上昇しました。乳がん検診と子宮頸がん検診は11月まで検診を実施しておりましたので、途中経過ですが、例年100%の受診率を得られております。これからも精密検査受診率100%を目指して取り組みを続けていきたいと考えております。
続きまして、がんリテラシー向上に関する取り組みです。こちらはデジタルサイネージを使用した情報発信になります。デジタルサイネージは、壁面にモニターがあり、音声なしの社内向け情報がCMのように流れてくるものです。この「がんのミニ知識」は、日本対がん協会が作成されたコンテンツですが、全工場で1コマを2週間放映し続け、約1年かけ16コマを情報発信いたしました。最後のページには、宮崎県健康づくり協会から提供いただいた広告媒体も掲載し、県と一緒に受診率向上に取り組んでいることを従業員に情報発信いたしました。
こちらは全工場の安全衛生委員会で行ったがんの啓発内容になります。2023年は婦人科がん検診、がんのe-ランニング、胃がん検診について情報発信を行いました。安全衛生委員会は、延岡日向地区内で約30か所ございます。その中で、健康に関する情報を発信する場を設けてもらっており、情報発信の場として非常に有益な場となっております。
次に、社内ホームページの紹介です。当社従業員は、延岡健康経営支援センターのホームページにアクセスできるようになっています。その中にがん対策推進企業アクションからいただいているニュースレターの掲載や、その他様々ながんの情報を掲載しております。このようにがんに関する情報を集約・提供することで、従業員が情報を習得できる機会になればと考えております。
こちらは全社で実施したがん予防と両立支援に関するeラーニングの内容です。中川先生が監修された教育資料を用いて、全従業員に受講をお願いしました。
延岡・日向地区では受講率96.9%と多くの方が受講しました。受講前後のアンケートでは、受講後に「知識が深まった」「これまで健診を受けていなかったけれども、今後は受診を考える」と回答した割合が増えております。
その他の取り組みとしては、喫煙対策があります。旭化成グループでは、受動喫煙、煙草による健康被害をなくすために、段階的な禁煙を目指して進めていくことになりました。2024年4月からは就業時間内禁煙、2025年4月からは敷地内禁煙、宴席中禁煙を実施いたします。こちらのポスターには、工藤社長からのメッセージも添えられており、トップの言葉の影響力もあってか、禁煙を希望する方が増えてきている状況です。延岡では集団向けの禁煙補助薬のためのお試し会や、個別の支援も実施しております。
続いて両立支援についてです。両立支援は全社で2023年1月から、「治療のための通院時間確保支援制度」が制度化されました。これにより、がんや難病の治療のために通院が必要な方が、時間単位で休暇が取得できるようになり、フレックスタイムの適用が拡大されました。
以上のことから、今後のがん対策活動の重点テーマは、がん検診受診率の向上と、要精密者受診率のさらなる向上を目指したいと考えております。そのためには、情報発信や、受診しやすい環境の整備をさらに推進していく活動を展開していく予定でございます。
最後に私達、延岡健康経営支援センターは、これからも従業員の声を聞きながら、みなさんとともにがん対策を推進し、多くの従業員が、がんにかからない、かかっても早期発見する、がんになっても、治療と仕事を両立することができるようにサポートすることで、いつまでも元気にはつらつと活躍し続けることができるように取り組んでいきます。ご清聴ありがとうございました。
(司会)竹田様、どうもありがとうございました。はい。続きまして、次の講師の方は、がん対策推進企業アクション認定講師でいらっしゃいます、久家麻美様です。ここで簡単に久家様のご紹介をさせていただきます。
33歳のときに子宮頸がんを罹患され、子宮全摘手術を受けられました。その後再発なく経過し、2023年4月で、がん克服となられました。久家様が在籍していらっしゃいます検診機関で、これまでも保健師として、がん検診啓発活動に携わっていらっしゃいましたが、自らのがん経験を生かした活動がしたいということで、2023年よりがん対策推進企業アクションの認定講師となられました。公演タイトルは「子宮を失って想うこと~母・夫に対する想い~」それでは久我様、どうぞよろしくお願いいたします。
「子宮を失って想うこと~母・夫に対する想い~」
がん対策推進企業アクション認定講師 久家麻美氏
みなさまこんにちは。ただいまご紹介にあずかりました、がん対策推進企業アクション認定講師をしております久家麻美と申します。本日はこのような場所でお話をさせていただくことを大変嬉しく思っております。今日は私のがんにまつわる経験をお話しさせていただき、少しでもご自身だったり、あとご家族の健康について考えていただいたり、あと企業とみなさまには、社員のみなさまにとってのがん検診に対するアクションを起こすきっかけになれば良いなと思っておりますので短い間ですがよろしくお願いいたします。
まず私の自己紹介からさせていただきます。私は5年前に子宮頸がんに罹患をしまして、子宮を全部摘出して卵巣も二つともとっております。この認定講師というお仕事は去年の1月にちょっとご縁がありまして登録させていただき、活動を開始しました。実際に活動というのがまだ2回ぐらいしかなくて、実際にこの経験を中心にお話するというのは今回がほとんど初めてのような形です。私の職場の人もたくさん来ているんですけど、ちょっと緊張しております。ドキドキします。
経歴としては、私は長崎県の出身ですけれども、実は大学を宮崎大学に通っておりまして、4年間あの青春時代をこの宮崎で過ごしました。青島にウミガメを見に行ったりとか、小林に蛍を見に行ったりとか、そんな感じですごく楽しく過ごした思い出があります。ボンベルタ橘がMEGAドンキになっていてちょっとびっくりしました。そんな中でこのようにお話をさせていただくのにすごくご縁を感じております。宮崎という土地がすごく大好きなので、ぜひみなさんにも何かを感じていただければなと思っています。
就職は福岡にしまして、看護師として2年勤務しました。その後、今は保健師として福岡労働衛生研究所というところに入職しまして、保健師としては15年目になります。業務としましては特定保健指導だったりとか、あと産業保健分野で事業所に訪問して保健指導をさせていただいたりとか、ご依頼を受けて健康講話をさせていただいています。
あとがん検診の啓発活動です。労衛研もがん検診をしておりますので、その啓発活動であったり、精密検査の統計作業をする部門にもいたりというふうにしております。ちなみに私は宮崎大学にいたときに、公衆衛生学の講座の中で企業訪問という授業があって、当時九州電力の宮崎支店にお伺いしたんじゃないかなと思います。今日来てらっしゃると聞いていますので、本当にご縁があるなと思っております。検診でもお世話になってるということで。
私のがんについての略歴をお話しさせていただこうと思います。私がんに触れる機会って人よりあるのかなと思ったのですが、多分みなさんも結構ご親族だったりご家族、ご友人にがんになった人って結構いらっしゃるんじゃないかなと思うんです。
男性の3人に2人、女性は2人に1人ががんになるということで、私の場合は19歳のときが、がんに関わる初めての年齢でした。小中高一緒だった友人が卵巣がんに罹患しました。ちょうど夏休みで実家に帰ってみんなで集まったときに、その子がすごいお腹が大きかったんですよ。「妊娠しているの?」「いやちょっと太っちゃって」みたいな話をして、実はそれが後に卵巣がんだったと卵巣が人の頭ぐらいまで腫れ上がってお腹が大きくなっていたっていうのを、当時知りました。
看護学生だったので、後々あのとき私が「病院行ったほうがいいんじゃない」と言えていれば違ったのかなと思ったこともあります。友人は大学にも通っていて、休学をして自宅から抗がん剤治療を受けに行き、どうにかがんを摘出して復学しましたが、やはり再発を繰り返し25歳のときに全身転移で亡くなったような経験があります。
そのときに、がんに対してつらいなという気持ちと、身近に感じると記憶していて、当時25歳で私も保健師になりたてだったので、がん検診をちゃんと私も力を入れて啓発していこうという気持ちでいました。
29歳のときに次は父が膵臓がんになりました。膵臓がんは先生のお話にもありましたけれども、すごく生存率が低いものになりますので、もう膵臓がんだと聞いた瞬間に覚悟をしたのを覚えてます。ちょうど1月に膵臓がんと診断され、父が亡くなったのはその年の11月です。10ヶ月ですね。セカンドオピニオンにもついて行ったりして、転移している肝臓の画像を見てちょっと厳しいなと、やはり看護職なのでわかるんですよね。この希少がんというものが、もっと発見できる医療が発達するといいなと思っております。
そんな中、私は結婚をするんですけれども、父が他界する1ヶ月前に入籍をしまして、ちょうど結婚の婚姻届の欄に父にサインをしてもらえたのはすごく良かったなと思っています。
その3年後、私は子宮頸がんになります。実は発覚する1年前ぐらいに不正出血の症状がありましたが、子宮頸がん検診を受けて細胞診を受けているんです。そのときは陰性と結果が出たので大丈夫なんだなと思っていました。1年後にまた検診を受けたら、もう診察の内診をしているときに先生から「びらんの所見があるから、このまま検査結果を待つよりも早めに病院に行った方がいいだろう」と紹介状をその場でもらいました。
もうドキドキです、本当に。検診をやっている保健師なのでわかるんですよ。「なんだろう、これ」とドキドキしながら予約をその場で取り、1~2週間後ぐらいに予約が取れたので病院に行って、コルポ診というのをするんですけど、その場で結果は出ないので、また1~2週間後に結果を聞きに行くんです。
診察室に入ると、先生がモニター越しに見てらっしゃるの、腺腫という言葉が見えるんですよ。保健師として腺腫という字が見えたら、もうわかります。「私は腺腫がんなんだ」と。先生からがんですと告知を受けて、不思議と冷静なんです。腺腫がんか、ステージはどれくらいになるのかなとか、手術になるのかなとか、いろいろ考えるんです。
まずは詳しい検査をしていこうという話で「内診して、また細胞とらせてね」ということで内診台にもう1回上がり、女性はわかると思うんですけど、目隠しがされますよね。内診台に上がると、1人の空間になるんです。もう、そこからもう涙が止まらなくて、何か死の恐怖というよりも、子宮を取るんだろうなと考えたときに、もう子どもが産めないんだなと思いました。
主人が実は両親がもう亡くなっていて、兄弟もいないので独り身なんです。ちょっと天涯孤独みたいな人で、家族が増える喜びを知らないので、夫にやっぱり子どもを残したかったなとすごく思って泣いてしまって。看護師さんが手を握ってくださいましたけど、すごくつらかったです。でもどこかで保健師として、どうしよう、この後、治療どうするんだろう、みたいな冷静な自分もいて、複雑というか不思議な感じでした。
その後、母と夫に伝えるという場面になっていくんですが、後でまたお話はさせていただきます。でもやはり子どもが欲しいなとは思っていたので、どうにか妊孕性を保てないか、まだ妊娠できる状態を保てないかセカンドオピニオンを九大病院の方に行ったけれども、私のがんは腺がんというタイプで、先生もおっしゃっていた上皮がんとはタイプが違うんです。やはり再発のリスクが結構高いものになるそうで、腺がんでこの大きさだったら妊孕性を保つのはどうだろうという判断でした。
夫も私の母も「やはりあなたの命の方が大事だから、できたらもう全摘の方がいいんじゃないか」というのと、私もどうしても子どもが絶対に欲しいかというと、そこまでは考えてはいなくて、私もやはり命の方が大事と思い、全摘を選びました。
罹患がわかって2ヶ月後、4月ぐらいに手術が決まり、腹腔鏡下で手術ができましたので、そんなにお腹を切らずに済みました。10日間ぐらいの入院で、自宅療養して5月には仕事復帰したという形です。
私は手術をすることを職場の上司には話しましたし、近しい仲の良かった人たちには話しましたけど、他の同僚には話さないでいました。ちょうど同僚が妊娠していて、話したらすごく気を遣われてしまうんだろうなとか、罪悪感というか、妊娠している子の方が気を遣ってしまうだろうなと思ったら、ちょっと言えなかったんですよね。
どのタイミングで言うべきなのか本当にずっと迷っていました。結局今までズルズルとしてしまい、聞かれたときに「実はね」と話をする程度で、だから今日いる職員も多分知らなかった人はすごくたくさんいます。
私は仕事復帰をしたんですけれども骨盤のところのリンパを取る手術をしていて、神経をどうしても触るので、排尿障害が出ましたが、今はもうほとんど回復しています。卵巣を摘出したことで女性ホルモンが低下し、その当時はホットフラッシュも出ていたので、ホルモン剤を今飲んでいます。これも飲まないとやはり骨粗鬆症のリスクもあるので、閉経の年齢まではお薬を飲み続けようというご相談を先生としています。
ずっと再発なく検査を受けてきて、昨年の5月に術後5年経過という形でがんを克服いたしました。ちょうど5年経ったときは家族にLINEして「5年経ちました。ありがとうございます」と報告をして喜びを分かち合いました。
私ががんに患ったときは「1-B2期」というところで、5年生存率が大体80%ぐらいのところだったので、早めに見つかって本当によかったなと思っています。やはりその段階だと子宮の全摘出が、治療になるのかなというところです。
できるだけ早めに見つけることがすごく重要だと思いますし、やはり子どもを産む臓器なので、どうにか残したいっていう気持ちがあります。なので、子宮頸がん検診を受けてない方には、やはり早めに見つけることが大切なので、ぜひ受けてほしいなと思っています。
子宮頸がんとは中川先生のお話にもありましたけれども、ヒトパピローマウイルスの感染によって起きるものではあります。主に30歳から40歳代の人たちで罹患をするのですが、やはり働く世代ですよね。そして子育てをする世代でもあります。
みなさんテレビドラマで「コウノドリ」というドラマはご存知ですか?原作が漫画なのですが、綾野剛さんが主演だったと思います。その主人公のお母さんが、子宮頸がんで亡くなったっていうような設定だったと思います。すごくいい作品なので、一度読んでもらえるといいかなと思います。
やはり子育て中、子どもを産んだ後に子宮頸がんになって子どもを残して亡くなる方もいらっしゃるんです。そういうのをぜひなくしたいですし、私は命が助かったけれども子宮は失ってしまったという状況です。「命が助かってよかったじゃない」って思われるかもしれないけど「私が産むはずだった子はどこに行ってしまったのだろう」とも思います。
先生もおっしゃっていたヒトパピローマウイルスは、ワクチン接種がすごく有効なので、ぜひ6年生から高校1年生のお子さんがいらっしゃる方はお子さんと一緒に検討をしてほしいと思いますし、キャッチアップ接種は26歳ぐらいまで、まだ来年の3月までありますので、社員の中でもし受けてない女性がいらっしゃったら、ぜひ情報提供をしてほしいなと思います。
実は私の保健師の新入社員も26歳未満が3~4人いるんですけど、受けてないんですって言っているんです。「保健師で、受けていない人は受けよう」っていう話はするんですけど、なかなか踏み込んで予約いつにするみたいなことにはならないので、情報をしっかりとお伝えしないといけないし、保健師にはぜひ知識をしっかり持ってほしいです。
保健師さんも専門ではないと、意外とがん検診の知識をなかなか持たないんです。保健師も、母子や精神など分野がたくさんあると思うんですが、このがん検診もぜひ知識を持っていただきたいなと思います。
子宮頸がん検診は細胞診なのですが、細胞診というのも他のがんとは違って、がんになるかもしれない細胞を見つけることができます。だから早めに見つけて取り除いておいたり、経過を観察していくことができるので、すごく他のがんよりは見つけやすいものじゃないかなと思いますので、ぜひがん検診受けていただきたいと思っています。
ここからは夫と母に伝えたときの状況をお話ししようかなと思います。夫は「子どもが欲しくて結婚したわけじゃないから、全然気にしなくていいよ」とは言ってくれました。これはもう「別に子どもは欲しくないんだよね」ぐらいは言ってくれたんですよ。
嘘か本当かはわからないですけど。でもやっぱり両親とか兄弟がいない彼のことを思うと、申し訳なさもあるし、子どもがいたらどんな生活だったのかなってやっぱり想像することは多いです。
私の年齢って友達みんな子どもがいて「もう小学校上がるんだ」ぐらいの友達が多いんですけど、やはり友達の子たちの成長を見るたびに、入学式とか、運動会、発表会とか、卒業式とか成人式とか。もしかしたら結婚式とか「そういうイベントって私たち夫婦には一生来ないんだよな」と思ったり。大変さはあるけれども、そういったボリュームのある幸せというのは、私たちにはあんまり実感ってなくなっていくのかなと思ったりします。
私、女の子の姪が3人いるんですけど、その子たちが成長していくのを見ながら、自分の子どものように感じて見守っているときに、やはり自分の子ではないんですよね。どんなにかわいがっていても、自分の子だったらどんな感じなんだろうなと想像して、ちょっとだけ切なくなることがあります。夫と2人でいるのも楽しいんですけど、そんなこともちょっと思うことはあります
あと、やはり母に伝えたときがすごくつらかったです。電話で伝えたんですけど、もうやはり電話先では泣いていました。父を膵臓がんで亡くしていますけど「お父さんのときよりもショックが大きい」と言っていました。お父さんは言ってしまえばちょっと他人なわけで、血の繋がっている子どもが命に関わる病気にと思っているので「そういう恐怖は言い表せない、私が変わりたい」と言ってました。
すごく母の愛情を感じる一言だったなとは思うのですが、でも私この感情は一生理解できないとも思いました。私は血の繋がった子も産むことはできないからですね。母はすごく愛してくれて、すごく嬉しいけど、その気持ちは一生わからない。つらいなと感じました。
姉と話したときなんですけど「姪が小学校6年生になったらHPVワクチンをぜひ打ってほしいんだよね」と話をしたときに「有効なのはわかるんだけど、やはり副反応が心配なんだよね」と言われました。副反応については、姉もHPVワクチン特有のものではないと理解しているんですけど、やはりニュースのイメージが強くて心配が大きいらしいんです。でも、妹である私ががんに罹患したことと、出産を望めないことを知っって、それを前にしても、副反応の間違ったイメージが払拭されない悔しさをすごく思います。
今またこの子の話をしたときから2~3年経って、ちょうど来年一番上の姪が6年生になるので、もう1回話はしてみようかなと思っていますけれども、ぜひHPVワクチンは受けてほしい、検討してほしいなと思います。
私が罹患して、どんな気持ちの変化があったのかなと言いますと、術後3年間はあんまり人に言えなかったんです。これ、言うタイミングもなくて。「改めて私、がんになりました。子宮を取りました」っていうタイミングってないじゃないですか。それもそうだし、あと立ち話でする話でもないです。
あとこれは後で分析したのですが、保健師なのに予防ができなかったことをどこか恥ずかしく思っていたのかもしれないなと思います。予防できて当たり前みたいなところが保健師にあるのかはわからないですけど、先生もおっしゃっていたように、運なんですよ。どんなに予防して知識があっても、がんになってしまいます。たまたまHPVのウイルスが自分の免疫でやっつけられていなかった、それが持続してしまったということで、がんになっている状況です。
それと話したときに「同情されたくて言っているんじゃない?」って思われるんじゃないかと、自意識過剰なことも思ったりしました。やっぱり最後のやつかなと思います。前向きに考えて発信しようとするには、まだまだ時間が必要だったんです。5年経ってようやくそういう気持ちになれたのが今の状況かなと思っています。
なんで気持ちが変わっていったかというと、やはりコロナ禍でコロナワクチン接種の知識をみなさんすごく持たれたんじゃないかなと思うんです。それでHPVワクチン接種勧奨が再開されますよとなったときに、姪の存在もありましたし、あとHPVワクチン副反応問題のご認識によってワクチン接種が伸び悩んでいるのを目の当りにしたり、子宮頸がんの認知度の低さを見たりしました。
がんを克服しても、子宮をなくしたことは一生克服できないんです。だからこそ何か少しでも予防行動をいろんな人にとってほしいという気持ちがありました。
あと、保健師として私が講話をすることもあり、経験者とは言わずにがん検診の重要性を話したことはあるのですが、やはり経験者と明かした方がもっとより真摯に聞いてくださるんじゃないかなと思ったんです。
今、目を合わせてくださってる方たちはすごく真摯に聞いてくださるなと思うんですけど、保健師として話すときって、みなさん下ばっかり向くんですよね。なかなか目が合わない、そういうのを経験して、やはり私は経験者として話をした方がいいんじゃないかなと思ったのが、こういった活動をしようと思ったきっかけでした。
想うことなのですが、女性の社会進出とともに、ビジネスのダイバーシティってすごく今言われてますよね。多様性ってちょっとかっこよく書きましたけど、ダイバーシティの多様性が進む中で子どもを持たない女性も多くなってきていると思っています。
それは結婚をするしないも自由ですし、子どもを持つ、持たないも自由ですし、私はそれ自体はいいなと思うんですけど、やはりそれを選択できるかどうかがすごく重要だと思っています。「産まない」と「産めない」というのはずいぶん違うんじゃないかなと思うんですね。
だからこそ、10代のお子さんを持つ方、娘さんがいらっしゃれば、子宮頸がんについてご自身で学ぶのもそうですが、お子さんと一緒に学んで、考えて、検討をぜひしてほしいと思いますし、例えばワクチン接種を選ばないのであれば「検診をちゃんと受けようね」と話をしてほしいんです。
やっぱり親がワクチン接種を控えたいというのは多分愛情だと思うんですよ。でもその愛情を、お子さんが次の子に伝えられるように、やはり繋いでってほしいなと思います。
女性は20代30代でとにかく子宮頸がん検診を受けてほしいと思うし、自分自身の命に関わるところでもあります。発見が遅れれば、命を失うことにもなりますので、自分が描く将来像を実現できるように、がん検診を受けてほしいです。
ここ男性を書かなかったんですけど、男性にもやはり、考えてほしいんです。子宮頚がんは女性だけのがんにはなりますけど、ヒトパピローマウイルスって男性からうつるんです。だから男性も考えてほしいし、お子さんとか奥さんとか、パートナーのことを考えてがん検診を勧めていってほしいです。
会社の方も、うちの会社には男性社員が多いんだよね、あんまりこういう話をしなくてもいいかもって思っていても、その男性社員のみさんのご家族には女性がいるんですよ。ちゃんと知識を持って帰ってもらうように、何か教育などアクションを起こしてほしいなと思っています。後悔しないために、してほしいと思います。
がん検診がんの罹患に対してはつらかったんですけど、子宮を失うことはつらかったんだけれども「どうして、こんなことになってしまったんだろう」みたいな悲観的になることはなかったんです。というのも、子宮頸がん検診をちゃんと定期的に受けていたんです。もし私がこれを2年に1回受けていなかったら、多分手遅れになっていただろうと思います。私の腺がんのタイプって浸潤していくことが多いんですけど、私は運が良くて盛り上がるタイプの進行で、転移もほぼなかったので再発がなかったんだろうと思っていますが、検診を受けなければ、もしかしたら手遅れになってたかもしれません。
私は子宮頸がんワクチン公費の世代ではなく、私が25~26歳のときに定期健診無料の公費の接種になったので、私は受ける範囲ではなかったんです。けれど、もしワクチンを受けられる年齢で接種をしなかったら、どんな気持ちになっていたのだろう、母親が情報をくれなかったら「なんで受けさせてくれなかったの」って言っていたんじゃないかなと思います。
私はそうではなかったから、半ば諦めがつき、ちゃんとそのときにできる予防行動をとっていたので、後悔がないっていうのが良かったかなと思っています。だから、ぜひ後悔することがないように、今考えて選択をしてほしいなと思います。
HPVワクチン接種を考えてほしいというのと、しっかり子宮頚がん検診を受けてほしいということ。あとやはり女性労働者が4割を超える中で、女性のがん検診が職場でなされること、実施がなかなか難しいとは思いますが、細胞診だけではなくてHPV併用検診などもあるので、今後そういったなにかを活用しながらとか、情報提供だけでもいいと思います。そういうことをしっかりと会社の中でも、していっていただけたら嬉しいなと思っております。
拙いお話になってしまいましたが、以上で私のお話を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。