職域SNSを活用した
がん検診受診率向上
及びがん対策啓発施策の事例

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はじめに

コミュニケーションの主流が電話からSNSやメッセージアプリに移行している昨今、ある企業の事例では健診コールセンターによる電話を主体とした受診勧奨は、通話率・予約率も10年前と比べて半減している。そこで国内利用率80%を超えるコミュニケーションツールであるLINEを活用し、がん検診受診対象者や健保加入の配偶者等を対象とした、新たな受診勧奨施策を行っており、その事例をご紹介します。

LINE導入の背景

SNS利用率のグラフ

SNS利用率のグラフ

事例と成果

富士通健康保険組合様

導入の背景

富士通健保に加入する配偶者の配偶者健診受診率は2006年時点でわずか11.7%でした。この受診率を向上させるため、健診に関わるコールセンター設立や、未受診者へのアンケート収集、様々なコンテンツの提供を行ってきましたが、受診率が60%近くまで達した2012年から伸び率が鈍化したため、対象者に効果的にリーチできる施策を模索していました。

実施施策

健診の問い合わせ、健診の予約、プッシュ通知の画像
健診の問い合わせ、健診の予約、プッシュ通知の画像
LINE登録者推移(友達登録)と登録促進施策
LINE登録者推移(友達登録)と登録促進施策
登録促進施策(広報用チラシ画像)
登録促進施策(広報用チラシ画像)

実施効果(未受診者の何%が受信に繋がったか)

未受診者に対して年賀LINEを送信。結果、35%が受診。
※比較対象:LINE未登録者に紙の年賀状で受診勧奨を行った結果、6%が受診

静岡県浜松市

導入の背景

20代における子宮頸がん検診の受診率は非常に低く、国が目標とする50%には大きく届かないという現状をうけ、受診率向上のための啓発施策を企画。若年層ほど自治体から郵送される手紙を読まない、つまり受診に至らないという仮説から、若年層が普段からよく使用している媒体(LINE)を用いて、「市の補助で子宮頸がんの検診が受けられる」ことを告知するという実証実験を行う事を決定した。

実施施策

LINEを用いて20代の子宮頸がん受診対象者へ、行動科学にもとづく啓発及び情報提供等を行った。

LINEを用いて20代の子宮頸がん受診対象者へ、行動科学にもとづく啓発及び情報提供等を行った
LINE登録者推移(友達登録)と登録促進施策

静岡新聞社様、聖霊クリストファー大学看護学部の学生有志による「婦人科検診啓発企画(SGEプロジェクト)」様、オレンジティ様、日本総研様と連携

LINE登録者推移(友達登録)と登録促進施策

実施効果

LINEに登録してくれた方を対象に前年と当年の子宮がん検診の受診率を比較したところ、7.8%から20.1%に伸長。(前年比258%)

  • 友達登録者のうち個人を特定でき、検診受診資格がある方379名を対象に調査
  • 11月末までの受診状況。(6~3月が実質の受診期間のため、6割経過時点での暫定値を試算)

対象者379名の74%が子宮頸がん検診に対する意識が向上したと回答、また市の補助で子宮頸がん検診を受けられることを理解した人の割合は77%にのぼった。

日本対がん協会様

導入の背景

がん患者の約3割は働く世代で罹患している。また、「人生100年時代」を迎え、65歳以降も現役で働く高年齢層が今後増えると見込まれるが、この世代はがんの罹患リスクが高まる世代でもあり、ダイバーシティで一層の活躍が期待される女性には、乳がん、子宮頸がんといった特有のがんのリスクがあり、企業におけるがん対策の重要性が高まっている。

実施施策

がんリテラシーLINEのTOP画像
がんリテラシーLINEのTOP画像
がんリテラシーLINEのコンテンツ画像
がんリテラシーLINEのコンテンツ画像

筆者プロフィール

株式会社プロセシング 横垣様

横垣 祐仁

医療・健康業界のシステムエンジニアとしてシステム・サービス開発に従事し、2020年にプロセシングを設立。

  • 厚生労働省委託事業 がん対策推進企業等連携本部(がん対策推進企業アクション)
    アドバイザリーボード オブザーバー
  • 株式会社プロセシング 代表取締役
  • 東京大学医学部附属病院 研究員(医療データ分析)
  • 株式会社Cien ヘルスケア事業部長
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