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イベントレポート

2018/9/13
「これからの健康管理を考える」〜働き続けるためのがん検診〜
東京セミナーを開催しました

「これからの健康管理を考える」〜働き続けるためのがん検診〜(共催:がん対策企業アクション、一般社団法人全国健康増進協議会)が、東京都港区のヤクルトホールにて9月13日(木)に開催されました。

当日は、第1部で「がん対策推進企業アクション 全国7ブロックセミナー(東京会場)」が、第2部で「第10回全国健康増進協議会 講演会」が催されました。ホールは来場者で満員、がん検診受診率向上のイメージキャラクター「けんしんくん」も訪れ、熱気ある講演会となりました。

講演に先立ち、来年3月で設立10周年を迎える一般社団法人全国健康増進協議会の田中勝代表理事から「今年度の巡回レディース健診は全国で2,000会場、63,000名の健康診断を予定しております。今後は事業主健診、特定保険指導などを本格的に実施し、企業・団体の健康事業を少しでもサポートできるよう取り組みます。本日の講演会を、今後の健康事業に役立てていただければ幸いです」と開会のあいさつ。

第1部
「がん対策推進企業アクション 全国7ブロックセミナー(東京)」

「開会挨拶、我が国のがん対策について」
【厚生労働省健康局 がん・疾病対策課 がん対策推進官 丸山慧氏】

昭和56年以降、がんは日本の死因の1位となっています。また、国民の2人に1人ががんにかかり、3人に1人が亡くなる時代で、がんは非常に身近な病気です。

今年の3月には「第3期がん対策推進基本計画」が閣議決定されました。同計画には、「がん検診などのがんの予防」「がんの医療の充実」「がん患者などの就労支援や情報提供、がんとの共生」の3つの柱があります。企業などにおけるがん検診の受診率向上、がん患者・経験者の就労支援対策を推進する「がん対策推進企業アクション」は、非常に重要な取り組みです。

本日の講演を参考に、皆さんの職場でのがん検診の受診率向上、就労・両立支援、いわばオトナのがん教育ともいえる従業員への情報提供など、取り組みの推進にお役立てくださればと考えています。

講演の様子

「現在のがん対策の環境と、がん対策推進企業アクション事業説明」
【がん対策推進企業アクション事務局 事務局長 大石健司】

現在の日本では、女性の社会進出、定年延長などを理由に、従業員の7人に1人ががんになる可能性があります。がん対策は、いまや福利厚生ではなく経営課題です。従業員ががんになっても働き続けられる環境を整えること、そして人財(材)を守るがん対策が必要とされています。

また、がん対策に関する環境も変化しています。平成28年度から、学習指導要領にもがん教育の実施が明記されるなど、小学校・中学校・高等学校ではがん教育の授業がすでに行われています。さらに平成30年3月に厚生労働省が策定した「職域におけるがん検診に関するマニュアル」では、がんに関する正しい知識を持つことが重要であり、職域においても、がんの教育や普及啓発に一層取り組む必要があると記載されており、これまで以上に「大人へのがん教育」を職場で提供していくことが求められています。

日本は人口比におけるがんの死亡率が高く、企業にとって人財損失リスクは大きな問題にも関わらず、がん検診の受診率はOECD加盟国の中で最低レベルなのが現状です。

平成29年度にがん対策推進企業アクションで行ったアンケートの「経営者側のがんへの理解度と事業者におけるがん検診実施状況」では、がんに対する正しい知識を持っている経営者や従業員のいる企業は、がん検診受診率が高いことがわかりました。いかにがんに対する正しい知識(教育)が必要かわかります。

今後、企業が取り組むべきがん対策は「がん検診の受診を啓発すること」「がんについて企業全体で正しく知ること」「がんになっても働き続けられる環境を作ること」の3つです。

がんは、早期発見できれば治る可能性は高くなります。がん対策推進企業アクションは、推進パートナー企業へのがん教育講師派遣や全国各地でのセミナー開催など、企業のさまざまながん対策をサポートしていますので、ぜひご利用ください。

講演の様子

「がん対策の現状について」 
【厚生労働省健康局 がん・疾病対策課 がん対策推進官 丸山慧氏】

現在「第3期がん対策推進基本計画」に沿ってがん対策が進められ、市町村などの自治体と企業の両輪で「がん検診などのがんの予防」「がんの医療の充実」「がん患者などの就労支援や情報提供、がんとの共生」を大きな柱に、がん対策を進めています。

具体的には、がん検診受診率50%を目標にしていますが、肺がん検診以外はまだ50%に届いていないのが現状です。がん検診未受診の理由のトップ3は、「受ける時間がないから」「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」となっています。しかし、がんは症状が出てからでは遅い病気です。発見が早ければ早いほど完治する可能性が高くなりますから、早期発見のためにがん検診を受けていただきやすい環境づくりと効果的な検診を目指しています。

またアンケート調査では、がん検診の受診者の3〜6割が勤務先での受診となっており、いかに企業でのがん検診の実施が受診率の向上につながるがわかります。

さらに、がんになっても働き続けられる環境整備も必要です。昔は、がんの治療は入院治療が主流でしたが、現在では放射線治療などの医療の発達により、通院治療にと変化してきています。時短勤務や柔軟な休暇制度、在宅勤務やテレワークなど、治療と就労の両立のできる環境づくりを支援していきます。

このようなことから、企業でのがん検診の受診率を向上させ、がんによる死亡率を減少させることを目的に、今年の3月に厚生労働省において「職域におけるがん検診マニュアル(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000200734.html)」をつくりました。ぜひご活用していただければと思います。

講演の様子

「治療と就労の両立を支えるがん検診」
【東京大学医学部附属病院 放射線科 准教授/がん対策推進企業アクション アドバイザリーボード議長 中川恵一氏】

日本では男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんにかかる時代です。長期的に見れば、高齢化によりもっと数値は上がっていきます。男性の比率が多いのは、喫煙率が女性よりも高く、生活習慣が悪いことからきています。

一方、男性と女性の年齢別に見るがんの罹患リスクを見ると、54歳までは女性の方ががんにかかりやすく、それ以降は男性がかかりやすくなっています。これは、女性のがんは若い時期に発症しやすい子宮頸がんや乳がんがあるからです。また64歳までのがん患者は、全体の1/3を締めていますから、会社で働いている人の1/3ががんにかかるということです。今後、定年が延長されれば、この割合はさらに高くなると予想されます。

さらに、専属産業医がいる事業所における在籍死亡調査(サンユー会QQプロジェクト/1999〜2003年)によると、会社員の死因の1位はがんで、全体の約50%。ですから、会社員にとってがんは非常に重要な病気です。

講演の様子

がんに関連する、治療、お金、就労などのさまざまな問題は、がんに対する「知識」の有無で、大きく異なってきます。大切なのは、「がんになる前に、がんを正しく知ること」です。がん治療は、敗者復活戦のない一発勝負です。最初に間違った選択をしないこと。正しい治療をすれば、がんは治せます。がん全体でも2/3が治り、早期であれば95%が完治します。ですから、がんは不治の病ではありませんし、ある意味コントロールしやすい病気ともいえます。また、がんは自覚症状を出しづらい病気です。症状が出てからでは遅いともいえます。進行がんや末期がんになってしまうと、完全治癒が難しいだけでなく、医療費もとてつもなく高額になっていきます。高い薬では、年間の薬価が1300万円かかるものもあります。いかに国民皆保険があるとはいえ、保険は税金で賄われていますから、国の財政面にもがんは大きく関係します。

講演の様子

がん治療には「手術」「放射線治療」「抗がん剤」の3種類がありますが、日本では手術が一般的です。しかし、欧米では放射線治療が一般的です。手術なら入院が必要ですが、放射線治療なら通院で可能です。通院なら働きながら治療を行うことも可能です。こういった治療の選択肢もあるということを、がんになる前に知っておくことが大切です

がんを克服するには、予防はもちろん、早期発見・早期治療です。そのためには、正しい知識を得ることです。がんに対するわずかな知識の差が、運命を左右してしまいます。そこでおすすめなのが、がん対策推進企業アクションで配られている小冊子「がん検診のススメ」です。ぜひ、読んでみてください。

第2部
【トークセッション 働き続けるためのがん検診、就労支援、女性の健康】

講演の様子

[司会]
髙谷典秀氏(医療法人社団同友会 理事長)

[パネラー]
阿南里恵氏(がん対策推進企業アクションメンバー、がん経験者)
生稲晃子氏(女優)
伊藤均氏(富士通健康保険組合 常務理事)
中川恵一氏(東京大学医学部附属病院 放射線科 准教授)
藤沢恭司氏(神奈川県 政策局 ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室)
藤田直志氏(日本航空株式会社 副社長 CWO)

髙谷氏
講演を受けて、中川先生から総評をお願いします。
中川氏
本日の講演では、富士通やJALのがんを始めとする病気対策について伺いました。感銘を受けたのは、両社とも大変社員を大事にしているということです。病気で会社を辞める人間をゼロにするという理念は大変素晴らしいものです。しかし、こういった理念をもって行動するのが大企業だけであってはいけません。いかに中小企業にまで広げていくかが大切だと思います。そのためには、経営者の病気に対するリテラシーを高めることが必要です。
髙谷氏
健康経営を通して、企業として感じることはありますか。
藤田氏
企業は利益を上げないと何もできません。何のために利益を上げるかというと、社員を幸せにするためです。社員自らが自分たちの幸せを得るために利益を上げているという目的を共有できれば、社員自らが頑張りますし、健康についても自然と注意を向けてくると思います。働くのは誰のためでもなく、自分の幸せのためだと気づく、これがすごく大事なことだと思います。
髙谷氏
企業側のがん検診に対する姿勢の変化は感じますか。
阿南氏
私は23歳の時に子宮頸がんになり、28歳の頃から講演活動を行っていますが、最近は企業からの講演依頼が増えています。とくに「婦人科検診の受診率をなんとか上げたい」と講演を希望される企業が多くなりました。それだけ、女性の健康が大切だと、企業が気付き始めたということだと思います。
髙谷氏
企業検診に対する感想を聞かせてください。
生稲氏
企業では社員が無料でがん検診を受けさせてもらえる、そして配偶者まで検診が受けられると聞いて、正直私はうらやましかったです。私のいる芸能界では、こうゆうことはあまりないと思います。私たちは自分で検診を受けなければなりません。企業では、そんなよい待遇にあるにもかかわらず、どうして受診率が100%にならないのかな、といつも不思議に思っています。このような講演を伺っていると、企業側では病気に対するリテラシーは高まっていて、いろいろな施策を取られているのに、社員の側の意識がまだ低いように感じます。
髙谷氏
神奈川県のがん対策を教えてください。
藤沢氏
がん対策のなかでもっとも力をいれているのは、早期受診・早期発見です。神奈川県では、オリジナルの手法として、いくつかの企業と協定を結んでいます。具体的には、保険会社の外交員の方々に「がん対策推進員」になっていただき、加入者の方にがん検診を進めていただくということをしています。
髙谷氏
健康組合としてのがん対策を教えてください。
伊藤氏
がん検診の受診率は、さまざまな施策の影響か少しずつ上がってきてはいますが、どうしてもある一定のところで踏みとどまり、伸び悩んでいるのが現実です。地道に取り組んでいくしかないとは思うのですが、行けない人のいろんな声を聞くことも大事だと思います。最近では「育児で行きたくても行けない」人がいることがわかりました。そこで、トライアル的に検診会場で託児サービスをしたところ好評を得られました。このように一歩一歩努力を積み重ねて、受診率を上げていきたいと思います。
髙谷氏
がんになっても働き続けるための「トライアングル型支援」とは何か教えてください。
生稲氏
私が「働き方改革実現会議」で提案して、実行計画に盛り込んでいただいたのが「トライアングル型支援」です。患者が治療を受けながら、やりがいを持って仕事を続けていくためには、会社側と医療側が連携を円滑にすることが重要ですが、一朝一夕に連携するのは難しいことです。そこで、両者をつなぐ役目として、専門スタッフのコミュニケーションをとるためのハブとして、両立支援コーディネーターを誕生させました。この会社側、医療側、両立支援コーディネーターの三角形による患者へのサポートが「トライアングル型支援」です。現在、両立支援コーディネーターになるための基礎研修受講者は7月末時点で1405名集まっています。今後この「トライアングル型支援」が広まり、病気と仕事の両立がスムーズに進めばいいなと思っています。
髙谷氏
企業として、就労支援に必要なことはなんでしょうか
藤田氏
社員のなかには、人より早く退社したり、休みをとったりすることに遠慮してしまう人がたくさんいます。まずは、このようなことが普通のことだと馴染ませることが大切だと思います。そのためにJALでは、管理職の毎月の業績報告の会議の場で営業利益報告だけではなく、部下の就労時間についても報告させるようにしました。いくら利益が上がっていても、それが社員の労働時間延長によるものでは意味がありません。労働時間を適正に管理することにより、管理職の人間が部下の仕事の働き方を見て、考えるようになりました。
髙谷氏
自治体ではどうでしょうか。
藤沢氏
神奈川県ではがん患者のうち3割が働く世代です。そこで、がん診療連携拠点病院および指定病院に「がん相談支援センター」を設置し、就労支援を行っています。また中小企業の方々へは、がん患者の雇用に関するパンフレットの配布や人事担当者の研修などを行っています。
髙谷氏
女性側から、企業側に求めるものは何かありますか。
阿南氏
がんだけではなく、女性には不妊治療や育児、介護といったことを若いうちからやられている方がたくさんいます。人より早く退社することや、休みを取ることが言い出しづらくストレスになってしまうと、その会社で働き続けることが難しくなってしまいます。このような雰囲気をなくせば、もっと頑張ろうとか、この会社でずっと働こうなど、愛社精神にもつながり、モチベーションも上がって、よい会社になると思います。
髙谷氏
なにか他の企業にアドバイスはありますか。
藤田氏
私は、中小企業の経営者が集まる塾に入っていますが、みなさん社員を大切にする経営理念をお持ちで、こういう企業はとても参考になります。社員を家族のように思っている企業は、誰かが病気になってもお互いにフォローしあったり、人が足りなくなった場合は、同じ業界で人材をやりくりしたりしています。経営者の方の意識が高いと、社員の意識も高くなり、とてもよい企業風土ができあがると思います。
髙谷氏
従業員の家族への取り組みはありますか。
伊藤氏
被扶養者においては当事者の女性だけでなく、パートナーである男性への「女性の健康」に対する啓蒙が必要だと思っています。もちろん、女性社員への情報発信ももっと強めていく必要を感じています。
髙谷氏
神奈川県での女性への取り組みはありますか。
藤沢氏
女性においては、がんに限らず女性特有の病気がたくさんあります。特に若い頃の食生活が重要で、最近では生まれる子供の半数以上が低体重児です。また、年をとってからの虚弱化にも影響を与えるといわれています。こういった年代の女性や母親をターゲットに、SNSなどで普及啓発を行う「未病女子対策」を取っています。
髙谷氏
働きながら健康を保つために必要なことはなんでしょうか。
生稲氏
私ががんで入院治療している間は、夫や子供に迷惑をかけました。がんにかかってわかったことは、がんや大きな病気は、自分だけではなく家族や周りのみんなに影響を与えてしまうということ。そのためには、検診を積極的に受けて、早期発見・早期治療が大切だということです。
髙谷氏
中川先生、総括をお願いします。
中川氏
自分の健康は、自分だけでの問題ではなく、家族や会社に対しても責任があるということです。自分のためや周りのために健康管理をすることが「かっこいい」と思える社風や価値観を作っていくことが大切です。
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