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イベントレポート

2018/05/18
【第91回日本産業衛生学会】にてフォーラム『職域におけるがん対策の現状と今後』を開催しました

第91回日本産業衛生学会(2018年5月18日、くまもと県民交流館パレア)において、がん対策推進企業アクションのアドバイザリーボードメンバーが中心となって企画したセッションが、「フォーラム-職域におけるがん対策の現状と今後」として実施されました(座長:中川恵一東大病院准教授、放射線治療部門長/がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長)。約380名を収容する会場でしたが、立ち見が出るなど大盛況であり、エリアを問わず、このテーマへの関心の高さがうかがわれました。
会場の様子
▲会場の様子
F-1「職域におけるがん教育の重要性」
フォーラムは、中川恵一氏(東大病院准教授、放射線治療部門長/がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長)による、表題の講義からはじまりました。
まずは、早期発見と、正しい知識が運命を分けることを指摘しました。
例えば第1期大腸がんは検便(便潜血検査)で発見可能であり、第1期大腸がんの5年生存率は98%であるのに対して、4期になると16%に下がってしまうのだそうです。
中学校学習指導要領の保健体育に2017年3月より「がんについても取り扱うこととする」との記述が入り、17年4月より全国小中高校でがん教育が正式に始まりました。
中川氏は全国100か所以上でがん教育を行っていますが、家庭内において、がんについて話す機会が増え、親世代のがん検診受診率アップに繋がっているということです。
一方、中川氏は働く方たちのがん検診についての意識を上げるためには、職域でのがん教育が最も重要であり、経営者、社員のがんリテラシーが高い場合、がん検診受診率は比例して高いというデータを掲げ、そのことが社員を守ることに繋がるのだということを強調しています。
最後は、中川氏自身ががん教育出張講座を始めたことを紹介し、締めくくりました。
東京大学 准教授 中川氏
▲東京大学 准教授 中川氏
会場の様子
▲会場の様子
F-2「職域におけるがん検診ガイドライン(マニュアル)での議論」
立道昌幸氏(東海大学医学部基盤診療学系衛生学公衆衛生学 医学博士)より、「職域におけるがん検診ガイドライン(マニュアル)」について、昨年、職域におけるガイドラインワーキングが立ち上がり、本年3月にがん検診マニュアルとして公開されたとの説明がありました。
職域でのがん検診は対策型と任意型の2種類があり、対策型は集団の利益、任意型は個人の利益を追求することが目的となっていますが、職域での実態は実施主体、目的が混合しているとのことでした。
がん検診には、早期発見という利益面がある一方で、不利益の面があり、そのバランスが問題である点、特に重要なのが過剰診断の問題と、擬陽性の問題としてがん検診で陽性と言われると精神的、経済的な負担の問題となることにも触れていました。
がん検診によりがんによる死亡率を減少させるには、精度管理の問題も重要である点が、がん検診マニュアルに記載されることになりました。
他、課題として、がん1次予防の重要性について説明があり、例えば感染症が原因として発症するがんの代表、胃がんのピロリ菌については、胃の粘膜を早い段階で除菌をすると、75%の胃がんは予防できるのだそうです。また、肝炎ウイルス等の検査をしても、感染者の7、8割が放置している現状があり、受診者の意識を変えることが大きな課題であることが浮かび上がりました。
これからの予定として、産業衛生学会でワーキンググループを立ち上げ、産業医がどのようにがん対策に関与すべきかを議論し、来年この会で報告したい旨述べていました。
質疑においては、中川氏より、マニュアルに精度管理を入れたことが、職域がん検診にとって進歩である旨コメントがありました。
東海大学 医学博士 立道氏
▲東海大学 医学博士 立道氏
F-3 職域におけるがん検診情報の取り扱いについて−産業医の立場から−
土肥誠太郎(三井化学株式会社 本社健康管理室長 統括産業医 医学博士)
土肥氏は、職域では多種多様な健康情報を取り扱っている現状を踏まえ、健康情報は個人情報保護法や労働安全衛生法の関連指針に準拠して扱い、労働者が不利益なく働くことが出来るようにしなければならないと述べていました。
そのためには、個人情報の利用目的を明確にし、個人情報管理をしなければならず、安衛法で収集された個人情報を事業所内で利用するためには、取扱いルールを規定することが必要であるとのことでした。
以上を踏まえて、労働者が不安なく、健康管理部門に情報が提供できるように機能させるべきであり、事業者が収集する健康情報を、法令に基づく健康情報か法令外の健康情報かに係らず、総合的な規定を作って運用することが合理的で簡単であるとの見解を示していました。
実際、三井化学は個人情報保護規則の下に、健康に関する全ての情報を適切に取り扱うことを、会社の規則として規定しており、がん検診に係る情報も三井化学の健診の一部として全て健康管理室として集約しているとのことでした。
一方、精度管理も同様にきちんと行うべきであり、それが三井化学の考え方であると述べていました。
なお、がん検診について、基本は対策型健診だが、任意型健診との融合が重要ということもポイントとして挙げていました。
三井化学株式会社 医学博士 土肥氏
▲三井化学株式会社 医学博士 土肥氏
F-4 職域におけるがん治療と就労の両立支援
遠藤源樹(順天堂大学 医学部 公衆衛生学講座 准教授)
遠藤氏は、厚労科研遠藤班「がん患者の就労継続及び職場復帰に資する研究」にて、『がん種別就労支援ガイド』、『がん種別標準治療カレンダー』、『がん種別両立支援マトリクス』、『がん健カード(母性健康管理指導事項連絡カードのがん版)』を作成し、今までにないオリジナルな就労支援ツールを作成中です。
『がん種別標準治療カレンダー』は具体的な治療スケジュールがカレンダー形式で掲載されており、図で分かりやすい形で作成されているため、がんの知識が無い方でも、がん治療の大まかなイメージができることが大きなメリットです。
『がん種別両立支援マトリクス』は、疾病性の「症状」と「職場の作業等」の行列の組み合わせによる「就業上の標準的な意見(就労支援の専門家によるパネル会議等を経て、2018年4月に共通版マトリクスが完成)」が掲載されています。そして、この『がん種別両立支援マトリクス』をベースに作成されている『がん健カード作成支援ソフト(2018年5月末に完成予定)』は、がん相談支援センターの相談員ががん患者と相談しながら、「症状」と就労予定の「職場の作業等」を入力すると、がん健カードがアウトプットされるもので、既に複数の医療機関のがん相談支援センターから問合せがあるそうです。診療報酬改定に関して、このマトリクスは厚労省のガイドラインに対応しており、現在その流れでがん健カードと、さらに就労支援ガイドブックを作成中だということです。
また、くるみんのような、がんになっても安心して働けるマーク作成のための評価指標作成の厚労省労災疾病臨床事業の松平班の遠藤グループにおいて、社会保険労務士との共同作業チームを作り、『両立支援用就業規則標準フォーマット(療養編・勤務編)』を6月末完成予定であるとのことで、『両立支援用就業規則標準フォーマット(療養編・勤務編)』を活用したモデル事業を2018年7月から開始予定だということです。
他、がん治療と就労の両立支援の最先端を走るオランダと、日蘭がんサバイバーシップ共同研究プロジェクトが今年度から開始され、2018年7月にアムステルダム大学でミーティングを行う予定とのことです。
順天堂大学 准教授 遠藤氏
▲順天堂大学 准教授 遠藤氏
総合討論など 以下概略
参加された方から、多数ご質問をいただきました。
下記に一部抜粋して掲載いたします。
Q:がん就労支援について、その企業に対する助成、補助、など制度について教えて欲しい。
A遠藤氏:東京都と国の補助制度を紹介、補助金は自治体により異なる。また、企業はコンプライアンスが重要で(例えばくるみんのようなマークを見て)この会社なら安心して働けるということが企業の売りになる。
Q:がんに関するプロジェクト等のメンバーが、男性に偏っている感がある、乳がん、子宮がんなどを考えると、女性を入れて欲しい。
A中川氏:貴社はがん対策で頑張っている。中小企業が頑張ることは大事。企業アクションでコンソーシアムをやっており、女性の視点も入れているので事務局から案内を送付する。
Q:就労制度設けているが、乳がん、子宮がんなどの方は手を挙げてくれず、結果支援が行き届かない、どうすれば良いか?
A遠藤氏:健康情報管理をしっかりやる必要がある。がん罹患者が職場に話すことをためらわないような、制度づくり、風土づくりが必要、また、病気の中身を必要以上に細かく報告しなくても良い。
A中川氏:手を挙げてもらったことがマイナスになる環境はよろしくない。
会社、個人レベルではなく、しっかりとしたガイドラインが必要。
A土肥氏:厚生労働省のなかで心身の健康のための情報の取り扱いについて、検討会議が開かれている。ガイドラインを書く予定であり、近いうちにモデルを示す。
他、精度管理報告先の問題、がん検診の融合型の場合の対策の件、など、沢山の質問をいただきました。
フォーラム登壇者が繰り返し述べていたのは、雇用者、被雇用者いずれもリテラシーを上げていく必要性であり、そこからすべてが始まる(変わる)ということを、来場された皆さんにも共有いただいて、フォーラムは盛況の内に終了しました。
総合討論の様子
▲総合討論の様子
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