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イベントレポート

2014/9/26
がん対策推進企業アクション「名古屋セミナー」を開催しました

2014年9月26日、愛知県名古屋市の名古屋国際ホテルにおいて〈がん対策推進企業アクション「名古屋セミナー」〉を開催しました。東京セミナーに次いで行われた、全国7ブロックセミナーの第二弾。当日は120名の参加がありました。
▲会場の様子
▲受付
プログラムの前半はプロジェクトの概要説明と推進パートナー勉強会
司会者の紹介を受けて、最初に厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課課長補佐の濱卓至氏が登壇しました。平成19年度より本格的にスタートした「がん対策推進基本計画」のここまでの歩みを紹介。そのなかでは「がん対策推進企業アクション」が、国家プロジェクトとして推進されてきたことも説明されました。
また、がん検診・50%受診に向けた平成28年度までの計画概要と、最近のがん対策施策の状況を説明。平成25年の国民生活基礎調査によれば、がん検診受診率は平成22年の前回調査から軒並みアップしており、たとえば男性の肺がん検診は47.5%と2年前から20ポイント超向上。それでも5がん検診において、いまだ1項目も目標とする50%には達していないと説明があり、職域・自治体でのさらなる受診施策が必要と指摘されました。
厚生労働省・濱課長補佐。最近のがん対策施策の状況などを説明しました
▲厚生労働省・濱課長補佐。最近のがん対策施策の状況などを説明しました
続いて壇上に立ったのは、がん対策推進企業アクション・事務局長の大曽根哲氏。まず日本におけるがんの実情を最新データで紹介。日本は年間約80.5万人のがん患者が生まれている「がん大国」であり、「日本人の2人に1人」はがんに罹患(りかん)し、「3人に1人」はがんがもとで死亡していること、年代別・性別では、働き盛りの女性にがん患者が増えていることなどを説明しました。
がん対策推進企業アクションの詳細な活動状況紹介も行われ、平成26年8月現在で1290の企業ならびに健保組合がプロジェクトに参加していること、その従業員数は270万人におよぶことが紹介されました。
またセミナー開催地の愛知県では70の企業・団体がプロジェクトに参加していると紹介。プロジェクト参加にあたって費用負担は一切なく、参画によってさまざまなメリットがあることもアピール。未加入の方々へプロジェクト参加を呼びかけました。
事業説明をする大曽根事務局長
▲事業説明をする大曽根事務局長
次に「推進パートナー勉強会」の講演を行ったのは、株式会社キャンサースキャン 代表取締役 福吉潤氏でした。福吉氏は当プロジェクトのアドバイザリーボードメンバーであり、パートナー企業に実施したアンケートの調査結果・分析を報告しました。「平成25年度推進パートナーがん検診受診率現状調査より」と題された報告・分析の概要は以下のようなものです。
2014年度末(2月)にパートナー企業・団体1206社を対象にアンケートを実施。回答企業・団体は411社。実施目的は「課題の可視化」「受診率向上に寄与する取り組みの掘り起こし」という説明の後、福吉氏による発表が本題に。回答企業1社あたり平均8.0人のがん患者(社員)がいること、最大値が370人だったことが紹介されると、会場に小さなどよめきが起こりました。続いて回答企業は社員数1000人以上の大企業から、100人未満の中小企業まで広範であったこと、推進パートナー企業のがん検診受診率は一般より高い76.6%であったことなども紹介されました。
また回答企業を受診率によって「低」「中」「高」グループに分類。グループごとの施策を調査分析した結果も発表されました。全体結果として企業による受診費用負担の有無は阻害要因になっていないと語られましたが、それは胃がん・肺がん・大腸がん検診についてであり、乳がん・子宮頸(けい)がん検診は、費用負担や企業のサポートがポイントになるという説明があり、サポート内容では受診時間を就労扱いとすることや、社員の自発を促す啓発の必要性などを指摘。「低」→「中」→「高」へステップアップする際に、見習うべき他社の取り組みポイントも詳細に解説されました。
「推進パートナー勉強会」の講演を行う福吉氏
▲「推進パートナー勉強会」の講演を行う福吉氏
セミナーのメーンは中川先生の基調講演
セミナーのメーンプログラムは、東京大学医学部附属病院放射線科准教授・中川恵一先生による基調講演。「がん対策推進企業アクション」アドバイザリーボードの議長でもある中川先生が、長年のがん治療に基づいて「がん検診」の重要性を説明しました。先生はまず、細胞分裂の過程で起きる遺伝子のコピーミスという「がん発生メカニズム」を解説。生活習慣の乱れと老化によって「がん」発生のリスクが増えること、急激に高齢化(老化)した日本では史上空前のハイペースでがんも増え、これまで「対策」が追いつかなかったと解説しました。
その結果として1981年から日本人の死因トップは「がん」。先進諸国で、がんによる死亡が減少しているにもかかわらず、日本だけが増え続けている事実が語られ、がん対策後進国の実情が浮き彫りに。さらに日本では、働き盛りの20代・30代女性に乳がん・子宮頸がんの罹患が多く、同世代のがん患者数は男性を大きく上回っている事実を紹介。一方で40代を超えると男性がん患者が一気に増えるため、女性の社会進出や高齢化・雇用延長が進む社会では、今後、人材損失の大きな問題になっていくという指摘がありました。
また延命治療などは進化したものの、完治に導く治療はさほど進化しているわけではなく、がん死亡を減らすには今でも「予防」と「早期発見・治療」がポイントだという説明がありました。そのなかで一般的に早期がんは腫瘍の大きさで1cm~2cmのステージを指し、1cm大になるまで10年~20年を要すること。またそれ以前は発見がきわめて難しいと解説されました。さらに健診で発見が容易になる1cm大から2cmへの成長は早く約1、2年。だからこそ年1回、必要ながん検診を受けていれば、早期発見と治療が可能という説明でした。
先生は、「企業にとって貴重な働き手を守り、経営資源を有効に活用するため、職域における『がん検診』は極めて重要」と指摘。また文科省の施策として、数年後に学校で「がん」の授業が始まることを紹介。子供と大人の知識格差をつくらないためにも、大人の教育を職域でしなければならないと語り、さらなる職場における啓発を呼びかけました。
講演後は先生への質疑応答コーナー。健保組合の看護師の方から、喫煙者の喀痰(かくたん)細胞診検査について質問があり、また別の男性出席者からは、がん細胞の不死性について質問が投げかけられました。これらの疑問に先生は丁寧に回答。セミナー終了の時間を迎えました。
がん検診の重要性を説明する中川先生
▲がん検診の重要性を説明する中川先生
質疑応答では、参加者から複数の質問が寄せられました
▲質疑応答では、参加者から複数の質問が寄せられました
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