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イベントレポート

2014/9/11
がん対策推進企業アクション「東京セミナー」を開催しました

2014年9月11日、東京都港区のヤクルトホールにおいて〈がん対策推進企業アクション「東京セミナー」〉を開催しました。全国7ブロックで開催されるセミナーの第一弾。今回は全国健康増進協議会との共催で、「今後の健康管理を考える~がん検診とデータヘルス計画について~」と銘打った講演会になりました。当セミナーに満席となる450名の方が参加しました。
▲会場の様子
▲受付
第1部は「第6回全国健康増進協議会 講演会」
司会者の紹介を受け、まず登壇したのは全国健康増進協議会(全健協)の田中代表理事でした。同協議会が女性における健康管理の充実を大きなテーマに掲げていることや、全国で実施している「レディース健診」の説明があり、その後、当日プログラムが紹介されました。
全国健康増進協議会・田中代表理事から講演プログラムの紹介がありました
▲全国健康増進協議会・田中代表理事から講演プログラムの紹介がありました
田中代表理事の後を受け、登壇したのは厚生労働省保険局保険課の岩井主査。国と同省が推進するデータヘルス計画の概要と推進についての講演が行われました。データヘルス計画は加入者の健康維持を主眼に、保健事業をより費用対効果の高いものにする施策。特定健康診断(特定健診)や診療報酬明細書(レセプト)から得られるデータをもとに、PDCAサイクルで保険事業の効率化と改善を目指すことが語られ、当計画の具体的な進め方、各健康保険組合での策定手順なども説明されました。
厚生労働省・岩井主査。データヘルス計画の概要と推進について講演しました
▲厚生労働省・岩井主査。データヘルス計画の概要と推進について講演しました
岩井主査の公演終了後、司会者の紹介を受け登壇した古井祐司氏の講演テーマは、「健診を起点としたデータヘルス計画の事業設計」。まずデータヘルス計画はデータ分析を眼目とするのではなく、データ活用の視点が重要というポイントが語られました。具体的には「集団の医療費を削減すること、また生産性に大きな影響を与える重大疾患を減らす」ことが計画の主旨であり、各事業体は「必要な施策に効率よく予算を振り分ける議論」にデータを活用してほしいという示唆がありました。
データ分析を偏重すると近くしか見えない「虫の眼」になってしまい、例えばいま治療が必要な人だけに意識が向いてしまう。リスクの高い疾病予備軍への意識はおろそかになりがちという話があり、全体を見渡す「鳥の眼」の必要性が説かれました。また崖に落ちる前に、より多数の人を救うことが費用抑制につながるという指摘もあり、そのために健診をベースとした取り組みが重要であることが語られました。
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター助教の古井祐司氏
▲東京大学医学部附属病院22世紀医療センター助教の古井祐司氏
第1部の最後は、全健協・井上春喜氏による「全健協の取り組むデータヘルス計画と健康診断について」。全国九つの労働衛生機関が集まってできた全健協の成り立ち、事業概要があらためて語られ、データヘルス計画への取り組みとともに「巡回レディース健診」「全国巡回健診」の詳細な説明がありました。そして両健診ともに事務作業代行によって健保組合の労力軽減に貢献するというメリットも語られました。
全健協の取り組みについて説明する井上春喜氏
▲全健協の取り組みについて説明する井上春喜氏
第2部はがん対策推進企業アクション「東京セミナー」
約10分の休憩を挟み第2部が開演。司会者の紹介を受け、厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課長の正林氏が登壇しました。正林氏は、がんで年間36万人が死亡している日本の現状、がん対策の重要性を語り、国策として「がん対策推進企業アクション」プロジェクトがスタートし、ここまで歩んできたことを振り返りました。そして平成28年(2016年)までにがん検診受診率50%を達成するため、当プロジェクトのさらなる盛り上がりに期待すると語りました。
厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課長の正林氏
▲厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課長の正林氏
最新データを紹介する大曽根事務局長
▲最新データを紹介する大曽根事務局長
続いて「がん対策推進企業アクション」の大曽根事務局長が壇上に立ち、年間約80.5万人のがん患者が生まれている「がん大国日本」の実情を最新データとともに紹介しました。「日本人の2人に1人」はがんに罹患(りかん)し、「3人に1人」はがんがもとで死亡していること、年代別・性別では働き盛りの女性にがん患者が増えていることを説明。あらためて、企業にとって重要な資産である社員を守るため、職域における「がん検診」が重要であると説きました。
「がん対策推進企業アクション」の活動状況も紹介。平成26年8月現在、1290の企業ならびに健保組合がプロジェクトに参加し、その従業員数は270万人におよぶことなどを報告しました。推進パートナーに実施したアンケート結果も発表。推進パートナーのがん検診受診率は一般より高いことを説明し、従業員数1万人以上、5000人以上1万人未満、1000人以上5000人未満、1000人以下など事業規模・従業員数別に取りまとめた、パートナー企業の活動内容を紹介しました。また当プロジェクトの参加は費用負担がないこと、参画によってさまざまなメリットがあることをアピール。プロジェクト参加への呼びかけも行っています。
次に厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課の長坂課長補佐が壇上へ。「最近のがん対策施策の状況」というテーマで、がん検診受診率の推移と進行中の施策などの説明がありました。平成25年の国民生活基礎調査によれば、がん検診受診率は平成22年の前回調査から軒並みアップ。たとえば男性の肺がん検診は47.5%と2年前から20ポイント超向上していることが紹介されました。しかし、胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんの各がん検診においては、目標の50%には達しておらず、職域・自治体でのさらなる受診施策が必要であるとも語られました。また仕事と治療に対する取り組みとして、ハローワークなどで行っている就職支援制度や各種啓発活動が紹介されました。
さらなる受診施策が必要と語る厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課の長坂課長補佐
▲さらなる受診施策が必要と語る厚生労働省 健康局 がん対策・健康増進課の長坂課長補佐
中川先生による基調講演「がん検診のススメ」
セミナーのメーンプログラムは、東京大学医学部附属病院放射線科准教授・中川恵一先生による基調講演。「がん対策推進企業アクション」アドバイザリーボードの議長でもある中川先生が、長年のがん治療に基づいて「がん検診」の重要性を説きました。細胞分裂の過程で起きる遺伝子のコピーミスという「がん発生メカニズム」を詳細に解説。著名ハリウッド女優が予防医学的に卵巣を摘出した話などを交えながら、それでも親からの遺伝は約5%にすぎないこと、発生要因は生活習慣の乱れと老化にあることを説明しました。
がんは1981年から日本人の死因トップ。先進諸国で減少しているにもかかわらず、日本だけが増え続けている事実も語られ、改めてがん対策後進国の実情も浮き彫りに。日本では働き盛りの20代・30代女性に乳がん・子宮頸(けい)がんの罹患が多く、同世代のがん患者数は男性を大きく上回っている事実も紹介。一方で40代を超えると男性がん患者が一気に増えるため、女性の社会進出や高齢化・雇用延長が進む社会では、今後、人材損出の大きな問題になっていくと解説がありました。
また、がん治療は決して画期的進化を遂げているわけではなく、がんによる死亡を減らすには今日も早期治療がポイントだという説明がありました。一般的に早期がんは腫瘍の大きさで1 cm~2 cmのステージを指し、1 cm大になるまで10年~20年を要すること。またそれ以前は発見がきわめて難しいという説明がありました。ところが健診で発見が容易になる1 cm大から2cmへの成長は早く、約1・2年。だから年1回、必要ながん検診を受けていれば、早期発見と治療が可能という解説でした。
さらに企業にとって貴重働き手を守り、経営資源を有効に活用するため、職域における「がん検診」はきわめて重要であると指摘。当プロジェクトなの意義とこれまでの歩みを説明しながら、さらなる職場における啓発を呼びかけて、講演をしめくくりました。
がん検診の重要性を説明する中川先生 がん検診の重要性を説明する中川先生
▲がん検診の重要性を説明する中川先生
※データヘルス計画:2013年6月に閣議決定された国の施策。2015年度から全健康保険組合にデータヘルス計画の策定と実施が求められるようになります。
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