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イベントレポート

2014/03/27
「がん対策推進企業アクション 札幌事業説明会」活動レポート

2013年9月24日、北海道札幌市の札幌コンベンションセンターにて、「がん対策推進企業アクション 北海道ブロック事業説明会」を開催しました。本事業説明会では、「がん対策推進企業アクション」にご興味・ご関心をもって頂いた企業の皆様を対象に、臨床現場でご活躍されている東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一氏、産業医の立場から公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンターストレス科学研究所付属健康増進センター 北海道支部札 幌商工診療所 院長 前口邦雄氏そして北海道のがんに対する取り組む北海道保健福祉部健康安全局地域保健課 がん対策・健康づくりグループ 主査 西本司氏をお招きして、「がん検診の重要性」や「がんと就労」についてご講演いただきました。

厚生労働省からの挨拶、事務局からの事業概要の紹介

主催者である厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長 椎葉茂樹氏のご挨拶を事務局が代理で述べました。現在国家プロジェクトとして推進している「がん対策推進企業アクション」は、職域におけるがん検診受診率向上を企業連携で推進していくことで、がんと前向きに取り組む社会気運を高めることを目標としていること、従業員と家族の安心安全、ひいては企業の経営基盤をより確かなものにするためにも、本事業に「推進パートナー」として参加、協力していただきたいと説明しました。

続いて、がん対策推進企業アクション事務局より、「がん対策推進企業アクション」の目的と意義について説明し、「推進パートナー」の登録に関するご案内を行いました。

東京大学医学部附属病院放射線科准教授 中川恵一氏による基調講演「がん検診のススメ」

これまで長きにわたり幅広くがん対策に関する活動に取組んでこられ、現在がん対策推進企業アクションアドバイザリーボード議長である東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏(以下 中川氏)より、「がん検診のススメ」というテーマで基調講演をいただきました。

がんの現状
始めに、中川氏は2008年のがんの罹患データを用いて、「日本人ががんに発症する確率は男性が58%、女性が41%。年間75万人が新たに患者となり、36万人ががんが要因で死亡し、毎年上昇傾向にある」、また、「がんは6割近く完治する」とご説明をされました。また、中川氏は「罹患率が年々あがっており、2013年度には男性は62%、女性は48%になるだろう」とも推測されました。しかしながら、このような状況はあまり認識されていないことなど、中川氏は日本のがんに対する教育があまり進んでいない状況を危く思っており、教育制度の整備に注力する必要があるとご意見を述べられました。
次に、中川氏は、がんについて、「がん細胞は栄養があるかぎり不老不死であり、栄養を求めて全身に広がり、死に至らしめる病気である」と説明されました。また、「がん細胞は細胞の設計図であるDNAが複製を失敗することで発生する」とも説明されました。「がんは成長するために相当の時間を要する。」ことに加え、「DNAが経年劣化することでがん細胞の発生数が増加する」ことから2重の意味で「がんは老化の一種である」と述べられました。加えて、日本は戦後高齢化が進んだため、さらにがん患者は増えていくだろうと予測されました。
中川氏は、今後のがんを取り巻く状況について、「がんは、生活習慣などの違いから、女性より男性のがん患者が多いものの、20代から30代についてはがん患者数は女性のほうが多い」と説明され、「昨今の女性の社会進出に比例して、職域におけるがん患者が増えていき、健保組合の財政を逼迫していく」と推察されました。また、「近年がん治療にかかる費用が上昇しているものの、保険収載されていることなどから、健保組合の負担が増加し、やはり財政の逼迫につながる」と述べられました。
中川氏はがんにならないことが重要であると強調され、またがんになっても早期に発見することが重要であると説明されました。そして、その方法としてがん検診が有用であると説明されました。最後にがん検診を推進していくことの効果、すなわち、本事業のような企業連携を通じた啓蒙活動につなげることの有効性についてご示唆をいただき、公講演を結ばれました。

▲講演されている中川恵一氏
公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター ストレス科学研究所
付属健康増進センター 北海道支部 札幌商工診療所 院長 前口邦雄氏による講演
「最近の産業医のトレンド―職場におけるがん対策―」

大学卒業後、25年間にわたりさまざまな施設でがんに関する研究を行い、その後、産業医活動を開始し、嘱託産業医として幅広い職種にわたってご活躍。現在では東証一部上場企業、公的機関、IT企業数社などに心療内科医として従事するだけではなく、札幌市地域産業保健センター産業医として中小企業の産業保健を支援している前口邦雄氏(以下 前口氏)から「最近の産業医のトレンド―職場におけるがん対策―」というテーマにて、産業医を取り巻く現状を報告するとともに、職場におけるがん対策についてのご講演いただきました。

講演では、産業保険そして産業医の役割について述べられました。「産業保健の目的は業務起因性の健康障害や労働災害の発生を防止すること」であり、その方法として労働衛生の三管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)について説明されました。作業環境管理においては「有害なものを排除するだけではなく、気持ちよく元気に働くことの出来る環境を作ること」、作業管理においては「作業姿勢や保護具などを整え、災害が発生しない環境を作ること」、健康管理においては「一人ひとりの健康状況を把握してアドバイスすること」が重要だとそれぞれ解説されました。また、産業医の役割として衛生教育などがあることを付け加えられました。

次に、前口氏は、健康診断受診後に異常所見があった就業者に対して、必要に応じて就業上の対策を行うこと(事後措置)についての重要性を強調し、「健康診断後の事後措置を疎かにすることは、各人の健康にとって害につながる可能性さえある」と述べられていました。前口氏は、事後措置の法規要請として「事後措置として有所見者について産業医からの意見聴取が必要になること、有所見者について適切な就業上の処置を判断し労働者にその結果を通知すること、また、努力義務として保健指導を実施すること」が求められると説明されていました。加えて、「産業医には個人情報も考慮した事後措置が求められる」と付け加えられました。

企業には安全配慮義務、就労者には自身の健康を保つ義務があり、双方の義務を満たす機能として産業医があると前口氏は述べられました。「現在、医師から異常有りと診断された方(有所見者)は三人に一人であり、有所見に対する診断区分、就業区分、保健指導区分が産業医に求められている」と説明されていました。なお、診断区分とは「受診者本人に対する判定区分と同時に事業者に対して安全配慮義務を生じさせる基礎情報」であり、診断区分に基づいて、各人にあった勤務体系(通常勤務、就業制限、要休養など)を判断することが就業区分であると解説されていました。また産業医又はその指示のもとに保健師が行う、必要な精密検査や治療の勧奨、生活習慣に対する指導、そして食事指導などを含む保健指導区分にも、診断区分は関連していると述べられていました。

前口氏はがん検診について言及され、医師によって検診に対する理解、知識水準に隔たりがあるため、「がん検診は信頼できる医療機関そして医師のもとで受診することが大前提」との見解を述べられていました。また「各個人ががんに対する知識を増やすことも必要である」と述べられていました。最後に、受診する医療機関を選ぶポイントの一例として「きちんとした問診が出来ていること、スタッフの質が高いこと、ホスピタリティを持った医療機関であること」などを紹介されて講演を結ばれました。

▲講演されている前口邦雄氏
北海道保健福祉部健康安全局地域保健課 がん対策・健康づくりグループ
主査 西本司氏による 講演 「新たな北海道がん対策推進計画について」

最後に、2013年4月からがん対策推進計画を策定し、積極的にがん対策に取り組む北海道を代表として、北海道保健福祉部健康安全局地域保健課 がん対策・健康づくりグループ 主査 西本司氏から「新たな北海道がん対策推進計画について」というテーマにて、北海道のがん対策への取組みについてのお話をいただきました。

講演では、北海道のがん対策の取組みの歩みについて触れらました。
「北海道は平成20年3月に5ヵ年計画のがん対策推進計画を策定し、がんの早期発見と予防に取り組んできた。また、その中でがんを専門とする病院の整備に注力してきた」とご説明され、昨年に計画が終了したに伴い、北海道は新たながん対策推進計画を策定したことを紹介されていました。
また、西本氏は「道民が心身ともに健康で心豊かな生活を送ることができる社会の実現を目標に、北海道では『北海道のがん対策推進条例』も制定して、がん対策に取り組んでいる」と加えられました。
西本氏は「北海道は全国平均よりがんによる死亡率が高く、その中でも肺がんが最も高い割合となっている」と北海道の特徴と述べられ、喫煙率を12%に下げることを目標に26保健所で喫煙相談窓口を設けているなど、喫煙に対する対策を講じている、と北海道の取組みについて説明をされていました。また、がんが発生するリスクを下げる取組みとして生活習慣を改善するような提案も行っていると加えられました。
最後に西本氏は北海道のがん対策の推進に関する企業連携事業について説明をされました。「がん検診の受診促進において、一部の方には受診勧奨など十分に対応できていないことがあるため、行政の手が届きにくい方などへのアプローチ法として、中小企業や・個人事業主との連携を進めています」と説明され、具体的には複数の企業と連携をしているとご紹介されていました。また、多くの企業と包括連携をしており、シンポジウムの開催、フォーラムへの協賛、イベントにおける啓発パネルの出展など、さまざまなイベントを企業と実施していると加えられました。実際に平成25年度には、難治性がんに対する啓発キャンペーンや大腸がんに対する啓発キャンペーンを実施しています。
西本氏は、最後に「がん対策は企業・団体の連携・協働なしには実現しません」と講義を結ばれました。

▲講演されている西本司氏
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