2021/11/30配信

「優しさ」と「理解」が、がん患者の心を救う

私は都内で働くワーキングマザーです。2018年春、当時0歳の娘を保育園に預け職場復帰をする直前に乳がんが見つかりました。当時は仕事と育児の両立に加え、治療も両立する事を考え、頭が真っ白になりました。
しかし現在、自分ががんサバイバーだという事を時には忘れるくらい、日常生活に戻っています。治療中はこんな日常に戻れるとは考えられないくらい、精一杯な日々を送っていましたが、家族、会社の方々に支えられ、抗がん剤治療を乗り越える事が出来ました。

普段通りに接してくれた周囲の優しさ

治療は2種類の抗がん剤治療を半年間と、手術でした。1種類目の抗がん剤治療の際は休職せず、2種類目の抗がん剤治療の際には数か月休職しました。現在は半年に一度の定期健診に通っています。
私が治療中に会社の方々との関わり合いで一番うれしかった事は、普段通りに接して頂けた事です。途中から副作用で髪も抜けてウィッグになったのですが、「似合っているね」と言われてとても安心しました。

職場の理解で治療・仕事・育児の両立が可能に

一方で大変だった事は、抗がん剤治療、仕事、育児のスケジュール調整です。幸い、リモートで仕事をする環境が整っていたため勤務時間、勤務場所を柔軟に変える事で対応する、副作用で辛い時期に被りそうな場合は事前に引継ぎができる状況にしておく等で対応しましたが、常に周囲とコミュニケーションを取り、自分の状況をフラットに話せる環境が功を奏したと考えております。話を親身に聞いてくださった上司や、同僚には感謝してもしきれません。

過去のメールマガジン

2021/10/29配信

誰もが気兼ねなく休める働き方への変革めざす

当社は、2006年に創業、働き方改革一筋で15年になる会社です。創業のきっかけは、日本の人口構造に着目したことでした。当時は、女性が出産・育児を経て、継続就業できるかどうかが多くの企業にとっての課題。ですが日本の人口構造を見ると、労働人口は減ってゆき、育児や介護などの家族のケアをしながら、自分の治療もしながら働く人が今後増えてゆくのは明らかでした。

がん治療など言い出しにくい時が人生にはある

働き方改革の専門家として1000社以上のサポートをしてきた経験からわかったのは、育児や介護、治療等、「何か事情がある人」だけに配慮をした「ワーク・ファミリーバランス」では、それ以外の人との対立構造を生み出してしまい、本質的に一枚岩になれない組織になってしまうということです。
真の「ワーク・ライフバランス」は全員のライフを大切に、全員に時間を返してこそ組織にとって価値を生み出してくれるのです。私たち自身も「ワーク・ライフバランス」を実践し、残業ゼロ・有給取得100%で増収増益を続けてきていますが、休みが必要でありながらも言い出しにくい時が人生にはあることに気づきました。がんの治療、不妊治療、子どもの不登校の対応など、プライベートなことでもあり、先の予定を見通しにくいような状況は特にそうではないでしょうか。

15分単位で取得できる「新しい休み」の導入

そこで、通常の有給休暇とは別に、「理由を問わずに」休める「新しい休み」を年間34日分全員に付与することにしました。
治療との両立の他、サバティカル休暇のように一か月休むこともできます。15分単位で取得することが出来るので、専業主婦から当社に加わった社員は、子どもたちがいきなり母の生活の劇的変化に驚かないように「新しい休み」を使って当初は短い勤務時間からスタートしてくれました。
チームで日頃から情報を共有しあい、いつ誰が急に休んでも仕事が回る仕組み作りがどんどん進んでいます。当社の社員は、8割が育児中、2割は介護経験有り、治療と仕事の両立経験者も2割います。これは言い出せているか、いないかの違いだけで、実はどの会社でも同じ状況かもしれません。

育児や介護、治療に届く”価値“を生み出す組織に

大切なのは、マーケットも今や育児をしている人、介護をしている人、治療をしている人が増えており、その人たちのかゆいところに届くサービスや商品に価値があるということ。その価値を生み出せる組織になるためには、事情がある人にも、無い人にも働く場として自社を選んでもらい、多様な価値観を内包した組織になってゆくことが重要なのではないでしょうか。
来春からは、男性の育児休業について、個別周知の義務化の法律も施行されます。誰もが気兼ねなく休める職場作りの第一歩、あなたの職場では何から始めますか?

2021/09/30配信

講演では、自身含む3人の家族の体験を皆さまに

認定講師として、がん対策推進企業アクションの全国大会やブロックセミナー、パートナー推進企業様への出張講座で、がん体験をお話しています。講演では、自分自身のがん体験だけでなく、夫と長女のがん体験も聞いて頂いています。自分ががんになった体験と家族ががんになった体験は、どちらも辛いものですが、両方の経験から皆さんにお伝えしたいことがたくさんあります。

要精検と言われながら受診せず進行

夫は、毎年、がん検診を受けていたのですが、精密検査が必要との結果が出ていてもすぐに受診せず、病院で診て頂いた時には、がんはかなり進行していました。すぐに病院に行かなかったことが、今でも大変悔やまれます。長女の時は、1年半看病のために病院で付き添い、看病と他の兄弟の子育ての両立について考えさせられました。そして、私自身は子宮頸がん検診で異形成という結果が出た時から、がんになる可能性があるという意識で、毎年、子宮頚がん検診に臨み、3年後に上皮内がんという初期で早期発見・早期治療ができました。

検診の後、結果を家族で話す機会を

がん検診を毎年受けることは早期発見に必要なことですが、「検診を受けたから安心」ではなく、検診を受けた後、その結果を家族で話す機会が大事だと思います。異常がなかった場合は、来年もみんなで受けようね、という話しをしたり、要精密検査であれば、一刻も早く病院に行けるように会社や家族がサポートしてあげる、そんなことが当たり前の社会になるといいな、と感じています。

2021/09/15配信

「がん」への先入観を持たず、話し合うことこそ肝要

2012年 9月末、何となく受けたマンモグラフィー検査で異常が見つかり、10月 3日、乳がんの告知を受けました。
当時私は保育園に勤務していました。異常が見つかったその頃は運動会前で、年長組を担任していたこともあり、すぐに精密検査が必要と告げられた時とっさに「今、仕事を休むわけにはいかないので無理です」と答えていました。今思えば、一番大切なものは何か…を完全に見失っていたのかもしれません。

「精検急いで」の医師の一言が転機に

そんな私に対して医師は、「急いでください」と真っ直ぐ目を見て諭すように言いました。その一言で、私の中で何かが動き出し、今に繋がっていると思うと感謝しかありません。
精密検査の結果、手術よりも先に微少転移を食い止める必要があるとのことで、すぐに半年間の抗がん剤治療に入りました。主治医からは、「治療しながらお仕事されてる方もいるよ」と言われましたが、保育という仕事柄、どんどん変化していく外見と、思うように動けなくなることに自分自身がうまく対処できないだろうと想像し、半年間休職しました。

終わりではなく新たな人生のスタート

職種や個人の考え方によって様々だと思いますが、もし職場で、がんに罹患した人が居たならば、可哀想に…お気の毒…仕事は無理だろうね…といった先入観は持たず、まず罹患(りかん)した本人と十分話し合って、どんな事が出来るか、どうしていきたいかなどを確認することが、罹患者が前向きに進んで行くための一歩だと思います。
がんになったら人生が終わりではなく、そこからまた新たな人生がスタートしたという気持ちで日々過ごしています。そして、自分の経験を語ることが私に出来るスペシャルなことだと思っています。

2021/08/30配信

がんと仕事の両立は「傾聴と理解」から

打ち明ける、打ち明けられる苦悩

 私はがんが見つかった時から職場でその事をオープンにしています。そのためかがんに罹患した同僚から相談を受けることがあります。内容は病気や治療に関する事よりも上司にどう打ち明けたらよいかや打ち明けた際の上司の反応に関する悩みが多いです。また、打ち明けられた上司からも相談を受けることもあります。部下から「がんになった」と打ち明けられたら、そりゃ驚いて反応に戸惑うでしょう。戸惑ったあまりに打ち明けたほうが傷つくような言動をとってしまう事もあるようです。今回は私が受けた相談や私自身の経験から、がんを打ち明けられた職場の上司に気をつけて欲しいことについてお話します。

10人10がん、傾聴と寄り添いを

 まず、憐れんだりしないでください。その人はがんが見つかってから職場で相談するまでの間沢山悩んで勇気をもって決意して打ち明けているのですから。次に、「知り合いに同じがんで手術して治った人がいる」とか、「いとこは 手遅れで見つかってほどなく死んだ」とか、ご自分が持っているがん患者情報を引きあいに出さないでください。
 10 人 10 がん。同じがん種でも全く同じ状況の人はいません。更には、がんに効くよと健康食品や民間療法などを勧めるのはやめましょう。親切心からいろいろ探してきてすすめる方は本当にいます。悪気がないだけに困るのです。最後に多くのサバイバーが言われて嫌だった言葉は「治療に専念してください」です。配慮のある優しい言葉のように聞こえますが、治療と仕事を両立しようと思っていたのに仕事をするなってこと?この言葉を言われてお先真っ暗になったってサバイバーが多いのです。専念するかどうかを決めるのは本人です。
まずは傾聴。そして一緒に両立できる方法を考えて欲しいです。

2021/07/30配信

患者への“寄り添い方”でアンケート。意外な結果に注目を!

 皆様、こんにちは。昨年も本メルマガでご挨拶させていただいた認定講師の花木裕介と申します。昨年ご案内させていただいた「がん罹患者にかかわる方必携『寄り添い方』ハンドブック」におきましては、100に迫る企業様にお申し込みをいただきました。新型コロナウィルスの影響等により、どうしてもがん対策の優先順位は低くなりがちですが、その中でも多くの企業様に、関心を寄せていただいたと感じています。

118人のがん経験者の回答は?

 さてこの度、「『寄り添い方』に関するアンケート」と称して、がん罹患経験者118名にアンケートを実施しました。家族、知人、友人、職場の同僚、上司、医療従事者といった周囲の方々が、回答者にどのようなかかわりを行い、彼ら彼女らが実際にどのように感じたのかを詳細に回答いただきました。以下、私が代表を務める法人のHPより、結果報告書を無料でダウンロードいただけますので、よろしければご覧くださいませ。

https://www.gan-challenger.org/research/

また、並行して制作を続けているYou Tube番組「寄り添い方体験談」も20回を超えています。かかわり方に関する罹患経験者のリアルな声を、毎回ゲストの方よりいただいており、本アクションの認定講師も多数登場しています。

https://youtube.com/channel/UCL_t5Zx5JO8apy9EzR2zJEw

 ぜひこれらを、皆様のがん対策、両立支援施策実行および検討にお役立てくださいませ。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2021/07/15配信

企業が「女性のがん」に本格的に取り組む時代へ

「なんでこんな大切なこと、いままで教えてもらえなかったの?」
医療の一歩手前をつなぐことをミッションに、女性の健康教育と予防医療の推進を12年間行うなかで、ずっと聞こえてくる反響です。私は経営者として2009年に初期の子宮頸がんを罹患(りかん)しました。病気になってはじめて知った女性のがんの現状に衝撃を受けたことをきっかけに現在の事業を立ち上げましたが、12年経っても未だ職域における女性のがん対策は十分ではありません。

50歳代前半までは、男性より女性のがんが多い!

社会情勢の変化もあり、現在再び「女性のがん対策」がフィーチャーされています。企業におけるダイバーシティ推進、健康経営、女性活躍施策、さらにはCSR、ESG投資と、企業の皆様からご相談を頂戴する場面が急増しています。働き手の半数を占めるのが女性であることは言わずもがなですが、就労世代の50歳代前半までは男性より女性のがんが多く、20〜30歳代のがんの80%は女性で、その多くは子宮頸がんです。乳がんは40歳代をピークに増加の傾向にあり、生涯で9人に1人が罹患するというデータもあります。

ワーキングリボン(W RIBBON)が、職域の推進力に

つまり、働き盛りの男性社員のご家族にとって身近なのが、子宮頸がんや乳がんであるということでもあります。この課題に取り組むことが、企業にとっても社会的な責任なのではないか?という多くの声から、がん対策推進企業アクション「Working RIBBON(W RIBBON)」が始動。今年から11月を推進月間とすることを決定しました。まずは自社のがん検診受診率の状況を把握すること、対策の意義を共有し目的を設定することが重要です。ぜひ参加企業として、一緒に推進いただければ幸いです。

◉厚生労働省委託事業「がん対策推進企業アクション・女性会議」
Working RIBBON(W RIBBON)
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/workingribbon

2021/06/30配信

患者・ご家族に寄り添い、「がんと仕事の両立」を支援

東京都社会保険労務士会では、委員会を設置し、下記のようながん患者の方の治療と仕事の両立支援事業を行っています。
• 医療機関等へ社労士を派遣し、患者さんやその家族の両立支援相談の実施
• 顧問先企業等を通じて、働く従業員の両立支援アドバイスの実施
• 相談支援者の育成・支援
治療と仕事の両立という時に、患者さんの立場から問題となるのは、大きくは2つ上げられます。
1つ目は、仕事を続けることができるのかという問題、もう1つは、治療あるいは、生活を維持していく費用負担への不安です。
私たち社労士は、労働・社会保険の専門家として、こうした問題を抱える患者さんやその家族に寄り添い、より良い解決策を見出すことを目指し相談を行っています。

事業主からの質問等にも対応

一方、事業主から、社員ががんに罹患したがどうしたらよいだろうか、という質問が寄せられることも多く、会社と労働者の間に立って、活用できる公的制度の提案や、会社として対応可能な配慮のアドバイスなどを行い、会社にとっても貴重な戦力を失うことなく、企業経営が継続できるようなアドバイスを心がけています。
 また、相談者の育成・支援という観点から、昨年末には、当委員会が、医療機関や企業での労務相談の現場で、実際に受けた相談を元に相談のポイントとその進め方をまとめた「がんの治療と就労の両立支援相談対応ハンドブック」を発刊いたしました。ご興味がおありの方は、是非お手に取ってみてください。
*ハンドブックは「メールマガジン本文」にて紹介しております

2021/06/15配信

がん検診もワクチン接種も“命を守る医療”と心得て
職場での接種を展開

昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全国でがん検診受診が停滞したことが問題となりました。今年度は4月に入ってから緊急事態宣言が発出されるなどコロナ禍は依然続いていますが、健診機関では感染防止対策を行ったうえで通常通り運営をしています。
昨年の4~5月には首都圏においてほとんど健診が止まっていたという状況に比べれば、現在は、新型コロナウイルス感染リスクだけにとらわれずに、東大病院特任教授の中川恵一先生がおっしゃっていた「全体としての健康」を大切にすることの重要性が理解されてきたのではないかと思います。
一方で、健診は年に一回というのが身についている受診者の方々が多く、昨年ずれてしまった受診日から一年後の受診で計画を立てるために、今年度の4~5月の受診者数は例年に比べると少ない状況が続いていました。
このため、私どものところも4月から、空いているフロアや人員を活用し、コロナワクチン接種を積極的に推進できるような体制を検討していたのですが、ワクチンそのものが日本に入ってこなかったため、大型連休明けからワクチン接種を開始し、7月までは土日も利用して実施していく予定です。
予防という観点では、がん検診も予防接種も同じ“命を守る医療”の一つですので、一人でも、一日でも早くワクチン接種が進むように頑張りたいと考えています。

2021/05/28配信

職場におけるがん対策の重要性

がんは、今まで健康診断で一度も異常を指摘されたことのない「健康」な人が、ある日突然、「がん」と診断されることが少なくない。
企業におけるがん対策が重要になってきた理由は4点挙げられる。
1点目はシニアの就労人口の増加である。定年退職年齢の引き上げに伴い、特に60代の男性労働者が、定年退職後に非正規労働者になってから、がんに罹患することが少なくない。
2点目は女性の就労割合の増加である。専業主婦ではなく、職域でがんと診断される女性が増えている。
3点目は、女性のがん、特に、乳がんの罹患率の増加、子宮頸がんの発症年齢の若年化である。現在、9人の女性のうち1人が、生涯に乳がんにかかる時代であり、乳がんのリスクファクターとして、高脂肪食、多量のアルコール摂取(アルコールを飲めば飲むほど、乳がんになりやすい)、運動不足、経口避妊薬(ピル)等の長期投与などが知られている。女性労働者が多い医療・福祉業、小売業で、特に「乳がん治療と就労の両立支援」は極めて重要な課題である。
4点目は、がん医療の進歩である。(がん腫で大きく異なるが)抗がん剤や分子標的薬などの分野で新薬が次々と開発され、がん分野の診療ガイドラインの中には年に3~4回改訂されるなど、がん医療の進歩はすさまじい。内視鏡治療や腹腔鏡治療など身体により負荷がかからない治療などにより入院期間が短縮され、徐々にがんになっても復職できることが可能になり、がんになっても働ける人が増えている。

2021/04/30配信

私はインターネットの会社で働く乳がんサバイバーです。現在も治療中です。
2016年春に乳がんが見つかり、最初にしたことは大胸筋と腕の筋トレでした。術後はできなくなると思ったからです(今は筋トレしてます)。
告知後、予想と違っていたことがありました。まずは抗がん剤。
休職と思っていたところ主治医から「今は働きながら治療する」と抗がん剤の様子を説明され、それが一番のびっくり。
そして運動(リハビリ体操ではない)。
罹患後も運動できる、というより世界的には罹患後も運動すべしとなっていて、全がんで運動により罹患後の死亡リスクが減ると知りました。
今は、聖路加国際病院でがんと運動の研究をされていた先生と海外の専門家の教授にご協力いただき、
「まめっつ」という団体を立ち上げ、がん罹患者のみなさんと筋トレを続けています。
運動は、がんの予防としても最適です。ところが1人ではなかなか続きません。
何よりも仲間がいて心強いと参加者の声があり、続けるうちに体力が回復していく人たちがいるのは嬉しい限りです。
がん罹患者の筋トレと有酸素運動があたりまえになる気運が高まることを願っています。

第1回の花木裕介さんのように冊子を作成中です。
■お知らせとお申し込み
https://mamets.jimdofree.com/

2021/03/29配信

がん対策は、感染症チェックから。。

がん対策と言えば、がん検診が重要ですが、、その前に「リスク(危険)」という概念が大事です。リスクというのは、それが起こる確率のことを言います。例えば、一般道路を時速30kmで走行している場合と、時速100kmで走っている場合では交通事故にあう「リスク」は、100kmの方が高いと言えます。一時停止で確実に止まるのと、止まらないでは交通事故にあうリスクは違うでしょう。がんに罹るのもリスクが分かってきています。特に、明確にリスクが高く、それを治療すればリスクが下がるものが「ピロリ菌による胃がん」と「肝炎ウイルスによる肝がん」です。これらの感染症が原因となるがんについては、若い時に治療すればするほど、リスクは小さくなります。また、職域では結構、ピロリ菌や肝炎ウイルスの検査はされているにも関わらず、その検査結果を放置されている方が多いことがわかってきました。がんに罹ることは、ある意味「運」的なこともありますが、下げられるリスクは下げておいた方がよいと思います。少なくとも、ご自身に、ピロリ菌がいるのか?肝炎ウイルスがいるのか?については調べ、もし陽性であれば医師に相談することをお勧めします。

第8回『がんサバイバーによる体験談コラム』

私は公認会計士として監査法人で働く乳がんサバイバーです。
ちょうど3年前の今頃、0歳の娘とお風呂に入っているときに自分の胸にしこりを見つけた時の事は今でも覚えています。変だなと感じ、すぐに近所の乳腺クリニックで検査を行った結果、ステージ2の乳がんが発見されました。

それは、娘を保育園に預け職場復帰を控える中の宣告でした。仕事と育児の両立に加え、治療も両立することを考えると頭の中が真っ白になりました。

会社に事情を説明し、手助けしていただいたことで、仕事と手術、半年間の抗がん剤治療を両立する事ができました。途中から抗がん剤の副作用で髪も抜けてウィッグになったのですが、「似合ってるね」と言われてとても安心したことを覚えています。
現在も定期健診のために通院しておりますが、治療は行っておりません。
おかげさまで、今も同じ仕事を続けています。
0才だった娘も3才になり、日々の成長をとてもうれしく感じます。
これも早期発見のおかげで治療期間が短くすんだおかげです。

がんは早期発見ならば十分に治療と仕事の両立が可能だと思います。
自分の身体は自分でしか守れません。ぜひとも、定期健診はもちろん、女性であれば乳房のセルフチェックとしてお風呂での触診もお勧めします。

2021/03/15配信

ネットのフェイクがん情報に要注意!

わが国のインターネット上の健康情報には、科学的に確立されていないサプリ、検査、治療に誘導する商用目的ものなどが多く存在しています。がんの情報も例外ではなく、遺伝子治療、免疫療法など最新医療を謳って、医師や医療機関が発信しているフェイク情報も多く、真偽の判断は、たとえ医療者であっても容易ではありません。すべてのがんに効く、がんが消える、体に優しいなどの魅力的なキーワードが使われ、自由診療である場合は、まず、疑うべきだと考えます。わが国では、有効性、安全性が科学的に確認されたものが保険適応となり、最も効果が期待できるものが標準治療として診療ガイドラインで推奨されています。標準治療は、並の医療ではなく、最善・最良の利用であることを心に留めておいてください。

国立がん研究センターが運営するウエブサイト「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp)は、科学的根拠に基づいた確かな、わかりやすい、役に立つがん情報の提供を、がんセンター内外の専門家の協力の下、中立性、公正性を確保して発信しています。各種のがんの解説をはじめ、誰でも相談できる全国のがん診療連携拠点病院等に設置された「がん相談支援センター」の情報【病院を探す】(https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpTopPage.xsp)やがんの治療と仕事の両立を支援する【がんと共に働く】(https://ganjoho.jp/pub/support/work/index.html)なども掲載していますので、是非、ご利用ください。

2021/02/26配信

第7回『がんサバイバーによる体験談コラム』

[私のがんは痛かった]

認定講師 河野 美和

私は福岡出身で現在神奈川県に住む、乳がんサバイバーです。
「家族や親戚にがんで亡くなった人はいない。うちはがん家系じゃないけんね」というのが母の口癖でした。
私も無意識に、私はがんにならない。大丈夫だ。と何の根拠もなく、そう思っていました。これが間違いの始まりでした。

福岡から、神奈川へやってきて20年。二人の子供も中学受験と幼稚園の卒園を控えた秋、ふと気が付くと、胸が痛みます。走ると痛い程度でした。
「がんは痛くない」と何かで読んだのか、そんな大変な病気ではないと思っていました。でも、クリニックを受診したら…「乳がんです。すぐ大きな病院へ」。頭が真っ白になりました。人間ドック受けていたんです。でもそういえばその年は、長女のお受験でそれどころではなく、落ち着いたら受けに行こうと思っていました。
既に3センチを超えていたわたしのがんは「トリプルネガティブ」というタイプでした。すごい名前ですよね。
すぐに抗がん剤治療が始まり、あっという間に髪が抜けました。そして、眉毛や鼻毛まで。私の人生は終わった。と思いました。そして抗がん剤も効かず、1か月で5センチになったところで、緊急手術。左胸全摘出でした。抗がん剤の副作用で、つわりのような吐き気に襲われながら、ぼんやりしていました。とりあえず今は死ねない。卒業式まで、入学式まで。と毎日過ごすのがやっとでした。「ママ、このおっぱいはいつ生えてくるの?」5歳の娘に聞かれて、何も言えませんでした。もう元の生活には戻れない。仕事なんてとんでもない。誰にも会いたくない。そう思っていました。

それから3年、抗がん剤が終わると髪が生えてきました。もう一度生まれたような気分でした。お陰様でなんとか元気になりました。あの時、仕事を辞めなくてもよかったかもしれない…。と思うことがあります。
でも、私には正確な知識と判断力がありませんでした。
今なら、あの時の自分に言えます。
「きちんと治療を受けたら、元気になるから。頑張れ!」
そして、もう少し早く気が付いていれば、こんなことになりませんでした。がん検診をちゃんと受けること。受けたことに満足しないで、結果を大事にして、変化に注意すること。
これができていれば、もっと明るい人生だったはず。
私のような人が一人でも減りますように…と願うばかりです。

健康といのちの大切さを伝える「がん教育」

ご存じのように、わが国では死因の第一位はがんです。その累積罹患リスクは男性65.5%、女性50.2%にも達していますが(国立がん研究センター2017年データ)、残念なことに、いまだ多くの国民にとって、がんは罹患するまで他人事です。

がんは怖い病気だと知りつつも、なぜか自分はまだ大丈夫だと思っているような人に限って、医師にがんと診断されると「まさか自分ががんになるなんて」とパニックに陥ります。がんに対する知識も心構えも不足しているので、慌てて仕事を辞めてしまったり、一人で思い悩んで家庭や職場から孤立してしまったりします。

そんな国民へのがん啓発の切り札として、今、大いに期待されているのが、学校で正規の授業として行われる「がん教育」です。教員だけでなく、がん医療者やがん経験者たちも外部講師として参加して、子どもたちに正しいがんの知識を伝え、健康やいのちの大切さについても考えさせます。私もこれまで全国300校以上に伺いましたが、わずか45分の授業でも、子供たちは素晴らしい反応を示し、大人顔負けの意見を持つようになります。自分のいのちを大切にすることを学んだ子供たちが、いずれは他人のいのちを思いやり、わが国の将来をも考えられる大人になってくれると信じ、時間を見つけては喜々として学校に出かけています。

2021/01/29配信

第6回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 松本 眞由美

私は札幌在住で、すい臓がんステージ4aで手術を受けて7年経ちました。

夫の職場のがん検診を含む家族検診を毎年受けていました。55歳の時、血糖値が高く要精密検査の通知がきて、すぐ糖尿病の専門医を受診しました。この病院は糖尿病の治療前の事前検査で腫瘍マーカーも項目に入れており、このマーカーに反応したことが私のすい臓がんの発見に繋がりました。

友人をすい臓がんであっという間に亡くしている夫は、私がすい臓がんかもしれないと伝えた時の第一声が「俺を一人にしないでくれよ」、この言葉は今でも忘れることができません。自覚症状もなく検診で見かっても初期ではないという事実が、すい臓がんの手強さを物語っているのかもしれません。 「まさか自分ががんになるなんて」私もそう思っていた一人でした。
当時ではめずらしかった術前化学療法の後、手術という幸運もあり再発せずに7年が経ちました。がんは悲しい出来事でしたが、がんになって経験できたことは、かけがえのない財産となり生かされてる命に感謝しています。

がんは2人に1人罹患する時代となり、私は検診で命を救われました。ご自身や大切な人の命を守る検診を多くの方が受けられることを心から願っています。

中小企業従業員の、がん検診等の実態を大規模調査へ

がん対策推進企業アクションと大同生命が共同でアンケート

▼1万人の経営者に直接質問。チラシ使い、がんの啓発も

がん対策推進企業アクション(厚生労働省委託事業)では、大同生命さんと共同で中小企業経営者へのがん対策アンケートを2月に実施します(WEBも活用)。大同生命さんの関係する全国の中小企業経営者に直接、聞く予定です。

この調査が画期的なのは、アンケートに答えてくれる経営者が1万人ほどに達するとみられること。また、従業員数が20人以下の企業を主なターゲットにするので、最前線の実態が把握できることです。さらには、企業アクションを紹介するチラシを経営者に見せるのですが、がんに関する基礎的な数値や、がんを正しく知るための「7か条」などを明示しており、「オトナのがん教育」も展開されます。

質問項目は13問。①従業員のがん対策(検診)に関心があるか②会社が従業員に対して直近2年間に実施したがん検診②検診受診率向上に取り組んでいること③がんになった従業員はいるか④がんになった従業員への支援制度―など。答えやすいように例示を示し〇をつけるようにしています。かなり詳細な例示のため、具体的な対応がアンケートで浮かび上がるようになっています。

2020/12/25配信

第5回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 池田 久美

私は京都市で公立中学校の教員をしています。

48歳の時、47歳の夫をすい臓がんで亡くしました。自覚症状が出て受診した時にはすでにステージⅣで、発見が難しいがんとはいえ、「早く気づいていたら結果は変わっていたかもしれない。」という思いが今でもあります。

57歳の時、今度は自分自身が人間ドックで胃がんと診断されました。公立学校共済組合では満40歳、50歳での人間ドック受診に対し全額助成制度があります。それを利用して40歳で初めて人間ドッグを受けた際、「胃炎があります。将来胃がんになる可能性もあるので毎年胃カメラを受けた方がいいですよ。」と言われました。自覚症状も全くなく、多忙を理由に受けない年もありましたが、40歳の時の医師の言葉を忘れずにほぼ毎年検診を受け続けました。そして17年後に胃がんに罹患したのですが、早期発見、早期治療ができました。胃の3分の2を切除したことで食事の量が激減し体力がなかなか戻らず、術後8ヶ月休職した後復職しました。6年経った現在もこうして元気に仕事を続けることができるのは、自覚症状がなくても毎年検診を受け続けたからだと思っています。

復職後、職場の方々の理解と協力も仕事を続ける上で大きな支えとなりました。

生稲晃子さん(女優・がん経験者)が中川医師に聞く!

▼来年2月、「オトナのがん教育(YouTube)」新シリーズ

好評の「がんって何? がんになっても働けますか?」は、東大病院の中川恵一准教授の分かりやすい解説で、視聴者が増えています。1回3~4分と仕事の合間でも見られることも拡大の要因と言われています。

来年2月下旬からは、女優で、乳がん経験者でもある生稲晃子さんが、中川医師に「がんのひみつ(疑問)」を聞くシリーズになります。収録は年内に行われますが、生稲さんが、どんなところに疑問をもち、中川医師にどのような質問をぶつけてくるか、大いに注目されるところです。

*生稲さんは2011年に乳がんが発見され5回も手術。現在もホルモン治療中ですが、女優・リポーター・講演活動等で幅広く活躍中。「スイッチ!」(東海テレビ)火曜レギュラーを務めるほか、心理カウンセラーとしても活動されています。2016年には政府の「働きき方改革実現会議」の有識者委員に選出され、5年間闘病しながら働いてきた自身の経験から患者の主治医、会社・産業医に加え、両立支援コーディネーターを入れた「トライアングル型のサポート」が必要と提案して採用されて、広く推奨されています。がん対策推進企業アクションのアドバイザリーボード(助言委)メンバーでもあります。

2020/12/15配信

コロナ禍でも、がん検診・治療は受けるべき、と専門医の“忠告”

感染拡大状況を受け、受けるべきがん治療を受けないケースが増えています。これは、極めて憂慮すべき事態です。

衝撃的だったのが国立がん研究センターの胃がんの手術です。今年4月から10月に行われた外科手術の件数は90例。これは昨年の同時期の153件から41%も減少しています。東大病院でも43%減少とのこと。今年に限って、胃がんが減っている、ということはあり得ません。これは、胃がんの検査が行われていないために、発見がされていないということです。

実際、対がん協会では、全国の支部の調査結果から、がん検診受診者は2020年度(1年間)を通じて「3割減少」と推測しています。

文科省の「がん教育教材」では、「発生した1個のがん細胞が増え続け、10~20年かけてがん検診で発見できる1㎝程度の大きさになる。それが2㎝になるには1~2年。それ以降は進行がんになる」(趣意)と。つまり、命の危険に及ぶと。だから胃・肺・大腸がんの検診は1年に1回(胃カメラ検査は2年に1回)、がんの進行が他より緩やかな乳がん、子宮頸がんは2年に1回の検診を、と国を挙げて推奨しているのです。
検診で早期発見ができれば、早期治療によって、9割以上が完治します。手術の減少とは、がんの発見の遅れであり、それは、命の危険へと進んでいることなのです。

2日付の毎日新聞では、日本外科学会の池田徳彦副理事長(東京医大教授)と日本放射線腫瘍学会の中川恵一広報委員長(東京大准教授)が特集欄でともに、「病院は十分な感染対策をしているので過度に怖がらず治療を」(趣意)と手術、放射線治療それぞれについて語っています。そうであれば、感染対策を十分にして、がん検診をしっかり受け、がん発見に至ればすぐに治療すべき、といえます。中川医師は「検診の閑散期である来年1月から3月に検査を受けることを勧めます」(日経新聞2日付)と強く呼びかけています。

2020/11/30配信

第4回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 澤田 崇史

私は、46歳の会社員で胃がんサバイバーです。現在も治療を継続しています。

2017年6月に会社の健康診断の結果、胃がんステージⅡの告知を受けました。
7月に胃の2/3を切除する手術をうけ、8月中旬から職場復帰しました。
職場復帰後、経過も順調かと思っていましたが、2019年1月に腹痛がひどく、念のため腹部から生検したところ再発が発覚しました。
夕方、仕事の最中に病院から電話があり、医師から検査した箇所から以前と同じ種類のがん細胞がでました、と言われた時は目の前が真っ暗になった気がしたことを今でもよく覚えています。
再発の告知は、初めてのがん告知より何倍も辛いものでした。

現在は通院しながら抗がん剤の治療をうけ、仕事も続けています。
私の場合、抗がん剤の点滴後、4,5日目あたりが下痢や倦怠感により体力も消耗するためそのような日は勤務時間を短縮するなど会社とよく相談しながら就労も続けています。

もしがんの告知を受けるようなことがあっても、焦りは禁物です。
がんの種類や病状にもよりますが、すぐに仕事を辞めなくても、治療と就労をうまく両立できることもあります。もちろん、まずはがんの早期発見・早期治療を大切にしていただけたらと思います。

がん治療には詐欺的なものもあり、だまされないことが肝要

がんと宣告されたら、ほとんどの患者さんがパニックになります。まして、完治しづらい状態となっていたら、何かにすがりたくなり、ネットや本屋などで探したりします。ここで、“おかしな治療”への道を進み、あとで、泣いてしまう(悪くなり、死亡することも)というケースが後を絶たないようです。
東大病院のがん専門医・中川恵一准教授(放射線治療部門長)が、日経新聞の11月25日付夕刊の連載コラムで、「あやしい医療の『宣伝行為』を見破るコツを伝授いたしましょう」と書かれていますので、以下に紹介します。

●ネット検索で上位にあっても、「広告」のマークがついたものは注意する
●「100%完治」、「末期からの生還」など、断定的な表現や誇張された表現は信用しない
●「体に優しい」、「セレブが使っている」、「あきらめないがん治療」などの曖昧な表現も要注意
●体験談や治療前後の画像を単に並べたものは信用しない
●保険が効かない自由診療の場合はとくに費用や副作用について確認する
●無料説明会、無料相談といった表現にも注意

<体験談2つ>
▼埼玉新聞記者で「くまがやピンクリボンの会」の代表・栗原和江さんは、熊谷市や隣接する行田市の小・中学校で高い評価の「がん教育」を展開されています。その栗原さんがFacebook(11月19日)で、「14年前、がん告知を受けたばかりの時、藁(わら)をもつかむ思いで『がんが消える水』(2リットル2万円)を購入。当時、息子たちに『おくさんは騙されています(息子たちは私のことをおくさんと呼びます)』と言われましたが・・。今では有り得ません。当時を反省しつつ、正しい情報の取り方がいかに大切かを実感。ヘルスリテラシーを高めて行きたいです」と書いています。
▼東京都八王子市に住む60代の男性は、栗原さんの話を聞いて、自分の見聞きしたこととして、「悪徳ガン治療の話しですね。最近、懇意にしている針医師が、咽頭ガンになり、変な水を買わされました。しかもペットボトルの蓋が空いたものを一本五万円でした。実に非常識な話しです。売った相手が建築屋のオヤジ。(針医師には)キチンと医師の処置を受けるよう勧めました」と。

「がんを正しく知る(正しい情報のみ収集する)」こと、そして、治療法などは専門医に相談するという基本的なことから外れないことです。担当の医師が信頼できなかったら、セカンドオピニオンという制度もありますから、自分の命に関わることとして、堂々とセカンドオピニオン、場合によってはサードオピニオンをやることを自身も、また、家族、友人・知人にも認識してもらうことが肝要です。

2020/11/16配信

子宮頸がんワクチンをめぐり、注目の3つの動きが・・

11月は子宮頸(けい)がん月間。3つの注目すべき情報を・・

① 厚生労働省が頸がんワクチンに関するリーフレットを改訂!

子宮頸がんワクチンに関するリーフレットを厚生労働省が改訂。接種を検討する際の参考にしてもらおうというものですが、「ワクチンでがんになる手前の状態(前がん病変)が実際に減ることが分かっていて、がんそのものを予防する効果を実証する研究も進められています。」と記述している点は、下記の②と連動して注目されます。

ワクチンは、2013年から小学6年~高校1年の女子を対象に定期接種がスタートしました。しかし、接種後の「副反応」の映像をめぐって大騒動となり、積極的な接種の呼びかけが中止され、一時は8割あった接種率が現在は1%未満です。

改訂したリーフレットはすでに自治体を通じて対象年齢の女性への配布が始まっているようですが、いまだ、「接種をおすすめするお知らせでなく、希望する方が接種を受けられるように情報提供するもの」との姿勢でもあります。でも、下記の②や③の情報等もあり、徐々に接種を勧めざるを得ない環境になりつつある、との意見があります。

② ワクチンで子宮頸がん発症リスクが約6割減⇒スウェーデン

先月初め、世界トップクラスのアメリカの医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種すると、実際に子宮頸がんを予防するという研究結果が掲載されました。ワクチンによる予防効果が実証された世界初の研究として注目されています。これまで、ワクチンが子宮頸がんを減らすかどうかは確認されておらず、それが「ワクチンは不要」との論拠の1つになっていました。

この研究はスウェーデン・カロリンスカ研究所などのチームによるもの。研究チームはスウェーデン国内の女性167万人について調査。10~30歳の間にワクチンを接種した人は発症リスクが63%減少。年齢別では17歳未満(日本の定期接種の対象年齢)で接種した場合、発症リスクが88%減少、17~30歳の接種の場合は53%低下しています。これほどの大規模調査での予防効果の確認は、ワクチン不要論を真っ向から否定する画期的なものです。

HPVワクチンは、子宮頸がんの前がん病変を予防できるとされ、がんの予防効果があるとされてきましたが、子宮頸がんは数年から10数年以上かけて病状が進むため、ワクチンの予防効果が明確な結果として出るのには時間がかかっていました。

研究グループは「ワクチン接種は子宮頸がんのリスクを大幅に減らすことにつながることが示された」としています。

③ 接種の勧奨中止で死者が4000人増加予測=大阪大研究チーム

大阪大学大学院医学系研究科の研究グループは、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種率が減少したことにより、2000年度以降生まれの日本女性の将来の子宮頸がん罹患者・死亡者数が増加する可能性を具体的な数値として示しました。

ポイントは、HPVワクチン積極的勧奨の差し控え(7年前)に伴い無料で受けられる定期接種の対象(小学6年~高校1年)を過ぎた2000~2003年度生まれの女子のほとんどが接種しないままだったことにより、避けられたはずの患者が約17,000人、死亡者が約4,000人増えた可能性があるとの予測です。同チームが接種率を計算すると、勧奨中止の影響が小さい1994年度生まれは55.5~78.8%ですが、影響が大きい2000年度生まれは14.3%、01年度生まれは1.6%、これ以降は1%未満としています。

大阪大研究チームの八木麻未特任助教は「日本で増加している子宮頸がんは、本来、HPVワクチンと子宮頸がん検診によってそのほとんどが予防可能です。一刻も早い子宮頸がん予防施策の改善が強く求められます」とコメントしています。

がん患者の4割(約15万人)が「痛み」の中で亡くなっていく!!

●がん患者さんの4割が、死亡直前まで「痛み」⇒遺族調査で判明
▼年間37万人のがんによる死者、うち14~15万人が苦痛状態で過ごす!
▼解決策⇒全医療従事者への緩和ケアの普及、治療技術の開発などあり!

がんの患者さんの痛み、特に亡くなる前の激しい痛みを取り除く(緩和ケア)ことを主要な目的の1つとしたのが2006年にできた『がん対策基本法』でした。
立法から10数年経ちますが、がんで亡くなった患者さんの4割が直前まで痛みを訴えていた実態が調査で判明、関係者を驚かせています。

これは全国約5万人の遺族(うち、がんが26,000人)を対象にした国立がん研究センターの大規模調査で明らかになったもの。この結果をテレビや新聞が、「死亡直前のがん患者約40%が痛み、緩和ケアの質に課題」、「医師の対処不足が原因」などと報じました。
がん患者さんの遺族調査は、国の施策に反映させるのが目的で2年前に試行的に5千人を対象に行われ、調査は有効と昨年は初の大規模全国調査となりました。

調査では、「亡くなる前1か月間、痛みが少なく過ごせたか」という質問に、「全くそう思わない」と答えた人が7.5%、「そう思わない」が11.6%。「あまりそう思わない」が10.1%、「どちらともいえない」が11.3%でした(合計40.4%)。「どちらともいえない」は、日本人は忍耐強く、苦労をかけている家族にも言わずに我慢しているケースがあり、家族も痛いといわない身内ながら、表情・態度等から「もしかして、痛みがあったのでは。だから『どちらともいえない』にしておこう」となったと推測されます。

また、痛みだけでなく、吐き気、呼吸の苦しさなども含めて「からだの苦痛が少なく過ごせたか」どうかの質問に、「全くそう思わない」と答えた人は8.6%、「そう思わない」13.6%、「あまりそう思わない」12.5%、「どちらともいえない」12.5%でした(合計47.2%)。

調査対象である2017年の20歳以上のがんによる死亡者数は36万9,837人ですから、4割となると14~15万人の方が、痛みのある状態で過ごしていたことになります。今回の調査は遺族への調査ですから、亡くなっていかれた患者さんの心身の苦痛はいかばかりであったか。これが、人生の最終段階(いわゆる終末期)におけるがん患者さんの実態ということであり、医療機関の痛みや苦痛への対処が足りない実情が浮き彫りになったといえます。

調査を担当した同センターの加藤雅志医師(がん医療支援部長)は「実態を反映した数字なのではないか。緩和ケアに対する医師の技術や知識の不足が考えられる」とした上で、①すべての医療従事者への緩和ケアの普及②苦痛を軽減するための治療技術の開発③患者や家族への緩和ケアへの理解促進―などを一層進めることが必要としています。

緩和ケアの現場への浸透が、いまだ不十分であることが明白になった以上、医師の対処の仕方の再検討、治療法の開発を含めた痛み除去への対応策など、国も関係学会も早急に取り組むべきとの声が高まっています。

2人に1人ががんになる時代。これは他人事でなく、自分ががんになった時のこととして、みんなで考えるべきかもしれません。

(調査内容資料)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/1031/Investigation.pdf

2020/10/30配信

第3回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 風間 沙織

私は人材サービス企業で働く乳がんサバイバーです。
現在はほぼ在宅で仕事をしています。この勤務形態はもちろんコロナの影響もありますが、私が勤める企業は2年ほど前からリモートワークを推奨しており、そのためのインフラも早くから整備されていたため、緊急事態宣言以降、業務に支障をきたすことなく、多くの従業員がリモートワークに切り替えることができています。
さて、私は今から6年前乳がんに罹患し入院手術をうけ、その後仕事をしながら抗がん剤治療を受けました。この抗がん剤治療中、一番つらかったのは混んだ電車に乗っての通勤でした。幸い当時からフレックス勤務制が導入されていたので、朝夕の一番混む時間帯を避けて通勤することができましたが、それでも立ったまま30分以上電車に揺られることは非常につらかったです。
6年前にもしもリモートワークができる環境にあったら、私自身のがん治療と仕事の両立の仕方も変わっていたと思います。例えば、病院で抗がん剤の点滴を受けながらリモートで会議に参加していたことでしょう。また、在宅勤務により満員電車に揺られることもなく落ち着いた体調、精神状態で仕事に望むことができたでしょう。
コロナにより世界中の多くの人が働き方の変化を求められ、いろいろな可能性を見出しつつあります。この動きががん治療と仕事の両立にも良い変化になると思います。
がん患者に限らず働きたいと思う人が働き続けられる世の中になってほしいと願っています。

がんに関する最新の「基本的な数値」をご存知ですか?

がん対策推進企業アクションでは、「がんに関する最新の基本的な数値」を国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長の協力を得て作成してみました。

1.日本人が生涯でがんになる(累積罹患=るいせきりかん)確率は?

男性は65.5%
(3人に2人)
女性は50.2%
(2人に1人)

*これまで「2人に1人ががんになる」と言ってきましたが、これは女性のがんの罹患率が48%、男性が63%だったため。でも、最新の統計では女性が、ついに50%を超え、男性も上昇、まさに、男性は3人に2人、女性は2人に1人となったわけです。
(国立がん研究センターは男性も「2人に1人」と報告)

2.上記の中の国が推奨する検診5がん(肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頚がん)の罹患・死亡率は、それぞれ全体のどのくらいか?

男性の罹患率 46.5%  
死亡率 49.5%
女性の罹患率 59.9%  
死亡率 50.6%

*この数値は、考え方で大きく変わります。「なんだ、がん検診(男性3つ、女性5つ)をやっても半分しか発見できないじゃないか」というのと、「たくさんあるがんの中で、5つのがん検診を受ければ、半分は発見できるんだ」という声です。がんは、検診で全てが発見できるわけではないのですが、5つだけで5割の発見が可能というのは、日常生活を考えると、優先すべきものと言えます。

3.上記の5がんに前立腺がん(男性)を加えた場合の罹患・死亡率は?

男性の罹患率 62.8%  
死亡率 55.2%

*前立腺がんは、国の推奨するがん検診の項目にはありませんが、多くの自治体で実施されていますので、取り上げてみました。5がんの時より、罹患が16,3%増、死亡は5,7%増ですので、前立腺がんの死亡率は罹患率に比べて高くないというのが分かります。

4.がんは全体の半分以上が原因不明というが男女別ではどうか?

原因不明は
男性46.7%  
女性72.2%

*日本人のがんの原因は、半数以上が原因不明という研究結果がありますが、男女別に分けると、かなり差がでます。男性は「たばこ」というのが知られていますが、女性は原因不明が7割を超えています。よく、「生活習慣が悪いとがんになる」と言われますが、実際は違うということです。がんになった人を「生活習慣が悪いから」と決めつけてはいけない(特に女性)のです。また、野菜・運動不足が強調されますが、数値的には、かなり低いです。ただし、生活習慣は、がん以外の病気の原因にもなっていますので、生活習慣の改善は必要と言えます。

*遺伝について日本のデータはありませんが、「5%」という海外の報告(1993年・ハーバード大学)もあります。

2020/10/06配信

第2回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 柳田 真由美

私は、広島市在住で55歳の大学職員。夫と2人で暮らしています。

12年前、入浴中に胸の触診をしたところ、右胸にしこりを見つけました。
翌日検査を受け、そのしこりはがんではありませんでしたが、ドクターがマンモグラフィーの画像から疑問を抱いたため、MRIを撮ることを勧められました。
その結果、別の部位からステージ1の乳がんが発見されたのです。

2008年43歳、当時はホテルの管理職として多忙を極めており、
これから入院、手術、治療がはじまる。上司にどう説明しよう?
と、人生最大のパニックを起こしました。

ひと昔前の「がん」というと、「長期療養」「会社は退職」という社会通念がはびこっており、私は早く重い荷物を降ろしたいという思いから、20数年勤務した会社を退職したのです。

しかし、治療がひと段落すると体調は徐々に回復し、やっぱりまた働きたいと思い再就職活動を始めたのですが、40歳過ぎての就活は過酷そのもので、あのとき仕事を辞めなければよかった・・・と、いく度も後悔し、今でも未練があります。

がんは早期発見ならば完治する病です。
焦らず、投げやりにならず、病気というハンディに呑み込まれることなく、そのハンディを取り込み、歩んでいただけたらと願ってやみません。

「自分は大丈夫」は禁物です。
私は、がんは自然災害と似たところがあると思っています。
災害の被害を最少限にするためには”備え”が肝要。
がんも早期発見・早期治療なら最少限の対処ですみます。
そのための”備え”として、定期的な検診をお勧めいたします。

2020/08/27配信

第1回『がんサバイバーによる体験談コラム』

認定講師 花木 裕介

私は医療関連サービス会社に勤務する30代後半で2児の父です。

バリバリ働いていた2017年11月、突然、中咽頭がんステージ4aの宣告を受けました。
瞬間、「あと何年生きられるのか?」「家族、仕事、お金はどうなってしまうのか?」
などの不安が頭を駆け巡り、それは日増しに強まりました。

しかし、約9ヶ月に渡る治療・療養では、知人・友人、親族、勤務先のメンバー、医療従事者など多くの方々から応援いただき、2018年9月には無事に治療を終え職場復帰できました。復職後は、同じ病気に苦しむ方々の支えになれればと、産業カウンセラーのノウハウを活かし、出版・ブログ執筆等による情報提供や無料メール相談を開始。その中で、もっとも多かった相談が「罹患者とどう接すればいいのか?」でした。

そこで2019年11月、職場の了解を得て「一般社団法人がんチャレンジャー」を立ち上げ、今年5月には「がん罹患者にかかわる方必携『寄り添い方』ハンドブック」を発刊しました。
罹患者の体験談も多く掲載しています。

この冊子ががんになった仲間にかかわる際の何らかのヒントになれば幸甚です。
そして何より、事例を通じて、早期発見に向けたがん検診や予防などについて、日頃から話せる組織(企業)風土が生まれることを願っています。

■「寄り添い方」ハンドブック(無料)お申し込み先
https://www.gan-challenger.org/handbook